柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年4月3日(火)9時20分~9時42分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議ですけれども、春の交通安全が6日から始まるという話がありました。

閣僚懇に移りまして、特殊法人等、これは認可法人のようですが、事業の見直しの論点の取りまとめができ、これからそれぞれのところと問題を詰めていくので、所管の役所もしっかり対応してくださいと指示がありました。芸予地震に関して、政府の調査団が広島、愛媛に派遣されまして、いろいろと状況の把握等に努めましたと、こういう話でした。以上です。

【質疑応答】

問)

新年度に入りまして、再編した金融機関の営業が本格的にスタートしたんですけれども、それに対するご感想と今後、金融機関の新たな再編の必要性についてお伺いしたいのですが。

答)

ちょっと1つだけ先駆けたものもおりますが、3つが4月2日というか、新年度からオペレーションを始めたと、こういうことで非常に明るい感じがして、私は大変春らしい話題だというふうに受け止めております。いろいろ内部の問題等について、ご批判を頂いている向きもあるようですが、非常に前向きなんだと、今までのような、何と言うか、お互いの出身行の利益を守ろうなどというようなことではもう駄目なんだというような気持ちでの融合の姿勢というか、皆で協力して力を発揮していこうというようなことも、段々明らかになって、マスコミでもそうしたことが取り上げられるようになっているようで、私としては是非そういう方向で頑張ってもらって、また昔のように国際舞台でも活躍できる日本の金融機関になってもらいたいと、こういうように心から思っております。

他にどうかということですが、私はかねて申しておりますように、基本的に今の体制を固めて頂いて、しっかりやってもらうということが大事なことだというように思います。しかし、別にだからと言って、また再編の動きを何か否定するというようなことでは毛頭ありません。

問)

政府・与党の緊急経済対策なんですけれども、策定に向けて大詰めを迎えているんですが、銀行の株式保有制限について、先日、金融庁長官の方も前向きに取り組む考えを示されたようなんですけれども、大臣のお考えをお伺いしたいのですが。

答)

これは長官の言う通りでいいと思いますが、要は全体のスキームがどうできるかということが大事でして、一部だけ部分品みたいなものについて、いろいろ私としてはコメントするのは差し控えたいというように思っています。全体が、すべて否定しているわけではないんです。全て可能性として受け入れて、そしてそういうそれぞれについて、どういうことが本当にいい制度としてできるかということだろうと、こういうように思っています。

問)

不良債権処理なんですけれども、全体のというお話だったんですけれども…。

答)

いや、不良債権の話ではなくて、銀行の保有株の話は保有制限の話とそれの、何と言うか、受け皿というか、そういう話だとか、その他その更に先の話だとか、そういうものが全体としてうまい仕組みができるかということが問題なんで、その一部だけが良いとか悪いとかという話はしない方がいいのではないかと、こういうふうに言ったわけです。

問)

もう一つの課題になってます不良債権処理の件なんですけれども、破綻懸念先の保有制限について、ある程度数値目標を明確に示すようにという形で自民党サイドからも求められているようなんですが、その点については大臣のお考えも一致する点もあると思うんですけれども、明確な形で数値目標を示すことについては大臣は如何お考えかという部分なんですけれども。

答)

今のご質問では数値目標という意味が分からないですね。

問)

破綻懸念先について、保有期限というか。

答)

そういう意味ですか。そういう意味でしたら、いろんな考え方があろうと思うのですけれども、今検討をしている対象の中には入っていると、こういうことですね。だけど、残高の何とかやらとかという最初出たような数値目標だとなかなか難しいのかなという気もします。

問)

3~5年という数字が出ているんですけれども、そこら辺というのは大体いい線なんでしょうか。

答)

それは今、検討中なので、やはりこういう問題というのはあまり世の中を騒がせない方がいいと思いますので、最終の決定を待って頂きたいと、こう思います。

問)

昨日の麻生さんの記者会見ではですね、一応6カ月で目処を付けるというわけにはさすがにいかんだろうという話をされましてですね、柳澤大臣の方から諮問会議でいろいろお話があったようなのですが、差し支えない範囲でお願いしたいのですが。党としては選挙対策というかそういうプレッシャーもかかってくると思いますので、是非お話していただけませんでしょうか。

答)

不良債権の話かと思いましたが、私から現在の、現在というか昨日の段階での検討の状況の報告をしました。そういうことでですね、麻生大臣がどういうふうにスポークスマンの役目の中で仰ったか、私もちょっと詳らかにしないのですけれども、多分私の説明を踏まえて皆さんにいろいろお伝え頂いたのではないかと、このように思います。

問)

先程のお話の中で、不良債権の問題なのですが、最初出た数値だと難しいというふうなお話をされたと思うのですけれども。

答)

いや、残高を2年で半分にするとか、そういう話が一部にあったようですが、そういうアプローチはなかなか採れないのでないかということです。

問)

それは、処理すべき対象を国会などでも32兆円のうち24兆円が対象になるというお考えを述べていらっしゃるようなのですが、確認ですが24兆円があくまでも対象ということでよろしいでしょうか。

答)

対象は不良債権全部ですよ。不良債権全部ですが、それぞれの所に違うアプローチをしていくということですから、何というか、後は結論を見ていただくしかないのですけれども。

問)

今の数値目標での問題とですね、3年から5年というその位の間に処理をしなさいという話ですが、これは多少矛盾するところが出てくるかと思うのですが、その辺りは大臣としては、期限を決めること、数値目標とは別ですけれども、期限を決めることは問題ないという考え方ですか。

