柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年5月18日(金)9時03分~9時22分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は閣議の前に都市再生本部の第1回会合、立ち上げの会合がございました。そこでは立ち上げということで基本的な考え方が示されました。その後、扇大臣が21世紀において日本の都市が国際的な都市ということから脱落しないように、そういう考え方でいくんだというようなことに触れたお話がありました。私からは何も発言は致しませんでした。

次いで閣議でございますけれども、いわゆる総会屋対策のための関係閣僚会議というのがあって、その構成メンバーに環境大臣を加えるということを決めました。それからナイジェリアの大統領が5月21日~23日、1日短縮した形で公式実務訪問をするという話がありました。5月24日(火)の閣議は院内で8時30分から行われるという時間変更の報告がありました。

閣僚懇に移りまして、既定予算の点検をするという話が財務大臣の方からありました。歳出の大きな固まりである社会保障、公共事業、地方財政というものと最近力を入れてきたIT関係予算、それから特殊法人に対する予算、こういったものを主として既定予算について、その執行振りを点検するということでありました。関連して特殊法人の事業の見直しをしている旨、関係の大臣からお話がありました。同時に財務大臣のご発言については今後ともですが、各省がやる気を出しているので、その気持ちというか、そういうものを損なわないように各省のイニシアティブを尊重したご発言をお願いしたいといったような要望がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

閣議と閣僚懇で大臣の方から特にご発言はなかったのですか。

答)

発言しておりません。

問)

昨日、経団連と全銀協のトップ同士が例の債権放棄の関係で会合といいますか、話し合いをもったというふうに聞いていまして、経団連側がなかなか慎重な姿勢を崩していないというような報道も出ているんですけれども、大臣の方にはどのような情報が上がっていらっしゃるのかということと、今後6月の策定に向けてどういうふうにやっていくのか、お願いします。

答)

これは事務当局から正式な報告ということではございません。というのは、経団連さんと全銀協さんが行った会合ですので、こちらが聞き及んでいることについての報告を受けておりますが、いずれにせよ、まあ何と言うか、三方何とかすくみと言うのか、2つというか、3つというか、要するに我々の方はこれこそ民-民の話で、我々はオブザーバーだから、イニシアティブは民でできるだけとってもらいたいと、こういうふうに思っているのですけれども、それに対して民の方も何をやればいいかということを、やはり金融庁の考えていることを教えてくださいみたいな話があって、今までは少なくとも金融庁が考えていることは教えないというわけではなくて、それは民-民なのだからどうぞという感じで。我々が言うとよくないですよ、仮にそのガイドラインがまとまったとしても、あまり使われないようなガイドラインでは仕方がないのですから、やはり民がイニシアティブ、発案をして民の主導の下でまとめるのがいいでしょうと、こういう感じなものですから、ちょっとオブザーバーですよと言っているのですけれども、どうもそれがやはりそうは言っても金融庁の考え方をまず聞いてこようというようなことになっているというふうな状況ですね。

問)

そうしますと金融庁の考え方というのを改めて伝えるわけですか。

答)

そこのところが担当官の中には、やはりそれをやっては駄目だという非常にリジッドな考えを方をする人もおりますし、そのぐらいビジネスの機微に触れる話だというように、そういう担当官というのは非常に何と言うか、食い込んだいろんな、よく考え抜いた考え方をしているのですね、実際の場のことをいろいろ考えた深い考えを。ところが上の人たちというのは何と言うか、早く決めろみたいなことを言っていてですね、どっちがイニシアティブでもいいじゃないか、考えていることをお互いにすり合わせたらどうだみたいなことを言って今日まで来ているわけですね。ですから、私としては私も国会でこれまで、この前の発言に止まらないでいろんなことを申し上げているので、やはりその辺りについてはあまりこっちが全く、何と言うか、引いた形ではなかなか進んで行かないとすれば、それはまあ大体こんなことを考えているんですがみたいなことを言うことも必要な段階に来たのかなあという感じがしてます。

問)

不良債権の処理の関係で日経連の奥田会長も記者会見とか、会合の挨拶の場などで、不良債権の処理が進むと失業者が出ると、失業率が4%台が5%になることもあるであろうということで、そういうことも十分考えながらやって欲しいみたいな、そういう注文を言っているようなのですが、その辺について改めて大臣のお考えをお聞かせ願いますか。

答)

そうですね、何と言うか、それは当然、セーフティネットを張ってですね、やろうということが政府のこの間の緊急経済対策でも非常に力を入れて書いているところですから、日経連会長のご心配に対しては政府もその気持ちを共有して、それに対して対応していこうと、こういうことになっているというふうに申し上げたいと思います。

問)

一部、週刊誌の報道なのですが、金融グループの中で債権に対する査定の仕方が違うのではないかというようなことが取り沙汰されてまして、大臣としてその点の話について、何かご見解がありましたら伺えればと思いますが。

答)

