柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年6月1日(金)9時08分~9時33分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は閣議がまずありまして、12年度分の高齢社会対策に関する年次報告書が発表されました。6月5日(火)が環境の日だそうで、6月いっぱいを環境月間ということでいろんな催し事もあるようです。

閣僚懇に移りまして、官房長官の方から、国会答弁は簡潔に、会期末を控えて、重みがあるということを一つ皆で自覚してやりましょうという呼びかけがありました。それから、昨日、経済財政諮問会議で提起された諸課題のまとめについて、諸閣僚から発言がありました。閣僚がどう関わっていくか、人によっては党との関係はどうするかというようなことについてのご意見がありました。私は発言はしませんでしたが、取りまとめはそういったことを念頭において、今後どう取りまとめるかを考えていきましょうということで収まりました。

次いで薬物乱用対策推進本部がありました。推進計画が新たに決定されまして、金融庁関係では当然のことながらマネーロンダリングだとか、あるいは特別な資金の移動についての情報があれば、それを金融機関からもらって、しかるべきところへつなげるというシステムが当然のことながら作られておりまして、それを推進をすると、こういうことでした。以上でございます。

【質疑応答】

問)

経営困難企業の再建及びそれに伴う債権放棄に関するガイドラインの話ですけれども、この進捗状況について大臣はどのように把握されてますでしょうか。

答)

進捗状況というか、要するに検討の場が作られることについて合意をして、近く第1回会合が開かれるということまで聞いております。

問)

大臣は、かねてよりこの件については使いやすいガイドラインでなければいけないということを仰ってますし、あと例えば債権放棄を受ける企業についての経営責任も明確にしなければいけないと仰ってましたが、特に経営責任、あるいは場合によっては株主責任の明確化も含めて、ガイドラインについてはどのようなことを期待されますでしょうか。

答)

私がここで何か言うのはどうかなと、まだ向こうもスタートをまさに切らんとしているところですから、とにかく使いやすいというか、使われるガイドラインでないと意味がないと、立派なガイドラインが出来ても使われなければ、あまり意味がないということで、使われるためにはこの直接に関係される皆さんがよく協議されることがまず第一だと、こう思っていますので、とりあえずは見守るというか見ていきたいと、とにかく推移を見ていきたいと、こういうふうに思っています。

問)

そうだと思うのですけれども、金融庁としてもオブザーバーとして参加されるわけですし、金融庁としてもまあ何か方策といいますか、どういうスタンスで臨んでいくのかという点では如何でしょうか。

答)

金融庁も当然、いろんな意味でご支援をするというか、いろんな情報提供、まあ金融庁がどれだけですね、関係の皆さんに比べて情報をたくさん持っているかですけれども、こういう場合にはこういうことを考えているようですよみたいなことや、あるいは情報提供できるかもしれません。

とりあえず、まず民主導と言っているわけですから、そっちがエンジンが動かない先に我々の方が何か物を言うのはちょっと適切でないのではないかなと、こういうふうにまあ思っています。

問)

そのガイドラインについて、大臣が先立って6月中にまとまればありがたいと仰ってまして、今日はもう6月なんですけれども、スケジュール感については如何ですか。

答)

その私のスタンスは変わっておりません。そういう意向は間接的ですけれども、伝わっているのではなかろうかと、こういうふうに期待しています。

問)

6月中にまとめて欲しいということですか。

答)

どのくらいのあれはあろうかと思うのですが、とにかく6月中ということを念頭において、いろいろ作業を進めて頂ければありがたいと、こう思っています。

問)

3月期のオフバランスの金額について、一応4兆4,000億円ということのようですが、今年の9月期の目標といいますか、ある程度何かお持ちなのでしょうか。オフバランスへの目標というものについてはどう考えていますか。

答)

とにかく12兆7,000億円がほぼ1兆円減ったわけですね、要するに対象債権がですね、それぞれに処分損ベースでは全部手当てが出来ているという状況ですね。でありますから、これをどうやって相手方に働きかけて、オフバランス化にもっていくかということがこれからの作業になっていくわけでして、まあ11兆某かということになれば、目標としては、目標というか、我々が一つスキームで画いたことは原則として2事業年度以内に処理すると、こういうことですから、そういうことが順調に進捗することを期待していると、こういうことですね。

まあ話し合いがあるわけですから、それでは等分で4分の1ずつということではないと思うのですね。つまり、話し合いというか、まだ表面に出ない段階の時間を割ととって、話がまとまればバタバタといくというのが、この種の話し合いの性格だろうと思うので、そういう目で私としては見ています。

