日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年10月20日(金)20時00分~20時48分)

【質疑応答】

  • 長官) それではまず、金融庁の長官談話から発表させて頂きます。

    (金融庁長官談話―協栄生命保険株式会社について―)

    以上が協栄生命保険株式会社についての金融庁長官談話でございます。

  • 問) 数字的なことを聞きたいのですけれども、自己資本の状況のところで2000(平成12)年3月期と直近の9月末の数字を教えて下さい。

  • 長官) 平成12年3月末、オンバランスでは802億円ございます。実質資産負債の差額が202億円、ソルベンシー・マージン比率が210.6%でございます。総資産が4兆6,099億円、経常利益が43億円、当期利益が△9億円、これが本年3月末の財務状況でございます。本年9月末の状況、これはつい最近9月末の状況についても当社から報告徴求をかけて出してもらった数字で、見込みの数字になりますけれども、オンバランスでは783億円のプラスでございます。実質資産負債差額が△45億円、ソルベンシー・マージン比率が、これはちょっとばらつきがありまして、203%というふうになっておりますが、解約返戻金の相当額の超過部分の額がまだ確定しておりませんために、これに前後する数字だろうと、まだ確定した数字ではございませんが、大体その前後。総資産が4兆3,349億円、経常利益が28億円、当期利益が△11億円ということになっております。

    なお、ついでで恐縮ですが、数字の関係で申し上げますと、当社から既に破綻しております第一火災に対して、基金と劣後ローン325億円拠出しているわけですけれども、これは今年の3月末はまだ第一火災が破綻しておりませんでしたので、これはまるまる計上されたわけですけれども、これが破綻したため、325億円について多額の引当金を積んだということが非常に大きなマイナスの要因として効いたかなあというふうな感じを受けております。もっとも第一火災の方からも協栄生命に対しては優先株が170億円、劣後ローンが50億円出されておりまして、いわゆるダブル・ギアリングの形になるわけですけれども、将来的には両者がこういうことになりますと、この関係がどういうことになるのか、これは契約の内容を精査したり、あるいはいろいろしてみないと、その関係を正確に申し上げることができないわけですけれども、少なくとも当社から第一火災向けの基金300億円と劣後ローン25億円の状況については、第一火災が5月に破綻したことによって、かなり多額の引当金を積まざるを得なくなったということがかなり9月末の数字に効いてきたかなあということでございます。

  • 問) 責任準備金はどれくらいですか。

  • 長官) 責任準備金は今年の9月末の見込みで保険契約準備金が4兆1,238億円、その内一番大きいのが責任準備金で4兆246億円ございます。あとは支払備金の244億円と契約者配当準備金747億円、もう一度繰り返しますと、保険契約準備金が4兆1,238億円、内一番数字として大きいのが責任準備金で4兆246億円ございます。

  • 問) 劣後ローンとかはどれくらいですか。

  • 長官) 劣後ローンが総額で455億円ございます。その数字の内訳をここで申し上げることはできませんけれども、その中の第一火災分が50億円ということになっています。

    次いでですが、優先株は先程申し上げましたように、数字的には第一火災の優先株の金額を先程申し上げましたが、優先株の65.7%は第一火災が占めているという状況にございます。普通株の方は金融機関で比較的株を持っていることが少くのうございまして、一番多いのが三栄ビル15.7%、アイネスが15.5%、長銀が4%といったような金額です。

  • 問) 今日、金融庁の方に協栄生命の方から更生特例法の適用申請をするという報告があったのはいつ頃で、どのような形で、彼らはどういうふうにしたいと言っていましたか。

