伊藤内閣府副大臣(金融・経済財政政策担当)記者会見の概要

(平成16年1月28日(水)16時31分~16時47分)

【質疑応答】

問)

では、副大臣の方からお願いします。

答)

総選挙が終わった後から記者会見が中断をいたしておりました。本日また再開をさせていただくことになりましたけれども、是非、記者の皆様方に私共、誠心誠意お答えもさせていただきたいと思いますし、今後ともよろしくお願いを申し上げます。少し緊張をしておりますので、どうかよろしくお願いします。

問)

まず特別検査ですけれども、昨日、大手行、主要行に対する予告をされましたけれども、今回で3年連続という形になりますが、改めて副大臣の方から今回の意義とその重要性をどのようにお考えか。また、今後この特別検査という形が恒常化していくのではないかという声もありますが、これについてどのようにお考えでしょうか。

答)

特別検査の意味合いと言いますか、意義は、大きく二つあるのだろうと思うのですね。一つは企業等の業績等をリアルタイムで決算に反映をしていくと、そうした意味合いでの特別検査というものが主要行の自己査定を後押しをしていくと。そうした意味合いの中での重要性というものがあるだろうというふうに思います。

それからもう一つは、再建計画そのものが先送りになってはいけないと。その計画そのものの妥当性、この再建計画がある意味での債務者区分の前提になるということでありますから、その再建計画の妥当性というものを検証していくということは大きな意味合いがあるだろうと思っております。

私達は「金融再生プログラム」というものを提示させていただいて、改革の集中調整期間の中でこの問題を正常化させていくということで、今日まで努力をさせていただいてきたわけでありまして、このプログラムを実施をさせていただいて1年強過ぎたわけでありますが、ある意味では着実に不良債権が軽減をしてきているということもありますけれども、まだ目標に向かって道半ばの状況でございます。「金融再生プログラム」そのものは市場との評価の整合性を図るということも一つ大きな意味合いというものがございましたので、日本の金融システムに対する信頼というものを向上させていくためにも、こうした監督上の対応というものもさせていただきながら、また更に金融機関の方々のご努力というものを期待しながら、両者それぞれの立場の中でやるべきことをしっかりやって、信頼を勝ち得るための努力を続けて行かなければいけないのだろうと思っているところであります。

特に主要行については監督・検査、私共がこれから金融行政を考えるにあたって少しやはり目線を変えていかなければいけないという点があると思っております。一つには今御質問があった特別検査というものは、ある意味では大口債務先について行われるものであって、この大口債務先というのは銀行の財務の面から見ると極めて大きな影響を与えるものであります。ですから私共は信用リスクの観点からこの点を検証していくということでありますけれども、それを継続的に実効性あるものとしてこの対応をしていかなければいけないということだろうと思います。

更には市場のリスクの管理というものもしっかりやっていかなければいけない点でありますし、それは銀行それぞれの判断がなされていると思いますけれども、そうした点に留意をしながらも金融行政としての展開を考えていかなければいけないですし、更には不良債権処理という後ろ向きのことから、今各金融機関は収益力向上のための前向きの様々な努力がなされているわけであります。そうした前向きの努力というものを更に強力に進めていただくことを大きく期待をしているわけでありますけれども、そうした取り組みの中で法令に触れるようなことがあってはいけないわけでありまして、コンプライアンスの観点から私共もその点について充分注目をしていくということも重要ではないかと思っております。

問)

一方で、地方銀行向けへのいわゆる公的資金新法の概要が固まったようですけれども、これから国会で審議されます。副大臣自身、新法ができることでどういう点に期待されているでしょうか。

答)

新法の問題については与党の皆様方ともまだ協議をさせていただいて、私共として出来るだけ速やかに検討し取りまとめて国会への御審議をお願いをして行かなければいけないと思っております。

地域の金融機関の再生というものが地域経済の活性化の中で非常に大きな問題の一つでもありますし、前向きに企業再生に取り組んでいく、あるいは不良債権問題についても正面から立ち向かっていくためにはある意味では体力を向上させていくということも重要であります。そうした中で前向きな取組みをしていく金融機関に対してモラルハザード防止をしながら、新しい仕組みを作ろうということで様々なご意見をいただきながら、それを踏まえて今法案の準備をさせていただいている所でございますので、これをしっかり取りまとめて国会での御審議をお願いをし、成立をさせていきたいと思っています。

問)

新生銀行が来月再上場という形になりますけれども、一方で公的資金という税金を使いながら、結果は一部が利益を得るという形になるという形に疑問の声もあると思うのですけれども、副大臣自身この件ではどのようにお考えでしょうか。

答)

