日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年7月31日(月)17時00分~17時11分)

【質疑応答】

問)

最初に長官の方から何かありますか。

答)

金融審議会の件でございますが、金融審議会はご案内の通り、金融庁に移管されましたので、今回早急にご審議を開始して頂くこととしたいというふうに考え、このため金融庁における初回の総会を今週末の8月4日(金)の12時~14時に開催すべく、準備を現在進めているところでございます。これまでの委員の任期が7月29日(土)に切れておりますので、今般、この金融審議会でのご審議を開始して頂くためには、先立って委員の任命を行うとともに、総会の場で新たに諮問を行う必要があるわけです。金融審議会の金融庁への移管に伴いまして、以前行われておりました大蔵大臣の金融審議会に対する諮問というのは引き継がれないこととなっておりますので、改めて諮問を行う必要があるわけですけれども、委員につきましてはご多忙等の理由で、どうしてもお引き受けできない方を除いて全員を再任する方向で、これは金融再生委員長による任命になりますので、金融再生委員長による任命に向けて手続きを現在進めているところでございます。諮問は先程申し上げたように引き継がれませんので、改めて諮問をしなければならないわけですが、この諮問につきましては金融審議会において幅広いご審議を頂けるよう、諮問が金融再生委員会と私、金融庁長官と大蔵大臣の連名によってなされることになりますので、私だけでの判断というわけにはいきませんから、現在金融再生委員会や大蔵大臣と現在どういった諮問を行うかについて調整中でございます。連名による包括的な内容の諮問になるというふうに思いますけれども、その内容については4日(金)の総会の場で明らかにさせて頂きたいというふうに考えております。

それから、折角金融審議会についてお話…、いずれご質問があろうかと思いますけれども、予め私の方から申し上げておきますと、例えば異業種の参入問題について審議事項とするかしないかということを、おそらくご関心がおありであろうと思いますけれども、この問題についてはご議論頂くことが適当な事項なのではないかと考えておりますけれども、いずれにしましても金融審議会において具体的に何をご審議頂くかについては、4日の総会でお決め頂いてから明らかにさせて頂きたいというふうに考えております。以上でございます。

問)

再生委員会のことなんですが、久世委員長がいろいろあって辞任されまして、そこで新たに相沢委員長が就任されまして、いわゆる金融機関との問題も発覚して金融行政に対する信頼が傷ついたのではないかという見方もあるんですが、長官はどのように見られますか。

答)

久世前委員長の進退に関わるご判断については、これは前委員長ご自身が政治家としてご決断なさったことですので、私からこれについて何かコメントするということは差し控えさせて頂きたいと思いますけども、私どもとしては、新しい委員長の指揮・指導の下で、国民の皆様から信頼される金融行政を進めるよう職員一同全力を挙げて、職務に精励していきたいというふうに考えております。皆様のご理解・ご協力を是非ともお願いしたいというふうに考えております。

問)

先日発表されたリスク管理債権の状況ですが、日本の金融機関の不良債権処理が大手行の方では若干進んでいるように思いますけれども、全体として問題債権が依然80兆円台ということで、高水準にあるようにも見えるわけですが、これについてどういうふうな見方をされてますか。

答)

おそらく、お話になっている80兆円という数字は、自己査定の状況のことを言っておられるのかなあと思いますが、つまり II 分類から、 II 、 III 、 IV のいわゆる分類債権の額が平成11年、昨年3月末は80.6兆円でしたのが、今年の3月末は、81.8兆円に増加しております。これは一番大きな理由は II 分類債権が76.6兆円から78.2兆円に増加したことによるわけです。 III 分類と IV 分類の債権は不良債権処理が進捗しておりますので、4.0兆円から3.5兆円にむしろ減少してるんですね。 II 分類債権の方が78.2兆円に増加したというふうに申し上げましたが、この大宗約81.数パーセントですが、63.9兆円ぐらいになりますか、これは相対的にリスクの度合いが小さな、いわゆる要注意先債務者に対する債権でございまして、直ちに回収に問題が生じるものではありませんので、この II 分類債権が76.6兆円から78.2兆円に増加したという、そのことだけをもって不良債権処理の進捗が進んでいないのではないのかといったようなことは適切ではないのではないかなあというふうに思います。

あえて、この II 分類債権、今申し上げたのは預金取扱金融機関全体の数字ですけれども、全国銀行ベースで申し上げますと、この II 分類債権の額は61.0兆円から60.5兆円にむしろ減少しているということなんですね。ですから、預金取扱金融機関全体の増加の要因というのは何かと言うと、結局、協同組織の金融機関の増加分だということになろうかと思いますけれども、この一番大きな理由というのは、今度は信用金庫に対しまして集中検査を行いました。また、従来都道府県の監督下にあった協同組織の金融機関が国の監督下に来たことによって、信用組合については都道府県による検査を踏まえて、それぞれの金融機関が債務者区分を従来よりも、国の検査・監督の方に合わせるように厳格化したということが一番大きな理由で、 II 分類債権が自己査定ですけれども増えたのではないかというふうに見ております。

問)

相沢さんが金融再生委員長に就任したことによる率直なご感想と金融再生委員長に期待することはどのようなことなのか、お考えをお聞かせ下さい。

答)

先程も申し上げたように私どもとしては、新委員長にいろいろご指導頂いて、皆様から信頼される金融行政を進めるようにやっていきたいと思います。皆さんご案内の通り、新大臣はちょうど2年前の大変厳しい金融行政の下で衆議院に置かれました金融安定化特別委員会の委員長もなさって、私もしばしばあの委員会に出て行って、いろいろと長銀問題その他について質問を受けたということを昨日のことのように思い出します。それから金融問題調査会の会長をされておりましたし、金融については私自身は大変造詣の深い方であろうというふうに考えております。そういう意味で新委員長に期待するところは非常に大きいと私は密かに期待しているわけです。

問)

相沢さんと言えばですね、ペイオフ延期ですとか、異業種参入に消極的であったとかありますけれども、そう言った過去のことを踏まえて、その点不安とかいうことはございませんか。

答)

人間いろいろ立場というものがありますから、つまり政治の政・官、仮にその二つを分けるとすると、今までは政の方においでになって、今度は官、行政、金融行政のトップに立たれたわけで、それぞれの立場によっていろいろそのお考え方も時に変わることもあるでしょうし、あるいは行動パターンが変わることだって十分にあり得るわけで、前にどういう行動をとられたかということが必ずしもこれからどういう金融行政をやられるかというその判断の基準に私はならないのではないかと。金融行政のトップに立たれたわけですから、私たちの考えも十分にご説明申し上げて、ご理解を頂くよう努めていきたいというふうに考えております。

(以上)

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