柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年5月25日(金)9時03分~9時21分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は閣議の前に「産業構造改革・雇用対策本部」の第1回目が開催されました。そこで副本部長は経済産業大臣の平沼大臣と、それから厚生労働大臣の坂口大臣ということですが、特に平沼大臣の方からたたき台というものが出されまして、そのたたき台の方はともかくとして、検討項目を大きくレジュメしたものかと思いますが、それについて決定を行いました。

その後、閣議になりまして、今日の閣議は「平成13年度中小企業者等に対する特定補助金等の交付の方針について」の報告がありました。各関係閣僚の協力が求められました。それから、平成12年末の対外貸借の数字の報告がありました。133兆円の黒字ということで、ダントツ日本は世界第一番であるということでございました。平成12年末の国際収支の報告では黒字幅は縮小しているということでございます。それからCPI(消費者物価指数)の発表がありまして、全国では4月▲0.4%ということで、これは対前年同月比ですけれども、引き続いて依然として物価の下落が続いていると、こういうことでございます。以上でございます。

【質疑応答】

問)

銀行の決算発表が昨日から始まりまして、各行とも不良債権の処理額を当初の予定よりも大分大幅に増加させているようでございますが、今回の決算について、大臣のご印象は如何でしょうか。

答)

まだ、走りというか、そういうことなものですから、ちょっとまだ総括的な感想を申し述べるのにはちょっと時期が早いのではないかと、こんなふうに思います。

問)

そうしますと、ちょっと同じような質問なのですが、不良債権の額がなかなか減らない傾向というのが、昨日から始まった決算発表を見ているとあるようなんですが、その原因について大臣がどう見ていらっしゃるかということと、今後、金融庁としてどういうふうに不良債権処理を進める上でやっていこうと思っているのか伺いたいのですが。

答)

先程の答弁を繰り返してもいいし、また繰り返すべきだと思うのですけれども、若干この段階で敢えて言うと、昨日辺りですか、厳しく査定したというような話もあるようですが、これはまあ検査等での論議を受けての話かなというふうに受け止めている面があるのと、経済の状況を反映している面があるのかなと、こういうように思っておりまして、そうであるために少なくとも非常に悪くなった部分の処理をしなければいけないし、また一部にいい部分、いい部分というか、要注意先等について銀行側から働きかけて正常先に戻すという、そういう動きをしようというところが出ているわけですが、これらも全部、この前の緊急経済対策に載せた不良債権問題の項目に出ている話で、我々としてもその動きを促していたことでございますので、それを受けての動きということで歓迎している次第です。

問)

経済の動きを反映している面があるというお話ですが、もうちょっと詳しく大臣の方からお聞かせ願えますか。

答)

やはり長いことの経済全体の動きが低迷している中で貸出先企業の中で業況が不振に陥るところが出ていると、こういうことだろうと。私も皆さんのお書きになる新聞記事を見ての話でございますから、そう大した分析の結果で言っているわけではないのですが、まあ敢えて言えばこういうこと、先程言ったのはそういう意味です。

問)

日本版INSOLの件ですが、相当それなりに詰まってきているというか形になってきているやに聞いているのですが、大臣の方にはどのような感じで報告が入っていらっしゃいますか。

答)

全然聞いていません。何の形が出ているのでしょうか。勉強会の形ですか。まだ報告を受けていません。

問)

昨日、東京証券取引所の株式会社化決定の件がありましたが、株式会社への移行に向けてこれからいろいろ制度改革等もあるとは思うのですが、その評価と今後の見通しについてのお考えをお願いします。

答)

大証が先に株式会社化をしまして、やはり株式会社化ということになると、まだどこも資金調達等で、いわばメリットを具体的に活かしているところはありませんけれども、そういうことにもなるし、必要な投資ということも可能になるし、総じて私は株式会社化というものがこれからの証券取引所における一つの経営形態というか、そういうものとして適切なのではないかと、こういうふうに思っておりまして、そういう意味合いで話がまとまったということであれば、むしろプラスに評価していきたいと、こういうふうに考えています。

問)

私的整理のガイドラインのことなのですが、先日、全銀協の山本会長が、6月末にきっちりした案ができるかどうかまだ確信が持てないというふうに仰ったのですが、これに関して今後の議論の詰め方というか見通しについてはどのように見ていらっしゃいますか。

答)

山本全銀協会長が皆さんのご質問に答えられてそういうご返答をしたというのは私も記録で拝見をいたしました。まあ何と言うか、いろいろこれは難しい問題が実務的にはあるようなので、山本会長がそういう見通しを少し長く持ちたいというお気持ちは十分分かるのですが、これは政府側のものではないので曰く言い難いのですけれども、他の政府の一連の…今日も竹中大臣の方は、骨太の何とかというのは6月末だと言うし、最初お話した産業構造改革・雇用対策本部のアジェンダというのか、それも6月末にまとめる、中間報告をするとかいうようなことで、一応6月末というのが、まあピンからキリまで全部詰め終わったということでもないようなのですね、他の各機関のそういう方針の検討もですね。だけど中間報告みたいで、まああらかた骨太と言う人もいるし、中間報告という形の言い方もするということですから、まあそういうところと平仄が合った方がよろしいのではないかと。

