日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年8月7日(月)17時00分~17時19分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かありますか。

答)

特にございません。

問)

新生銀行の問題になっています多額の顧問料なんですけれども、先日、金融再生委員会の相沢委員長の会見で、「会社の経費の中に潜り込んでいて、事務局が承知してなかった。」というふうに発言されてますけれども、実際、新生銀行の経営健全化計画の中にそのアドバイス料、その旨記載がなかったように思うんですけれども、その点について、その辺について報告として、特段料の記載がなかったというのは問題がないんでしょうか。ご見解をお聞かせください。

答)

ご案内のとおり、経営健全化計画は金融再生委員会が審査を行うということになっておりまして、逃げるわけではありませんけれども、金融庁の所管ではありませんので、自分のところの仕事としてお話することはできませんけれども、私どもが金融再生委員会から聞いていることになりますが、それをお話申し上げるということになりますけれども、今お話の顧問料の額が57億円という金額が多額であるということ、それから経営健全化計画の審査の際にも金融再生委員会にはそういった説明はなかったということ、それから履行状況に関する報告の中でもその報告は行われてなかったということで、再生委員会の事務方から新生銀行より事情の聴取を行ったというふうに聞いているところでございます。

問)

そうしますと、それについては特に長官としてのご見解というのは、報告すべきであるのではないかとか、その辺のご感想はありますか。

答)

金融再生委員会もそういうことで事情を聞いた時に、金融再生委員会の事務方に対しては新生銀行側は米国でのM&Aなどではこういった報酬は通常、売買の対象となった銀行から受け取るのは慣行となっているといったような説明をしたと聞いております。しかし、金融再生委員会の事務方の方ではその57億円の内の21億円ですか、おそらくこれは成功報酬と受けとられる部分だと思いますけれども、この部分については国が公的資金でロスを埋めて更に資本注入まで行った銀行がそういった成功報酬と受けとられる部分を支払うことはいかがなものかという意見を新生銀行側に伝えたというふうに聞いております。その結果として、おそらく新生銀行は、そういった金融再生委員会の事務方からの意見を参考にしたと思いますけれども、最終的にはあくまでも新生銀行の自主的な判断として成功報酬と受けとられる部分については、新生銀行の経費とせずに、投資家の負担とするということを再生委員会の事務方に伝えてきたというふうに聞いております。私どもの方でもそういったことは事前にも把握しておりませんでしたし、先程申し上げましたように、経営健全化計画にどのような内容を盛り込むべきかということは一義的に金融再生委員会の所管とされていることですので、当方では承知していなかったということになります。

問)

先週の金曜日に金融審議会が、金融庁の所管となって長官の諮問機関としてスタートしたわけですけれども、来年1月を念頭において短い期間ですけれども、その短い期間の中で一体何がどこまで進むのかということについての長官からの期待について教えてください。

答)

お話がありましたように来年1月以降は中央省庁再編に伴いまして、金融審議会に、金利調整審議会と、自賠責保険審議会及び公認会計士審査会が統合され、いわゆる政策立案型と言いますか、これから審議会というのは法施行型の審議会と政策立案型の審議会とに分かれるわけですけれども、統合された政策立案型の審議会ということになり、委員についても、現在は金融再生委員長の任命ですけれども、今度は内閣総理大臣の任命ということになるわけです。そして、諮問そのものはこのたび行いました諮問がそのまま継続…、これは結構長い間継続するのではないかと思いますが、審議事項そのものは先程申し上げたように中央省庁再編に伴いまして、改めて別なことを審議事項としてお決め頂くことになります。そうすると現在の第一部会、第二部会でそれぞれ、第一部会では異業種参入に伴う銀行法等の整理、他業禁止の緩和と、第二部会では個人信用情報の保護や利用に関する制度、整理という審議事項になっておりますので、改めてその審議事項を金融審議会で決めるということになると、これはどんなことがあっても今年中にはこの第一部会、第二部会の審議事項として決められたことについては次期通常国会…、来年の通常国会ですが、通常国会での法制化等を目指した審議を行うことが必要となりますので、精力的な審議が行われるということを私としては期待しているところです。

その他ご案内の通り、ブレ-ンストーミングといったような形で特に審議事項を定めずに「金融の基本的な問題に関するスタディグループ」が作られます。これは現下様々な問題があると思いますけれども、それを自由な立場からいろいろ討議して頂くということによって、次の展開がこれから行われることになろうと思います。おそらく、そのスタディグループの中から次の来年から新たになる金融審議会で行われる審議事項というものが生み出されていくことになろうと思いますし、先日諮問したことについて第一部会、第二部会でお決め頂くことになった大きく分けて二つの審議事項については、先程も申し上げましたように来年の通常国会に向けた精力的な審議が行われるだろうと、半年という短い期間ではありますけれども、期待しているわけです。

問)

概算要求というのはどうでしょうか。

答)

まだ、8月の初めですので、もうちょっとしばらく時間を貸して頂きたいと思います。

問)

金融商品の時価会計の導入ですが、保険会社を特別扱いするという金融審議会の第二部会でいろいろメニューを示して終わったわけですが、その後方針等は決まりましたか。

答)

