森金融庁長官記者会見の概要

(平成13年4月9日(月)17時05分~17時46分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

先日まとまりました緊急経済対策に関して、株式取得機構について、法案の提出時期について、与党側では今国会中と強く望んでいる方向なんですけれども、金融庁として今後どういったスケジュールで法案提出を進められていくおつもりなのかお伺いしたいのですが。

答)

銀行の株式保有に関わる部分でございますけれども、ご承知の通り、大きく分けて2つの部品から成るわけですね。一つは株式保有制限自体をどうやって、そういうレギュレーションを作っていくかという部分と、もう一つはそういう国の政策として、株式保有制限をかける以上、そこから放出される株、これが需給に一時的な影響を及ぼす、そのショックを吸収する一時的な株式取得機構というものを作る、これが2つ目の部品だろうと思います。政府・与党の緊急経済対策本部で最終的に4月6日に決定致しましたのは、結論として可及的速やかに結論を得るということになっているわけでございまして、まさに字義通り、我々は、この2つの部品を同時に懸命に作業致しまして、できる限り早く成案を得るように最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。

問)

最大限の努力ということなんですが、今国会中に間に合わせるお考えというのはあるのでしょうか。

答)

まず最初の部品でございます、いわゆるレギュレーションの部分ですね、これにつきましては、皆さんもご理解頂けると思いますけれども、銀行の保有する株から発生するリスクを銀行のリスク管理能力の範囲内に抑えなければいけない、それがポイントになっていると思うのですけれども、それではどの程度であれば、銀行のリスク管理能力の範囲内なのかと、自己資本勘定の100%なのか、あるいは自己資本といっても、Tier1を採るのか、そういういろいろな議論があろうかと思います。そういうものをこれから詰めていかなければならない。更に言えば、銀行の保有株式を制限するといっても、銀行、特に地域金融機関について言えば、銀行の果たす企業への資金供給面での役割というのは非常に重要な側面があるわけです。特に今後、ベンチャー企業を起こしていこうというような場合においての銀行の果たすべき役割というものも相当期待されていると、こんな中でどういう株を保有制限にかけ、どういう株は保有制限の対象外なのかということも詰めていかなければいけない。更に言えば、コーポレート・ガバナンスの面でどう考えていくのかと、今まではご承知のように銀行というものが、株式の持ち合いを通じて言わば安定的な株主と見られていた。それが銀行がそういうものから抜けていくといった時に企業のコーポレート・ガバナンスというものをどういうふうに考えていくのか、そんなことも議論致さなければいけないわけでございまして、レギュレーションの方につきましては、金融審議会というものを立ち上げて、細部を詰めていこうというふうに考えております。

一方、株式取得機構につきましては、これはいろんな利害関係者がいるわけでございまして、まずそういう人たちの意見というものを聴取したいと考えております。どういうスキームを作るならばワーカブルになるのかということをいろいろ関係者から意見を聞きたいと思いますし、緊急経済対策にございますように公的な支援というものも視野の中に入れるとなれば、それは財務省との調整も必要になってくると、そういうものを金融審議会ということではなくて、そういう方面の人たちとの詰めを急いでいきたいというふうに、2つ同時並行的に進めていきたいと考えております。

その結果として今国会中に間に合えば、私はそれは大変望ましいことだと思います。ただ、今からそれに対しての見通しというものは言える状況にはないと。ただ、まさに可及的速やかに成案を得るべく、最大限の努力をしていくことが金融庁に課された任務だと、そう認識しております。

問)

現実問題として、例えば金融審を経た場合なんですが、そうなると審議会の議論の結果が非常に影響があると思うんですけれども、その点で今国会までに議論を得るというのは難しいような気がするのですが。

答)

私は、そうは最初から決めつけることはないと思います。それは全く、今仰られた記者の方のやや偏った感じが私はすると思っております。と申しますのも、金融審も今週の13日に第二部会を開催致しまして、そこでこの問題を議論するワーキング・グループ(WG)をすぐ設立することをお願いすることを考えております。いずれに致しましても、懸命にやっていきたいというふうに思います。

問)

不良債権のオフバランス化なんですが、企業再生に向けたガイドラインの作成が項目に入っていたんですけれども、金融庁としてその辺の関与をどういった形で進められるのかお伺いしたいのですが。

答)

これは今仰った記者の方のご質問はポイントを突いたものだと思いますけれども、この緊急経済対策の中にございます企業再建の円滑化の中で書いてございます、経営が困難な企業の再建、それに伴う債権放棄に関して関係者間の調整プロセスの公正、透明、更に円滑化を図っていくというのは、私的整理の世界で企業再生を図っていく上で、もっとも重要なポイントだと思っております。

