柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年5月11日(金)9時19分~9時38分)

【閣議案件等】

おはようございます。閣議ですが、産業構造改革・雇用対策本部というものが設置をされました。月例経済報告等に関する関係閣僚会議のメンバーに尾身科学技術・沖縄北方担当大臣が追加されました。5月15日ですか、次の閣議は8時30分からになりますという話もございました。

閣僚懇に移りまして、旧沖縄開発庁であったカラ出張について、事後報告がありました。それから、産業スパイの関係で文部科学大臣から事実関係の調査委員会を部内に発足させたという話がありました。農水大臣から部内の機構改革のお話等がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

大臣の方からは閣議、閣僚懇の方で何かご発言はありましたか。

答)

ございません。

問)

小泉内閣になってですね、本格的な国会も始まりまして、野党側から拍手が出るような面もあったりしてまして、大臣からご覧になってみて、滑り出しはどう思われますか。

答)

そうですね、小泉総理が引き続いて自らの信念を率直に吐露なさっているということをまず感じますね。この点は国会の論議としても、ある意味で新風だというふうに思ってまして、国民の皆さんからはこれが評価されるのではないかと、こういうふうに思います。須らく、今後の論戦もそうでなければいけないのではないかというふうに期待します。

問)

今週の火曜日の話なんですが、今井経団連会長とお会いになられてですね、経団連側からは内容のブリーフ等はあったのですが、大臣の方も実際お話になられてですね、特に債権放棄のガイドラインの関係のことで、どんなやり取りがあったのかと、今後のスケジュール感とか見通しをわかる範囲でお聞きしたいのですが。

答)

就任のお祝いということでお出で頂いたのですが、報道の皆さんのカメラ頭撮りなどがあって、大変賑やかになって、ちょっと予想外だったのですが、それはそれとして、話はいきおい最近の金融絡みの懸案の問題になりまして、最初は保有株の制限と株式取得機構ですか、そんなことの進捗状況もご報告をし、それから今度はもう一つの懸案であるガイドラインの話を申し上げて、元々これは事務当局等を通じて、いろいろと研究会への参加をお勧めしてきたものですから、私も若干口添えをしたと、こういうことでございます。

率直に言って何と言うか、経団連の会長の感覚というのかなあ、そういうものがこの問題についてもあってですね、何と言うか、過剰債務を抱えた企業が、まあそれぞれ努力をしてきた、というようなことがあるのではないかと、こういうふうに思うのですけれども、そういうことも仰ってました。そういうことは、何と言いましょうか、個別の経営者の責任だという感じが強いと思うのですね、ですから、どうもちょっと引っ掛かるものもあるという、そういうお言葉を使ったわけではないのですが、そんなニュアンスの下で、いずれにせよ近々、金融界と意見をすり合わせるので、しかる後にというお話があったと、こういうことでございます。

問)

昨日、保守党の野田幹事長が株式取得機構についての案というのを示したというか、公表したようなんですけれども、それについて大臣の方へ説明があったのですか。

答)

いや、私は本会議の席上で野田幹事長から、私が雛壇というのですか、こっちにいた時に、机越しにお渡しを受けたとこういうことで、当然そこで読む暇もなくて、さっと目を通した程度で、後帰りまして、秘書官を通じて事務当局にお渡ししましたので、いずれ事務当局の方でいろいろ詳細を見て、私に何かのいろいろなコメントがあるのではないかと、こういうふうに思っております。私としては今、現在の段階はそういう段階だと、こういうふうに思っております。

問)

自民党の税調会長に元金融再生委員長の相沢さんがお就きになったんですけれども、今後の税調に対する期待といいますか、どういう関係でやっていこうと思ってますでしょうか。

答)

これはもちろん今までの武藤会長もですね、非常に我々に理解を持って対応して頂いたというふうに私は感謝をしているのですが、現実に譲渡益100万円までは控除というか、非課税ということにして下さるということが取りまとめられて、国会に提出されるという運びになるはずですが、本当に年末以外に会議を開いて、ああいうことをやってくださって非常にいい対応して頂いたと感謝しております。

