柳澤金融担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成13年4月26日(木)9時27分~9時46分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日、森内閣が総辞職を致しましたが、その前に川口環境大臣から米国出張の報告がありました。その後、私どもは総辞職関係の書類決裁文書に署名を致したのでございますが、その中の一つに総理の総辞職に当たっての談話というものが発出をされております。これは書面でいずれ皆さんお目にすることができようかと、このように思います。

閣僚懇に移りまして、総理からそれとは別に口頭でのご挨拶がありました。こうして、改めて見回して本当に立派な顔振れの内閣であったというように思って、各員の労を多とするというようなご挨拶がありまして、成果もあったけれども、また自分も成果を上げたということだけれども、不祥事が相次いで自分自身も今回このように辞任の決意をされたというお話でございました。その後、宮沢財務大臣からご在任中のご指導に対する感謝と今後のご多幸をお祈りするというご挨拶がありました。その後、河野外務大臣からまた外交面で大変たくさんの実績を上げて頂いたということ、そういうことと同時に不祥事について大変ご迷惑をかけたということでお詫びの言葉が述べられました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

大臣の方から森首相に対して何かお話をされたのでしょうか。

答)

ございません。格別申し上げることは致しませんでした。

問)

今回、森政権としての大臣の会見が最後になるんですけれども、就任からこれまでの総括をお聞きしたいのですけれども。

答)

そうですね、私は金融再生委員長としての、最後の金融再生委員会の幕を閉じる役目も致しまして、金融再生委員会の発足と閉幕の両方の役をくしくも演じたのですけれども、この金融再生委員会の仕事というものが日本の金融、あるいは経済の歴史の中でどういう位置付けになるのか、これは私は最終的には、かつて宮沢先生も違うテーマだったかもしれませんがそんなことを仰っておられたように記憶しますが、もうしばらく経って評価を、歴史がと言うと大袈裟ですが、もうしばらく経って評価がなされるということであろうと、こういうように思っております。当事者としてはそれぞれその責任にあったものが全力を上げて、この未曾有の問題に対処したということであったというふうに思っております。

それから、この長い金融行政の流れの中で依然として不良債権問題というのが、これはもう景気の状況、あるいは資産の下落というようなことの煽りを受けてですね、なかなか解決が進んでいないということの中で、何とかこれを終息をさせていくということが必要だと、そして先程ちょっと景況と資産のデフレということの結果とも言いましたのですが、ひょっとするとそういうものの言わば原因になっているという面もあるのではないかというような気持ちもあって、いずれにしてもこの不良債権問題の終息を、非常に環境は厳しいのですけれども、何とか図るような方向に持っていけないかということで、年初来いろいろと手を打ってきているわけですけれども、大体フレームワークというものは出来上がっているわけでございまして、従って、これをどうやって上手く現実に適用していくかということが、これからの課題だと思っておりますので、これを私としては後任の方に託して去るということになったわけです。

それから資産デフレの一つとして、何と言うか、保有株の問題もあるのですけれども、これは前回、私、どういうパースペクティブをこの問題を処理するに当たって持つべきかということをちょっとここでお話させて頂きました。私の考え方はそういったもので、ひょっとすると日本経済の必要な構造改革の中で、かなり重要な問題の一つなのではないかと。これは非常に難しい問題でありまして、株主ばかり見て短期的な利益を上げるから長期的な投資が出来なくて、アメリカ経済は日本にかなわなくなったのだというようなことが一時期言われていたわけですね。その時にはむしろ株主重視でないことが日本経済の強みなんだというようなことすら言われていたわけですが、それが今や弱みになっているのではないかという、ある意味でこれまた価値観というか、構造転換なんですよね。それを今回やろうとするんだという意味合いですね、それはよほどよくよく考えてやらなければならない。しかし私の考えるところ、これはやらなければならないのではないかというふうに思いながら、そういう方向を模索をしていたわけですが、いろんな経緯からこれが急にああいうスキームということになってしまっているわけで、それはまたその中で今言ったような非常に大きなテーマがこれに内蔵されていると、そういう認識の下で取り組んで行かなければならない。これもまた次の方にご判断頂いて、的確な方向付けをして頂ければありがたいと、こう思っているところです。

問)

その点なんですけれども、これまで株式取得機構の考え方については大臣としては批判的ともとれる発言をされてきたと思うのですが、改めて今後に向けて、株式取得機構に対するお考えをお伺いしたいと思うのですが。

答)

これはもう決定をみている、あの限りで決定を見ていることでありますし、私も決定の際の一員ですから、このことについて私は何かここで新しいことを申し上げるつもりもないし、それは適切でないと思います。だけども、要するに株式取得機構というか、規制もそうですけれども、今私がちょっと言ったような、そういう非常に日本経済の構造の、何と言うか、かつて強みと言われているところをですね、転換するということなんだと言うくらいの問題なので、やはり今定められた枠の中で、ベストの答えを出していくというのが、是非お願いしたいことだというように思っているわけです。

