柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年6月12日(火)9時36分~9時55分)

【閣議案件等】

閣議ですが、交通安全白書の発表がありました。それから、大阪の池田小学校の事件について関係の大臣から状況の報告及び今後の対応について関係各省を始め閣僚の協力方の要請がございました。それから、APECに経産大臣が出られていらっしゃった、その帰国報告ですけれども、11月のカタールの会合からWTOの交渉が立ち上がるということが決議されたという報告がありました。

閣僚懇に移りまして、外務大臣に報道陣がパパラッチをして交通信号の無視等があるのでというご報告がありました。それから、池田小の問題でも加害者の顔を見せないというような配慮は、何のためにしておるのだというような話もありました。それから、議員会館の建て直しについての発言もございました。これは官邸・霞が関の建て直し及び首都機能移転との関連もあるけれども、というようなことで問題提起があり、それに対して国会議事堂よりも高層の建物を立てるということの問題意識から、ちょっとストップしているかの如き話がありました。

それから、最終四半期、年では第一四半期の経済状況、既報のとおりですが、0.2%のマイナス成長で12年度を通じて、0.9%で1.2%の見通しに届かなかったという話がありました。千鳥ヶ淵のあり方についての質問趣意書がありましたので、その関連でのご発言がありました。遺骨の収集がどんどん進んでいて遺骨の収納をすると言っていいのでしょうか、そういうような所が作られたけれども、地下に作られたものですから、地上にどういうものを作ったらいいかというようなことの検討がなされているという報告がありました。その後、障害者施策推進本部が開かれまして、総理が近く身体障害者の方々の要望を聞くという意味での懇談会を開くのだという、そういうお気持ちご意思の表明がありました。以上です。

【質疑応答】

問)

先程もお話がありましたGDPの発表ですが、マイナス0.2の年度0.9ということで結構厳しい中身かと思うのですが、不良債権の抜本処理を進めていくことと非常に密接に関連すると思うのですが、大臣から昨日発表の数字についてのご見解をお聞かせ下さい。

答)

私は、とりあえず今日の発言ということでは、だからこそ構造改革をというそういうお話が続いてあったわけですけれども、私の方は予てから申しているのですが、新規発生というものが経済状況と無関係とは言えないということで、この点についての関心を持ってもらいたいということは予てより話を既にしているところでございます。

問)

更に不良債権の抜本処理を進めていく過程で、当然雇用の問題とか発生するかと思うのですが、この辺についての影響というのはどのようにお考えなのでしょうか。

答)

これは要は国会答弁において、しばしば総理始め竹中大臣等の閣僚の答弁にございますように、やはり対象となる企業、それから最終的な手法、こういったようなものと密接に関連しているので、一概にはなかなか言えないということですね。それに対してはセーフティーネット及び他の新しい就業機会の創出ということで、雇用を吸収していくということでございます。

問)

この間の大臣の国会答弁にありましたけれども、不良債権処理の目安と言いますか指標といいますか、これの確立といいますか策定について、この辺の方はどうなのでしょうか。

答)

これはちょっとコンセプトが、文脈が指標ということにならざるを得なかったのですと言っているのですけれども、要するに不良債権が解決するというのはどういうことですかというような話もあったわけですね。それに対して不良債権つまりリスク管理債権の全貸出に対する比率というものが、アメリカの水準というのは比較が非常に難しくて、アメリカは引当金をネットアウトしてしまうわけですね。日本のように引当金を残高に残しておく方式とは、必ずしも対応がぴたっといかないのだけれども、しかし、それにしてもそういう留保を見ながらも、まあまあだね、というぐらいのところになれば解決したということになるのではないかというようなことを、私が言ったことが新指標という、いや、それだけでいいかということを言ったのですが、私がいろいろ今考えているし、事務方にも言っているのですが。

まあ、そのぐらいにしておきましょうか。また決まったら趣旨を、うまいものが見つかったらその時に、趣旨はこうでしたということを言いますよ。あまり前宣伝ばかりして、あと出て来る新商品がちょっとしょぼんとしてもね。

問)

一部に、この間の3月期で、不良債権を積極的に処理した、引当金を積んで処理をした銀行に対して格付け機関が財務格付けを引き下げようかという動きがあるようなのですけれども、不良債権の抜本処理と銀行の信用・信認について、この辺の関係はちょっと今、大臣の思惑と違うような感じで動いているところもあると思うのですが、その辺についてはどういうご感想でしょうか。

答)

