森金融庁長官記者会見の概要

(平成13年3月5日(月)17時04分~17時43分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

私の方から特に申し上げることはございません。

問)

金曜日に株価が大幅に割り込みまして、今日は持ち直しているようなんですけれども、金融機関への影響、赤字も懸念されており、その辺についての長官のご見解をお伺いしたいのですが。

答)

確かに、このところの株価の急激な下げ、先週の下げは日経平均でいきまして、1,000円近くの下げだったと思うのですけれども、極めて懸念する状況だというふうに思っております。

日本の金融機関との関連で申し上げれば、米国の金融機関と違いまして、主要行でいきますと総資産の7.7%、約38兆円を保有しておりますし、地域銀行でも3.0%、約8兆円近くを保有しているという状況でございますので、株価の下落が金融機関の健全経営に影響がないとはもちろん言えないわけでございまして、そういう面から株式市場の動向については、常に注視しておりますし、最近の状況に対しては懸念もしております。

ただ、皆さんもご承知の通り、主要行につきましては、一部の銀行を除きましては取得原価法を採用しておりまして、この3月期の決算に影響があるというふうには思っておりません。なお、今年の9月期からは時価評価が強制導入されるわけでございますので、今のような状況のままですと、当然銀行の利益に影響が出てくる話でございますので、各金融機関一層の収益の向上策が期待されるという状況に変わりはない、やはり収益を上げていかなければいけない。ただ、銀行の健全性というものを自己資本比率で考えた場合には、銀行の健全性そのものには、私は大した影響は出ない。これはこれまで主要行に対して7兆5千億円、資本注入致しましたし、また地域金融機関にも資本注入と同時に相当程度の第三者割当増資で、それぞれの銀行は自己資本の充実策をこれまでやってきたわけでございますので、株価の下落が時価会計を導入されても、自己資本比率にはそれほど響かないと、前にも申しました通り、昨年の9月の決算の時における日経平均は1万5,747円でございました。

今の状況はそこから約2割ぐらい下がった状況だと思いますけれども、主要16行合算ベースで見た時に昨年の9月末の自己資本比率は12.3%でございました。それが2割下がっても11.5%、0.8%の自己資本比率の下落ということでございまして、国際基準行としての、最低基準である8%からはかなり上回った水準にあるわけでして、そういう意味から、株価の下落が銀行の健全性そのものには、それほど影響はないということが言えると思うのですが、しかし、利益で賄えなければ、剰余金も取り崩さなければいけないとか、そういうことも出てくるわけでございますので、決してまた、前に戻るわけですけれども、こういう株価の状況というのは、銀行にとってもちろん好ましいわけではございません。

また、0.8%ということに少し注記させて頂きますと、銀行の持っている株が日経225の225種類と同じだと仮定して、0.8%でございますので、銀行が実際持っている株の種類からいきますと、その連動性というのはその6、7割ではないかといわれておりますので、そうであるならば、銀行の健全性そのものに、つまり自己資本比率そのものに与える影響というのは0.8%からもっと小さくなるというふうに考えております。

問)

株価が下落している原因の一つとして、リンク債の問題が出ていると思うんですけれども、リンク債の影響で、投資家が損をしやすいような仕組みになっているという指摘もあるんですけれども、制度面での改革とか、それからリンク債を行っている外資系について、今調査をしているようですが、その辺の対応、対処のお話をお伺いしたいのですが。

答)

大臣もリンク債のことについて触れられております。ただ、同じような問題はEB債にもあるわけでございまして、エクスチェンジャブルボンド、つまり他社株転換権付社債というものについては、現実に証券会社のトレーダーというのでしょうか、それが現実に違法行為をしたということで、証券取引等監視委員会が個人勧告し、近く日本証券業協会から処分がなされると思います。極めて遺憾なことが現実に起こったわけでございます。

そういうことから、基本的にはEB債と同じような仕組みを持っているリンク債につきましても、そういう何か不正があるのではないかということの風評があることは承知しておりますけれども、その辺のところは、証券取引等監視委員会が常に市場を監視しておりますので、証券取引等監視委員会がしっかりと対応してくれるものと考えております。