これは何を我々の頭に置いているかというと、一つは国際的な動きでこういう債権者、ある企業が経営困難に陥った場合に債権者・債務者間の調整プロセスの円滑化、迅速化を図るという動きは、今世界的にそういう動きが強まっているというふうに認識しております。その一番大きな団体がインソール(INSOL)という団体でございまして、もう既にこういう調整プロセスの8原則というものを発表しております。一つは私どもはそういう国際的な流れを頭に置いているものでございまして、この8原則を別にここで紹介するつもりはございませんけれども、皆さんも調べればすぐに分かると思いますけれども、それを言わば日本版として、そういうインソールの8原則のような原則を我々は作っていきたいと。それは基本的には、民がイニシアティブをもって作るべきものでございまして、もちろん金融機関、銀行も大きなプレイヤーでございますし、できれば産業界にも入ってもらえたらいいと思いますし、更に倒産法制に詳しい法律家、あるいは公認会計士という人たちも中に入ってもらいたいと思います。

そうした中で、言わば取りまとめ役として金融庁、更にできれば経済産業省、あるいは国土交通省もオブザーバーとして、オブザーバーである金融庁と同様な立場で、3省ともオブザーバーでございますけれども、民間の議論を一刻も早くまとまるようにプッシュし、それのまとめ役として、そういうフォーラム、フレームワークを早く立ち上げ議論すべく、今日も関係局に指示を出したところでございますけれども、一刻も早くそういうものを作って、議論を開始したいというふうに思っております。

問)

三菱東京フィナンシャル・グループなんですが、業績予想を下方修正しまして、3行トータルで1,770億円の赤字の見通しが出たのですが、その点についての評価と、銀行業界の現状認識についてお話をお伺いしたいのですが。

答)

これは連結ベースで見るのか、単体ベースで見るのかという話があろうかと思いますが、今ご質問なさった記者の方は単体ベースの東京三菱銀行と三菱信託銀行と日本信託銀行の合計額が、当期利益が前回予想が1,050億円の黒字から1,770億円の赤字に変わられた、これについてどう見るかということでございますけれども、その中身を精査してみますと、ご承知の通り、引当金の増で、例えば東京三菱銀行をとってみますと、前回予想が引当金2,800億円だったところが5,600億円、つまり2,800億円ほど引当金が増えたと。更に株式の強制評価損によるマイナスが1,500億円だと。この辺が東京三菱銀行について言えば、一番大きなポイントになるわけでございます。株式の強制評価損はともかくと致しまして、この引当金の増というのは前もUFJの時も私が申し上げましたように、これから足元の経済の厳しさ、景気の厳しさを踏まえた上で、もっとも保守的に引当金を積んだというふうに、先方から伺っておりまして、こういう時期において当然すべきことをなさったなというふうに感じております。

ただ、業務純益を見ますと、東京三菱銀行の例でいきますと、前回予想が3,400億円だったところを3,600億円というふうにしておりまして、予想を上回る業務純益力を出しているということで、業務純益力は落ちていないということを確認しております。更に当期赤字を計上することに伴うリストラ策というのも、ご承知の通り、同時に発表しておりまして、行員数の削減、人件費の削減、店舗数の削減ということも同時に発表しておりまして、一言で言えば、然るべきことを然るべくやっておられるという認識に立っております。

これまでご承知のように、幾つかの銀行が決算の修正を発表しておりますし、幾つかのところは発表していないという状況でございまして、現時点においてトータルにどうなるかということについては、まだ予断をもって話せない時期かなあというふうに思っております。

問)

債権放棄のガイドラインですけれども、緊急経済対策の中で確か策定した上で公表するとなっていましたが、この時期についてはどうお考えでしょうか。

答)

仰っておられるのは、先程ちょっと申しましたガイドラインのことですね、「このため、関係者に働きかけて、政府も参加する検討の場を設け、いわゆるガイドラインとして早急に取りまとめの上、公表する」と、この部分でございますよね。これは民に働きかけて、先程申し上げましたように、とにかく急がせるということは言えるわけですけれども、何分にも今までなかった調整プロセスを新たに作るわけでございますので、本当に時期について何時頃まとまるのかと、まだ関係業界がこれを見て、考え始めたばかりの段階だと思いますの できましたら、もちろん直ちに公表いたしますけれども、まだ何時というほど、自信を持って何時ということはなかなか言えない時期かなあと思います。

問)

全銀協とか経団連などに検討の呼びかけはもうされたのでしょうか。

答)

ガイドラインの件ですか。呼びかけは、とにかく呼びかけもしないまま緊急経済対策を発表したわけではございませんので、十分に呼びかけた上で相当程度のフィージビリティーがあるという認識を、金融庁ばかりか経済産業省も国土交通省もそういう認識に立って緊急経済対策に盛り込んだものでございますので、きちっと我々の呼びかけにはリスポンドしてもらえるものだと思っております。