答)

まだ今検討をしているわけですけれども、しかし全ての可能性をふさいでいませんから。

問)

日銀の方の短観が悪化したという数値もありますし、一方では一段の円安が進むという外部環境の変化もあるということで、こうした中で不良債権の処理を新年度の中で遂行していく上で足元の景気とそれから向こう半年から一年間くらいの景気に与える影響というのは大臣はどのように見定めようとしていらっしゃるのかというご所見を伺えますか。

答)

我々がやろうとしている不良債権のオフバランス化というものは、やはり二つの効果を生むことは否定しないですね。一つは、もちろんむしろ経済を前向きに引っ張っていくと、つまり今まで融資出来なかったところにも、整理をした上で融資が出来るようにしようという意味では、経済を前向きに押し進めるという効果があって、私どもとしてはむしろそれがあるからこそ今度のようなことをやろうとしているわけですね。しかしまた他面ですね、非常に短期的な話としては、確かに不良債権の処理で今若干でも動いているところをですね、それを整理するということに伴って、例えば雇用などにですね影響が出るということも、そういう側面もあることはこれは否定しません。

しかし、特に短観のような、これからどういうふうに景況が変化していくと見通しますかというような質問の場合には、私は前者の方が、むしろやはり皆重視するのだろうと思います。例の景気のもう一つの指数ですね、特に一致指数だとか、そういう先行指数、遅行指数というような、あのような指数の場合には若干それはちょっとマイナスの影響が、これ事実ですからね。短観というのは観測ですからね。企業家がどういうふうに観測するかという問題ですからね。観測としてはむしろプラスに出るのではないかと。そう小理屈こねるつもりはありませんけれども、両面あるということで、私はむしろそういうことを不良債権のオフバランス化を通じて構造改革が進む、構造調整と言ってもいいですが、そういうものが進むということは必ず日本経済にプラスになるであろうと、こういうふうに思っております。

問)

先程の銀行の株保有の制限のところで、受け皿として株式買上機構というのが与党の中で、調整が進んでいますが、大臣は市場原理が基本だと以前仰られましたが、株式買上機構のですね、見方というのを教えていただきたいのですが。

答)

いわゆるPKOというものではなくて、銀行の株式保有というもののリスクを、やはりコントローラブルなものにしようという時に、銀行が現状からすれば、これはどの銀行も明らかにかなり過大な株式を保有しているわけですから、これを何らかの格好で外に出していかなければいけないということはある話なのですね。それを市場の中でどうやってやっていくかということの検討の中で、そういうバッファーというか一時的に、その銀行の放出する株式を受け止める仕組みがあった方がいいじゃないかということも、私は頭から否定するものではありません。

ただ、予ていうように日本の株式市場というのは、非常に発達していますし、特に外国人というか法人も含めて売買のシェアが50%になっているという非常に開かれた市場の中で、こういう仕組みをどういうふうに調和的に入れることが出来るのだということがしっかり把握されないと、やはり前にはなかなか進んでいけないというか、だから先程も言ったように全体の仕組みが如何に発達した株式市場と調和的に、あまりひどい歪みを生まないでそれがビルトイン出来るかという問題だと思っております。

ですから何かこうア・プリオリにこれを否定をしたりするというのではなくて、可能性としてはかなり有力なことだということだろうと思うのですが、誰もが考えてもそういうふうになるという話だと思うのですが、しかし、もうちょっとそれを昔のように簡単にはなかなか出来ないのではないかと。如何に市場とうまく調和をした仕組みとしてそういうものが仕組めるか、これが我々の課題であろうとこう思っております。

問)

今、いろいろ出ている案の中では銀行が保有している株式を6割から100%くらいの間に押さえた方がよいという案がありますが、そういう案については大臣の考え方は、どういったものがありますでしょうか。

答)

これも今先程言ったような株式の価格変動リスクというものが現在の保有状況でコントローラブルであるかといったら、やはりかなり疑問だと。ですから今より減らさなくてはならないであろうと。現にそういうことで各銀行とも減らして来ているし減らそうとしていると、こういうふうに私は現状認識していますね。

そういう中で、更にこれをレギュレートの一つにするというのはどうなんだと、こういう問題なんですけれども、これは一つの極にアメリカがあり、もう一つの極にドイツがあると言っていいと思うのですけれども、そういう中で日本がどういう位置を占めるかというのは、やはりこれはかなり日本の金融構造としてどうかということと同時に産業構造あるいは、経済構造全体の一つとしてどう評価すべきかという問題が実はあるのだろうと私は思うわけであります。特にその比率をレギュレーションするということになると、幾らにするかと具体的なことを決めないといけないということになりますが、その具体的なことが日本の経済構造、産業構造、金融構造にどういう結果をもたらすだろうか、あるいはどういうことを目標として一定のレベルを決めるのかということが、それなりにやはりビジョンみたいなものがないといけないのであろうと、それはかなりの程度は腰だめになるということは認めざるを得ないのですが、それにしてもやはりそのビジョンとの関わりというのをそれなりに描いて進まなくてはいけないであろうと、こういうふうに思っておりますので、今はいいんだと、今いいレベルにいるというふうに思うのか、今は過大なレベルだと思うので、ではどこまで下げていくかという時に今言ったような問題があるのではないかとこう思っております。

(以上)

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