柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年4月27日(金)9時23分~9時43分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議でございますけれども、労働統計それから消費者物価指数(CPI)の報告がありました。3月の完全失業率4.7%、ただ就業者数が34万人増えて、これは6カ月連続の増加ということでした。ただ有効求人倍率がそれにも関わらず同じ3月ですけれども、0.61倍で、これは▲0.03ポイントだと、こういうことでございました。CPIは東京ですけれども、前月比▲0.8%、20カ月連続の下落で▲0.8%。それから塩川財務大臣の海外出張中の代理は尾身科学技術政策・沖縄北方担当大臣でございます。それから国営企業というのですが、賃金調停が不調であったと、こういうようなご報告がありました。

閣僚懇は、私からちょっと雇用の関係の話を持ち出して、就業者数もかなり増えている、失業率も落ち着いているのにも関わらず有効求人倍率の方では、逆に求職者数が増えて、求人数が減っているとこういう報告だったものですから、ちょっと解釈が難しいので教えてくださいと、こういうふうに申したのですが、去年は失業率は高いのに有効求人倍率は割と強いと、ところが今年になって逆に失業率の方がそれなりに落ち着いているんだけれども、有効求人倍率が非常に弱くなっているという話がありまして、ちょっといろいろお話があったのですが、要はどうも求職者が潜在的にあったのが前は顕在化してなくても、家庭に入り込んでいた人たちが改めて雇用市場に出てくるというようなことがあるのではないかと、まああるのだろうと、こんなご説明がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

28日にワシントンでG7が開かれます。そこで日本の不良債権処理についても一つのテーマに取り扱われると思いますが、日本としてこの不良債権処理について、新内閣がどのように対応していくのかということについてはどのような議論になると思われるでしょうか。

答)

これは、何と言うか、この前のパレルモのG7でも不良債権の問題というのが話題になっているわけですが、これも私が財務省の黒田財務官から聞いたところでは、従前からこうなんですというお話で、特にパレルモから持ち上がった問題というふうには認識しておられませんでした。それはそうかという感じでございます。

それに引き続いてのワシントンでのG7ということになるわけですけれども、今回はいろいろその間に日米首脳会談があって、そこでも話題になったし、共同声明でしたですか、その中に意見の交換という形で日本の首相はリイタレイトしたと、繰り返してこういうことを言ったという、日本の首相が言ったという言い方をしてますけれども、少なくとも話題になって話し合ったということを公表していますから、若干、パレルモの会議の時よりもどういうふうにやっていくのだというようなことを聞かれるということに、尋ねられるということにはなるかなと、こう思います。それについては先般の緊急経済対策で掲げた施策の目標、それから今後作るガイドライン等々のあのスキームを説明することになろうと、こういうふうに思っております。

問)

それに関連する緊急経済対策ですが、株式取得機構について昨夜遅くの会見で塩川財務大臣は慎重ともとれる発言をされているのですが、宮沢前財務大臣は公的資金の投入も含めて、やや前向きという姿勢だったのが、財務大臣の立場がちょっと入れ変わったということもあるのですが、この辺を柳澤大臣として、この新内閣で株式取得機構について、やはりちょっと風向き、方向性が変わってきたなあという感じはどうなんでしょうか。

答)

それはあまりないのではないかと思います。あまりないのではないかと。つまり、宮沢前大臣にしても財政的に何か手伝えることがあったら、手伝うのにやぶさかでないということでして、その考え方というのはずっと一貫しているというふうに私は思っております。宮沢さんにしてみれば、必要ならばというようなことで、これは比較して頂くと分かりますね。金融再生法のように、あるいは金融早期健全化法のように、この公的資金を入れるぞとか、破綻が起きたら入れるぞというような、そういうスキームまで言及したわけではないし、そういう意味で必要になれば考えてもいいですよと、仕事がやりやすいようにということであったというふうに思ってまして、そのことは塩川大臣も同じではないのかなあと、こういうように思ってます。

問)

生命保険の予定利率問題についてお伺いしますが、先般の金融審議会の方でも議論が分かれておるようですけれども、現段階で大臣の方は生命保険会社の財務状況等を踏まえてですね、どのようにお考えなのでしょうか。

答)

予定利率の問題ということで審議に別に入っているわけではないことは、私自身度々申しておりますし、事務当局のブリーフ等でも金融審議会での審議というものの説明では、そういうことをよく説明しているはずだというふうに思っております。要するに、今までの保険会社のスキームというものだけでですね、これだけ様変わりしたいろいろな諸般の環境というか情勢に、なかなか適応するというのには無理があるのでないかという判断があってですね、そういうものを、この際全部おさらいして見直してみると、そこに新しい環境にもっと適合した経営スキームというものが考えられないかということの議論を今して頂いていると、こういうように考えます。