  • 長官) 正式には保険業法の241条第3項に基づく事業継続困難の申し立てがございました。これは裁判所に更生手続きの開始の申し立てを行うことと、おそらく同時に行われたものではないかと思いますけれども、午後3時頃ございました。会社更生手続きの開始の申し立てがなされていなければ、金融庁と致しましても、保険業法241条第3項に基づく事業継続困難の申し出がありましたので、もしなかりせば、会社更生手続き開始の手続きがなかりせば、保険業法に基づいて、私どもとしては、業務の停止命令、一部停止命令を発動するはずのところなんですけれども、裁判所にその申し立てをしておりますので、実益がございませんので、継続困難な申し出がございましたけれども、金融庁としての保険業法に基づく何らかの処分などは行っておりません。

  • 問) それだったら受理されなかった…。

  • 長官) 受理は…受理というか、受けております。

  • 問) 破綻の要因なんですけれども、当局としてはどのように見てらっしゃるのか。

  • 長官) これは当社が理由の中で述べていることなんですが、バブル経済が崩壊した後、低金利などへ環境が変化するに伴って、3つの収益源の内、資産については損が恒常的に発生したこと、そして多額の逆ざやを抱えることとなったということです。それから企業業績が低迷して不良債権化する貸付案件が増加としたということ、それから株式市況の低迷、あるいは不安定な為替環境の下で多額の含み損を抱える状況になったこと、この3つの収益源がいずれも不振の状態になったためというふうに理由の中に書かれておりますが、その通りかなあというふうに思っております。

  • 問) 保険業法第128条に基づいて報告徴求したと仰ったのですが、それはいつ報告を徴求したのか、何の報告を求めたのか。

  • 長官) 実は9月末時点の財務の状況が見込みとして、貸借対照表上、オンバランスは資産超過で、ソルベンシー・マージン比率も203%前後あるけれども、有価証券の含み損益を勘案した実質資産負債差額がマイナスになるという見込みを聞きましたので、直ちに今月の18日、一昨日ですけれども、保険業法に基づいて、今月末を期限として、9月末の正確な財務の状況、それからそういった大変厳しい資本状況を改善するための資本の増強策、改善策について報告徴求を18日に行いました。

  • 問) 18日に、2日前ですか。

  • 長官) そうです。

  • 問) すると17日に…。

  • 長官) それは聞いたので、そういう報告徴求を文書で行ったということです。

  • 問) 報告は今日持ってきたということですか。

  • 長官) 昨日ですかね。先程申し上げた数字、数字ですけれども、昨日…。

  • 監督部長) 数字は昨日出てきて、それから今長官から申し上げましたようなきちっとした数字の報告徴求とそれからそれに見合ったいわゆる改善策ですか、これについて報告徴求をかけているんですが、こちらの方は10月末を期限にしておりましたので、そういう状況の中で今回破綻したということでございます。

  • 問) 昨日の段階では協栄生命は何と言ったのですか。

  • 監督部長) 昨日の段階ではいずれにしてもプルデンシャルといろいろ交渉して、その状況等についてお話があって、状況如何によっては更生特例法の適用の申し立ても検討せざるを得ないかもわからないというお話があったということであります。

  • 問) 今日は平日なので、営業所は営業していると思うのですが、解約のできた人とできない人がいると思うのですけれども、その不公平感というのはどうなんでしょうか。

  • 長官) 平日ですけれども、裁判所に申し立てたのは午後3時過ぎだったんじゃないかと思います。ということでそれは店がおそらく午後3時に閉まるはずですから、店が閉まった後申し立てたはずでありますが。

  • 保険課長) 生保はそうではないです。

  • 長官) そうではないそうです。

  • 保険課長) 協栄生命としては解約というような話がいろいろ出てくる可能性が高いということで、平日ではありますけれども、更生手続きの開始の申し立てをした方がその後のいろいろな混乱ということが避けられるのではないか、これがその判断ということで、平日の解約の云々についても、当然平日の解約もできるというふうに聞いています。

