日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年9月4日(月)17時00分~17時25分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かありますか。

答)

来週の月曜日のことなんですけれども、来週月曜日は11日になりますが、実は英国外務省から招請を受けまして、今週の土曜日、9月9日から17日の日曜日までの日程で英国を訪問する予定でございます。ちょうど11日は不在となりますので、会見をお休みにさせて頂きたいというふうに考えております。

今回英国外務省から招請を受けて、1週間ばかり英国に滞在致しますが、その間バンク・オブ・イングランド、英国の中央銀行において講演を行ったり、あるいはケンブリッジで開かれる国際金融犯罪セミナーでスピーチをしたり、我が国金融庁のこれまでの取り組みなどを紹介したいと思っております。また、FSAはもちろんですけれども、大蔵省、金融先物取引所、ストック・エクスチェンジなども訪問して、英国と我が国がそれぞれ直面しているいろんな課題、英国の監督当局との協力関係などについても率直な意見の交換をしてきたいと思っているところです。

問)

今日、日債銀が営業を開始し、新生路線で営業開始というふうなことですが、改めて所感をお聞かせください。

答)

日債銀につきましては、去る9月1日にソフトバンク・グループが日債銀の普通株式を取得して、これに伴いまして特別公的管理の終了が決定をして、本日から新しい日債銀として営業を開始したところでございます。また、今後早期健全化法に基づく資本増強の申請がなされる予定であることも承知しております。いわゆる特別公的管理終了後の日債銀はこれから通常の私どもの銀行監督に服することになりますし、新経営陣においても銀行監督上の様々な規制を遵守した上で、経営にあたることになるわけですけれども、当庁と致しましては、日債銀が先程申し上げましたように、これから資本増強の申請を行う予定と聞いておりますので、その前提となる経営健全化計画の審査などを通じまして、新生日債銀の業務展開、それから自己資本比率の水準の確保、収益力の確保など将来にわたる経営の健全性確保のための方策が十分に講じられるように注視して参りたいと考えているところです。

問)

宮本総括政務次官が名古屋国税局の関係者に何か手心を加えて欲しいと受けとられかねないような電話をしたというふうに報じられてますが、この点について何かコメントございますか。

答)

今言われたような報道があるということは、私も承知しておりますけれども、まあ考えてみますと、この報道されてる内容というのは金融庁が所管する行政に関わる問題ではございませんので、私ども金融庁としてはこれに対して何かコメントするという立場にはございませんので、一つご理解を頂きたいと考えます。

問)

宮本総括政務次官から報道後に何か長官の方には連絡とか、経緯説明とか、そういったものはあったんでしょうか。

答)

そういった点も含めて、これは私どもがやっている行政とはまた別な世界の話になりますので、何か申し上げる立場にはないんじゃないかなというふうに考えてます。

問)

今日、日本相互証券がPTSの業務を開始してますけれども、監督するとか、あるいは市場育成について何か考えておられますか。

答)

これから証券の取引というものがIT革命の進行によって、現在は朝8時半からですか、午後3時まで、間昼休みを挟んで、前場と後場に分かれて、東京市場の場合ですけれども、取引がなされているわけですけれども、ご指摘のPTS、プロプラィエタリー・トレーディング・システムというのはそういったことにとらわれないで24時間いつでも、場合によっては世界中のどの市場とも連結した取引を行うことができるという意味で、私ども証券業を監督する立場から言って、大変結構な業務の展開ではないかなあというふうに考えております。私が承知している限りでは、PTSの登録というのはそれぞれの財務局に事務は委任されておりますので、直接金融庁、あるいは再生委員会として何か認可云々について申し上げる立場にありませんけれども、まだ我が国の証券業というのが仮に一階部分だとすると、二階部分に当たる付随的な業務といいますかね、そのPTS業務を行う、予定している会社が、今ご指摘の日本相互証券ですか、それと確かもう一つぐらいしかなくて、200いくつ登録されている証券業の中でPTSの認可を受けてるものは2つということですから、200分の2ということで、まだ1%足らずなんですが、これからそういった24時間の取引がこのインターネット革命によって、どの程度進行してくるか、先の見通しは分かりませんけれども、情報化が進展していくことによって、必ずしも市場の取引時間に拘束されずに、そういうその市場が形成されていくということは、これからのIT革命の進行に伴う一つの現れかなあと思います。ただ、これからどのくらい利用される方が現れるかどうかというのは私にも判りませんので、先の見通しを申し上げることは大変困難なんですけれども、新しい時代に即応した一つの証券業の展開の在り方ではないかなあというふうに考えております。

