柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年4月13日(金)9時22分~9時38分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は8時から月例経済報告を聞く閣僚会議がまずありました。詳細は経済財政諮問会議事務局、経済財政担当大臣からお聞き頂きたいということでございます。景気は弱含んでいるというのが総括的な判断ということになりました。

若干の議論というか、そういうものがありまして、その一つは私どもに関係することでもあったのですが、中小企業者の中に貸し渋りにあっている部分があるのではないかと、こういう話がございました。その理由として、不良債権の管理というようなものが影響しているのではないかというような話がありました。私からはそういう制度的な面から来ることのないようにといういうことで、予てから指導をしているということを申し上げておきました。しかし、さはさりながら現場というものにそういう大臣なり、金融庁幹部の意思がより伝わるように頼みたいというような話もございました。

私はちょっと日本経済を見る場合に構造問題が大きな問題であるということは言うを待たないわけで、そういう議論が大変主になることは、これはもう当然なことなのですけれども、その中でもやはり循環的な好不況というか、そういうものもあるはずで、例えばと言って私が言ったのですが、去年の8月に底を打ったのではないかというような話があることとの関連できめ細かに政策の方も見ていくという面があっていいのではないかというお話をしておきました。これに対しては、その面については日銀の金融政策で対応がなされているという、日銀からのお話がございました。

それからもう一つは、何と言っても失業者が多いということが消費の不振に結びついているというようなこともありまして、失業の手当のあり方というものについて、セーフティネットですけれども、なお我々当局で検討されているというような趣旨の発言がありました。

次いで公益法人等の指導・監督等に関する関係閣僚会議がありまして、かねて調査が行われておりまして、その概要の報告がなされたわけですが、この規律(レギュレーション)が決められているのに対して、まだしっかり処理されていない、レギュレーション通りになっていない対象法人もそれぞれの役所に相当残っているわけで、これは早期に処理をしてもらいたいという話がありました。これからもなお、そういう環境の中で行政委託型の公益法人等について改革を進めるので、よろしくというような話がありました。

3つ目に閣議の方でございますけれども、閣議におきましてはオウム真理教、無差別大量殺人行為を行った団体規制法の執行状況について国会報告が取りまとめられた旨、報告があり、その概要も説明がありました。2番目に林業白書についての、これは国会提出の報告がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

今日から金融審議会の方で、銀行の株式保有の制限について本格的な議論を始めるということですが、これについて改めて大臣の所感をお願いしたいのですけれども。

答)

なかなか基本的な問題であるし、それぞれの多角的な検討を要するという問題だというように思っています。何と言うか、金融制度、あるいは銀行制度、あるいは株式市場の制度、あるいは株式市場のあり方、こういうようなものというのは実は長く人類が使ってきた制度でありますけれども、やはり完全なモデルというものがあるわけではなくて、その時代の要請と将来の展望というものを踏まえて、それぞれの国が必死になって創造していくものだと、常にそういう創造というか、修正、創造というようなことで一番適切な制度にしていくということが求められているというように思います。そういうようなことで、私どもの今回の直面する問題、金融機関あるいは銀行の株式保有というものがどうあるべきかということですね、そういったことについて別にゆっくりというわけではないのですけれども、スピーディに、しかし周到に検討をしてもらいたいというふうに、私自身は思っています。

問)

緊急経済対策の中の債権放棄のガイドラインの方なのですが、これは外部も含めた協議機関を作ってということで進められていると思うのですが、側聞しますに、金融界の方がいま一つ積極的でないというような話もあるようなのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

そういうふうに必ずしも聞いていないんですけれども、何と言いますか、初めてのことなので、若干、自分たちの準備が本当にできているのだろうかみたいな、そういう不安みたいなものがひょっとしてあるのでないかというように思います。やや勉強が必要かなあというふうに思います。しかし、いずれそういうものを踏まえて、本当に自分たちの使い勝手というか、良く使える、しかしきちっと成すべきことを成すという、そういうものができることを私としては期待をしているということです。

問)

資本注入行についてお伺いしたいのですが、資本注入行に対する株式の議決権の問題が取り沙汰されていますが、この4月決算も仮締めみたいな形で、既に行われていると思うのですが、この4月で資本注入した株式に対する無配であるとかですね、そういう状況が現実に起こり得る可能性があるのかという点が一点。あと9月決算以降見渡して資本注入行に対する議決権の扱いこれについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

3月決算のこの機会に優先株に対して、無配というようなことになるところについては何も聞いておりません。ということは無いというふうに私は受け止めております。

一般論として9月期以降ということでもあるのですけれども、これをどう考えるかと言われれば、これについては予て金融再生委員会当時にそれをどうするかということ等について一定の基本的な考え方というものが発表されているわけでございまして、それに基づいて個別の判断をしていくと、こういうことになるというふうに考えております。

問)

今、大臣の仰ったガイドラインの件なのですが、やや勉強が必要かなということからすると、当初考えていたよりもガイドラインの策定時期が遅れるという感じですか。

答)

いや、そういうことであってはならないと思いますね。これは4月から不良債権の処理は進めなければいけないわけで、そのための一つのツールとしてですね、こういうガイドラインというものを策定しようとしているわけですから、自ずから許されている創設というか、制定のために許されているために時間というのは、常識的に制約されているというように思っておりまして、これは出来るだけ急ぐ必要があると、こういうように考えています。

問)

今、総裁選がスタートしましたけれども、4候補の政策が昨日からテレビ等でもいろいろお話になられていますが、景気回復を優先させて、しかも財政出動も辞さずという立場のお方と、それから構造改革が何より先であると、それを進めることで景気回復につなげるという立場のお方といらっしゃいますけれども、その点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

個別の候補者の政見について、私がコメントするというような立場はないわけです。従って、そういう意味で申し上げるわけではないのですけれども、私の仕事から見れば私自身がやっていることは、明らかに構造改革ということでございまして、それが大事だとそれが日本経済の再生にとって極めて重要だと、こういう認識であることは日頃から自分のやっていることの立場からすれば、そういう考え方で行っていると、こういうことですね。

ただ、景気対策というものはどういうことかということですけれども、先程もちょっと言ったように循環的な構造的な不振の状況にある時にも、経済というのは不思議に循環的な面もあるわけですよね。そういうものに対して全くそれを等閑に付していていいかと言えば、日銀総裁が言ったように、それにはそれできちっとした対処をしておくということが行われなくてはならないと、こういうふうに思います。まあ、そのぐらいにしておいた方がよろしいのではないかと思います。

(以上)

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