  • 問) そうしますと今日解約できた人とできなかった人がいるということですか。

  • 保険課長) もちろん午後の時点で、更生手続きの開始の申し立てをしたのですから、その前後でできた方とできなかった方がいたと思います。

  • 問) 協栄生命は再保険契約もあるんですけれども、再保険は保護機構の保護対象にならないと思うんですが、これはどれくらいの金額がありますか。

  • 保険課長) 直ちには数字は持っていないんですけれども、保護機構の補償については、再保険は基本的に保護の対象にはならないと思います。

  • 問) 検査結果についてですけれども、 II 、 III 、 IV 分類それぞれの引当率はどれくらいですか。

  • 審査課長) 引当率は出しておりません。

  • 問) 出していないということは把握していないということですね。

  • 審査課長) 後で申し上げます。

  • 問) 検査で飛ばしとかはなかったんですか。

  • 審査課長) それは発見されておりません。

  • 問) 普通株をですね、よく聞き慣れない名前のところが引き受け先になってますよね。それは本当に資本として入っているんですか。変な迂回になったりしてませんか。

  • 審査課長) 検査の時点ではそういうことは認められておりません。

  • 問) 数字の確認で恐縮なんですけれども、保険の契約高と契約件数の直近の数字というのはありますか、3月末時点で。

  • 長官) 3月時点での保険契約高は57兆7,301億円です。

  • 問) その後の数字はどうですか。

  • 長官) その後の数字はですね…。

  • 保険課長) それは把握してございません。

  • 長官) 1年前の平成11年3月期が61兆5,000億円、平成10年3月期が64兆、平成9年3月期が71兆、こういうふうに毎年数兆円ずつ保有契約高が減少しているということは認められます。

  • 問) 金融庁として今年9月末現在で実質的に債務超過であるという保険会社は他にはあるんでしょうか。

  • 長官) 私が少なくとも聞いている限りでは、他にはございません。

  • 問) 保険業法第128条に基づいて、資産査定を報告徴求しているところは他にありますか。

  • 監督部長) 一般的に報告徴求しているかどうかということはいろいろ差し障りがあったりするものですから、コメントしないということにしておりますので、ご了承頂きたいと思います。

  • 長官) 生命保険各社は毎年9月末時点における上半期の実績の報告を例年11月の中旬から下旬にかけて公表しているわけです。現在、その策定作業中だと思いますが、今年は既に日程としては11月27日と28日の両日に主な生保会社が記者会見をすると聞いておりますけれども、当庁と致しましては現在決算の状況を踏まえながら、各社の財務状況の把握にこれからも努めたいと思ってますけれども、このように千代田生命、協栄生命と破綻が続いたことを踏まえまして、念のため生保各社の財務の状況については早急に報告して頂くようにこれから要請したいというふうに考えております。

  • 問) 18日に報告徴求をかけたわけですが、17日の経緯をお聞かせ頂けますか。協栄生命の方が報告を持ってきたということなんですが、それを受けて、どのように判断されて、報告徴求をかけたのか、その辺の経緯をお聞かせ願いますか。

  • 監督部長) 協栄生命については、ご承知のような事情があって、その状況については注視をしていたわけですね。よくヒアリングを行っていたのですが、そういう中で17日に口頭で正確ではないんだけども、お話はあったものですが、それを踏まえて18日に報告徴求をかけたということでございます。

  • 問) 2000年の3月期に資産負債差額が203億円で、それで第一火災が5月に破綻した時に325億円が飛んでいるわけですね。その時点で債務超過になっているのですから何らかの処分をすべきだったのではないでしょうか。報告徴求をかけるとか、業務改善命令を出すとか。

  • 長官) 全額飛ぶかどうかは、ちょっとこれまたいろいろな見方、考え方がありまして、325億全部なのか、あるいは協栄生命としては、この325億円については、協栄生命の方の主張によると騙されたといいますか、そういう主張をしていますから場合によっては、訴訟によって全額325億円取り戻せるのではないかという見方もあったのではないかと思います。ただそれについて、やはり破綻してしまってますので、仮に将来訴訟で勝って、全額を取り戻せるかどうかというのはあるにしても、少なくとも現時点としてはなんらかの引当てをやっぱり積まなければいけないであろう、全額になるかどうかは別にしまして、そういうことだったのではないかと思います。全部いきなり325億円が飛んでしまうことではなかろうかと思います。その辺のところは監督部長から。