問)

最初の会合の目途というのは、何時頃というのは決まっているのでしょうか。

答)

今日決めた会合の目途では取り敢えず、これにかかる金融審を今週中にやろうということを決めたばかりでございまして、このガイドラインの会合については、まだ具体的なところまでは、今日のところはまだいっていないと思います。

問)

金融審で検討していくというのは、どういうお考えなのですか。つまり政府・与党としてですね、閣議決定まで諮っている話を、改めてもう一度金融審に戻すというのは、何かちょっと話が逆のような気がしますが。

答)

緊急経済対策をお読み頂くと分かりますように、レギュレーションの部分であれ、一時的なスキームとしての株式取得機構であれですね、これは枠組みしか書いてございません。皆様もいろいろ新聞等でご指摘のとおり細部は何も決まっておりません。そういう対策です。その細部を、レギュレーションについての細部をご議論頂こうというのが金融審でございまして、金融審で何かゼロから出発すると、こういうわけではございません。ですから何も政府と党で決めたことをですね、知らずに議論するわけではございませんで、政府と党で決めたレギュレーションの中身を100%がいいのか60%がいいとか、どういう株を抜かしたらいいのかということをご審議い頂くと、こういうことです。

問)

不良債権の処理については全銀協とか経団連もですね、相当程度フィージビリティーがあるということですが、銀行保有株の取得機構については全銀協と経団連というのは、どういう反応で今後の協力といいますか、作っていく上での作業等での協力関係とういうのは、どういうお感じなのでしょうか。

答)

実は全銀協がこの問題について何を言っているか、あるいは産業界が何を言っているかについて、皆さんが聞いている程度と私が聞いている程度にそんなに差があるわけではございません。ただ言えることは、具体的な細目について何も白地で今までは話していたのと、これからは政府・与党緊急経済対策本部の決定でフレームワークが決まりましたと、このフレームワークの中身をどうしましょうかという投げかけとは、当然反応が違ってくると思います。私はそのフレームワークを前提に考えましょうということで呼びかけさせていただければ、私はキチンと対応して頂けるものと思っております。

問)

今のお話ですと、保有制限に関しては自己資本以内ということに関しては、以内ということに決まっただけであって、それが100%なのか60%なのかについては政府・与党内で合意はないというお考えですか。

答)

これはですね、緊急経済対策を注意深く見ていただければ自己資本の範囲内の前に、「例えば」という言葉が付いていますね。これは一つの例示でございますから、それについては決まっていないという理解をするのが緊急経済対策を読む場合には、日本語としては正しいんじゃないかと思っております。

問)

与党もそういうふうに考えているという理解でいいのですか。

答)

これは緊急経済対策というのは与党と政府が最終的に決めたものでございますので、この通りじゃないかと思います。「例えば、自己資本の範囲内とし」となっているわけで「自己資本の範囲内とし」とはなっていないわけでから。それは普通の日本語の分かる普通の日本人の普通の解釈ではないでしょうか。

問)

株式取得機構と株の保有制限は一体のものだと思うのですけれども、片方は金融審議会で採り上げて、片方は関係者からの意見聴取ということで、ちょっと株の取得機構だけですね、やや先行させるようなイメージがあるのですけれども、同時に進めるお考えはないのですか。

答)

それは同時です。物事の性格から来るものでございます。すなわち学者を始めとする有識者の集まりである金融審議会に諮るものとして何が適当であるかということを考えた場合に、我々はレギュレーションは適当であるというふうに考えたということが一点。更に言えば、ちょっと申し遅れましたけれども、先に言うべきであったと思いますけれども、レギュレーションの部分についてもいろんな方からいろんなヒアリングをするつもりです。ただ、そこでのヒアリングをしたことは金融審にも報告致しまして、金融審で一体化しようと、こう考えております。

一方、ショックアブソーバー的なものというのは、私はいわゆる行政の判断で関係者間の、如何にワーカブルなものにするかという観点から関係者からの意見は聞きますけれども、最終的には私は行政の判断でやるべきものであり、かつ公的支援というものを考えた場合には、やはり財務省との調整というのは、大きなポイントになろうと思います。

問)

先程ご紹介頂いたインソール(INSOL)の8原則の全てはともかくとして、一番のポイントを、その日本版を作る場合に一番何が参考になるのですか。例えば議論として経営責任をどうするのかとか、そう辺はどのようにお考えですか。

答)