問)

郵政3事業の方の検討会といいますか、一応金融庁も関係してますが、そこはどうですか。

答)

これは国家の大問題ですし、また金融システムとしても非常に大きな影響を持つ問題でして、私どももこの検討会の議論の進捗に負けないような、そういうペースで、ここでまたいろいろ求められたり、あるいは我が方が進んで意見を言う際に、適切・的確な意見を言えるように準備をしていきたいと、こういうように思います。

問)

昨日、今井経団連会長が2、3年の目標を過去の例から見ると、若干疑問があると仰っていたのですけれども、今見ていると資本増強、これは公的資金ではなくて、場合によってその中で幾つか、やはりこの2、3年の間でそれを処理するために資本増強が必要になるところが出るのではないですか。それはどう見てますか。

答)

そこなんですね、つまり要するに結局オフバランス化というのはどういうことかというと、まず担保・保証で保全されているところが予定通り、つまり金融機関が評価している通りに回収されるかということ、それから引当金のところは、これはもう当然初めから損を出して準備をしているわけですから、それの手当てが行われるということで、それが引き落としだけが行われればいい。それから、その後、担保・保証で回収される分と引当てで回収される分で賄えれば、それでまあOKということになるのですが、担保・保証で回収されない分は償却ということになるわけです。

だから、私がよくマージナルな分、あるいは追加損失というふうに言うのはそういう意味でして、要するに担保・保証でカバーしきれないような、つまり債権を全額切り落とすわけですから、その穴埋めが金融機関側で必要かという問題であり、ですからマージナルな部分ですと、こういうふうに申し上げているわけでございます。

そのマージナルなものがどのくらいあるのか、あるいはないのか、ぴったりなっているのかということなんですね。もちろん経済人ですから、そんなことにおいて間違いを何か持っているということはないと思うのですが、最終処理が新たな損失に結びついていくというような、ちょっと錯覚が起きがちなんですね、これは。それはそうではないんですね、損はもう出ているものですね。そういうものに加え、損というのは引当が出ているということですね、あるいは償却してしまっている、部分償却か何かしてしまっているものもあるわけですが、そういうものですから、結局は担保・保証でカバーできるかどうかと、カバーできなかったら、そこのところに新たな損が出てくるということでございまして、いずれにしろ債権額に対してはマージナルなものですね、追加的なものですね、そういうものなんだと。

だから、11兆円あるので、それでは11兆円と今の業務純益と比べてどうかなと、これは全く間違いですね、対応関係から言うと。11兆円のうちで担保・保証で、今カバーされている部分から出てくる損失と業務純益の比較をするということになるわけなので、既応の分についてはですよ、もちろん新規の分はまた新しく、それが必要になってくるということで、それも業務純益と比較しなければならないのですけれども、それが非常に減ってきているんですね、新規の発生というのが。それは私、国会でもギリギリ聞かれているのですけれども、結局担保、今までのオフバランス化というのが、今までは要するに償却引当損だけはきちっと我々は数字を掴んで発表もしているのですけれども、その今までオフバランス化したものについて言うと、担保・保証で回収した部分の金額というのが分からないのですよ、正直言って。だから、新規発生も分からないということになっているわけですが、担保・保証を思い切って何%だといって推計したものは持っているんですね。まあこれは当たらずと雖も遠からずだと、私は思っているわけですが、そういうもので見てるとドーンと減ってきているということですから、そういう意味では、私はまあそんなにシリアスに考えていないわけです。いないわけですが、それでは能天気に楽観しているのかというと、そうでもないです。もちろんちゃんと注意深くウオッチしているというのが、私の今のスタンスです。

いずれにしてもこういう話は黒板がいるんですよね。本当に私も言葉で話をするというのは本当にもう限界があると思うのですよね、やはり。しょうがないですね、どこにも黒板はないわけでございますから。

問)

今の関連でお伺いしますと、法的・私的いずれにせよ整理をする時に、保有不動産を売却する時にやはり買い叩かれてしまうというか、当初の見積りよりもかなり低い値段で売らざるを得ない。その際に出るものも追加損失かとも思うのですが、大臣、それは少ないというか軽微なものに止まるのか、それとも相当な金額というのを想像されているのか、どの辺なんでしょうか。

答)

