柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年5月8日(火)9時40分~10時09分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議の状況でございますが、都市再生本部というものが昨日の総理の所信表明演説を受けまして、本日、発足が決定しました。第1回会合は5月中旬だそうでございます。どういう方がメンバーになるかということについては、主要なメンバーのみが発表されております。外交青書が出されましたということでございます。それから、これも所信表明を受けての話ですが、総理の方から低公害車の公用車への採用につきまして、ご指示がありまして、平成14年度以降、3年間で大体そういうようなことが行われるようにというようなご指示がありまして、関連の閣僚からのご発言がありました。

次いで閣僚懇に移りまして、国政の小泉内閣による運営の基本方針みたいなものについて質問趣意書が出ましたので、その答弁書を巡っていろいろと懇談に花が咲いたわけでございます。調査捕鯨と皇太子の関係国訪問の時期との調整の問題、それから教科書問題等でございます。答弁書のこうした政治の基本の問題については事前に各省に配布されているのだそうですが、見てない大臣もおりまして、事務方が上げてないと大臣は見る機会がないわけですが、そういうことを知らずに発言している大臣もおりまして、それは配布されているのですよと言って、それでは事務方が大臣を無視というか、スキップしたのだというようなことがそこで明らかになったわけで、もうちょっとちゃんとやらなくてはいけないねというような話に花が咲いた次第でございます。以上でございます。

【質疑応答】

問)

スキップされたのは金融庁関係とかいうことではないのですか。

答)

スキップと言っても、資料はそれぞれの役所には来ているわけでございます。

問)

大臣に対してですか。

答)

大臣に対してです、大臣が閣議で決定するわけですから。ところがまあ、安全保障の問題とか、自衛隊は軍隊かとかという問題でございますので、ある省の事務当局も大臣に上げなかったでしょうね。そういう問題でございます。

問)

やや閣議等が長引いたようですが、特別な議論があったのでしょうか。

答)

専ら閣僚懇のところです。

問)

株式取得機構について、昨日自民党の方で今国会の関連法案提出はちょっと難しそうだという方針が出ているようなんですが、9月後半の臨時国会へもというところが出ていますが、現在の内部の議論の状況と併せてですね、スケジュール的な認識というのは大臣も9月の後半というようなイメージで一致されているのでしょうか、お教え下さい。

答)

まあ、スケジュール的にはということであれば、まさに私自身も今ご指摘になられたような党の考えがそうであれば、それと軌を一にしているということであると言ってよろしいかと思います。ただ、非常に問題が難しいと。些か、何と言うか、「恐れず、たじろがず…」、ちょっと総理の言葉をまだ復唱しきれないで恐縮ですけれども、ややたじろいでいるというのが、しかし、たじろいではいかんとこういうことでございますので、問題の難しさにたじろがないでやって、今言った時期に何とか成案を得たいと、このように思います。「恐れず、くじけず、たじろがず」ですか、くじけてはいないのです、恐れてもいないのですが、ややたじろいでいると、問題の難しさに。

全然、間違えました。「恐れず、ひるまず、とらわれず」。ひるんでいるんでしょうかね。謹んで訂正申し上げます。

問)

不良債権問題ですけれども、総理の所信表明の中では具体的な事柄に触れずに、促進の枠組みを整えるという表現に止まったのですけれども、総理の所信、閣議決定している中身ですけれども、この不良債権の処理の問題、同様にスピード感といいますか、総理の所信について如何お考えでしょうか。

答)

我々が為すべきことは、促進の枠組みを作るということがまずございます。次いでそれの実行についてのフォローアップということでございますが、まずさしづめですね、この枠組みを作る、特に枠組みといっても政府側だけでできることは、これはほぼ出来ているというふうに言ってよろしいかと思うのですが、民間にやって頂く、もちろん政府の働きかけの下にですが、ガイドライン、これについて更に拍車をかけなければいけないということが、昨日の所信表明で我々にまあウィッピングというか、まさに拍車がかかったと、こういうことだろうと思います。