というのは、別に私的整理だけが不良債権問題の処理の手法ということでもないのですが、それができればもう全部できるという意味で大事な分野であることは間違いないし、それから今言ったいろいろな措置も全部不良債権処理と、まあ私に言わせれば、えらく私の分担の仕事がいろんなところにクォートされて責任が重くなるなあなんて思いながら聞いているのですが、みんな不良債権処理に伴う何とかとか、雇用の何とかと言うものですから、やはりそちらの根本にあるものもできれば骨太とか中間報告とかというわけではないのですが、それなりの熟度を持ったとりまとめというのは私の立場からするとやっていただければありがたいなあと、こういう感じを今なお持ち続けていると、こういうことです。

問)

難しい問題と仰いましたが、特にとりわけどういう点なのでしょうか。

答)

いや、それは私は知らないんですよね。知らなくて難しい問題というより、要するに実務家から、「実務的にその辺りのことは非常に微妙なこともあるようです」みたいなことを聞かされているものですから、何だかよく分からなくて…それではいけないかもしれませんが、ご商売の関係のことでもあるようですね。そういう意味でちょっと申し述べたということです。

問)

昨日の三菱東京と三井住友の決算だけの数字で申し訳ないのですが、オフバランス化を足して1.8兆円ぐらいやっているのですが、一方で、1.5兆円ぐらい新規に破綻懸念に落っこちてきてしまっています。かなりオフバランス化もされているとは思うのですが、その分新規が落っこちてきてしまうと、つまりどこまでいけば処理が終わるのかという閉塞感があると思うのですが、大臣、これはどういうふうにお考えですか。

答)

結局これは、そこだけ見ると、稼ぎに追いつく貧乏なしの逆ですよね。何と言うか、次から次へと水が漏れていれば水が溜まることはないよ、みたいな話なのかもしれませんけれども、やはりオフバランス化を進めていくということによって、実体経済の側で構造改革が進むということですね、構造改革が。つまり生産性の高い、それから競争力を持った企業が生き残って、それが主力になっていく、活動を始めるということですね。ある段階に来ればそうなりますね。そのことによって経済全体が良くなると。これはもう初めから私が呼びかけさせていただいた時の考え方でもございます。金融機関の側からすると収益性を高めるということですけれども、貸出先の構造改革にやはり影響を与えてですね、それで経済全体がもう一度力強く回復してくると、そういうことを期待しているということですね。その弾み車の最初が回り出せば、私はそういう循環に入っていくだろうということを期待しているということです。

問)

今、競争力を持った企業が生き残ると仰いましたが、先日、日経連の奥田会長も仰っていますが、債権放棄を受けた会社が、債権放棄を受けていない自助努力をしている会社と全く同じ条件で競争しているというのはおかしいというふうに言っていますが、この辺り大臣としてはどのようにお考えですか。今の話からすれば、債権放棄を受けた、要するに有利な会社が全く自助努力をしている会社と同じように競争するというのは何かおかしいですよね、確かに。

答)

その問題が実はありまして、やはりそういうことが、非常に必死になって努力しているところが結果において恵まれなくなってしまうということは、あってはならないということですね。もちろん、その過程で会社というものをどういうふうに捉えるかなのですが、経営者あるいは株主というようなものが変わらないということになれば、まさにご指摘の通りのことが起こるのですが、それらがそれぞれ然るべく責任をとるということであれば、それをどう評価するかというのが一つある思うのです。

それと同時に、私どもが今回のことでそういう不公平感ということをなくすためにもガイドラインというものがあった方がいいではないかということを申し上げているわけで、まあ何と言うか業界として厳しいようなところについては業界の再編が伴うような形というものが志向されていくということで、今言ったような変な矛盾の気持ちが起きないような形で私的整理も行われていかなくてはいけないと、こういうように考えているということですね。

問)

その件に絡んでなのですが、公的資金注入行から債権放棄を受けることに対する不信感というのは、もう2年ぐらい前からずっと議論になっていて、大臣は確か公的資金というのは返してもらうお金だからそういう議論は成り立たないというふうにご主張されていますが、その辺の不信感がまだ根強いことについて、ガイドラインを作られるということですけれども、注入行ということでの不公平感・不信感を払拭するという点で、どういうご主張を今考えられているのでしょうか。

答)

注入行については当初から一つの考え方というものを打ち出していますね。それを我々は変更しようという気持ちはありません。ですからガイドラインというものがどういう格好でできますか、これはこれから知恵を絞っていただくわけですけれども、それと我が方の資本注入行に対する公的な立場からの要請というものは同時に受け入れていただくということがやはり大事だろうと、こういうように考えています。

(以上)

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