日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年9月25日(月)17時01分~17時18分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かありましたらお願いします。

答)

特にございません。

問)

先週になりますが、日債銀の社長が亡くなりましたけれども、日債銀の経営への影響とか、長官のご見解はどうでしょうか。

答)

本間社長が亡くなられたことは誠に残念なことで、日銀におられた時を含めて、我が国の金融界のためにいろいろご尽力されてきた本間社長のご逝去について、衷心より哀悼の意を表したいと思います。この本間社長のご逝去を受けて、日債銀では、20日に小寺専務が社長代行に就任されたものというふうに承知しております。金融庁と致しましては、新生日債銀が早急に経営体制を整備し、引き続き経営健全化計画等に基づいて着実に業務を遂行されることを見守って参りたいというふうに考えております。

問)

大和銀行に対する株主側の訴訟で巨額な損失事件の判決が出たわけですけれども、大和銀行への影響とか、あるいは役員の責任の採り方について長官の考えはどうでしょうか。

答)

同じ9月20日に大阪発のニュースとしてそういう判決が出たことは承知しております。ただ、これはいつものことですけれども、このケースというのは大和銀行の役員、それから株主との間の民事上の訴訟でございますので、金融庁として何かコメントするということは差し控えたいというふうに存じております。一般論として申し上げますと、現在のところ各金融機関においては、内部管理体制を充実させることによって、業務の健全性と適切性の確保に努めているものと承知しております。今後とも、その充実に一層努めていくことが大事なことで、そのことを期待してもいるわけです。

問)

第百生命の処理の進捗状況ですが、受け皿としてマニュライフといった話も出ておりますけれども、どのようになっているのでしょうか。

答)

お話のような報道があることは承知しておりますが、第百生命につきましては、現在、保険管理人の手によって、移転計画の策定に向けた作業が鋭意進められているところでございます。移転計画の中には、保険契約の移転先会社の選定などいろいろ含まれるわけですけれども、そういった具体的な交渉内容、あるいは移転計画の策定状況につきましては、事柄の性格上、私の方からコメントすることは差し控えさせて頂きたいというふうに考えております。

問)

日債銀の本間さんの件ですけれども、亡くなられた原因というのはなかなか知るのは難しいかと思いますが、経営に何か支障があるかどうかとか、そういった報告徴求とかはされているのですか。亡くなられた理由はわからないのですけれども、そういったことを知る努力とかはされたのでしょうか。

答)

当然のことながら日債銀からは代表取締役社長が亡くなられたということについての報告は直ちにございましたし、代表取締役が本間さんと小寺さんと、今のところ二人しかおられなかったので、小寺さんが社長代行として選任されたという、そういったご報告も私どもとしては頂いて承知しているところです。ただ、これは突然のことでもありますし、残された日債銀の役員、あるいは株主の皆さんにしても、これから亡くなられた後どうするかということをまだこれから協議されることになるだろうと思いますけれども、金融庁としては、先程も申し上げましたように、早急に経営体制を整備され、前から決められております経営健全化計画等に基づいて、着実に業務の遂行をしていって頂くことを見守っていきたいというふうに考えているところです。

問)

英国のハワードFSA長官がお出になるということを聞いているのですが、一応来週ということらしいのですが、そこは長官の方どうなのですか。

答)

これはもともと証券監督者会合というのが、1998年の秋に、(英国の)デービスとか、アメリカのSECのチェアマンであるアーサー・レビットなどが提唱して、1998年、一昨年の秋の11月に、第1回の小人数の会合ですけれども、IOSCOのような大きな会合ではありませんが、小人数の英、米、ドイツ、フランス、イタリア、日本など、大きな証券市場を規制監督している監督者の間で、非公式にと言いますか、インフォーマルに打ち解けた雰囲気の中でいろいろ現下の諸問題についての話をしていこうということで始まりました。昨年はドイツで開かれました。今年は2月だったと思うのですが、1月の末から2月にかけてパリで開かれまして、今度は日本の当番ということで、こちら側がホストとして、そういった方々に来て頂いて10月の初めにその会合をやる予定です。ご案内のとおりイギリスのFSAは日本と同じように、銀行・保険・証券この3つをIntegrated regulator としてやっている機関ですから、イギリスの場合にはFSAのハワード・デービスですが、この間ナイトの称号をもらいましたからサー・ハワード・デービスですが、それからアメリカのアーサー・レビットなどがおられる、その中のお一人としてこられるわけです。もちろん来られますので、バイでのお話もいろいろあろうかと思いますが、先日、私の方からロンドンに参りまして、いろんなお話合いは、その時にもかなり進めておりますので、その続きということになりますけれども、主眼は先程申し上げたように小人数での証券監督者会合に参加されるために来日されるということです。

