柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年4月24日(火)9時21分~9時43分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議ですが、最初にパレスチナに対する金融支援の話がありました。その後は報告で草の根無償資金協力及び草の根文化無償協力の現在の全体的な実績についての報告がございました。

閣僚懇に移りまして、芸予地震関連で呉市の急傾斜地に対する特例措置を伴った対策が施行されると、こういうお話がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

自民党の総裁選なんですけれども、小泉新総裁が確実になりつつあるのですが、その点についての評価をお伺いしたいのですけれども。

答)

地方の党員、党友の投票の結果、小泉候補が地滑り的な勝利をしたということでございまして、現在の自民党の危機感というものがおそらく党員、党友のこうした投票に大きく表現されたと、こういうように思っております。小泉新総裁の下で、私どもは総裁の仰る改革を確実に実施に移していくという責任を負ったと、こういうように受け止めています。

問)

新たな新政権が生まれる形になると思うのですけれども、柳澤大臣に対してはマーケットなどから留任の待望論もあるようなのですが、その辺についてのお考えをお伺いしたいのですが。

答)

まあ、私どもはこれで一つの区切りを森内閣でつけるわけで、その後のことは新総裁・総理の下で新総理・総裁がお考えになられる、特に今度は総理・総裁はこれまでのような人事のやり方を踏襲しないで、これも刷新していこうということでございますから、私どもとしてはその総理・総裁のいろいろな人事配置にそれぞれの立場で応えていくということに尽きるというように思います。私もその中の一人として、そういう総理・総裁の人事配置にお応えしていくということに、まあこれは尽きます、率直に言って。

問)

仮に要請があった場合ですが、お受けになるおつもりですか。

答)

これはもう仮にということですけれども、インプリケーションが強すぎるから、お答えは差し控えたいと思います。その時になって考えたいと思います。もしそういうことがあればですよ。

問)

週末にG7が開かれるのですが、米国などからは不良債権処理の早期実現が求められる方向になっていると思うのですが、今回の緊急経済対策の中で盛り込まれた2~3年の最終処理というスキームなんですが、今回のG7で公約として、日本側から表明するような形になるのでしょうか。その点のお考えもちょっとお伺いしたいのですけれども。

答)

これはG7でどういうふうに話題が出てくるかということにもよるし、またG7に出席される閣僚の表現の仕方にもよるのだろうと思うのですが、基本的に政府・与党の方針として決定されたことですから、それを外に向かって説明をするということだというふうに思います。それを公約ととるかとらないかということだろうと思いますが、国際会議の場でそういうことを説明すれば、やはり約束ということにとられることは当然だというふうに思っております。

問)

昨日の、新しい投信を作って受け皿になっていくという発表で6月に政令改正ということですが、緊急経済対策という意味では6月が一つのターゲットで、大臣の頭の中で6月までに着実に済ませると、そういう意味では非常に早く対応されたという感じもするのですが、これからかなり矢継ぎ早にと言いますか、いろいろスケジュールも出てくると思うのですが、その点についてお願いします。

答)

銀行保有株の絡みの問題だというふうに思いますけれども、これについて私としては保有制限をどういうふうにするかと、どういう考え方でやるかということと、そうだとしたら一時的な受け皿というものがどうあるべきかという問題はワンセットの話だろうというふうに考えております。前者の保有制限というものをどういうふうに考えるか、それは同時に受け皿に売却するにしてもどういう銘柄を、どういうふうなタイミングでというようなことと非常に密接に絡む問題なんでですね、しっかり議論をお願いしたいというように思っております。

なお、ちょっと付け加えますと、この株式持ち合いということをどう考えるかと、ちょっとパースペクティブというか視野を広げて考えますと、これこそが日本の経済の構造をかなりの程度規定しているのではないかというふうに思われるわけです。例えば、株主重視の経営というようなことも、まだ少なからずかけ声だけで終わっている面もありますけれども、そういうこともですね、いわゆる法人株主というものが、しかもそれが持ち合いであるということがそういうものを、つまり株主重視の経営を進めていく上でですね、やはりブレーキになっているということは否めないだろうと思うし、会社の組織何かでも、例えば社外重役、社外取締役、それから執行役員制というものも本来だったら本当に社外の重役というのは本当の有力な株主ですね。そういうようなものが自分らの利害に結ぶついたものとして、しっかり会議体で経営を監視していく。それから、授権されたことについて会社の経営実務にあたると、その監視の下であたるというようなことであるべきなのですが、それが日本の場合には取って付けたように社外重役を誰か持って来なければと言って誰か有名人で偉い人はいないかみたいなそういう発想になっているわけです。

