森金融庁長官記者会見の概要

(平成13年1月22日(月)17時03分~17時18分)

【質疑応答】

問)

それでは長官の方からよろしくお願いします。

答)

今日、私から申し上げることは基本的にございませんけれども、今日あった行事、次官会議もあったのですが、大手行と言いますか、全銀協(全国銀行協会)の会合がございまして、新旧長官挨拶ということで、私からは挨拶というよりも意思の疎通を密接にしていきたいという話、それから金融システムの安定化というのが課題であるわけですけれども、日本の金融システムといった場合にはなりよりも、ここにいらっしゃる大手16行、いや私は大手16行と思っいたのですけれども、勘定したら17行でして、この17行の頭取の銀行に対する世の中の信認というものが最も重要であるというように考えているので、よろしくお願いしたいという話をして参りました。

それから、ちょっと世の中は何か株価の下落に伴って資本再注入みたいな話が出ているけれども、金融庁としてはそういう考えは全くないということで、それはなぜかということを数字を挙げて話しておきました。すなわち、株価下落の影響というのは自己資本比率でいえば、株価対策が問題になってきたのは、日経平均の水準でいうと、1万3,500円ぐらいでそうなったわけですけれども、仮に1万3,500円を昨年の9月期に時価会計を導入したと仮定して、既に資本勘定から1万3,500円による含み損分を各行の資本勘定から除いてしまうといった場合にどの程度の自己資本比率の減少効果というのか、自己資本比率に影響あるのかというと、わずか0.3ないし0.4%の話ですと申し上げました。確か昨年9月末の株価の日経平均の水準は1万5,747円だったわけですけれども、その時の大手行の自己資本比率がいくらだったかと申しますと、16行の単純平均で11.72%です。加重平均にすると12.20%ですが、いずれにしても11.72%から株価下落による影響、つまり1万5,747円が例え1万3,500円に下がって、それがかつ時価会計を昨年9月に導入したとして、それによる資本勘定への影響を考えても、0.3ないし0.4%の影響しかない、それを見ても自己資本比率への株価の影響というのは極めて限定的なんだと、問題は収益力ですと。もう再編計画を発表し、また一部再編計画を実行しているところもありますけれども、スピードをもって収益性の向上の実が上がることに懸命の努力をお願いしたいというような話をいたしました。私の方からは以上でございます。

問)

今、株価の話が出ましたけれども、与党の方で株価対策の議論、かなり金庫株の解禁を中心に具体的な議論になってきてますが、株価対策について長官としては今のところどういうふうにお考えでしょうか。

答)

与党の議論が先週から始まったばかりでございますし、また明日から連日行われるわけでございますので、金融庁としてもその議論に協力しながら、かつ注意深く見守っていきたいということに尽きるわけでございますけれども、株価対策、いつも申しますように需給面での話とインフラ面での話に2つ分かれますね。ですから、需給面の話というのはどんな良い市場が歓迎するような方策というものが出てくるかというのを注視していきたいと思いますけれども、インフラ面の対策というのは、これまでも一番重点がおかれるのは、要するに買い手が個人投資家と機関投資家にほぼ限られているような市場の状況というのは一番問題なのであって、どう個人を入れるかと、個人を投資主体として株式市場に入れるかというところが大きな課題であるわけで、これはやはりインフラ整備を着実に進めていかなければいけないわけでございまして、そういう面からの検討は一生懸命行っております。

問)

先週末の19日ですけれども、第百生命の受け皿がマニュライフに決まったことで生命保険契約者保護機構から1,450億円の拠出が必要であると、そうすると業界拠出分の残りが350億円程度ぐらいと思うのですけれども、今後の更に残っている処理を考えると、公的資金の部分の使用ということが視野に入ってくると思うのですが、このところの財源問題について長官はどのように考えられていますか。

答)

そうですね。今質問された方が仰った通りで、数字的には何の間違いもないわけでございまして、1,450億円が生命保険契約者保護機構から出て、残りが350億円で、民間から機構に拠出される資金というのが残り350億円になったということは十分認識しております。そうして後、残ったものは他に何があるかというと、大正生命であり、千代田生命であり、協栄生命であるということも認識しております。ただ皆さんご承知のように協栄のスポンサーは機構には1銭もご迷惑掛けないということを明言しているわけでございますし、大正や千代田についても今予断を持って何か言えるような状況ではございませんので、結論を言えば、私の頭は今何もその面についてはワークしておりません。予断を持たずに今後の推移を見守っていきたいというふうに思っております。