問)

今、市場の多様化が進んでおりますけれども、その中でPTSというのを挙げられていると思ったのですが、対応方はどのようになってるのでしょうか。

答)

最近、証券会社による夜間取引を始めとした電子取引市場の開設に係る、色々な報道があることは承知しております。丁度PTSの開設の時にも申し上げたと思いますが、電子取引市場の開設については、市場間競争や当事者の利便性の観点からも好ましいことと言うふうに考えております。ただ、これまで、二つ認可、証券業が一階部分だとすると、その上に認可するPTS業務というのがあって、二つ認可しておりますけれども、新たに開設が予定されているシステムの中には色々な取引形態のものが予想されてるわけです。これは投資者の保護の観点から、近いうちに、12月1日に新しい証券取引法が施行されますので、それに間に合うように私設取引PTSの開設に係る一定のルールを策定することを現在検討しております。いずれにしても、今後とも金融庁としては、有価証券取引の電子化に資する環境整備を進めて参りたいというふうに考えております。

問)

その場合のルールというのは、具体的にどういったようなことが考えられるのでしょうか。

答)

細かいことかもしれないですけれども、証券取引法上、現在法律で総理府令、政省令で定めるとされていることが法律で第2条とか第80条にありますから、そういったことをこれから決めることになるわけですけれども、ご案内のとおりPTSといっても、先程から申し上げているとおり様々な形態のものがありまして、非常に証券業に近いPTSとですね、一方では、市場そのもの取引所そのものに非常に近いというふうに考えられるものがあるのではないかと思います。その境目をどうするかということだろうと思います。その境目を恐らくこれからルールを策定していく上で決めていくことになろうかと思います。

問)

先程の日債銀の件なのですが、金融庁に報告があったときに、本間社長の死因は心不全というふうに報告があったのですか。

答)

亡くなられた原因については、特に私は聞いておりませんが、報告されたときには、おっしゃるようなことで報告がありました。

問)

マスコミ向けにも、急性心不全で過労ではないかとかいう発表がなされまして、その後マスコミが独自に取材して、自殺ということが判ったわけですけれども、自殺というのと急性心不全とは全く違うことだと思いますし、重要なことだと思うのですが、情報開示のあり方については、長官はどうお考えですか。

答)

具体的な死因については、自殺かどうかということは、ご案内のとおり、警察が検死をしてですね、自殺か他殺かよく判らないものについては、司法解剖を行って自殺か他殺かということを調べることになるわけですけれども、心不全ということは色々な原因が考えられるわけで、それは例えば、前から心臓を患っておられたとか、色々な病気を持っておられたとか、糖尿病であったとか、色々あるでしょうし、それから自殺ということも心不全の一つの大きな原因というか、因果関係は十分にありうるのではないでしょうか。ただ、人が亡くなったときにですね、色々発表の仕方として難しいと私が思いますのは、故人の意志とか、遺族の意志とか、色々な周りの方とか色々ありますから、死因自体をどこまで突き詰めて公にすべきかどうかということはなかなか難しい問題ではないかと思います。

問)

金融庁として自殺と聞いたのは、何時頃で誰からでしょうか。

答)

私自身は、報道で承知しました。

問)

金融庁の方には自殺であるという報告は、一切今のところ無いのでしょうか。

答)

確認したわけではありませんですけれども、自殺というふうに断定するのは、日債銀が断定するわけではないのですね。それは司法当局というか、警察が死因をはっきりしない亡くなられ方をした方については、刑事訴訟法という法律によって適正に処理すべきことが定められているわけですから、明らかに自殺と認められる場合には、解剖は要しませんけれども、他殺なのか、他殺の場合は勿論でしょうけれども、他殺か自殺かはっきりしない場合には、当然解剖が行われるわけで、解剖が行われて、これが他殺が自殺か断定されるわけですから。それを断言できるのは、わが国においては、警察あるいは検察つまり司法解剖にタッチしているところしかないのではないかと思います。

(以上)

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