問)

情報公開がスタートして1カ月という段階なんですけれども、特に金融庁の関係の件数が多くて、事務方が非常に努力されているというのはよく分かるのですが、それとは別に現実問題に申請と、それから開示許可の件数、それから延期されている件数というのは、かなり他省庁に比べて多いと、この辺についてこれで十分な状態なのかどうか、これについて如何お考えでしょうか。

答)

まあ、私は情報公開法、党側にあってですね、これが制定される時には些かタッチをした立場にございました。これが一体霞が関、行政側によってどのように具体の運用が行われていくかということについては、かねてより関心を持っていたわけでございます。

これはあるいは森長官の方からもう既に皆さんにお話をいろいろしているかと思うのですけれども、いろいろな個別な企業の問題等、除外の認められていることがあるわけですけれども、そういう除外の仕方ということがですね、実はこのスピードの問題とすごく関係が出てくるわけでございます。思い切って、何と言うか、枠として外すという作業をやるならば、これはまあスピードはかなり上がって、延期をお願いしなくてはならないという案件もガタッと減るわけですけれども、情報公開の趣旨から言って、そういうことでいいのかという、国民の知りたいことというものを念頭に置いた時にそういうことでいいのかと言えば、やはりそうではないだろうということでございます。

そういう意味合いで、除外事項の除外の仕方と情報開示の時期ということについては、正直言いまして二律背反の、トレード・オフの関係がございますので、皆さんのご理解を得てですね、我々としては若干時間がかかっても、情報公開をできるだけ精粗で言えば、精の方でやっていくのがいいのではないかと、こういうふうに考えているということでございまして、ご理解が得られる範囲でスピードをできるだけ上げながら、情報公開の趣旨を、できるだけ体した開示をしていきたいと、こういうふうに思っているということでございます。

問)

株式取得機構の話なんですけれども、やはり自民党の考えは大臣が今まで仰っていた考えに近づいたのですか。その時期というか、9月末までに成案を出したいと、成案ではなくてその整備をしたいということですが。

答)

いや、それは私、党の側の表れてきたこと以外の、まあ何と言うか、真意というか意図というか、そういうものについてまでご説明を頂いている機会がないものですから、よく分かりませんが表に表れてきたところでは、私の先程申したように私の考え方と軌を一にしているということだと受け止めていると、こういうことですね。

問)

昨日、小泉総理が所信表明の中で政府の働きかけの下に銀行を始めとする関係者が企業の再建について話し合うためのガイドラインを取りまとめるとありますけれども、これは政府の働きかけということですから、政府が何らかの形で関与してですね、債権者・債務者との間の協議をうまく整えるような調停ないし仲介機関を、これは公明党などが主張している案ですけれども、それに近い形になると考えてよろしいでしょうか。

答)

INSOL、皆さんご承知のとおりでございまして、INSOLはその個別案件ごとに調停の機関みたいなものを作るというような感じになっているかと思うのですね。我々としては、今は、今のお話を聞いてみるとちょっとそうした専門機関みたいなものを恒常的に置かれる、それからどの案件についてもそういうふうな関わりを持っていくというようなことが前提のようなお話のように受け止めたのですが、今下敷きにしているINSOLではそうなっていないというふうに私は理解しているのですね。今のところは、下敷きの上にどういうものを書くのかということがはっきりしていませんので、あまり立ち入ったことを言うのは憚られるのですが、私としては現段階でINSOLのことをイメージしているということです。

政府の働きかけでということは、日本版INSOLを作ることを今政府が働きかけ、またオブザーバーを務めてやっていると、こういうことを申し上げているというふうにご理解いただければと思います。

問)

これは既にある機関を利用して、新たに設けずに事務局とかも必要だと思うのですけれども、それは金融庁がそういう仕事をなさるということですか。

答)

