柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年6月29日(金)9時47分~10時10分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですが、かなり盛り沢山なので簡潔に申し上げます。仲裁裁定は裁定通り実施することに決まりました。「平成12年度土地の動向に関する年次報告」が発表されました。地方分権改革推進会議が発足することになりました。完全失業率の5月の分ですが4.9%ということで、0.1ポイント上昇しました。CPI(消費者物価指数)ですが、東京都は▲0.4%で対前年▲0.6ポイントということです。5月の全国の有効求人倍率は0.61ポイントで、これは0.01ポイント低下しました。指標は全てマイナス方向ということです。

「社会を明るくする運動」、これは法務省の更生法の関係ですが始まります。東ティモールの政権選挙へ向けて無償援助が行われます。国際協力銀行の総裁が保田さんから篠沢さんに変わります。国立美術館の館長が遠山文部科学大臣就任後、空席でしたが辻村さんが就任されます。

国会終了後の閣議はこれから10時に総理官邸で行われるということになります。塩川財務大臣、平沼経済産業大臣、竹中経済財政政策担当大臣、小泉総理がそれぞれ外国出張されまして、その臨時代理に、塩川大臣の臨時代理に私、平沼大臣の臨時代理が石原行政改革担当大臣、竹中大臣の臨時代理が村井国家公安委員長、総理の代理はかねて決定しているように福田官房長官ということになります。

次に閣僚懇に移りまして、司法制度改革推進準備室が作られて司法制度改革推進法案の作成に当たるということです。閣僚の電子メール活用について指示が出まして、大いに活用して閣僚間の意思疎通を面会方式ではなくて、この電子メールを通じて大いにやりましょうと。そのきっかけというか、総理から電子メールが届いて、それには各大臣が返事をするようにと。誠にきめ細やかなご指示がございました。韓国のサンマ漁の関連で、韓国が北方四島を一体どう考えているかという問題等について話がありました。

次に公務員制度改革の関連の行革の本部が開かれまして、公務員制度改革の基本設計が決定をされ、12月に公務員制度改革の大綱が取りまとめられる予定ということが決定されました。以上です。

【質疑応答】

問)

先日、金融審議会第二部会の方から中間報告という形で、特に生命保険会社の予定利率に関して、条件付きの容認と、あと慎重論というような書き方でされていたのですが、それより以前に大臣の方で予定利率の引き下げについては自主的な判断になっていくのかなというような方向感というのを示されていたと思うのですが、それを踏まえまして今回の報告についてのご感想を頂きたいのですが。

答)

国会の答弁でもしているのですけれども、非常に難しい問題であることは言うまでもございません。保険というのはリスクを料金を払って相手にもってもらうということが本質ですから、それが些かでも変更になるということはそもそも商売の本質から見てどうなんだと。商売というか、そういう使命ですね、業の負っている使命から見てどうなんだという話が当然あるわけです。しかし、客観的に金利の水準が、そういう一般論で考えられる範囲を超えていると、あるいはそれが期間的に長期に渡っているという状況を受けてどう考えるかということを今回金融審議会第二部会で考えて頂いたことということでございます。

結局、保険集団の自治というものを上手く制度的に発現すると、イマージですね、どういう形になるのか、これはまた一つの選択肢ではないかと、こういうことかと思います。私もその点はそういうことでよろしいのではないかというふうに思います。しかし、その公正さをどうやって守るか、その公正さを守るために丁寧な手続きというか、時間のかかる手続きを置いた場合に、それがまた信頼という面で欠けるところが出来て、解約が大変多くなるということになると、この制度が折角整えられるのだけれども、機能しないというような懸念もあると。その辺をこれから具体化に向かってどうやって解決していくかということで、考え方の筋道としてはあり得るということで出して頂いたということは、大変こういう時代だけに評価させて頂いてよろしいのではないかと、こう思っています。

問)

昨日、内閣府の研究会から不良債権処理に伴う雇用への影響ということで、39万人から60万人が離職し、そのうちの最大19万人程度が失業者となるというような研究結果をまとめられたのですけれども、それの全体的なご感想とその中に金融検査マニュアルに基づく銀行の査定のやり方ですね、マニュアルというお墨付きをもらって横並びの意識がそのまま存続しているのではないかというような批判で、銀行独自にもっと不良債権処理を進めていくべきだという指摘がなされているのですが、その点についてはどう思われますか。

答)

バランスシート不況の研究会ですけれども、竹中大臣の下に置かれまして進められました。これに対して、当然不良債権の処理についての吟味というか、評価というものの上に立って、その影響を推測するという作業であるということでございましたので、金融庁としてこれにどう対応するんだということが当初から問題というか課題になったわけですけれども、私は積極的に参加するようにということで、事務局にオブザーバーですけれども、随時出席をさせてきたわけです。その結果ああいう結果が出たわけですけれども、非常に良心的な方がリーダー役になってやられたという印象を私は持っていますので、その意味では公正な、竹中大臣に言わせればマイナス情報と言うんですか、そういうものもどんどん出していこうということで、彼ら自身にとってもなかなか厳しい、彼らというか、経済財政政策担当者にとっても厳しい影響というものが出ましたけれども、それはそれで何と言ってもオープンというかディスクロということが大事ですから、よろしいのではないかというふうに思っています。

