森金融庁長官記者会見の概要

(平成13年2月5日(月)17時00分~17時20分)

【質疑応答】

問)

それでは長官の方からよろしくお願いします。

答)

本日は皆様への投げ込みでお知らせしました通り、私の方からは関西さわやか銀行と言っていいんでしょうけれども、銀行への免許付与ということを致しました。関西さわやか銀行につきましては、皆様ご承知の通り、幸福銀行の受け皿として、W・L・ロス・ジェネラルパートナーが運営するアジア・リカバリー・ファンドが受け皿になって、同ファンドがアメリカに日本インベストメント・パートナーズLPを作って、言わばそれを親会社として、その子会社に関西さわやか株式会社というのを作りました。20億円ほど確か最初に出資したと思うのですけれども、同社が免許申請をして参りまして、本日免許を付与しました。確か2月26日を営業譲渡予定日にしていると思うのですけれども、その営業譲渡を受けて開業する時には、資本金を240億円までしておくということで、240億円という資本金が集まることはもうコミットしているわけですけれども、集まった暁には確か6.5%ぐらいの自己資本比率になるということです。それを前提に免許の審査を進めて、財産的基礎の面での収支尻の見通し、銀行法上は営業開始3年後に黒字になっているということ、それから3番目には社会的信用、これは銀行法の要件であり、それに加えまして、いわゆるガイドライン、異業種による銀行業参入等の場合のガイドラインというものをもう既に発表しておりますので、その面からの審査、即ち親会社からの独立性の問題、それから親会社のリスクを遮断する問題、そしてまた個人情報についての問題、こういう3つの大きなポイントもクリアいたしまして、免許を付与したということでございます。

6.5%でありましても十分健全な銀行ではございますけれども、更に120億円ほどの公的資金の申請の意図があるというふうに聞いております。それについてはそういう申請がなされれば、今度は地域金融機関の資本増強についての基本的考え方に添いまして、審査が行われるということになろうかと思います。私からは以上でございます。

問)

先週の金曜日の閣僚懇談会で柳澤大臣が例の3省庁の連絡会についてお話されて、公式な形で動き出したという感じだと思うのですが、改めて柳澤大臣が仰る理念、金融再生のための産業再生が必要だという理念のところは非常に分かりやすいのですけれども、具体的に何をやっていくのか、実際、金融庁なり、各省の政策にその場での議論をどういうふうに反映させていくのかとか、そこら辺の具体的なところをもう少し分かりやすくご説明頂きたいと思うのですが。

答)

正直申しまして、経済産業省とは先週第1回目を開きまして、また国土交通省とはまだ準備会、準備会合みたいなものを先週開いただけでございまして、全ての論議というのは、言わば今後の話でございます。

今の記者の方のご質問というのは明確に我々、そのシナリオを書いて、何か結論めいたものを出そうという時には、今のご質問に明確に答えられると思うのですが、実はそういうことで意見交換会を始めようというわけでは、正直言ってございません。柳澤大臣も仰っていられる通り、金融再生ということと産業再生というのは言わば車の両輪でございまして、金融機関を所管している金融庁と、各業種をどちらかと言うと不良債権が多いとされている業種を所管しているこの2省との間で意見交換をし、認識の共有を目指すということは基本的には良いことだと思っておりまして、各省庁とそういう意見が一致いたしましたので、意見交換会を始めたわけでございます。

ただ、柳澤大臣も仰ってますように、金融機関の不良債権の抜本的処理という観点からいけば、言わばその借り手になっている方の構造改革というものが基本的に進んでいくということが望ましいわけでございますけれども、その構造改革を行うのはまさにその企業自体でございまして、行政の方から何か働きかけると言っても、言わばピア・プレッシャーのような話ではないかと思うわけでございます。根拠法もなくして、なかなかとやかく言うにも限界があると思います。ただ、関係省庁間でこういう話をしているんだと、こういう認識の一致があるんだということを、当該業種に伝えるだけでも、私は構造改革を進める上ではプラスに働くのではないかというふうに思っております。

話が緒についたばかりでございますので、どういうふうな話になって、どういうふうな話を今度、業界にするのかというところまで、担当者も頭に置きながら話をしているわけではございませんので、今後の話の進展というものを見守っていきたいというふうに思っております。

問)

先週の金曜日の閣議後の会見などを見てますと、省によっては若干、この問題に対する受け止め方というか、柳澤大臣とはやや温度差があるのかなという感じもするのですけれども、長官はその辺はどのように感じてらっしゃいますか。

答)

皆様の報道で、平沼大臣が何を仰ったか、あるいは扇大臣が何を仰ったかというのは承知しております。ただ、私自身が直接大臣に確認したわけでもございませんので、あるいはその真意なるものを私が正確に把握しているかどうか存じません。ただ、今の記者の方のご質問が、柳澤大臣の積極性に比べて、やや温度差があるのではないかという意味でのご質問であるならば、温度差というのはどういうふうにとらえるのか分かりませんけれども、私は必ずしもそうは思っておりませんで、例えば扇大臣がこれまで20世紀に日本が築き上げた技術というものを大切にしていきたいというのは、全くそれはその通りでございます。

私どもも誤解のないように申し上げれば、我々はゼネコンなら、ゼネコンの構造改革というものを、言わば後押ししたいと思っているわけでございまして、構造改革の中身というのはいろいろあると思います。私がこういうことを言うのは僣越かと思うのですけれども、私なりに、私の個人的な理解では、例えばゼネコンを採って見ても、過去のバブルの時の負の遺産というものが重くのしかかっていると思いますけれども、その本業における営業力といいましょうか、業務純益力というものはそれぞれあるわけでございまして、従って負の遺産を償却しながら、どう生きていくかということは、各企業が考えていることでございまして、その中には極めてスリム化して技術を生かしていくところも当然あるわけでございまして、そういうものも含めて、我々は構造改革と言っているわけでございまして、何かある一つの方向に決めて、何か構造改革というものを進めようということではございません。そこら辺のことを国土交通省の専門の方々といろいろ議論をしていきたいというふうに考えているわけです。