  • 監督部長) 引当てゼロでは無くて、確か5割引当てをしてあったというふうに承知しておりますから、それが仮に飛んだとしてもですね、債務超過にはならないということであります。

  • 問) 監督側として、プルデンシャルが再度支援を表明していることについてどういう見解でしょうか。

  • 長官) これは現在申し立てを行ったばかりで、いずれ裁判所の下で更生計画が作られると思いますけれども、裁判所がどこを選ばれるかということにかかってくるので、今のところプルデンシャルに決まったわけではありませんのでどこになるか裁判所が更生計画を策定される中で、これから決めていかれることではないかなと思います。

  • 問) 千代田生命の管財人としてAIG傘下のアリコ・ジャパンの代表者の方が選任されるようですが、その経緯について管財人が前回の破綻の会見のときに日野長官と相沢大臣が強い期待を表明された、他にスポンサーとして名乗りを上げているところもあったけれども、これについては考えずに、まずはそこに声をかけるのが当然だと考えたという話があったのですが、今回の協栄生命の件についてはこういう期待感ということを表さないのですか。それは千代田生命の時と差があるのですか。

  • 長官) 確かに東京地裁は、昨日ですか、AIGをスポンサーとして更生計画の策定を行うこととして事業管財人に在日のアリコ・ジャパンの代表者の方になって頂いたというふうに承知しておりますけれども、会社更生手続の下ではどういった方の支援を前提として更生計画を策定するかということは、あくまでも裁判所が判断する事柄でございますので、今回は裁判所がどういうことでお決めになったのか、私どもは承知しておりませんけれども、AIGがかなり早い段階から千代田生命の支援方針を表明して、AIGをスポンサーとすることが、早期の更生計画の策定につながるのではないかと恐らく考えられたのではないかと思いますし、それから、そういったことを総合的に勘案して決定されたものではないかと思っております。まあいずれにしても別に私どもとしては、AIGと千代田生命の是非とか、あるいはプルデンシャルは排除しなければならないとか考えているわけではありませんので、あくまでも保険契約者の保護が十分に図られるように保険契約者等の保護に配慮した更生計画が策定されるということを強く期待しているところでございます。

  • 問) 保険契約者に冷静な行動をと呼びかけられているのですけれども、中堅の11位、12位のところが破綻したということ、あるいはソルベンシー・マージン比率が200%を越えていることが破綻したことを考えると、やはり冷静にと言われても大丈夫かなと、よく分からないなと思われる契約者の方がいると思われるのですけれども、それについてはどう説明されるのですか。

  • 長官) 確かに保険会社は全てに厳しい経済状況、あるいは競争が大変厳しいといった環境の下で、それぞれ経営の効率化の促進であるとか、業務提携あるいは自己資本比率を充実させるとか、いろいろ経営基盤の強化に努めているところですが、こうした取組みを通じて、生命保険各社が経営の健全性を確保されることを、私ども期待しておりますし、そればかりではなしに、私どもとしても必要があれば、監督上の措置については適時適切に対応して、今後保険会社の経営の健全性の確保を図って参りたいと考えておりますので、保険契約者の方々には是非とも冷静な行動をお願いしたいと思っております。

  • 問) 適時適切な対応というのは、早期是正措置の適用の厳格化とかそういうものも考えているのですか。

  • 長官) そういうものも含めてですね。

  • 問) ソルベンシー・マージン比率のゼロ、100、200という基準を変えるということ、あるいはソルベンシー・マージン比率の計算方法を見直すといったことは考えているのですか。