INSOLはそうなっていないと思いますよ。INSOLは関係者が個別案件があった時に、さあこれをどうするかという時にいろいろありますね、抜け駆けをしないようにとか、それが一番回収を多くするよというような経験に学んだところがありますよね。それの中で、この協調は一人ないしそれ以上の調整委員の選定と専門アドバイザーの任命によって促進されると、このことを今私ちょっと言ったのですね。つまり調整委員と専門アドバイザーという機関、それがINSOLの中には想定されている。これ作るといいぞということが言われていると、そういうことだと私は今現段階では考えている。そういう調整委員なり専門アドバイザーというものを常設的に置いて、どの案件にもそれがワークしていくというふうには、今の段階ではちょっと考えていません。

問)

しかし、調整委員はまた新規にとなると、いろいろな予算の…。

答)

いやいや、そこにあるのは、当事者が調整委員として選ぼうよと、あるいは専門アドバイザーを頼もうよと、こういうふうにそこに来た当事者達がそういうものを考えると、こういうことのように理解しております。

問)

これだったら、どういう人が専門アドバイザーになるのでしょうか。

答)

だから、それぞれの企業等が立地している、あるいは銀行等が立地しているところから選ばれていくと。今の金融整理管財人は…そこまで私、どうしても何か申し上げないと納得して頂けないという感じもあるので申し上げるのですが、金融整理管財人なんかは、まさにそうですよね。その地域社会での言わば信頼のある方々が選ばれていると、そういう専門知識もあると。こんなことを私は今INSOLの8原則を見た時に、ああこういうことだなと思って私の頭はそういうふうになっているけれども、これはこれからのいろいろな議論の中でどうなっていくか分かりません。

問)

今日、経団連の今井会長と会われると思うのですが、小泉内閣になって初めて表敬訪問を受けられるということなのですが、大臣として改めて経団連側に何かお話したいことはあるのでしょうか。

答)

不良債権処理の進め方を踏まえてということになるのですが、ガイドライン策定の作業に是非経団連サイドとしても積極的に参加をしていただきたいということを改めて、これは片田顧問が相当ご努力いただいているわけでございます。そういうこともよく承知しているという前提ですけれども、そんなことをお願いさせていただければ有難いと思います。

問)

ガイドラインというのは大臣の考えでは、いつ頃までに作りたいということなのでしょうか、それがちょっと良く見えないのですけれども。4月の段階では早急にという言葉を使っていたようなのですが。

答)

未だに早急にです。

問)

もうちょっと、5月中にとか。

答)

期限を切っていいと、事務当局に仕事の段取りからいってですね、まだそこまでの、これくらいに出来ますというような感じも持たれてないし、私がここまでにやれよというような熟度というか、そういうのも今のまさに直前のご質問でですね、経団連さんの体制がちょっとまだ遅れているのですという報告受けている段階なものですから、その経団連さんに、それでは私が電話しようかというようなことを言ったら片田顧問が一生懸命やってくださっているから、ちょっと大臣それを踏まえてということでお願いしたいということで、もちろん私はそのとおりだと思うので、今日はいっらしゃるので、その話題を出しておこうという程度です。片田顧問が経団連の副会長でいらっしゃるし、特に財務、会計の面の責任者でもあるわけですから、片田顧問にテーブルに付くようにということをお願いしたいと思っております。

問)

大臣の考えでは、経団連は主体となっていただくという考えなのか、経団連の方はオブザーバー的な考えも持っておられるようですが、その辺は主体ということでお願いするつもりですか。

答)

まさに貸出先企業の代表者というのが私の位置付けでございまして、全銀協だけでやって本当にワークするというか、そういうものが出来るとは私は思いません。ですから、むしろ何と言うか、融資をする側と融資を受ける側それぞれがテーブルに付いて頂いて、こういうところだろうというようなことになると、これが一番望ましいと思っております。

問)

昨日、日銀の速水総裁とお会いになられたのでしょうか。

答)

お会いしました。

問)