いずれに致しましても、超低金利時代に日経リンク債であれ、EB債でも同じなんですけれども、買う人間からすれば、デリバティブであるので、得することもあれば損することもあると、例えばの話ですけれども、商品設計によっていろんなところが全部違うのですけれども、今の超低金利時代に3カ月で年利にして、4%稼げるというものであって、日経225リンク債であれば、この程度の幅があれば、ノックインの状況までに値幅があれば、大丈夫だろうと、こう思ってお買いになる。それが現実には日経225が急落して、そのノックイン価格を更に下がってしまうという状況が起きていると、こういうものについて、今ご質問のなさった記者は制度的に何か考えるのかというご質問かと思うのですけれども、EB債にしろ、リンク債にしろ、これは極めてグローバルに考えれば、一つの個人向け投資商品として確立しているものでございまして、日本の市場だけ、そういうものを売ってはいけないというわけにはいかないだろうと思うのですね。

問題はそれについて何か違法行為があるかないかと、違法行為があった時にはしっかりと罰するということによって、市場の信認を保つということが重要なのではないかと思います。

そういう意味におきまして、先程ちょっと申し上げましたEB債について、これは本来、リンク債のノックイン価格とちょっと逆の話で恐縮なのですけれども、他社株転換権付、その他社株があるA社の株だとして、A社の株がある一定価格よりも、一日の終値で、一日でもある価格を上回って終値をつければ、ボーナスクーポンが出ると、7%が14%になると、クーポンがですね。そういう時に発行元の利益を考えたかどうか、その点については確たるエビデンスはないわけですけれども、終値寸前のわずか2分間の間に、そのボーナスクーポンが払われる上限価格より下の値で指値をすると、それは板を見ていれば分かるわけですけれども、ずっと上がり基調の時にいろんな指値がある時に、売りの方がその価格より下の指値をポンと出したら、当然その終値、最後の2分間、1分間の時にそういう指値だったら、終値はある価格より下で決まってしまうわけです。これは個人投資家の夢を全く違法に打ち砕く行為であって、投資家保護の観点からも大問題でありますし、そんなことが東京市場でできるんだということになるならば、これは市場信認そのものの問題だということにもなるわけでございまして、そういうことで証券取引等監視委員会はいろいろ懸命に検査をした結果、作為的相場形成だとして証券会社の外務員個人の問題だととらえたということです。

証券取引等監視委員会は個人に対する処分の勧告をしたわけでございますけれども、監督当局である金融庁としては、これを個人の問題であるというだけで片づけるわけにはいかないと考えておりまして、法人としての証券会社にも問題があるというふうに考えました。従って、外国証券会社2社に対して責任の所在の明確化及び内部管理体制の強化など、再発防止策について報告徴求をかけますとともに、そういう違法行為によって損害、損害というのはこの2社の場合はボーナスクーポンがもらえるところがもらえなかったという意味での得べかりし利益が損害になったわけですけれども、それについてもどうするんだと、投資家への対応の在り方についても検討するよう指示を致しました。

その結果、先週の金曜日、そのうちの1社からもちろん内部管理体制の強化等の改善策とともに当該違法行為がなければ、本来支払われたであろうボーナスクーポンの相当額、約7,700万円について自主的に各投資家に損害賠償するということが報告されたわけでございます。ちょっと長くなって申し訳ございません。

問)

金融機関の不良債権の直接償却の促進策なんですけれども、自民党の内部では強硬することに懸念を示す声も出ているんですが、現在の進捗状況と、理解されていない部分もあると思うのですけれども、そこら辺のお話も伺えればと思うのですが。

答)

まず、その進捗状況はどうかと言われれば、前にも話しました通り、不良債権の直接処理ですね、直接処理を図るということが、金融の再生と産業の再生を両方、まあ目的からして、そういう直接処理を進めることが重要であるという考え方に立って、産業を所管しております経済産業省、あるいは国土交通省との事務連絡会を重ねておりますとともに、金融サイドにおいては金融機関からどういう、今まで直接処理を進めるに当たって、何か制度上、障害になったものがあるのか、あるならどんなことがどういう制度上の環境整備がなされれば、直接処理が進むのかといったことを懸命にヒアリングしている段階でございます。また単に金融機関からだけでなく、有識者とされる方からもいろいろなお知恵なり、意見を聞いているところでございまして、まだ皆様方にこんな環境整備を図りたいと考えている、それによって直接処理を進めたいと考えているというところまでいっていないということでご勘弁頂きたいと思います。