そういう中で予定利率の問題というのも採り上げられていて、これまでのところでは、いわゆる行政命令かなんかで注入するというようなことについては、いろいろ問題があり過ぎますねということで、かなりネガティブになっているということで、ではそうでないとしたら一体どういうものがあるのだということに今後の論議が進んでいくのではないかと、私はそのように見て、この議論の行方というか道行きももちろんですけれども、注意をして先生方のご議論に耳を傾けていると、こういう状況です。

問)

それは保険会社が自分で出来るようなスキームを作ってもですね、要件がかなり厳しくなるということで、実効的なスキームが出来ないのではないかというような意見がワーキンググループでは有力でしたが、そうすると大臣としては、やはり特別立法という形でしかないということですか。方法論としては。

答)

今の話は、かつて行政の指示というのですか、テクニカルタームは必ずしも正確ではないですけれども、そういうものが法令上も明記されていた。それがいろいろな論議、必ずしも最高裁の判例がそれを否定していないのではないかという議論もありますけれども、しかしいずれにしてもそういうことについての議論を背景にこれを削除しているわけですね。それをもう一度復活させたらどうかという議論はなかなか難しいのではないかということになっていると。

だから後はそういうことではなくて、保険会社がある要件の下で主体的に、もちろんコーポレートガバナンスの問題はあるのだけれども、どうしていくかと。こういうことに論議が焦点が絞られていくのではないかということを今私申したわけですね。

それを、いやそんなこと言われても要件が厳しいければ実効性がないのではないかと、こういうことかと思うのですけれども、それは十分に今ワークするような制度でなければ意味がありませんから、ワークをするような方向で議論をしていただけるとこういうように思っております。

問)

G7で不良債権の処理策の説明になるという形になりますが、その前提として日本の不良債権の総額というのがどの位なのかということを、海外にしっかり認識していただく必要もあるかと思います。その数字としてリスク管理債権の32兆から始まって、48兆、そして先般の150兆とかいろいろな数字が出ておりますけれども、どの部分をとって日本の不良債権の実態であるというご説明になるのでしょうか。

答)

テンタティブな議論として聞いていただきたいのですけれども、不良債権の問題というのは定義の問題というものが一つありますね。それからもう一つは債権の状況に応じて、ちゃんとした手当てがなされているかという問題が一つあります。その前提として債権のディスクロージャーというか、そういうものがしっかり行われていることが前提なのですが、この問題があると思うのです。

私は、前この職にあった時、アメリカに行ったのですが、どうやって説明しようかと思って、向こうへ行った後でも、それを少し研究していたのですね。結局私が選択したのは、アメリカと同じ定義に従って話さなければ、これは全然話にならないと、頭にすっと入っていかないということでございまして、それは期せずしてというか、我々が国内でも一番これが不良債権ですと言っている例のSEC基準に基づいたリスク管理債権ということで説明をしたわけでございます。私は特に国際的な条理の下では、やはり国際基準の定義に従った話をするのが一番理解されやすいだろうと、こういうように思っております。従って、これはあくまでも国際的な説明の場ではリスク管理債権ということで一本でいくのが宜しいのではないかというふうに思っております。

問)

公的資金の大手行への再注入の問題なのですが、首相は総裁選の議論の中でも再注入あり得べしというか必要ならあるということを仰っていたのですが、これに関して、大臣改めてどのようなお考えなのでしょう。

答)

これは要するに今でも金融システムの危機という時には、金融危機対応の措置ということで公的資金の注入も出来る、そういう制度になっているわけでございます。だから必要ならばということの解釈ですが、これが金融システムの危機が顕在化するというか、そういうことが現れてくるという場合には、これはもう金融危機対応の資本注入が発動されるかどうかということは、総理大臣の議長の下での金融危機対応会議でしたか、そういうもので決定されるということになるということを言っておられるだろうと、こう思います。

それ以外のことというのはどういうことかというのが、実は金融システムの危機とは何ぞやと言うことについて、やはりもうちょっと近々に検討をしておくべき課題だというふうに認識してますけれども、そういうことでないシステムの危機でない、個別金融機関の過少資本化ということの場合を言ってらっしゃるのかどうか、これが私にはちょっとお話をしてみないとあれですけれども、私はその時に資本注入なぞをするということは、これは完全なモラルハザードになるというふうに思いますし、片や外国のアナリストなぞが指摘する点ですけれども、Tier1の中に公的資金がこんなに入っていると言ってですね、だから日本の金融機関の資本というのはフラジャイル(もろい)と、こういうようなことを言われるわけですから、何と言うか、そういう言い分もこれありですね、そういうものに積極的に考えていかなくてはならない理由というのは、全くないのではないかというのが私の予ての考えで今日も同じでございます。

(以上)

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