それは、(速水総裁が)金融庁の方にいらっしゃったのですか。

答)

はい、そうです。

問)

ご趣旨としては、どのようなお話でだったですか。

答)

私が再任をされたことのお祝いと、それからG7を中心とした今度のご出張のご報告をいただいたということでございます。

問)

確認なのですが、進退についていろいろ報道されていましたけれども、その点についてのお話はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。

答)

別段なかったと言ってもいい程のことですが、では片言隻句もなかったのかと言われれば、そのような報道がありまして結構大変でしたみたいな、それをどういうふうに言うか、大変でしたねと私も言って。

問)

その際に、まだしばらく続けて頂きたいとお願いしたということはないのでしょうか。

答)

私が?。言ったかも知れないし、言わなかったかも知れない。そんな覚えていないですよね、ソーシャルな話で私は受け止めておりましたので、何というか今後とも宜しくお願いしますと言って、私にそれはどいう意味かと言われれば分析すればいろいろあるかも知れませんが。

問)

大臣としては、速水さんの昨年の夏の時の行動と、それに対して今年始めの方にとられた行動、言わばそれが引責云々という話になっていると思うのですが、こういうことに関しては、大臣としては速水さんに対するお考えはどういうものがあるのでしょうか。

答)

予て申し上げておるとおり、私はマクロ金融政策の責任の衝に当たる人間にはありません。マクロ政策の責任の衝に当たる人間ではないということでございますので、コメントを申し上げる立場にないと思っています。

問)

株の取得機構に関連して、これが最終的には法人である銀行の株主から一般の個人が株を持つという形での個人株主に移行することが企業の活性化にも繋がっていくという意味で、個人が株を持つ場合に関するいろいろな税制上のインセンティブですか、これを検討されているのでしょうか、現時点で。

答)

まさにそうで、私は企業のガバナンスというかそういう観点から、法人株主主体、その中で銀行が法人の中の非常に大きな部分を占めているという体制、これはまさにかつては、非常にメリットを発揮したと思うのですね。つまり中長期的な観点からの投資であるとかということで、あまり当面の利益を重視したことをしないという意味で。ところがそれも制度疲労を起こすというか、一つのことに安住してやっていくと何時の間にか、企業というのはそう利益を上げなくてもいいじゃないかみたいなことになっているのではないかと、これが現在日本の企業社会というか経済社会全体に活力が失われていることの一因であるとするならば、それは直さないといけないと、もっと本当の生の声を上げる株主シェアホルダー、こういうものがウェイトを増すことが大事でしょうと。その生の声を上げる投資家というもの、シェアホルダーというものは個人が一番いいに決まっていると。そうすると個人の株主を増やすということの条件整備というのは政府の責任であると。その中には会社の経営自体がもっと、これはニワトリと卵みたいになってしまうのですが、株主重視の行動でないといけないし、それから証券会社あるいは証券市場と言ってもいいですが、そういう個人株主をもっと大事にしてもらいたいし、それから政府の税制なんかについてももっとそういったことにインセンティブを与えるような税制を実現しなければいけないということになっておりまして、その一つとして先般、党がお決めいただいたこともあるし、なお引き続いて延長戦に持ち込まれたこともあると、こういうようにご理解いただきたいと思います。だから当然我々の方も真剣に検討をして、来るべき時に備えていると、こういうことです。

問)

緊急経済対策に盛り込まれている税制以外にもっと付け足すものも今後出てくるというふうに考えているのでしょうか。

答)

あれもかなり検討した結果ですね、平成13年度の税制改正、ある意味では我々の意向が通った面もありますけれども、中長期的な、あるいは本格的な税制改革という意味では、ちょっと延長戦に持ち込まれてしまったと、そういうことになっておるわけで、それはよく検討されたことですからそれを中心に考えますが、ではビタ一文これから要求原案に変更がないかと言われれば、今後議論が深まっていく過程であり得るかも知れないと。

(以上)

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