ただ、今ご質問だった記者のもう一つの点、そういう直接処理を進めることが、一言で言って、いろいろデフレ効果がある、また、こういう極めて足元の経済が厳しい時に、そういうことを進めていいのかという面でございますけれども、これにつきましては、前の会見でも、私申し上げさせて頂いたと思いますけれども、我々はこの直接処理ということについての、どこに我々のイメージがあるかと言えば、やはり過剰債務を抱えた企業について、大臣のお言葉を借りれば、ミシン目をつけて、そのうち不採算部門を言わば削ぎ取って、採算部門だけで再出発していくと、それによって金融機関に残った残債権の債務者区分も上がり、また企業側からすれば、過剰債務を切り捨てることによって、再生を果たせると、そういうことにあるわけでございます。

問題はその不採算部門にどの程度の雇用があるか、あるいはそれを切り捨てることによって、どの程度の経済へのインパクトがあるかということでございますけれども、前にもちょっと申しました通り、これまでも68兆円の不良債権の処分損のうちで、約8割くらいは直接処理でやってきたわけでございまして、今回やろうとしていることが何か、飛び抜けて経済にインパクトを非常に短期間に与えるようなこと、そういうおどろおどろしいことをやろうというわけではないことを一つご理解頂きたいなあというふうに思っております。

ただ、やはりキャッシュ・フロー分の有利子負債ということで、つまり負債償還年数というのでしょうか、そういうもので全産業を眺めて見た場合に、ここ1年で相当改善してきておりまして、全産業平均では11年ぐらいでございますか、更に製造業だけとれば7年ぐらいにまで来ているというところですけれども、一方において、不良債権となっている率が高いとされている三業種、建設、不動産、流通業で見ればまだまだその年数が大きいということが、そういう現実を見て、やや中期的な見方で日本の経済構造改革を進めて、日本の経済を非常に強いものにするには、なかなか先送りできない問題だなあというふうにも思っております。

問)

EB債の販売に関連してですが、対応を求めた1社が損害賠償に応じるというご報告があったようですけれども、もう1社の方はどういった対応になっているのでしょうか。

答)

もう1社の方も基本的には同じ対応をするというふうに報告のドラフトが、まだ報告は来ていませんけど、ドラフトが出来ているということは、もう近々報告があるというふうに私は思っております。

問)

報告の中で責任の所在の明確化というポイントもあったとご説明がございましたが、今回の問題は個人の行為なのか、それとも会社の何らかの指示によるものなのか、そういった点についての言及はその報告の中にあったのでしょうか。

答)

基本的には個々の監督の中の、まさに事柄でございますので、どういう報告があったかということについては発言を差し控えさせて頂きたいと思います。ただ、いずれにしましても、今後二度とこういうことがないような内部管理体制の確立、責任体制をしっかりするということは、こちらとしてはきちっと報告させているということでございます。

問)

それは業務改善命令みたいな行政処分も課すということでしょうか。

答)

これは監督上の、いわば行政指導でありまして、行政処分ということではありません。これは証券取引等監視委員会とともに検査に入っているわけでございますけれども、当該証券会社あるいは発行元の関わりについては、そういうものが出てこなかったので個人勧告ということになったわけでごさいます。ただ、そういうことでリーガリーに言えば、これは個人勧告ということで処分は終わったものでございます。

ただ私はというか、金融庁としては、監督当局としては、こういうことで市場の信認及び投資家の信認というものが揺るぎかねないということから報告を求めたわけで、その報告を求めてその過程において先方が自主的に当該証券会社の信認確立のためにも自主的にとったことでございます。

問)

これはちょっとよく分からないのですが、監督責任とか、ペイを払って使っている以上は、要するに結果的にこういうことを招いている以上は、僕は法人にも責任があるような気がするんですが、そこら辺は関わりがないというのは、よく分からないのですが。