まあ、そこなんですね。つまり、仮に担保で言いますと、今のルールは例えば土地でしたら、その時の公示価格を基にして7掛けするということなんですね。それは言わば売り急ぎというのですけれども、これは相続税と同じなのですが売り急ぎ率というですね、売り急ぎのために生ずるディスカウント率ということですけれども、まず公示価格というものが適正か、それから売り急ぎ率が今3割ということだけれども、それでいいかということなんですね。だから、本当に言うと、我々が2年ということで落とせよと言ったことが足元を見られる面もないわけではないと思うのですね。そこは本当に痛し痒しというか、ある意味でちょっと残念なところなのですが、しかしそうかと言って、部分償却でいいよと言うと、またこれはもういろいろマーケットがどうお取りになるか、また柳澤さんは柔らかくなってしまったというから、もうこれはアーと、こう頑張ってやっているのですが、これは上手く売らないと駄目ですね、本当のこと言って。

問)

そういう面では不良債権の新規の発生額というか、それをある程度出す方が分かりやすいのではないですか。今回は3.4兆円ということですが、かなり高いわけですよね、これはタイムラグだと思うのですが。

答)

まあトータルで今度のあれで見ても、その倍よりちょっと多いぐらいだと推計しているんですよね、年間、通年でですよ。それは1年前よりも遥かに少ないし、2年前よりはものすごく少ないし、という状況なんですよ。だから、このテンポでそういうふうになっていけばね。それはどうしてかというと、私やはり2、3年前は本当に実体が劣化していることよりも、評価で劣化した部分がすごくウェイトがあったんだろうと思うのです、率直に言って。例えば資本注入した年だとか何とかはね。そういうことが段々少なくなってというか、もうなくなって要管理債権の話をしているわけではないですから、なくなってと言っているんですよね。要管理債権の方はそうでなかったところがあるやに聞いていますからね。だけども、そうなっていますから、本当に劣化したものを反映するようになっているということだろうと思うのですね。ですから、そういう何か評価の点ではないものですから、それは少なくなってきたと。そうすると、これからどうかというと経済状況によるという面があります。経済状況がストレートにそれだけで出てくるということだろうと思うんですね。

問)

東京三菱の不良債権が増えたという問題について、昨日いろいろと国会でも大臣はお話になりましたけれども、整理すると大臣はこの問題はどう受け止めていらっしゃいますか。

答)

良く聞いてみます、もうちょっと。概略の説明の段階では、昨日も言ったように我々は、三菱さんには資本注入をしなかったものですから、一斉検査に入っていれば、あまりそこのところはなかったかも知れないけれども、何か要するに要管理という概念をどう考えるかというようなこともあったかも知れないなと。だからその辺が、やはりもうちょっと勉強をしないと個別銀行のことですので、あまり軽率なことを言うのもどうかなと思いますね、会見ですから。懇談だったらある程度申し上げることも出来るのですが。今ちょっと言いかかったのですが、これはやはり撤回して、今のご質問に対して会見で言うのは、個別銀行の問題まで私はまだ十分分析していないので、しばらく時間をお借りしたいと、これが答弁です。

問)

火曜日に言及されましたUFJの相談役の問題ですけれども、その後、今週中に大臣のところに納得のいく説明というのはあったのでしょうか。銀行側の方から。

答)

私にはないし、事務局にあったのかどうか、それはちょっと確かめていません。いずれにせよ私が言っておるのは、相談役にしろ顧問にしろ、もっと何と言うか、どういう格好にしろ社外に虎の子の利益が流出することについては、非常に厳しい態度を持してもらいたいということです、それに尽きるのですね。経営健全化計画に載せていなかったから良いとか悪いとか、それはまあ我々との関係ではそうですけれども、しかし本当に顧問なんかについても厳しい態度を持してもらいたい。本当にリターンがあれば、それだけのものを支払うというのはこれは当たり前のことですけれども、なんだか良く分からないというようなことをやるゆとりはないはずではないでしょうかと。

問)

昨日の経済財政諮問会議でですね、経済財政の基本方針の目次が示されたのですけれども、不良債権の抜本的な処理というのも入っているのですが、今後月末に向けてですね、具体的な事案で金融庁として何か入れていきたいというようなことがあったらお願いしたいのですが。

答)

金融庁は、何と言うかあそこに入って仕事をするという順番ではなかったのですね。金融庁がやっていたことが、あそこにピックアップされたということなのですね。ですから、我々としては、我々の考えてきたスキームを進めるということですね。もちろん私はオープンですから、いろいろな人が良いアイディアを出してくだされば、それはもうどんどん入れてしまうという気持ちでいます。ですから、どこへでも参加させてもらって良い話があればそれを取り入れていくと、こういう考え方です。当面は今言ったとおり、我々が考えていたことを静々と進めると、こういうことです。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る