問)

今日の全銀協との会合というのは西川全銀協会長さんもお話になられたという認識でよろしいのでしょうか。

答)

先方の代表が西川さん、つまり協会長でございました。そして、私の挨拶の後、西川さんもいろいろお話になっておりました。私どもはと言えば、私は挨拶で先程言ったようなことを中心に話をしましたが、それ以外に乾総務企画局長が今度提出する法案の説明及びBISの第2次市中協議案の説明をしておりました。検査局長は特に説明することはないということでした。監督局長は何か監督上の注意点を仰っていたような気が致します。

問)

それに関して、西川さんの認識はどうですか。

答)

基本的に認識は全く同じであるということでございまして、敢えて細かいことを言って、今ご質問なさった記者の方の気分を悪くしてはいけないかと思うのですけれども、私が0.3%とか0.4%と言ったのは、日経平均が1万5,700円から1万3,500円になったとして、かつ昨年の9月に時価会計が導入された場合に、各行の言わば自己資本比率が平均的にどれくらい減少するのかという話です。西川さんがそう言ったというのはまずいのかもしれませんが、私もそれはその通りだと言ったのですけれども、日経平均のバスケットに入っている去年の4月から銘柄と大手行の保有している銘柄に言わば乖離がありまして、つまりどちらかと言うと銀行の持っている持ち合い株というのは歴史的なものがございますから、重厚、長大なものが多うございますね。日経平均はもうちょっと先端的なものを取り入れたわけでございますけれども、当然乖離があるわけで、正直言いまして連動率といいますか、そういうものは我々は6、7割だと見ております。西川さんが6、7割と言ったわけではありません。ちょっと違うのではないですかと言ったものですから、それは我々の方も計算してまして、大体去年の9月末から12月末までの日経平均の株価の動きと大体大手行が持っている株の動きを比較致しますと、連度率6、7割だということは、0.3%ないし0.4%と言っても、実は正確に言うと、その6、7割が効いてくるということでございますから、0.4%としても0.24%ぐらいでのことを、すなわち自己資本比率には1万3,500円ぐらいでの下げでは、ほとんどインパクトがないということを申し上げたかったわけでございます。

問)

自己資本比率の点で伺いますが、円安の影響というのは考えらてれいるのでしょうか。外国向けの外貨建ての債券など、国債とかではない貸出債権とか増えているところは、円安がかなり進んでおりますが、そういった影響はないのでしょうか。

答)

当然、リスク・アセットに響いてくる話でございますから、リスク・アセットを分母としてなっている場合には、円安に響けば、確かに自己資本比率が落ちるということでございますけれども、一方においてどれくらい、何と言うんでしょうか、ボンドの場合はヘッジなので、貸出金の場合にはそういうことをしているのか、してないのかは私はよく知りませんけれども、今の計算にはそれらの影響は入っておりません。

問)

今の自己資本比率について、16ないし17行をバスケットで見て0.3ないし0.4低下ということですか。

答)

そうでございます。

問)

全然これだと問題ないと思っているのでしょうか。

答)

単純平均で0.4%です。

問)

ブレというところは、我々やはり気になるところですが。

答)

すみません。減少幅は単純平均で▲0.4%、加重平均で▲0.3%です。

問)

もう一度、加重平均をお願いします。

答)

はい。加重平均の合算ベース、加重平均で▲0.3%です。その前提は先程申しましたように(昨年)9月に時価会計を導入致しまして、9月の1万5,747円という水準を1万3,500円に置き換えたら、いくら自己資本比率が落ちるかをシュミレーションした結果でございます。

問)

大手行全体で見れば、全然大丈夫ですよという話ですね。

答)

もちろんそうです。全体を見なくても個々で見ても2桁を達成していると意味においては問題ございません。かつ私が申しましたのは各銀行の政策保有株のバスケットが日経平均と同じだとしてもという意味でございますから、先程申しましたように連動率が6、7割ですからもっとインパクトは小さくなると、こういうことでございます。

(以上)

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