問)

「みずほグループ」が3行とも揃って、株の値が下がってますけれども、統合に向けての進捗状況はどういうふうな感じで把握しているんですか。

答)

「みずほ」の3行の統合に関しましては、行政として3行の統合・合併のみならず、いろいろな行政上の認可手続きが必要になるので、現在プロセスの最中にあるところで、発足を予定しておられる日までにはそういった手続きをきちんと履行しなければならないわけですけれども、どういう理由で株価が、今ご指摘のようなことになっているかということは、私の方から何かコメントするべきような筋合いではありませんけれども、当初予定してたような感じで今のところ手続きが進行しているということは申し上げておきたいと思います。去年8月に発表されて、大変な関係者のご努力があったので、ようやく段々それに近づいてきたと思いますけれども、まあスピード感も決して事務の膨大な量などに比較すると、そんなに遅いというような感じでマーケットが見ているのではないだろうとは思いますけれども、今手続きが着々として進行して、そう日を置かずしてそれぞれの認可などの手続きが進められることになるというふうに思います。

問)

10月から銀行の保険業参入ということが解禁されるわけですけれども、これで3業態の参入が可能になるということで、その辺についての期待感、意義についてどういうふうにお考えですか。

答)

一昨年6月に金融システム改革法が成立して、その法律の施行が今までいろんな段階で行われてきましたけれども、最終的な仕上げということで、今まで銀行は破綻した保険会社しか子会社にすることはできませんでしたけれども、今お話がありましたように10月1日から銀行が通常のと言いますか、破綻していない保険会社についても子会社にすることができるように、これは金融システム改革法上、そういうことができるようになったわけですけれども、施行期日が先週金曜日の閣議で決まりまして、9月30日ということになりましたので、10月1日からできるわけですけれども、これが金融システム改革の、言わば総仕上げということで、いろいろなこれまでの相互の参入がこれによって一層促進されることが期待されるというふうに考えているわけです。

問)

クレアモント関係の金融会社が幾つかあるわけですけれども、特に投信と証券会社、この両社についてその後の影響と現状はどうですか。

答)

ちょうど先週の月曜日に、多分あの時に、エヌシーエス證券ですか、についてお尋ねを受けましたので、その時もお答えしておりますけれども、このバンク・インド・スエズ・インク発行のCDに係る取引、それからエヌシーエス證券とグループ関係会社の取引につきましては、現在このエヌシーエス證券に報告を求めて、更に詳細につき調査中です。本店が確か大阪だったと思いますけれども、近畿財務局において報告を求め調査中ということになるわけですが、いずれにしても法令違反が認められれば、法令に則り私どもとしては、監督上適切な措置を講じていきたいということにしているわけでございます。それから、この前、先週の月曜日の時にもお尋ねがありましたが、もう一つ三洋投信ですけれども、三洋投信と投信協会が対外的にコメントといいますか、「三洋投信のMMFについて」という投信協会のメモが発表されていますが、これによりますと三洋投信のファンドの解約が進んで、特にMMFについて元本割れとなりましたけれども、これは三洋投信の非常勤取締役である古倉氏の逮捕の報道に関連して、短期のですね、短期間に大量の解約の申し込みがあって、これに対応するために保有の債券を売却したことによるものと聞いております。三洋投信ではですね、販売会社・証券会社はいくつかありますが、それを通じて信託財産は保全されていると、これは信託銀行に保全されております。それから古倉氏関連の有価証券は、運用資産に組み入れられていないということを、投資家に呼びかけているというふうに聞いております。先程、投信協会のメモをご紹介しましたけれども、投信協会でも、今回のような事態というのは特殊なケースだということで、他の運用会社に同様に当てはまるものではないものの、MMFの安全運用には一層、力を注ぐべきであるということが必要であるという見解を示されたというふうに聞いているところです。いずれにしましても、当局としては他社のファンドでの影響を含めまして、事態を十分に注視して参りたいというふうに考えております。三洋投信のファンドの解約が進んでいますけれども、私どもとしては、そのことは承知しておりますが、当社の財務状況等については、十分に注視して参りたいというふうに考えております。そのくらいでしょうか、関連の金融機関というと…。新聞とか撚糸会社というのは、関係ありませんので、申し上げられません。

問)

(金融審議会の)第一部会については、どんな感じですか。

答)