  • 長官) 基準そのものを変えるつもりはないですけれども、例えば今回のようにダブル・ギアリングのような場合には計算に加えないとかですね、今年の春にそういった改正をしておりますので、ソルベンシー・マージン比率の100、200に対応する早期是正措置そのものを動かそうとは思いません。ソルベンシー・マージン比率の計算そのものは今年の3月に変えたばかりなのですけれども、今後とも計算のあり方、つまり例えばダブル・ギアリングの場合には算入することを否認すると、あるいは劣後債の算入限度額は451億円というふうに厳格化したかと思いますけれども、やはり早期是正措置が有効に機能するためには、ソルベンシー・マージン比率そのものが、経営の健全性を的確に表すことが重要だと思いますので、その見直しに努めてきたわけですけれども、今後ともソルベンシー・マージン比率が的確に経営の健全性を表すことができるような、そういう内容を充実していくことに努めなければならないかと思います。

  • 監督部長) いずれにしても早期是正措置も、もちろん今長官が申し上げたように、いろいろ状況に応じて見直す努力は続けなければならないと思いますが、保険業法上のこういう財務状況に応じた行政の対応というのは、やはり早期是正措置にも自ずから限界があるわけですから、それに併せて、例えば財務状況の報告徴求だとか、あるいは財務基盤の強化等に向けた改善策とか、そういうものを聴取するといった制度があるわけですね、こういったものを全体として、うまく的確に運営しながら適切な監督に努めたいということでございます。

  • 問) 保護機構の財源問題なんですけれども、これはやはり千代田生命と同様に、財源問題につながらないのですか。

  • 長官) 先程申し上げましたように、当社の9月末の見込みの数字ですけれども、これだけからいいますと、機構の世話になるとしても、ごく限られた数字に止まるのではないか、場合によっては、もうお世話にならなくても済むのではないかなと思います。

  • 問) ソルベンシー・マージンとか、実質債務超過とか財務状況もあるのですけれども、かなり千代田にしても協栄にしても、破綻の動機というのは大きな逆ざやというものが、相当大きな動機になっていると思うのですけれども、いくらその他の生保が財務状況がまだ破綻に至るまでにないといっても、かなり潜在的に破綻の恐れというのが相当高いのではないかという感じもしないのでもないのですが、その辺りは如何なのでしょうか。

  • 長官) 逆ざやの解消は、なかなかこれは困難で、金利にもよりますので、お約束した金利を上回るだけの資産の運用をするというのは、大変難しいわけですけれども、それは経営者の努力によって、こういった状況の中ででも、なおかつお約束した金額・利率以上で運用できるように、あるいは収益源の方を極大化することができないとすれば、費用の方をできるだけ極小化・最小化するよう努めるということによって、全体としての利益を何とか生み出すことができるように努力をしていかねばならないのかなと思います。

  • 問) 今長官が仰った費用の最小化なのですけれども、なかなかここに出ている数字だけでは読みとれないのですが、例えば協栄生命では役員が破綻した現時点において16人いるわけですね、健全化計画を実行している銀行なんかに比べて、破綻した生保のリストラの状況というのが最後まで本当に努力したのかという感じさえもするわけなのですが、その辺りはどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。

  • 長官) 役員の数、つまり会社にとって支出の面について、それをどういうふうに会社の経営陣が考えていくかということと、それは経営の考え方にもよるだろうと思いますし、それぞれの会社が役員が多いから、即その財務状況が大変苦しくなったというふうには必ずしもつながらないので、それぞれの役員が例えば保険契約者を獲得するのに一生懸命努力してくれるような役員であれば、多少数が多くても、そこは必ずしも数が多いだけをもって保険会社の経営にとってマイナスだと言い切れない面もあるのではないかなと思います。だから必ずしも、銀行あるいは証券と業態が違いますので、横に並べてみて数字を比較しながら、いろいろ見ても業態の差というのが自ずからあるのかなと思います。

  • 問) 協栄生命はチルメル方式で掛け金を積み立てているものと思うのですけれども、積み立て不足額というのはあるのですか。

  • 保険課長) 責任準備金の積み立て方式ですけれども、チルメルを採用しているところももちろんございます。協栄生命については、確かにチルメルを採用していると思いますけれども、それに対してその積み立て不足というのがあったかどうか、あるいは少なくともそれほど大きいということはなかったかと思います。

