日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年10月2日(月)17時00分~17時11分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かありますか。

答)

お手元に「金融税制に関する研究会について」の資料を配布させて頂いておりますが、今般、当庁では金融税制に関する研究会を設置することと致しましたので、ご報告したいと思います。この研究会は、我が国の金融・証券市場を活力があり、透明性、公正性、効率性の高い市場に育成するため、中長期的な観点から見た金融に係る税制上の課題等について、広く外部の有識者と意見交換を行う場にしたいと考えております。メンバーは、この資料としてお配りしているところからおわかりのように、学識経験者、金融・証券市場の実務家及び金融庁総務企画部長以下当庁の職員ということになっております。スケジュールにつきましては、年内は2回程度、年明け後6月までは月1回程度を目処に開催する予定でありまして、第1回は10月10日を予定しております。これが私の方からのお話しです。

問)

先週末、「みずほホールディングス」が発足致しましたけれども、長官のご所見を改めてお伺いしたいのですが。

答)

9月7日に開催された金融再生委員会で設立認可の議決がありまして、先週9月29日、我が国における金融、この銀行持株会社の第1号として、みずほフィナンシャルグループの持株会社、「株式会社みずほホールディングス」が設立されたわけです。こうして総合金融グループが誕生したことになります。このような動きは我が国の金融の活性化や利用者利便の更なる向上、ひいては金融システムの安定に資するということを期待しております。昨日10月1日には、第一勧業富士信託銀行、興銀信託銀行が合併して「みずほ信託銀行」になりましたし、また証券の方では、第一勧業証券、富士証券、興銀証券が合併して「みずほ証券」になりました。現在は、まだこれは3行にぶら下がっておりますが、第2フェイズ、予定されているところでは、平成14年春が第2フェイズの目処とされておりますけれども、そうなりますとこの「みずほ信託銀行」も「みずほ証券」も「みずほホールディングス」に直接ぶら下がることになると、また第一勧銀、富士、日本興業銀行、この3つの銀行もそれぞれ機能別に横串を刺しまして、この第2フェイズには、「みずほ銀行」と「みずほコーポレート銀行」ということで直接ぶら下がるということになります。こうして我が国のその他の統合も含めますと、大きく分けて、ご案内のとおり4つのグループに統合が進むということになろうかと思います。いずれも私どもとしては、この統合が進むことによって、金融の活性化、利用者利便の更なる向上、ひいては金融システムの安定に資するということを期待しているところです。

問)

生命保険会社の千代田生命についてですが、外資との提携がうまくいってないという話も最近出てきましたけれども、それを含めまして、千代田生命の経営の現状をお伺いしたいと思いますけれども。

答)

いつものことですが、個別会社の経営に関することですので、ご指摘のような報道があることは承知しておりますけれども、このことについてのコメントについては差し控えさせて頂きたいと思います。一般論で申し上げますと、保険会社の各社は、いずれも厳しい経済状況や競争の激化といった環境の下で、経営の効率化の推進、業務の提携、あるいは自己資本の充実等経営基盤の強化に努めているところというふうに承知しております。

問)

日本とシンガポールの自由貿易協定の締結に向けての交渉が始まるわけですが、金融分野では特に金融庁所管の関係とかで何かありますでしょうか。

答)

日本とシンガポール、「日星」、漢字で書くと現在は「日星」ですけれども、この新時代における連携のための経済協定(Japan-Singapore Economic Agreement for a New Age Partnership)に関しましては、両国の産・学・官の専門家によって5回の検討会合が開催されまして、9月27、28日の最終会合で報告書をとりまとめて、両国の首脳に報告されたものと承知しております。今後、シンガポールと日本で協定の交渉に進むべきであるという判断が出れば、両国の首脳会談の機会を利用致しまして、交渉開始に合意して頂くものというふうに聞いております。当庁の関連分野につきましては、この協定の締結を通じて、金融サービス貿易の自由化を進めることに加えまして、各種の2国間協力を強化するべきことが報告書において提言されているところであります。例えば、その協力の項目と致しましては、「規制監督における協力」、あるいは「資本市場発展のための協力」などが考えられているというふうに聞いておりますけれども、具体的な内容につきましては、今後両国の金融当局における定期協議等の場で議論されることになろうかと思います。

なお、これに関連して付言致しますと、シンガポールと日本との間では現在、証券分野の情報交換等に関する覚書、いわゆるMemorandum of Understanding、MOUの締結作業を進めているところでありまして、今後ともこのような監督当局間の協力関係の強化に努めて参りたいというふうに考えております。MOUの締結につきましては現在アメリカとか、あるいはドイツなどともいろいろ話を進めているところですが、特にこれは時期の目処は立っておりませんけれども、協定の交渉とは関わりなく、シンガポールとの間で、できるだけ早期に作業を完了したいと考えております。なお、これについてこの報告書は大変大部なものですし、これ以上詳細なことについてもしお知りになりたいということであれば、河野国際課長のところに行ってお聞き頂ければありがたいと思います。

問)

明日、証券監督者会合というのがご予定されていたようですが、何か延期になったとお伺いしたのですけれども。

答)

大変重要なメンバーの一人がどうしても来れなくなりまして、この方が欠けるとちょっとこの会合を開催する意味がなくなりましたので、とりあえず明日の会合はキャンセルすることを皆さんに連絡致しました。ただ、既にメンバーの中には、例えばイギリスのサー・ハワード・デービス長官などは既に日本でいろいろ講演であるとか、コミットしておられることもありますので来られます。私もインフォーマルですけれども、今回のこの会合をキャンセルしましたけれども、これからどうするかということも明日また相談してみたいと考えています。

問)

金融税制の研究会ですけれども、これは恒久的なものなのでしょうか、それとも来年の6月までの時限措置なのでしょうか。

答)

特に時限は決めているわけではありません。あくまでは中長期的な検討課題の観点から見て検討することですので、問題によっては中期的、また問題によっては長期的な観点からということになりますので、現在のところクロージングの時期を特に定めているわけではありませんので、この研究会はずっと続けていきたいというふうに考えているわけです。

問)

この研究会は、提言というか、成果物をまとめるということはどういう形でやるのでしょうか。

答)

あくまでも、総務企画部長が主催して、総務企画部長がこれからこの税制に関して、いろいろ企画・立案するに当たって、この研究会の結論といいますか、意見交換を、その中から参考となるものを取り上げていくということですので、特にこの研究会から何か提言を頂くといったようなことを考えているわけではありません。

従って、報告書の作成など結論の取りまとめということも考えておりませんが、行政運営上の基礎として、いろいろ議論されたことは参考にして行きたいというふうに考えているわけです。

(以上)

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