答)

もう一度お願いします。

問)

ペイを払って外務員を使っている以上は、法人にも責任を免れないような気がするんですが、そこら辺はどういう形になっているのですか。デマケみたいなものは。

答)

そこは証券取引等監視委員会の徹底した検査の結果によるものでございまして、仮に証券会社との関わり合いについてエビデンスが出てくれば、それは要するにその親元というのは海外の方のわけでございますけれども、そういうところについてもエビデンスが出てくれば個人勧告ということにならなかったでしょう。だから、それだけのエビデンスがなかったということではないでしょうか。

問)

いやいや、個人でやっていても、会社のために働いている以上は、法人としての責任がそのまま確定してしまうような印象があるのですが、それがどうして個人の勧告だけで終わってしまうデマケになるのか、証取法上はどうなっているのですか。

答)

それはアレですね、すいません、証券課なり証券取引等監視委員会に聞いて頂きたいのですけれども、やはり何と言うのでしょうか、証券会社といっても歩合でトレーダーを雇っておくこともありますし、証券外務員がやったこと全部が証取法上の会社の責任というふうに直につなげられない法律構成になっているのではないでしょうか。

問)

外務員の個人的な犯罪とかに関して、例えば万引きをしたとかいうのであれば分かるのですが、根幹の部分というのは投資家に対する責任という意味では。そこはどうしてもこの事件において理解できない点なのですが。

答)

ですから、そこは証取法の、何と言うのでしょうか、こういうペナルティを課す時の法律違反の構成要件の問題だと思うんですけれども、どうしても証券会社自体の違法行為というふうに持っていくまでの証拠がなかったということではないでしょうか。

問)

そうすると今の証券取引法がちょっと甘いということになりませんか。

答)

それはしかし、どうですかね。ちょっと貴方が仰ったところですが、例えば銀行の行員が預金者のお金を横領したという時に、その個人は横領罪とかそういうことで罰せられますが、銀行そのものは罰せられるというわけではないんで、ただ、銀行は銀行の信認を維持するために当該被害にあった預金者に対しては弁償していますね。だからと言って銀行が銀行法上、罰せられるということではないと。あまりいい例ではないかと思いますが、そこはやはり法人を罰するのか個人だけで止めるのか、そこについてはやはり法律の構成要件に従って厳格に見ていく、それを見ていかないと逆に訴訟を起こされたらこちらが負けてしまうという面もあるのではないでしょうか。

問)

EBについてはそういう結果が出て、あるいはリンク債については調査中だということですが、その再発防止というのは、つまりそういう値動きについて八百長のような注文を出すのを止めろということなのか、そういう八百長ができるから素人に売る時には八百長ができるという説明をしろということなのか、どちらなのですか。

答)

まず前段の話は、それはその通りですね。後段の話の方も、これは適合性の原則だと思うんですけれど、八百長ができるから心配です、そういうリスクがありますよなんて言う、そういう説明はしろということは絶対ないと思いますね。

ただ、こういうデリバティブのものというのは、例えばA社の株を5,000円なら5,000円の時に買ったと。それで、5,000円が7,000円を超えたらボーナスクーポン、金利は2倍になりますと。逆に5,000円が3,000円を、限られた3ヶ月なら3ヶ月の間に一度でも割った場合は、その会社の株で返しますと、一切元本は保証されていませんし、金利も、金利は払われるんですね、金利は通常の金利は払う。ただし、元本の代わりに株券で返すのが、ある3,000円なら3,000円を割った時ですね。それがEB債ですね。

そういうことの説明、これは当然しなければいけないわけだし、どういう人を対象にどれだけ説明するかということは適合性の原則が当然出てくると思うんですが、そういう説明についてきちっとやれよという指導はするようにしております。

問)

ノックイン型の金融商品に関しては、2~3年前もノックイン型のデュアルカレンシー債というのですね、これは為替の方ですけれども同じような相場の攪乱、あるいは投資家保護ができなかったということがあったと思うのですが、そうした経験を踏まえて何らかの対策というのはとられてきた経緯というのはあるのでしょうか。