これはまだ特に決まっておりませんけれども、これからおそらく国際的な会計基準というものの影響、導入いろいろ出てくると思いますが、その中の一つとして、お話にあった時価会計の問題も非常に重要な問題として考えなければならない問題だと思います。ただ、保険会社というのは金融機関の中でも銀行業のような預金取扱等金融機関と違った会計処理が必要な場面も出てきます。特に預金取扱等金融機関の場合には、どちらかと言うと資産の面に、いわゆる健全性の面ですけれども、着眼することが多いわけですけれども、保険会社の場合には逆に負債のサイドに着眼することが多いといったような非常に会計的な面での着眼の仕方も大きく違ったところがありますので、預金取扱等金融機関に時価会計制度を適用する場合と保険会社に対して時価会計制度が導入される時はどうかということを考える時には自ずから違ったいろいろ考え方が必要になろうかなというふうに思います。ただ、今お話がありましたように金融審議会でのご検討の結果なども踏まえて、金融庁としてこれから改めてその結果を踏まえて、いろいろと対処することを考えていきたいという考えであります。

問)

先週から今週にかけて信用組合の検査が終わったところがあると思うんですが、今後の予定といいますか、まだ精力的にどんどん夏休みも関係なくやられるんですか。

答)

検査の終了というのはご案内の通り、検査の結果の通知をもって終了したということになりますので、立入検査そのものは、私自身もまだ詳しく報告を受けているわけじゃありませんけれども、お話の趣旨が立入検査の終了ということになると、確かに信用組合は大規模な金融機関とは規模によって大分違いますし、資金量においても随分違いますので、立入検査そのものはそれ程時間を要しないということで、あるいは外からご覧になっていてもう検査は終了したのではないかというふうに思われるかもしれません。しかし、あくまでも検査というのは立入検査の終了ではなしに、その後いろいろな審査を経て、バックオフィスの審査などを経た上で検査結果を通知することによって終了しますので、それまでしばらくご猶予、お待ちを頂きたいというふうに思います。

問)

日銀の速水総裁が午前中の予算委員会でゼロ金利解除について、デフレ懸念は払拭できたというふうにかなり強い調子で、解除に向けて強い姿勢を示されたんですけれども、ゼロ金利解除が金融機関の現状に与える影響というのは長官のどのように見ていらっしゃいますか。

答)

もう申し上げるまでもないと思いますけれども、金利の問題については日本銀行の専権事項でありますので、私の方から何かこれに対して申し上げることは僣越と言うか、政府が日銀の政策に何か介入しているような感じを与えますので申し上げることを差し控えさせて頂きたいと思いますが、様々な景気の判断が、それぞれのお立場によって違ってくるだろうということは事実だろうと思います。仮にゼロ金利が解除されることになると場合によっては、債券の方が下落するということも考えられないわけではないし、一方では逆に生命保険会社に対して現在大変な逆ザヤで苦しんでいる生命保険会社にとって与える影響といったものもあるでしょうし、様々ないい影響、悪い影響がいろいろありますけれども、これもゼロ金利政策は、あくまでも先程申し上げましたように日銀が、審議委員の皆さんが決定されることですので、これについてコメントすることは差し控えさせて頂きたい。ただ、金融機関に対しては、いい影響もあるかもしれませんけれども、悪い影響もあると、なかなか功罪をここで一義的に論ずることは非常に難しい問題ではないかなあと思っております。

問)

先月解除を見送った理由の一つに「そごう」の破綻の影響を見守ろうという意見があったんですけれども、金融機関の経営とか金融システムへの「そごう」の倒産の影響というのは、現時点ではどうなんでしょう。

答)

「そごう」だけをとってみますと、「そごう」は現在、民事再生法の適用の申請がされて、開始決定が裁判所によって行われましたので、これから裁判所によって、再生に向けた手続きが淡々と行われるだろうというふうに思います。それは計画もまだ定まっておりませんので、それが果たして「そごう」に対して、債権を有している金融機関にどういう影響を与えるかということはまだ何か予断をもってお話することはできないわけですけれども、おそらくご質問の趣旨は「そごう」に対して有している金融機関の財務の状況などはどうだろうかということですが、これは前にもお答えしたことがあるかと思いますけれども、地銀、第二地銀等も含めて、おそらくそれぞれが持っている債権に対する担保、それからそれぞれの金融機関の業務純益、そういったものなどを考えると現在のところの見通しを見ているところでは、それぞれの金融機関に対して与える影響はそんなに大きくはないのではないかなあというふうに見ております。これはあくまでも、これからの「そごう」の再建計画がどういうふうになりますか、この計画の内容如何よって、また影響されるところも出てくるだろうというふうに思います。

問)

明日、自民党の金問調ですかね、石原さんがこれからレクされるという、若手の期待といいますか、何かございますか。

答)

誰がレクされるんですか。

問)

石原さんがこれからレクチャーするんですが…、石原伸晃さんです。会長代行で明日からレクチャーするんですけれども。

答)

明日から受けられるんですか。

問)

そのように聞いておりますが。

答)

金問調はもちろん、私ども金融庁、それから再生委員会、大蔵省など、それぞれ関係する部局が出ていて、いろいろ必要な事項についてお話するつもりですし、従来と同じようなことで、そのメンバーがどういう方になろうとも、私どもの政府側のスタンスというのは別に何か変わったことがあるわけではございません。

(以上)

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