私も週刊誌の記事についてはコピーを一瞥したというか、そういうことで承知をしておりますが、私どもの立場でこういう何か民間の資料と言われて報道機関に載ったものについて、一々その真偽を別に確かめるということも必要を感じませんし、そもそもコメントをする立場にないということに尽きると思います。それから金融機関によって債務者区分にしろ、何にしろ違うことについては国会でもう既に論議がありまして、私は違いが出ることもあり得ることなのだということをこれまでご説明をしてきているということです。それに尽きますね。

問)

構造改革を進める小泉内閣ということで、その一環として財務大臣と総理大臣の方から特定財源の見直しをしたいみたいな話も具体的に出てきているのですけれども、特定財源の見直しなんていうのは、ある意味分かり易い話だと思うのですが、大臣はこの見直しについてはどうお考えでしょうか。

答)

とにかく、聖域なき構造改革というか見直しということで、小泉内閣の大方針が決まっていることですから、その一環でですね、俎上に全てのものが上がるということは、ある意味で当然の成り行きというふうに思っております。

問)

先程のガイドラインの話で、そもそも金融庁としても自分達がどういうことを考えているのかを示すことが必要な段階に来ていると思うと仰られましたが、これまで、INSOLの8原則というのを我々も見ているのですが、どうもあれでは、今一つ具体的なイメージが分かりません。あれに加えて大臣がどういったことを考えていらっしゃるのか、もし可能な範囲でご説明いただければと思いますが。

答)

それこそ、ここで私がお話したら、やはり慎重に事を運んでいる、実際に接触をしている方、仕事をしている者に却って迷惑がかかるのではないかと思いますので、それは差し控えますが、これはなかなか難しい問題で、私どもも日本版INSOL原則、日本版INSOLというものを作れないかということを、予からこれは言っているわけで、日本版INSOLということの中に、えも言われぬ我々のニュアンスというものを感じとっていただくということではないかと。必ずしもどこまで実態に踏み込んだことがいいのかとかですね、手続面でもINSOLとは違った日本の企業風土というか、ビジネス界の風土を前提にしたことで少し修正をしたり、付加したりすることがあるのではないかということの他に、今まさに仰るように、少しもうちょっと実態に入ったようなことが必要なのではないかということなのですね。

ところが、これは私の独り言だということに止めますが、独り言をこんなところで言っててはいけないかも知れませんが、実態に入っていたらこれこそ難しいということがこの前来たテリー・ボンドさんからも出ていてですね、やはりちょっとそこを言い切ってしまうことには困難さがあると。要するに非常に難しい問題なのですね。だから、そこをどういうふうに乗り越えていくか、乗り越えてというか、飲み込んでいくかというか、その問題だろうと思います。

問)

今仰った民-民というお話なのですが、これは大臣のお考えでは金融機関同士ということで民-民というふうに仰っているのか。そうではなくて、経団連と金融機関という形で仰っているのだと思うのですが、この認識というのは全銀協と、あるいは経団連も同じような認識なのでしょうか。つまり対等のパートナーというかですね、経団連、産業側と金融機関側が対等のパートナーというふうに大臣が話し合いの場でお考えになるとすれば、それぞれ金融機関側、産業側もそういう認識で、今取り組んでいる状態なのでしょうか、齟齬はないのでしょうか。

答)

いやいや、民-民と私が言っているのは、やはり引当金と違ってですね貸出先との関係が生まれてくる話ですから。そういう貸出先との関係を持った処理ですから、民-民と言うのは貸出の方と借入れの方との民-民というのが頭に基本的にはあるわけです。

では何と言うか、それの団体交渉みたいなものを概括的に先にやっておくのかということでもないのかなと。INSOLなんかを見ますとね、ここは非常にまあ微妙なところであります。

私どもの担当官がですね、全銀協さんに話をして貸出先としての実業というか非金融部門の話も聞くような格好にした方がいいのではないですかということで経団連さんに呼びかけたのですね、経緯的に言うとですね。そういうことなので、理想的にはそういう格好で進むものが、こっちが理想と考えたということなのですね。でも何というか私としてはですね、これまた実際の担当者が、また大臣が勝手なことを言っていると言うのでちょっと止めておきますかね、これは。

つまり、非常に微妙なのですよね。勿論、そもそも金融庁が若干考えていることを「示す」ということはしませんよ。ちょっと先程あれしましましたが、内々にこんなことでございますよ、こんなことでございませんでしょうかということを言うということであって、あくまでも政府が、これで一つお願い出来ませんか、そういう話ではないわけなので、だけど、最初にお考えになったのはどんなことだったのですかと言えば、最初はぼやっとこんなことを考えていましたという程度の話。では、それを基に考えていただくと、それだったら、とりあえずは我々は入らなくてもと言うのか、いややはり最初から入っておいた方がいいねと言われるのか、そこはややお任せということなのですね。いや、ちょっとそれだとまた経団連はいなくていいと大臣が言ったとはとらないで下さいね。そうではないですよ。そんなことをあまり考えないで下さい。要するに、関係者なのだから、実際にかなり固まってきた時に、そんなことなら私もちょっと発言しておきたいことがあるよと言われても私は構わないと思うのですが、そのくらいだったらもう初めから入ってその経緯が分かる方がいいのではないですかということでもあるわけですね。

(以上)

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