その中で我々の金融行政、特に不良債権の保全・引当て等についてのご議論もなさっていらっしゃるわけですが、最初はマクロ経済というか、マクロ的な統計学的な見地からの接近であったものですから、何と申しますか、なぜ引当を経済の情勢とか、地価の動向だとかというものを盛り込んだ形でやらないんだというようなことが素直な疑問として出たようですが、それについてはやはり無理ですと。それは引当てというのは、商法が基本を決めていて、そしてそれを受けて企業会計基準というのが決まっていて、ということでありますから、その制度をひっくり返すというようなことは到底できないということをよく説明して、そこは非常に理解をして頂いたという結果になっていると思います。

ただ、それにしても、それではその経済の動向、経済の情勢だとか、あるいは地価の動向だとかというようなことは、どこで手当てをするんだということなんですが、それは引当てという方式ではなくてリスク管理という方式、別チャンネルの対処策というもので対応すべきものだということを申し上げ、これについても理解をして頂いているという結果になったというふうに認識しています。それはなんだというと結局、融資量の調節であるとか、あるいは融資をする際の金利の信用リスク相当分を乗せるとかというような形で、そういうものに対応していくということで、そこは手分けをして、つまりデマケがあって、そういうようなことになったというふうに整理して頂いた。これはもともと当庁の専門家がそこは整理していたのですが、我々はちょっと若干もやもやしていた点もあるのですが、今回がっちり学問的にして頂いたということで、そういう意味でも非常に良かったと思っております。ただ、それではリスク管理の方はちゃんとやっているかねという疑問が投げかけられているというのがリポートだろうと、こういうように思ってますね。

それからもう一つ敢えて言うと、その前段で一般にアナリストがマクロ的な分析をする時に無視をしてしまいがちな、要するに日本の金融がコーポレートファイナンスであるということ、それはアメリカが基本的にプロジェクトファイナンス的な融資形態をとるということと非常に違いがあると。これは不良債権の認識とか引当てということについても非常に違いを生むということについてよく説明をしたわけですが、そこは非常にさすがに学者の先生方が分かって頂いたという痕跡が、理解されたということの痕跡が非常に明確になっているという点もございまして、その意味では非常に我々としてもおもしろいというか、おもしろいというのは非常に興味深いですね、記述がそこここに見られるということもあります。ちょっと申し添えておきます。

問)

銀行の保有株の取得機構なのですが、先日金融庁案の方が示されまして、これに対しては自民党内にもまだ銀行の救済に繋がるのではないかというような異論もあるということなのですが、金融庁案を基にですね、今後臨時国会の方へ法案提出するというような作業に、それはそういう方針で変わらないのかどうか、異論もあるということを踏まえてお考えを聞かせていただけますか。

答)

これは、清々としてですね党の正規の機関でですね、決定をいただいたということで、党の手続も今後とも順調に進んでいくのだろうと、こういうように思います。そういうことで、総務会とそれから3党の政策の場でもきちっと手続が完了すれば、それを受けて法案化ということで進んでいくということは、これはもう言うまでもないということでございます。

私は、銀行救済ではないかという声というのは、それはもう政府・与党の緊急経済対策本部での議論の時からあった議論でありまして、それを皆でここは乗り越えてということになったわけであるというふうに私は認識してまして、それはまた国会の論議もそういう立場から私としては展開していくということになろうと、こういうように思います。

ただ、非常に事務当局も、いろいろ私の言っていることにも配慮してくれてですね、皆さんご承知のとおり一次口と二次口と私は言っているのですが、一般勘定と特別勘定ですか、ということでETFだとか自社株買いとかいうものと、一般に市場放出をするものというものを際然と分かってですね、出来るだけ私としては一次口というか、そういうものを奨励してですね、銀行にもそういう我々の方針に沿った行動を採っていただくことを期待したいと思うし、期待出来ると思っておりますので、一応ああいう恰好で政府保証ということの枠は取っていますけれども、出来るだけ国民負担を小さくするということで進んで行きたいと、こう思っております。また銀行もそんなところは十分承知していますから、そういう国民の反発を買うようなガリガリの自分だけ良ければというようなことではないだろうと、こう思っております。

問)

火曜日の日経新聞だと思うのですけれども、潰れた企業の1年前の査定基準の中で、破綻懸念先以下になっていたものが3割に過ぎなかったのですけれども、その記事の中でも健全化計画の情報に、金融庁の情報に基づいて何か集計されたようですけれども、これは大臣はどう見ていますか。

答)

この記事、私もちょっと見出しのところに興味があって、ちょっと関心を持っていますが、現在までのところ精査をしておりません。そこまでにしておきます。

問)

ですけれども、こういうものを投資家とかアナリストが見ると、やはり今までそういうことを主張していた人が、これでいろいろこういう裏付けになる情報が溢れて来ているのではないかという指摘が出るのですよ。ですからこれはやはり何らかの形で、これが本当かどうか確認していただけますか。

答)

ちょっと、仕組みも良く勉強させて下さい。

問)

何時まで、何か答えというか見解は出ますか。

答)

何れにしても、出せると思いますね。思いますけれども、要するに月末で事務年度が変わるのですよ。スタッフが皆入れ代わるものですから、ちょっと今の、また新しい陣容になってから、その問題を扱うことになると思いますので、ちょっと時間がかかるかも知れません。別に逃げているわけでも何でもない。事実を言っているのです。今命令しても今から手がけようという人がなかなかないと思うのですね。これは役所の人事のリッシャッフルですから、これはご理解いただきたいと思います。

(以上)

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