今度、相沢会長にお変わりなる、まだ私ちょっと正式に聞いておりませんが、仮にそれが事実となれば、これはまたこれで金融のことをよくご存じの大臣経験者でございますので、従ってこれから我々として期待するところが大きいと、こういうようなことでございます。

問)

どの辺を期待されますか。

答)

それは当然のことながら、主としては証券市場活性化という名前、タイトルの下に、その前の決定、緊急経済対策等に掲げられた決定を含め、我々がかねて要望してきたようなこと、事項についても迅速に対応して下さるのではないかと、こういうことでございます。

問)

直接、金融庁関係ではないのですが、外務省の方でいろいろ人事で事務方と大臣の間でいろいろあるような報道も出ているのですけれども、その辺はどうご覧になっていますか。

答)

報道以外は全く承知していませんので、コメントをすることは適当でないと、このように思います。

問)

特に今日の閣議とか、閣僚懇でもそれについての話題はありませんですか。

答)

全然ございません。

問)

今井経団連会長のトーンというのは、やはり少し、あまり前向きではないと、そういう感じですか。

答)

いや、そうじゃないと思うのですね。私は結局、ご自身も企業経営者として、自分たちは相当、今井さんご自身の業界だって、大変な業界であったのをですね、そういういろいろな構造改革を自分たちで進めてきたんだと、進めるのが経営者としての責任なんだと、こういうお気持ちがやはり強くあるんだろうと、こう思います。ですから、なかなか金融界の直面している問題というものに対して、やや同情的というか、そういう気持ちが少ないですよね。自分たちはちゃんとやってきた、あの苦しい思いをしながら私たちは自分でやってきたぞと、これは非常に私もその限りでは理解ができるんですね。

そういう感覚から来ているわけで、何も政府に協力しない、政府の施策に距離を置こうということではむしろないんですね。銀行が自分でやるべきことでしょうみたいなお感じだというふうにみて、私はお受け取りさせて頂きました。

問)

昨日、本会議で小泉総理が公的資金の導入をしなければ、不良債権が処理できないと、そうは考えていないという発言をしてますけれども、柳澤大臣は新たな公的資金の投入の可能性に関してはどういうふうにご覧になっていますか。特に自民党の総裁選で、これは結構話題になりましたが、これからどういうふうに。

答)

結局、何と言うか、まず不良債権というものの規模の認識というのが、我々はきちっと出しているわけですが、政界の一部にも、またマスコミと言うのか、アナリストとかそういうような人たちにも、もっとあるんだ、もっとあるんだという言い方があるわけですね。私はこれ、どうしてこういうことがあるのかなあというふうに、今ちょっとその点は思いあぐねているのですけれども。それがあって、そういうものを今度、まあ仮に処理するということになると、自己資本が非常に毀損されるのではないか、あるいは逆に自己資本を毀損するのが嫌で、それを避けようと思って不良債権のディスクローズであるとか、あるいは処理であるとかというものを加減してしまうのではないか、そういう心配というか、懸念というものがあって、それでもし不良債権の処理を本格的にやって毀損するのならば、公的資金を入れる必要があるのではないかという議論になるし、また毀損が怖くて、不良債権の処理が進まないということであったら、それはもっと公的資金を注入をしても不良債権の処理をすべきだと、こういう両面からのお話が割に理解しやすいというか、通りがいいという面があるだろうと思うんですね。ですから政界の、政治の人もそういうようなことを言うということがあります。

だから、これはきちっとどこまでも、今度も多分そういう議論がすごく多いだろうと思うのですけれども、国会での議論を通じて、私自身がしっかりと、我が金融庁、そもそも自己査定に対して、検査マニュアルを適用して、これを検査すると、まあ日銀の考査もある、それからその元々の自己査定については公認会計士も判子を、自分が訴訟リスクや何かを意識しながら、適正ということで押しているというような何重ものチェックを経ているものであって、いい加減なことができるわけがない仕組みになっているんですよということですね。それからまた今度の処理に伴う自己資本への影響というのが、どのくらいのものかということについて、きちっとしたご説明をしていきたいと、こういうふうに考えていますが、総理には若干、その辺りのことをこの前、出かけていって既にお話し申し上げたということで、国会でご答弁頂いたのだろうと、こう思います。

(以上)

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