日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年7月24日(月)17時01分~17時24分)

【質疑応答】

問)

来日中のバシェフスキーUSTR代表とお会いになられたということなんですが、どういうお話があったんでしょうか。

答)

外国の方とお会いした時の内容については、言うまでもないことですが、相手方との了解がないと公表できないという筋合いのものだというのは、皆さんご承知のとおりですが、既にバシェフスキーさんがその日に講演されたようで、その中で私のことについても、mentionしておられますので、この機会にご質問があったことでもありますし、申し上げてもいいんではないかと思いますが、昨年の確か5月だったと思いますけれども、監督庁時代に来られまして、それ以来1年2カ月くらいになりますか、金融庁になって、おめでとうといいますか、ということも含めた一般的な表敬訪問ということだと思っております。中身については、二国間のことですから、双方が公表することについて合意したこと以外は、コメントすることは差し控えさせて頂きたいと思います。ただし、保険の問題については、かねてから第3分野の問題については、激変緩和措置が実施されて、その5項目がちょうど98年7月に達成され、それから2年半後である2001年1月1日に激変緩和、ここからスタートします。98年7月1日、ちょうど金融監督庁の設置した直後ですけれども、時計の針がスタートして、2年半後に激変緩和措置が解除されるということで、2001年1月1日に第3分野は完全にビック・バンの一環として自由化されるということをお互いに確認しました。お互いに確認しあったということで、何と言いましょうかね、金融庁が発足してよかったねということと、2001年1月からいよいよ第3分野が完全に自由化されて、これもよかったね、ということであります。

付け加えますとご存じだと思いますけれどもアメリカの保険の規制というのは日本と違って連邦制ですから、各州に分かれているんですね。去年からNAIC(National Association of Insurance Commissioner)という各州の保険監督当局の連合体との関係を金融監督庁時代から大変緊密化しておりますし、それから各州のCommissionerとの間でも頻繁にお互いに連絡を取りあったりして、こちら側の要望をいろいろ折にふれて言ったり、いろいろしているわけです。バシェフスキーさんはもちろん連邦の立場です。付け加えて申し上げると、そういうことで。非常に各州、数が多いですからなかなかどの州とも会合というふうには大変なんですけれども、金融監督庁時代からかなり精力的に各州との間でそういう会合をして、非常にうまくいってるんじゃないかというふうに思います。私自身もその州の長官から来てくれと言われたりしてるんですけれども、なかなか時間的な関係でこちらから行くことができないということもあるんですけれども、非常にうまくいっているということを付け加えさせて頂きます。

問)

金融審議会の再会の時期なんですが、そろそろ8月も近づいて来ていますが、どういう感じで考えておられますか。

答)

現在の金融審議会の委員の任期はご案内だと思いますが7月29日に切れるんです。差し当たって、一番今必要なことは委員の任命手続きということが必要なんですが、委員の任命手続きはご案内のように金融再生委員長による任命手続きが必要になるものですから、任期が切れた後、できるだけ早く審議を早めるためには、新しい委員を任命して頂くということ、任命して頂いた後、審議を開始して頂けるように事務当局として鋭意進めていきたいと思っております。

どんなことを審議するかということについては現在、様々な角度から当庁の内部において、ご審議頂く内容について検討中でございまして、委員の任命手続きと併せて、新しい諮問事項についても現在検討を行っているということで、ちょっとスケジュール感がなかなか申し上げにくいんですけれども、一方で委員任免手続きがあるもんですから、それと併せて並行的にやっているという段階です。

問)

これは何度もお聞きしているかもしれませんけれども、「そごう」の破綻による地域金融機関への影響というのを調査されていたと思いますが、どんな感じでしょうか。

答)

前回も申し上げましたが、あまりその後変化はないわけですけれども、私どもとしては金融機関を監督するという立場から金融機関に与える影響について関心を持って見守っているところです。現時点でまだ、いつ再生計画の内容が確定するか分かりませんけれども、内容が確定していないことなどから、まだ確たることを申し上げることは困難なんですが、現時点で承知している限りにおきましては、前に申し上げたことと同じになるかもしれませんけれども、引当金が積まれているとか、あるいは業務純益の状況などから考えると、今回の民事再生法の適用申請によって、取引金融機関の経営に大きな影響が生じることはないのではないかなあというふうに思われます。

いずれにしましても、これから進められるであろう民事再生手続き等の動向を十分に注視していきたいというふうに考えております。

問)

金融審議会で銀行法の改正が大きなポイントになるかと思うんですけれども、改正に関して、ガイドラインの改正もあるとは思うんですけれども、銀行法の法律改正のポイントを二つ三つ挙げて頂きたいのですが。

答)

先程、申し上げましたように金融審議会にどんなことを諮問するかということ自体を現在検討中でございますので、何が諮問事項になるかということは申し上げられませんが、今ご質問があったようなことは、確かに現下の金融行政を進める上において、検討すべき焦眉の課題であることは申し上げるまでもないというふうに思います。その中で私どもは現行の銀行法の枠の中で何ができるかという観点から金融監督庁時代からいろんな観点からも検討を加えて、パブリック・コメントにも付して、回答も頂いて、現在その取りまとめをしている段階でございますので、その取りまとめと睨み合わせながら、おそらくどんなことを諮問事項に挙げていくべきかということが、これから検討されなければならないんだろうというふうに思います。