問)

次期政権なんですけれども、大臣の方に再任というようなお話もあるようなんですけれども、その辺の打診のようなものはもう既にあったのでしょうか。

答)

まあ、何と言うか、打診ということでもないと思うのですが、何だか…なかったと。だけどですね、何でそういう言い方になってしまうかというと、全く非公式に何かこう声をかける要路の方がいらっしゃることは事実なんですね。ですから私も何かこう、何となしにスパッと割り切れてない心境にならざるを得ないですね、正直言って。

問)

そこら辺の心づもりというのはもうされているのでしょうか。

答)

それはあくまでも前に申したように、ちゃんとそういうあれがあった時に、やはり私もいろいろ相談する人がいると、その時思いつけば相談をしなければいけないということで、こういったことというのは、なかなか…。ここでまた皆さんにニュアンスを与えると、あれだけこの間随分注意して言ったと思うのですが、何か再任にもちょっと前向きだとか、意欲を示したと言われると、あれでも意欲を示したと言われるのでは今度は何と言えばいいのか、よく言葉が分からないですね。

問)

非公式な形では、やってくれないかというふうなニュアンスの話はあったのですか。

答)

そんなことはないです。ないですけれども、何というか…ないです。

問)

ないんだけれども、あるともとれると…。

答)

何かもぞもぞ言うのだけれども、聞こえないのですよね。皆がいるところで、もぞもぞ言われたって聞こえやしないのですよ。だけど、聞こえたような顔してやっているというのは、全く皆さんに何かミスリードしようとかそういうことではないのですよ。生きている人間が接触しているわけですから、私正直過ぎるのかも知れませんね、むしろそういう意味ではなかったです。

問)

お立場はどうであれ、構造改革にある程度の一定の役割を果たすことを柳澤さんには期待されていると思うのですけれども、今まで緊急経済対策というのは割と短期間で取りまとめてきて、抜け落ちている部分というのが何かあると思うのですけれども、大臣これから何か課題になると思われている問題がありましたらちょっとお話をお願いします。

答)

私、大変力量のない人間と言うか、制約された人間なものですから、私は私の所掌の仕事という窓口から見て、これは日本経済の構造を変えることにもつながっているという捉え方をしていたわけです。不良債権問題も、ただ銀行のバランスシートを良くするとか、形を変えるとかということではなくて、その先にある貸出先の産業にどういうことをやってもらいたいのかというふうに考える中で日本経済の不良債権の処理ということが、日本経済の構造改革につながる。つまりその場合には、退出すべき企業と退出させてはならない企業、もっと活性化しなければならない企業との仕分けを早くして、そこにきっちりした金融的な対応をしていくと、これが必要ではないかというように思うし、それから先程保有株の問題について言うと、自分らはついこの前までは、こういう法人保有であまり株主が経営に口出ししなくてもいいような、そういうものが日本経済の強みだったと言ってきたではないかと、それを今そうでない方向に行こうというのは、まさにそうした日本経済のかなり根幹的な構造、つまり株主重視の経営というものの方がどうも目的に、我々の経済の今の低迷の状況を克服するのに向いているのだと、適切なのだと、こういう判断をすることにつながっているんだぞと、そういう認識を持ってこの問題に着手したということでありまして、大変今の質問にはご不満かと思うのですが、とりあえず私は自分の所掌を起点に日本の構造改革というものにどういう貢献が出来るか、あるいは自分の仕事がどういうつながりを持つかという、そういう観点で仕事をしてきたということでございます。

問)

先日、全銀協の山本会長は株式の取得機構についてですね、銀行の保有株だけではなくて一般企業の保有株も対象に含めるべきだという考えを示されているのですけれども、この点についてどう受け止められているか、検討の余地があるのかどうかお願いしたいのですが。

答)

今のところ、与党も入ったところの本部で決定した緊急経済対策のフレームワークの中にはそうした発想が入っていません。もっと限局したそうでないことが入っているわけです。何と言うか、ただ持ち合いということの解消ということですので、山本新会長が言っていることもそういう意味合いでは、全く理解出来ないというものでもないということですね。しかし、現実にはそういうふうにはなっていないと、こういうことで事実を指摘していくおくだけに止めたいと思います。

問)

緊急経済対策なのですが、先日の与党3党の合意で、また今国会中に必要な法整備、予算措置をするというようなことが書かれておりますが、緊急経済対策の中には買取機構の問題ももちろん入っていると思いますが、あれは可及的速やかにという決着だったのですが、それがまた今国会にとなったことについて何かご意見ございますか。

答)

まだ、よく読んでいないのです。私のところに書面も届きませんでしたし、この時点までによく読んでいないので、的確なお答えが出来かねるわけですけれども、それは両方ともそうなっているということで、我々は可及的速やかにということだと思っております。それから出来るものは今国会中にと、そういう範囲の中の話だと、こう思っております。

皆さん長いこと、どうもありがとうございました。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る