そうなのですね、一概に言うとそういうことでですね、格付け機関もしっかり見てもらいたいというふうに思うのですけれども、それよりも何よりも何と言うか、それぞれの銀行がとった中身というものをですね、まあそれは商売の機微にふれることで全てが分かるわけではないでしょうけれども、皆さんのような敏腕な記者の方とかですね、格付けの人とかアナリストとか、アナリストなんかは特にアナリスト専門のIRですか、インベスターリレーションズや何かで、特別の説明会を持っているようですね。そういうところでちゃんと聞いてですね、正確な理解の下で全てをやって欲しいと思っております。それは、私としてもしっかり皆さんにもお願いしたいことだというふうに思っています。それは他の金融機関への波及とか何とか、今日も一部記事がありましたけれども、最初にやったところの分析もなくですね、あるいは実態把握もなくそういうふうに考えてしまうということは、ちょっと余りにも議論が少し粗いのではないかという印象を私は持ってまして、出来るだけ実態を把握した上で、格付けの皆さん、それからマスコミの皆さん、これは世論の形成というか特に一般大衆投資家なんかはそれで動かされるわけですから、是非正確な実態把握に基づいた見通し、こういうような報道でやって頂きたいと、これは私からのお願いです。

問)

昨日金融庁が発表された中身が今日の新聞の各紙に出ているのですが、不良債権の処理というか資本注入行に対する監督の方針の明確化というものを打ち出されたわけですが、これは基本的に不良債権処理の問題に関わってくると思うのですけれども、これで資本注入行をはじめ大手銀行について不良債権処理がさらに進むというふうにとらえてよろしいのでしょうか。

答)

もともと当期利益が30%以上下振れした場合の明確化というものを図るということは、この前の緊急経済対策に載っていたことでございます。これは不良債権の最終処理の障害になるのではないですかというような話もあって、あそこに明確化という格好で載ったわけですね。確かにそういう心配ごとがあるならば、それを明確にしておきましょうと、こういう趣旨であそこに載せられたわけですね。

それで、それを受けて今回、30%以上下振れした場合でもかくかくしかじかと、こういうふうになりましたので、みんな見通しができるようになったわけです。どうなればどうだとか、こうなればこうだとか。そういう意味では、もともとそこのところが曖昧であることが、ひょっとして障害になるのではないかというその面は解消されたというふうに言えると思います。

問)

昨日の経済財政諮問会議ですが、「ニュー柳澤イニシアチブ」だというふうに竹中大臣の方からそういうことが出まして、アクティブプランと言いますか、そのような話を聞いたのですが、紙は出さないということで回収されていますが、大臣の方から何かあればお願いします。

答)

それはですね、紙を出さなかったのはそういうことではなくて、データしか出していないわけで文書は全くないので、なぜ出さなかったかと言えば、推計値が入っているので、だからこれは無用な誤解を生むという恐れがありますので回収させていただいたということに尽きるわけでございます。ですから、全然別の話です。

ニュー何とかやらというのはですね、まあ何と言うか、要するに不良債権のオフバランス化をやるというのが、何か誰かが私の名前を冠して言ったわけでしょう。だから、それのフォローアップ、それをどういうふうにやるかとか、どういうふうに効率的にやるかとか、そういうようなことをより深く考えてくれればありがたいと、こういうことですね。より深くというか、私はいわば、もうスキームもできているのではないかと思うのだけれども、もうちょっと何かあるのかねということであるんでしょう。まあそんなものができれば私もできるにこしたことはないとは思いますが、もう大体我々の方としてはやるべきことはやっているということなんです。まあ、せっかくそういう動きがありますから、もし何かあればという程度で考えるべきことは考えたいということです。

問)

昨日発表された3割ルールのところで無配の話が出ていたのですが、公的資金の回収の方法が買入消却ということで書いてあるわけですけれども、無配になってその1年間配当が入ってこないという一方で、預保からはコストのかかった金が注入されているということになると、配当ができないから議決権を差し上げますということだけでは、やはりなかなか納得が得られない、得にくいのではないかと思います。やはり、そこは配当が出なかった分はいずれ市中で、普通株に転換して市場で売却してその部分を回収するということも相当考えるべき課題なのではないかと思うのですが、最近のあの手の資料を見ますと、公的資金の回収の方法が相当買入消却に偏しているというような印象を受けるのですが、この点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

答)

これはまあ、発行銀行がそういうことを念頭に置いているということだけですね。我が方は別に発行銀行が買い戻して、それを消却するということだけに縛られているという覚えは全くありません、我々の方が。ただ、一応向こうがそういうふうに考えているわけでしょうから、まあ何と言うか、それだと話が分かりやすいので、一番分かってもらわなければならないのは発行会社なので、今度のガイドラインなんていう場合は、そういう意味だろうと思いますね。我々が何か縛られているとは思いません。

(以上)

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