日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年9月18日(月)17時02分~17時14分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かありましたらお願いします。

答)

先週は(会見を)お休みさせて頂きましたが、その関係で私から英国出張の御報告をさせて頂きたいと思います。先々週の記者会見でお話しましたように、英国の外務省より招聘を受けて、9月9日(土)から英国を訪問して、昨日帰国致しました。英国出張中には、事業親会社がスーパーマーケットを営んでいるセインズベリー銀行、それからテスコなどを訪問、これらはいずれもエジンバラにありますけれども、そこを訪問して、金融部門でない非金融部門から銀行業への参入に伴ういろいろな問題点について意見交換を行って参りました。

また、ロンドンではロンドンの国際金融先物取引所のウィリアムソン理事長、英国金融サービス機構のデービス長官、日本のFSAと同じと言いますか、略語がFSAということで同じですけれども。それからイングランド銀行、中央銀行のジョージ総裁などと面会致しまして、我が国の金融情勢を説明するとともに、国際金融の諸問題、欧州金融市場の動向等について意見交換を行いました。証券取引所も訪問したのですが、何かちょうど慌ただしい時期で理事長さんにはお会いすることができませんでした。

更に、ケンブリッジ大学で開催されました金融犯罪国際シンポジウムに参加したり、それからロンドン・スクール・オブ・エコノミックスのグッドハート教授とも面会しまして、アカデミックな分野の方々と金融問題に関する議論を行って参りました。

その他、イングランド銀行におきましては、「金融庁発足にあたって」と題する講演を行いまして、金融庁設立の経緯、金融行政の基本的な考え方、金融庁のこれまでの取り組み等を説明致しました。この席にはロンドンに駐在しておられる各社の方々ともお会いして、記者会見も行った次第です。

今回の英国の訪問を通じまして、金融システムの改革、不良債権処理の状況、それから主要行の統合の動きなどの我が国の金融システムを巡る動向への関心が高いということ、それから業態横断的に一元的に金融行政を担っている我が金融庁に対して強い期待が寄せられていることを肌で感じた次第です。また、幅広く、先程から申し上げているように各界を代表する方々、その他学校ではリース・スクールとかにも参りまして、接触する機会を持ち、親睦を深められたことは非常に有意義であったと思っております。以上でございます。

問)

明日、ネット系銀行の「ジャパンネット」が設立を迎えるわけですけれども、銀行の多様化とか、あるいは異業種の参入といった観点から改めて長官の所感をお伺いできますでしょうか。

答)

正式には明日設立されるかどうかはっきりしたことはわかりませんが、設立されるといっても、とりあえず会社として設立しませんと正式な銀行業の免許申請というものはできませんので、とりあえずという表現が正しくないのかも知れませんが、法律上登記をして、資本金、あるいは役員の構成などがそこで決められた上で、改めて正式に銀行法上の免許の申請がなされることになろうかと思いますけれども、既にご案内のとおり、この「ジャパンネット」銀行につきましては、9月7日に運用上の指針、ご案内の指針ですが、これを踏まえて既に予備審査を終了したところでございます。当方と致しましては、今後とも、法令及びこの指針を踏まえて、このような動きに適切に対処していきたいと考えておりますが、一般的にはこの異業種による銀行業の参入の動き、インターネット専門銀行など従来の伝統的な銀行業にはない新たな形態の銀行を設立する動きにつきましては、金融技術の革新であるとか、あるいは競争の促進などを通じまして、我が国の金融の活性化や利用者の利便の向上に寄与する可能性があるものというふうに考えております。この異業種の参入に伴う銀行法上の整備、あるいは他業禁止の緩和など、規制緩和の問題のうち制度改正が必要な事項につきましては、これもご案内のとおり、金融審議会の検討をお願いしているところでありまして、既に金融審議会でもご審議が始められたというふうに承知しております。

問)

金融審議会では銀行業への異業種参入、そういうことをとりあえず中心になされているようですけれども、一方保険業への異業種参入問題という課題も残っていると思うんですが、これについての取り組みはどういうふうにお考えになっていますか。

答)

異業種による保険業への参入の問題につきましては、この6月27日に出された金融審議会の答申で、「特に当面の課題として、新たな形態による銀行業への新規参入への対応が求められているほか、保険業についても同様の観点から検討する必要がある」とされているところでございますので、今後金融審議会での異業種等による銀行業への参入の問題が検討される過程においては、保険業への参入の問題についても検討が加えられることになるというふうに考えているところでございます。

問)

今週末、財務局長会議がありますが、特に何かその位置付けといいますか、長官ご自身が指示されたいことといったような、そのようなテーマはありますでしょうか。

答)

この事務年度では予め定例の財務局長会議を4回予定しておりまして、7月これは既に行いました。今月22日に予定しておりますが、あと1月、4月という具合に予定しているところです。これは財務局長会議一般に言えることですが、私どもとの財務局との関係から言いまして、地方における検査・監督を効率的かつ効果的に進めるために会議を開催することなどによりまして、財務局との十分な連絡調整を図ることが必要でございますので、そのために会議を行うわけですけれども、今回の会議では金融庁の各部局から業務の説明を行いますし、それからそれぞれの財務局が行っている検査や監督行政の実情についてもいろいろお聞きしたいと思っております。具体的には現在各財務局で信用組合の検査をやっておられるところですので、その実施状況でありますとか、あるいは私が先日福岡財務支局に出張した時も、意見交換会でご質問を受けたんですが、民事再生法が大変最近活発に、何と言いますか、適用を求める動きがあって、その影響が一体各地方の銀行、あるいは信用組合、信用金庫などに対してどういう影響があるかとか、あるいは信用リスクの管理がどういうふうに行われているかといったようなことを財務局から聞いてみたいなというふうに考えているところです。

問)

保険業界でこれまでの銀行グループの枠組みを越えた、あるいはこれから正にできようとしているグループも枠組みを越えた再編といいますか、提携の動きがありますが、それはどういうふうに評価されますでしょうか。

答)

今日も記者会見も行われているようですが、東京海上と日動火災、それから朝日生命この3社の間の提携の合意ができたという発表がなされているところですけれども、これは従来から申し上げているように、各業態の垣根を越えた提携を行うことによって、消費者といいますか、保険の場合ですと保険契約者の利便に一層資することになる動きではないかというふうに考えているところです。

今お尋ねの銀行との関係ですけれども、前にも申し上げましたけれども、銀行も従来は破綻した保険会社だけを子会社にすることができたわけですけれども、これからは銀行も保険会社を子会社にすることができるようになりますので、そういったことによって一層、銀行もその子会社を通じてですけれども、業務の拡大を図ることができるようになるのかなあ、システム改革法の最後の仕上げになるのではないかなあというふうに考えてます。

ただ、保険会社もいろいろ統合を進めるに当たっては、やはり持株会社などを上の方に作ろうとすると相互会社のままではなかなか難しいわけですね。川下の方に作るのであれば別に相互会社のままでいてもいいわけですけれども、しかし、相互会社から株式会社になった場合、なるように初めて今度はできたわけですけれども、なかなかその際の問題といったようなものもいろいろ考慮しなければならないかなあと。ちょうど帰る飛行機の中で新聞を読んでましたら、株式会社化されているその保険会社が、何と言うんですかね、行方を失った剰余金というか、それの配分を株主に対してしようとしたところ、保険契約者から、いやそれは株主に渡すべき金でなくて、保険契約者に渡すべき金ではないかということで英国で訴訟が起きているという新聞記事を読みましたけれども、そういった問題もおそらく株式会社になった場合には考えなければならない問題の一つかなあというふうに思ってます。

(以上)

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