問)

例の株価対策で金庫株の解禁を巡って、与党の中で、時期については意見の相違があるようなんですけれども、基本的に金庫株を解禁してもいいのではないかという議論がよくあって、それに併せてインサイダー取引の規制の見直しみたいな、これをもっときちんとやるべきだという議論があるのですけれども、先日、その関係で長官が証取法の見直しみたいなことはあまり考えていないというふうに仰っていたと記憶しているのですが、改めてそのことについてお考えをお聞きしたいのですが。

答)

やや訂正じみるかもしれませんが、まず金庫株の問題に対して、基本的にはグローバルな観点、あるいは株式市場のインフラ整備という観点から検討されるべき問題だと認識しております。その中で金庫株解禁が相場操縦、あるいはインサイダー取引というものの副作用が懸念され、それに対しては証取法の世界で手当てをしなければいけないと、そういうふうな議論かと思うのでございます。

私が証取法について、今のところ頭にないと申し上げたのは、日本のインサイダー取引規制というものは、アメリカの規制に比べまして遥かに緻密に書いてあるわけでございまして、あとは運用の問題だというふうに認識しているから、そういうふうに申し上げているのであって、金庫株の解禁と証取法が関係ないというわけではなくて、それは大いに関係しているわけでございます。

ただ、個々具体的に言えば、それは商法の改正で金庫株を認める場合に、証取法を全くいじらなくていいかというと、それはテクニカルにいろいろ引用する条文等を、例えば、個々具体的に私はそこまで法案のドラフティングまで話が進んでいるわけではございませんので、言葉を控えさせて頂きますけれども、これはやはり場合によっては証取法の改正につながるかもしれません。ただ、私が言いたいのは、サブスタンスの面でそんなにインサイダー取引について、どうこうしなければいけないということが大きな問題になるとは思わないわけでございまして、それは運用の問題だと、それほど日本のインサイダー取引規制というのはきちっとできているということを言いたかったわけでございます。

問)

先程の3省庁の連絡会議の件なのですけれども、どういうような話をしているのかということを業界に伝えることでも、何らかの意義があるというお話をされたかと思いますが、それは何か個別に省庁連絡会議の議論を業界に対して、こういう話をしているんだ、こういうことを検討しているのだ、といったふうな話を伝える場を設けるのでしょうか。

答)

それは借り手側については、それぞれの官庁がいろいろな機会に意見交換というのは常にしているわけでございまして、それぞれの材料にそういうものを乗せるということでございますし、金融機関につきましても、我々フォローアップという作業の中でいろいろ金融機関と話しております。そういう中の話す材料の中に含めるということであって、何か特別に意見交換会みたいなものを考えているわけではございません。

問)

大臣の省庁連携の直接的にそういう再編を誘導するつもりはないけれども、再編を念頭に置いた気持ちで仰られたと思うのですが、その関係でお伺いしたいのですけれども、個別名は出さないにしても業界の議論として再編のあり方を、省庁で連携して話していく中で公表していくことを考えると、それが要するに結果的に銀行の不良債権の問題につながっていくということでしょうか。

答)

いろいろ業種によって、再編の効果というのも差があるという、再編という意味がですね、例えば二つの企業が合併して一つになると、あるいは二つの会社に持ち株会社を作ると、そういうものを称して再編ということであれば、業種によって再編による収益性の増加というのは、いろいろ違うのだろうと思うのですね。ですから、鼻から構造改革イコール再編というふうには捉えておりませんと、私が申し上げたのは、そういう面もあるわけで、そこら辺も国土交通省なり、経済産業省との話し合いで、いろいろな業界を採り上げるかと思いますが、その業界における再編のメリットとは何であろうかというようなことをもちろん議論していくことになろうかと思います。基本的には、銀行もそうでございますけれども、それぞれの業種について申しましても、基本的には業務純益力の向上、収益性の向上がそれによって負の遺産を償却していくということが、一番重要な点ではないかと思っております。

問)

今の金庫株の話なのですが、インサイダー規制を公明党なんかが挙げていますが、今のご見解は東証のルールなり何なりというところで対応できるということなのですか。

答)

正直言って、もちろん今仰られた与党がそういう手当てに言及されていることは認識しておりますけれども、仮に金庫株が解禁された時に、私、法律は相当精緻に出来ていると申しましたけれども、あるいは更に何かする必要があるのか。更に運用ということで、今の方が仰ったように東証のルールあるいは改正ということでいくのか、正直言いまして、内部の中でそんな検討まではしているわけではございませんで、今現在与党3党PTの議論を注意深く見守っておりますとともに、金庫株についてはまずは法務省がどのようなお考えをお持ちになるかということも注意深く見守っているところでございます。

問)

今の点ですが、金庫株が解禁されてから考えるのですか、商法改正と同時にですか。

答)

もちろん考え方というのは与党から出ると思うのですね。いつ出るのか存じておりませんが、早い時期に出ると思いますので、そういう考えが示されれば、もちろん当方としてはそれに関わる問題点等についての検討は行っていく。もちろんベーシックな検討というのは、もちろん今いろいろな案があるわけでございますけれども、それぞれの案についてのベーシックな検討を始めていますけれども、私が申し上げたかったのは、具体的に証取法上の何条のあれをどうするとかこうするとか、そこまでのディーテイルな検討とかは進んでいないということを申し上げただけで、もちろん何か大まかな問題点があるかどうかの検討はもう既にやっております。

(以上)

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