  • 問) 先程9月末の時点で実質債務超過というのは、聞いている限りではないということだったのですが、これは他の生保から大体の数字の報告を受けた上でのご発言だったのですか。

  • 保険課長) 9月の数字について何か報告を受けたということではございません。

  • 問) 他に何も聞いていないと、ないであろうということですか。

  • 保険課長) そういうものがあるというのは聞いていないということです。

  • 問) 報告がないというのは、聞いているはずはないことですよね。

  • 保険課長) それは、その通りですけれども、全体の状況等を見ながら特にそういう会社があるというのは聞いていないということです。

  • 問) 正確なところは、早急に報告してもらうということをしなければ判らないということですね。

  • 監督部長) 直前の3月決算の状況とかですね、そういうものを見ながら、そういう債務超過になっているというような心配はないじゃないかと思っているのですが、念のため、こういう破綻が続いたということもあって、早急にですね状況を改めて精査してみようということで要請をしようということでございます。

  • 問) 前回、千代田生命の時に財務状況は聞いたけれども、契約の解約はどれだけ進んでいるのか聞いていなかったと思うのですが、今回はその報告徴求してもらう中にですね、財務状況以外にも解約がどの程度進行しているかということもちゃんと聞いているのですか。

  • 保険課長) そこについては、まだどういうような形になるかとかは、決定しているわけではありません。

  • 問) 何を聞くかとかを、どういうデータを聞くかということをですか。

  • 監督部長) いずれにしても今の状況で念のため9月期の財務の状況についてできるだけ早期に把握したいということを申し上げているので、その中身としてどういうことを要請するかということをよく考えてやりたいというふうに思ってます。

  • 問) 先程長官の仰った「私が少なくとも聞いている限りでは他にはございません」という、「他にございません」というのは、何を基準に仰っているのですか。

  • 長官) 何も聞いていないから、そういうふうに答えたのです。

  • 問) ございませんと言っている意味で受け取ったのですけれども。

  • 長官) 悪いところがあるというふうには聞いていないということです。

  • 問) 聞いていないという意味で見ると、ないのですか。

  • 長官) はい。

  • 問) 千代田生命の時もあったのですが、保険契約者の方への当局の情報開示のあり方についてこれでいいのかという指摘も出ているのですが、その辺についてはどう考えているのですか。

  • 保険課長) 千代田生命の場合も、また今回の協栄生命の場合も一つ要素としてありますのは、他社あるいは他の金融機関からの支援とか提携といった話があるわけでございます。これらの会社について、更生手続の申し立てということになったのですけれども、そこの判断の一つの大きな要素として、そういった提携交渉の成り行きというようなことがあったのかなというふうに思います。提携交渉についてはご案内のようにそのこと自体がなかなか中身をオープンにするわけにはいかないというような事情もあったのかなというふうに思っております。そういった意味から両社に関しては、その時点での判断として、このまま継続していけば、却って資産の毀損が進み、保険契約者ですとか、そういった方々により多くの迷惑をかけることになるというようなことになると、こういった判断からこういった申し立てに踏み切ったというふうに聞いております。

  • 問) もちろんそうは言っても、是正措置の開示の問題にもつながるのですが、契約者なり預金者なり、例えば突然に破綻するという言わば声が高まっているということが言えるのですが、その点についての当局としての情報開示のあり方ですね、その辺は基本的には何も変わらないということですか。

  • 監督部長) そもそもそのいろいろな意味での情報開示は、基本的にはいわゆるディスクロージャーの話だと思うのですね。行政は適切な監督をするという観点から、いろいろな措置を講じていくわけですが、それを公表することについて、また一方でいろいろな問題もあり得ると、いろいろと前からご指摘も頂いて考えているのですが、・それの与える影響等を考えるとかなり慎重に検討しなければいけないなという状況でございます。

(以上)

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