ある意味では、特別公的管理というものが終了して再生をしていくプロセスの中で、一つのステップに入ったと、前向きのステップに入っていったのではないかなと思います。今後も経営改革の努力をしていただいて、私共に提出をしていただいている経営の改善計画に則ってしっかりとした成果を出していただきたい。経営基盤の強化というものを通じて、公的資金を返済できるような、そういう状況を作り出していただきたいと思います。

問)

経済財政の分野から幾つか伺います。先日、「改革と展望」で、デフレ克服に向けた政府・日銀一体となった取組みというのが強調されました。あと昨日諮問会議で、今年のテーマでも新しい成長という観点からデフレ克服が1つのテーマになっていると思います。先日、日銀は追加的な量的緩和を行ってデフレ克服に向けた決意を示したようですけれども、更にデフレ克服に向けて金融政策に期待することを、副大臣のお考えがあればお聞かせ下さい。

答)

過日の日銀の政策決定会合に私も出席をさせていただきました。そしてあのような政策決定がなされたわけでありますが、あれは日銀の政策スタンスを改めて明確にしたものでありますし、私からも更に実効性ある金融政策の運営をお願いしておりましたので、今回その方向で日銀の政策スタンスが明らかになったものだと思っております。今後も政府・日銀が連携をとりながらデフレ克服を目指してお互いに知恵を出しながらしっかりやっていかなればならないと思います。

問)

BSEと鳥インフルエンザ、この辺の不安が広がっています。この問題が個人消費を含めた経済全体に与える影響について、副大臣は現時点ではどのようにご覧になってますでしょうか。

答)

私も大変心配を致しているところであります。日本の場合にはBSEの問題が以前あったわけですが、これを回復していくために一番重要なことはやはり信頼をどう回復していくことかにということにあったわけであります。今回の問題は外国からの問題ではありますけれども、BSEの問題については、外国の状況というものをしっかり把握をして、消費者に対してしっかり説明責任を果たしながら、消費者が安心して消費できるような環境を作っていくことが重要だと思います。鳥インフルエンザの問題についても、担当の省庁が今状況を踏まえながら然るべき対応をされているところでございまして、早くその原因を解明して、食の安全に向けてしっかりした状況ができるように努力をしていかなければいけないと思います。

問)

郵政改革ですけれども、色々な議論が出ていますけれども、何を守って、何を変えるかということに関して、副大臣はどういうお考えですか。

答)

私の考え方ということよりも、これは経済財政諮問会議で議論をしていくということで、総理からも春頃には論点整理をして、秋頃には基本方針というものを策定していく、その成案を得るのだということで、昨日の諮問会議の中でも大まかな流れも確認されたところであります。極めて大きなテーマでありますし、そして多種多様な論点があるわけでありまして、その中で竹中大臣からは基本的な議論に当っての原則、主要な論点というものが提示されているわけでありますので、しっかり議論をして、何のために改革をしていくのかということが十分国民の方々に理解をされ、そして改革の効果が現れるような状況というものを作り出していかなければいけないと思っております。そのためにも、繰り返しになりますが、多角的な厚みのある議論をしっかりやっていくということだと思います。

問)

与党の議論もあるでしょうし、その間で副大臣が入られて、今の状況を見てどの辺が議論のポイントになりますでしょうか。

答)

今出されている色々な論点全てが私は重要だと思います。一番重要なことは、繰り返しになりますが、何のための改革なのかということだと思います。そこを国民的な議論をしていくということも踏まえながら、多様な視点の中で、様々な議論をしっかりやって、議論を尽くして、その上で論点を整理をし、論点を整理した中で更に深堀をした議論を続けることによって、基本方針というものを作り上げていくことが極めて重要なことではないかと思います。

問)

逆に言えばそこのところはまだ見えていない、何のための改革なのかというところが理解がまだこれからという部分ということですか。

答)

そうですね。まだ議論が続いているところですから。

問)

副大臣、UFJ報道なのですが、大臣、金融庁長官の記者会見がございまして、基本的にノーコメントに近いお話だったのですが、市場にかなり不安がある以上、事実関係全てとは申しませんが、何がしかのコメントがあってもいいのではないかというふうに思うのですが、過去には金融当局が個別行についてコメントをしたことが過去にはあったと思うのですが、その点については副大臣はどうお考えですか。

答)

これは竹中大臣と同じでありまして、個別行の検査に関わることでありますし、私共としてはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。なぜならば、風評リスクに個別行あるいは債務者を晒してはならないと、その点に十分留意をしなければいけないというふうに思っておりますので、今ご質問になられた視点も分かりますけれど、一方で、私共の対応が風評リスクを惹起すると、風評リスクに晒してしまうという事になってしまっては、これは大変なことでありますから、十分に留意をしなければいけないと思います。従って、大変恐縮でありますけれども、この問題についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

(以上)

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