問)

角度も変えてお伺いしますが、金問調の方で銀行の、既存の銀行の買収に関しての認可制の導入について、金融審議会の審議を求めたいというふうに書かれていたと思うんですけれども、まず最初に事前認可制についてどういうふうにお考えなのか、それから親会社の検査権、親会社に立入できるような権限を金融庁に付与するのかどうか、もうちょっと大きな視野がいると思うんですが、この2点について、現段階でどういうふうにお考えか、お聞かせ頂きたいのですが。

答)

前段の方は金問調から何かということよりも、むしろ金融審議会自身の答申の中で当面の課題として、新たな形態による銀行業への新規参入への対応が求められているということを答申されているわけです。そこでは銀行業への新規参入の問題だけでなしに、保険業についても同様の観点から検討する必要があるということが答申されておりまして、銀行や保険会社の業務範囲の見直しもこうした問題に加えて必要となるだろうということが先月27日の金融審議会答申の中にありますので、仮にメンバーが変わったとしても金融審議会としての問題意識というのはそういうところにありますから、当然継続的な観点からの検討ということになると、こういう答申を行われていますので、更に引き続いてこの答申をどういうふうに次の答申に結びつけていくか、ということが審議されるだろうと思います。

それから後段の方の問題に関しては、現在の銀行法では認められていない監督当局に対する権限付与の問題になるわけですけれども、これ自体非常に大きな問題で、私ども事務当局として権限を付与して欲しいとか、あるいは権限は付与してほしくないといった、何かまだ具体的なそういう結論めいたものは何も持っていないわけですけれども、少なくとも主要株主については、いろんな観点から、金融機関の段階、あるいはその後の検査・監督の段階において見ていく必要があるということは認識として持っていることは事実なわけです。

問)

保険の完全自由化のところなんですが、これはもう平成10年7月に金融監督庁長官名、あるいは大蔵大臣名で完全自由化というのは日本側としては既に声明を出しておられると思うんですが、この「完全」という意味ですけれども、これは本体参入という意味での完全と考えていいのか、あるいは子会社参入方式をまず使われて、その後本体というふうに2段階、ある意味で裁量を挟んで2段階にするのか、どちらでしょうか。

答)

現在合意されていること、私どもが認識しているところは、今ご質問にあった本体の参入の問題そのものではなく、今ご質問があったのは、おそらく生損保の本体での相互参入の問題だろうと思いますけれども、現在生損保間で異なっている制度がいろいろあります。そういった取扱いが存在していることもありまして、こうしたことも含めて今後早急に議論が開始される必要があるだろうというふうに考えております。

問)

アメリカ側は日本の市場開放の進捗度合いについて、どういう認識を示していたんですか。

答)

市場開放全体についての話というのは、私の方の仕事ではありませんので、そういった話は特に私との間ではありませんでした。

問)

先週の経営健全化計画のフォローアップについて、金融庁としてはどのような印象というか、進捗度合いについてどう考えられますか。

答)

いろんな計画の中の項目がありまして、それぞれに凸凹があるわけですけれども、全体として見ると、一口に言って初年度の計画は概ね達成されたものというふうに評価してます。項目別に一つ一つ見ていくといろいろあるんですけれども、例えば収益状況など見ますと、当期利益では計画を下回った金融機関も一部見られたわけですけれども、業務純益ベースでみると概ね計画が達成されているというふうに思われます。それから、リストラ計画の進捗状況につきましては、今後の統合戦略との関係で多少遅れがみられるということはあるだろうと思いますけれども、人件費の削減などは概ね計画どおりのものとなっているのではないかというふうに思います。それから不良債権の処理状況につきましては、債務者の業況悪化等による債務者区分の変更であるとか、あるいは担保価値が下落したことに伴って、引当金を増さなければならなかったことなどによって、計画値を上回る結果となっているのではないかと思います。こういったことから金融庁といたしましては、11年度の経営健全化計画については冒頭に申し上げましたように概ね計画どおり履行されたのではないかというふうに判断しているところです。

問)

その問題に相前後して、コンプライアンスで銀行を呼ばれたとお聞きしていますが、コンプライアンスか、ガバナンスか分かりませんが金融業界をお呼びになったということを聞いておられますか。特に銀行から意見を聞いたとか意見を言ったとか、当局としてはないんですか。

答)

先週、各業界との間で意見交換会を持ちまして、お互いに当庁が発足したことに伴う当庁の基本的な理念でありますとか、あるいはいつも申し上げている6つの事柄についていろいろ申し上げておきました。当然その中には言うまでもないことですけれども、法令を遵守する、コンプライアンスということは当然含まれているわけで、これは特にどの銀行に対してということではなしに、どの銀行、あるいはどの金融機関に対しても守ってもらわなければならないということで絶えず口を酸っぱくして言ってます。また、金融機関の代表取締役であるとか、あるいは執行役員などについては、やはりヒットアンドプロパーの原則もやはり大変大事なことではないかあというふうに考えてます。

問)

その問題で「そごう」の責任とか、そういう話は出ていないのですか、関係ないのですか。

答)

それは先週、主要行・地銀・第二地銀・損保・生保・証券業界など各業界とそれぞれやりましたが、その問題は全くありませんでした。

(以上)

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