答)

すいません、それもちょっと詳しいテクニカルな説明は担当課に聞いて頂きたいと思いますけれども、こういう空売りを使って、アバウトに申し上げて申し訳ないですが、空売りを使って儲けていくということが、かつて日経 225を使ってやられたことはあるわけですけれども、そういう面での改善はきちっとしたと思います。ただ、その上で今日的にリンク債やEB債について何かあるのかといって、我々は散々制度的に何か不足しているところとか、あるいは今言ったようなことが何とかできないような形に何か対策があるのかということを専門的に検討はしてみましたけれども、基本的には市場監視によって、そういうものの再発、もちろん証券会社の内部管理体制の強化と、そしてあとは証券取引等監視委員会あるいは東京証券取引所による市場監視によって、そういうものは予防、再発防止していかざるを得ないのであって、その商品性そのものを先程申しましたように、そのものについてグローバルに認められているものについて、こう改善しないとその商品がなかなか認められないと、そういうものではないという結論ではないかと思います。

問)

話はちょっと変わって直接処理の問題ですが、長官は先程68兆円で、その8割は直接処理だということを仰っていたのですが、現在金融システムが依然として不安定なんだと、その辺りを前からお話を聞いていると30兆円の方にだけ原因が集約されているように伺えるのですが、そういう問題ではなくて、それ以上に他にもいろんな問題があって金融システムが不安というふうにお考えなのですか。それとも、その30兆円の処理を進めることによって、その不安定要因が取り除かれるというふうにお考えなのですか。

答)

もちろん、30兆円だけの問題ではないと思います。30兆円について言うならば、大臣も仰っております通り、それに対する資産査定と引当てというものを、少なくても前に比べれば今日の方が金融検査マニュアルを確立して、それに基づいて検査もしておりますので、その30兆円から来るシステム不安という意味においては、私はきちんと保全されているだけに、そこに金融システム不安があるんだというようなことを言うつもりはございません。

ただ、先程来申しましたように、さはされど銀行からすれば、いわば最も収益性を生まない資産をいつまでも抱えているということから、どうしても貸出サイドに貸し渋りとまでは言わないまでも、慎重な態度にならざるを得ないという欠点がございますし、企業サイドで言えば、過剰債務を抱えて上がっててくる利益を、本来なら収益部門に投資をすればいいものを、いつまで経っても過剰負債に対する元利払いに充てていると、いずれにしても産業再生、金融再生両面から好ましいことではないので、リスク管理債権30兆円という部分を段々もっと減らしていくべきだという考えについては、私は大方のコンセンサスがあるんだろうというふうに思っております。

金融システムについての不安と仰られましたけれども、金融システム不安という意味におきましては、平成10年の夏から冬にかけての、あの当時に比べれば今日はずっと金融システムに対する信認というのは回復したものだというふうに思っております。

ただ、さはされど株価がこういう状況であり、それが時価会計導入ということになるならば、銀行の利益を直撃する話でもございますので、まだまだ金融機関がさらに一層強くならなければいけない、特に収益力を上げていかなければいけないということはその通りだろうと思っております。

問)

その30兆円という問題に続けて、長官は前回の時だと思いますけれども、数値目標的なことは設定しないとお考えだと思いますが、少なくとも30兆円というのは、長官のお考えの中では米国並みの比率に、つまり1%以下ですね、その比率まで落とすべきとお考えなのか、それともそこまではとても無理だから当面の目標としてはどれぐらいが妥当かというのはあるのですか。

答)

いや、私は方向性を、つまりいつまでも横ばいでは困るということを私は言いたいのであって、米国は1.何%ですか、それに対して日本はまだ6.何%ちょっと、確かに乖離は大きゅうございます。それを一挙に米国並みというようなことは考えているわけではございません。そのリスク管理債権に対する保全状況というものが全然国によって違うわけでございまして、何遍も申しますように、確かにリスク管理債権はございますけれども、その保全状況はしっかり日本はしているわけでございまして、私はそんな懸念するような状況ではないと、それが金融機関の金融システムの不安の元であるというところまで言うつもりはございません。

(以上)

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