執行役員制というものも本当の執行責任を持つということよりも、何かある種、人事の処遇みたいにですね、安い報酬でもって処遇だけは役員というようなことにして、その外聞というか見栄えをそれなりに良くしてというようなことでまた終わっている面が私は強いと思いますけれども、本当はそうではないのですね。本当はもっと株主というものが重役を、株主の代表が取締役会を形成してですね、使用人たる執行役員がきちっと経営にあたると、こういう体制でなければならないのがですね、依然として重役といえども従業員代表なのですね日本の場合には。それが悪いと言うわけではないのですけれども、取締役員が従業員代表なものですから、本当の株主代表ではないと。

そういう経営組織というものがいいのかということが実は問われている。ひょっとしたら、日本の経済の低迷もそういうところから来ているのでないかということも私なんかちらっと考えたりするのですけれども、やや視野を広げて、今度の銀行保有株の制限なんていうのもですね、そういう日本の株式会社の運営実態というものにメスを入れるということの一環で考えるという視点、こういうものも入ってくるのではないかと思うわけですね。今言ったようなことの一環というか、重要な一部としての銀行の保有株にメスを入れるということが今度の我々の直面している問題だというふうに思うのですね。そうだとするとその辺りしっかり議論してもらいたいと。それで、この措置の意味するところは非常に大きく広いし、また重要度からという意味では図り知れない重要度を持つというふうに私は思ってます。

問)

先程の発言で、小泉新総裁の下で改革を実現していく責任を負ったということですが、小泉氏の主張の柱の一つとして郵政事業の民営化ということが言われておりますけれども、その点については、銀行業界も郵貯事業の民営化ということを前から言っておりますけれども、それについてのご所見をお伺いしたいのですが。

答)

私これは国会答弁でも申し上げているわけで、その申し上げている前提として、これは私も行革を党でやって来た時の一人として、その結論としてまず郵政事業庁、その後3年して公社化ということが決まっているということが前提になっているわけですが、その上で今後どうなんだと、どう考えるんだということについて、私は国会でも郵政3事業ということが持つユニバーサルサービスということですね、それと一つの決済システムとして民間の決済システムとデュアル化された格好で郵政の決済機構があるということ、この意味というか機能というか価値というか、そういうものがやはりそんなに簡単にそんなものはいらないよとはなかなか言えないというように思うわけですね。

ただし、一方いわゆる公的金融というもののウェイトが、これは貯蓄の受け入れ機関としても、またいわゆる公的な融資制度というようなものにしても非常にウェイトが高いわけですね。こういうものは、さすがに私もやはり問題だということを思うわけでありまして、特にこれからは民間の金融機関主導でマーケットメカニズムに出来るだけ則した分野のウェイトというものを高めていかなければならない時に、これをどうすべきかということはかなり深刻な問題として私は、はっきり存在しているというふうに思います。だから、一刀両断になかなか公的金融というものが本当になしで出来るかということもちらっと頭をかすめるし、しかし今の公的金融のウェイトは明らかにこれが高過ぎるというふうにも思いますので、その辺りで新しい発想で、新しい分界を画していくということが必要だというふうに思っておりまして、そういうものをどういうふうに呼ぶかという問題ではないかと思っているのですね、民営化と呼ぶか、あるいはウェイトの縮小と言うかの問題だというふうに思っておりますが、問題意識の視点というか角度は、私が今申し上げたようなものです。

問)

政策立案の件なのですが、この3~4カ月見てますと、特に金融行政の分野で与党の政調が主導したりですね、あるいはそうかと思えば経済財政諮問会議が提言したりですね、いろいろなところからいろいろな話が出て輻輳(ふくそう)化していたと思うのですが、新しい小泉新総裁の下ではですね、そういった重要な政策というのはどういう意思決定の下で作られていって、どう執行されるべきだと思っていらっしゃいますでしょうか。

答)

私も全部が全部、小泉候補の発言というものをフォローしているわけではありません。ですけれども、たまたま目にしたことですが、NHKの討論会で司会者から、せっかくこれ程までに大臣以外にいろいろな立場で国会議員が参加出来る制度が開かれているので、むしろ政調の機能を内閣に取り込んでしまう、あるいはそれぞれの役所に取り込むというくらいのことを考えられますかという問題提起があったよう思いました。

これはおそらく今言われた、まあ言葉はいいかどうか分からないですが権力の二重構造というか、政策決定の権限の二重構造みたいなものを改めるという一つの道だというふうな角度ですね、そういう視点から質問されたことだと思うのですけれども、これに対してあまりはっきりお答えにならなかったように記憶しています。おそらく新総裁は、十分問題は承知されていると思いますが、まだ結論を自分の頭の中に持たれていないという段階の質問だったと思うのですが、その辺りのことというのはやはり非常に大きな問題だと思いますね。思いますけれども、議員内閣制ですから、内閣自体を多数党が作っているわけですから、内閣が主体になって、党側は、内閣あるいは政府が気が付かないところとか、あるいは民情というものにより党は近いですから、その民情を十分反映していないところに注意を喚起するというような、そういう補完的なことをして頂くと、政府の側の政策立案と非常に巧く合っていくのではないかなあと、こういうように思います。

(以上)

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