今のところ、鋭意審議促進に向けて努力しているところでございまして、まだ具体的な日程を今日ここで申し上げることはできませんですけれども、おそらく今月の中旬くらいにはですね、何とか開催できるのではないかというようなことで現在、鋭意準備中でございます。ですから、あと何日かということになりますか。

問)

先週の金問調で、概算要求に対して自民党の感じというのは何かありましたか。

答)

特に、私の方から何か申し上げることはなくて、むしろいろいろと当庁が説明したことについて、いろいろご理解を十分に頂いたなというふうに思っています。

問)

信用組合の集中検査の進捗状況について、お願いします。

答)

これは、今年の4月から国の監督に移管されたのですが、ご案内のように検査事務年度というのは、7月1日から翌年の6月の末までということになっておりますが、平成11検査事務年度ですね、つまり昨年の7月1日から今年の6月30日までの間に行いました信用組合に対する検査が、7信用組合に対して検査を実施しているところでございます。また平成12検査事務年度、今年の7月以降、もう2カ月経ちますが、ここでは集中的に検査を実施しておりまして、これまで96の信用組合に対して検査を実施しているというのが現在の状況でございます。その結果、合計7と96ですから103信用組合に対して検査を実施しているところでございます。今後のスケジュールでございますが、信用組合の検査は、資産内容等の実態把握を速やかに行いたいということでやっているわけですが、平成13年3月末まで、つまり平成12検査事務年度を一杯使わずにですね、来年の3月末まで立入検査が一巡できるよう、現在鋭意取り組んでいるところでございます。本年3月以前から国において所管しておりました12の信用組合ですね、これは都道府県の区域を越える区域を地区とする信用組合ですけれども、これについて同様に…先程平成11検査事務年度で7つの信用組合に対して検査を実施しているところだと申し上げましたが、これはいずれも12の内数なのですが、残りの5つについてもですね平成13年の3月末までに立入検査を一巡できるというふうに見込んでいるところです。立入検査に入りまして大規模な金融機関と違いますので、比較的小振りなところが多いものですから、既に立入検査を終了しているところもありますし、中には検査結果を通知しているところもいくつかあるということです。以上が大体検査の状況です。

問)

この間の新潟商銀信用組合、韓国系の商銀の破綻なのですが、従来から韓国系の信用組合について、受け皿銀行構想が前から出ていると思いますが、そのまま検査が進んでいって、またここで悪い状況が明らかになってきたとすれば、受け皿銀行というものを早く設立すればいいのかというような、そのような具体的な金融当局としての姿勢というのも問われると思いますが、その辺の対応というのはあるのでしょうか。

答)

先日、新潟商銀が破綻して、金融整理管財人が金融再生委員会から送り込まれているわけですけれども、金融整理管財人が送り込まれておりますので、その整理管財人が、実際にその組合の内容をよく精査された上で、将来どういうふうにするか、今お話があったように適当な受け皿があればそこに譲渡することになるのかどうかといったようなことも含めて、整理管財人においていろいろ判断されるのではないかなあと思います。もちろん現在韓国系の信用組合の大同団結というか、いろいろと構想されているということは承知しておりますし、望むらくはそういった構想が実現することは大変結構なことだと思いますけれども、ただ、いろいろそれぞれの組合のご事情がおありかもしれませんし、なかなか一挙に全ての破綻した信用組合の受け皿ができるかどうかということは、必ずしもここで申し上げられませんけれども、ただ、個別に申し上げると、先程の新潟商銀のように金融整理管財人が選任されて送り込まれているような信用組合については、それぞれの金融整理管財人がこれからの行く末をきちっと精査された上で、まず第一義的にはお考えになるのかなあというふうに考えております。

問)

韓国系信用組合の大同団結と、もう一つ別に全く新しい受け皿となるような銀行を作ろうという構想があると思いますが、そちらも一応念頭に置かれているのですか。

答)

いろいろあるようですけれども、ただ、それは全体の構想ですから、私どもが、何か今申し上げる立場にはないんですけれども、あくまでも破綻した信用組合で金融整理管財人が送り込まれているところについては、金融整理管財人が、まずいろいろ資産の内容をよく精査されたり、不良債権の処理の状況などをよくご覧になった上で、受け皿となるような金融機関が見つかるかどうか、大変なお仕事だと思いますが、お任せしているわけですので、そこでまずはお考え頂くことかなというふうに思います。受け皿となる金融機関の構想は、既存のものがいいのか、あるいは何か新しいものがいいのかというふうなことについても、やはり金融整理管財人がよく精査された上で、まずは金融整理管財人のご判断を待ちたいなあと考えているところです。

(以上)

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