8原則には実はそのようなものは入っていません。ですから私は、こういうものを一つのINTERNATIONAL FEDERATION OF INSOLVENCY PROFESSIONALSというものを、これは国際的な一つの民間団体でございますけれども、その中で意見集約されたものが8原則あって、例えば一時停止期間中全ての債権者は債務者に対する返還請求権の行使や与信削減策を採らないよう防止すると。これ本当に一番の基本ですね、何か企業を再建しようとする時にですね、あの企業は危ないのかと言ってですね、一部の債権者だけが回収に回ったりなんかすると、これはフェアではない。全体が同じ立場に立って、言わば関係者皆が、そこで集まってやりますけれども、そこへの与信の付与等は今までどおりにすると、そういうことをしないと企業再建と言った場合に難しいわけですね。あそこの企業は危ないのかと、それなら早く回収に走ろうなどという債権者が出てきたんじゃ出来ない。そういう債権者まで含めて一つの調整を図る。

そういう原則を作ったのがインソール(INSOL)でございますが、ただ私はインソール(INSOL)の8原則が、そのままというわけではございません。例えばこういうものを参考にしながら日本的な企業再建に何が必要なのかというものをどんどん議論して頂いて、その調整プロセスの憲法みたいなものを早く作るということであろうと思いますし、その中には経営責任も入ってくる可能性は高いと思いますし、場合によってはその株主責任というものをどう考えるかと。確かに商法の特別決議の関係では、入れると債権放棄のハードルが高くなる、入れないと関係者の納得が得られないという非常に相矛盾した難しい問題でございますけれども、そういうものだって入ってくることも当然の帰結としては、何と言うのでしょうか、入ってくることも私は当然考えられると思います。しかし、それはまず民-民の議論が主体でございます。

問)

ガイドラインというのは民間で決めるということで、当然法律とか事務ガイドラインではないわけですけれども、各銀行の利害があって、これをガイドラインに従ってもらうための強制力というのはないわけですが、その辺の使ってもらう仕組みというのは、どうされるのでしょうか。

答)

皆さん何かと言うと、強制力とかそういうものを仰られるのですけれども、これは関係者間でこういうことにしようと言ったら、当然、その関係者はそれに巻き込まれるわけです。ただし、私的整理全てがこれになるというわけではないかと思います。こういう原則から外れたところをですね、私的整理が成り立つということは大いにあると思います。

ですから、このガイドラインというのは、言わば強制的に私的整理の世界をガバナンスすると私は言った覚えは全然ございません。こういいうものを作ることによって、私的整理が進むのではないかということを一つのツールとしてこれは言っているわけで、しかも強力なツールとして言っているわけですけれども、こういう原則から外れたところで私的整理が成り立つということを排除しているわけではございませんし、関係者間でこの原則から外れたところで私的整理が成り立てば、それはそれとして我々は歓迎すべきものだと思っております。

問)

この出来上がってくるガイドラインはですね、債権放棄のガイドラインのインセンティブに使うとして、政府側に出来ることというのは、このガイドラインに従ってデュープロセスを踏んでいる場合は、産業再生法と同じように無税償却がやりやすいようにするとかですね、いろいろあると思いますけれども。

答)

そのですね、その辺もかなりこれに書き込んであるんじゃないかと思いますけれども、税務上の対応のところ、それから金融検査マニュアルの明確化のところの両方にかかってくると思いますね。即ち税務上の対応はここにございますように「税務相談体制の整備など迅速かつ円滑な対応を図るとともに、ガイドラインに基づく債権放棄の税務上の取扱いについて検討する」というところまで、この対策は踏み込んでいると同時に、金融検査マニュアル上も例えばの話ですけれども、現在は再建計画が5年以内というものを原則として、その再建計画に基づく債権放棄がなされた後の残債権を要注意先にしております。しかし6年ではだめなのか、7年ではだめなのかと、こういう議論があるわけでございまして、現在のところは5年から10年の間はですね、1、2年様子を見て残債権が破綻懸念から要注意に上がるというのが現在の金融検査マニュアルです。これをガイドラインが出来ればですね、このガイドラインに従った再建計画というものについてですね、当初から、つまり今の5年以内と同様にですね、当初から債権放棄した後の残債権を要注意先にするということは十分考えられる、そういうような見直しを行うことは金融庁としては十分考えたいと、こういうふうに思っております。

問)

政府系金融機関の方はどうですか。これは、プロセスを経れば債権放棄を可能とするということなのですか。プロセスを一つのフィルターに使うとか何か。

答)

当然公的金融機関というものが、ある企業への再建に絡まってくることは大いに考えられるわけでございまして、そういう公的金融機関もインボルブする形でもガイドラインというものが出来ることが望ましいというふうには思っております。

問)

ガイドラインの関連でですね、国際的なルールというとあまり日本的なメインバンク制度とかあまりないものが前提となっていると思うのですけれども、日本版のものを作るということになると、メインバンク制度をある程度前提に置いた損失分担の目安みたいなものを作るとか、そういうイメージはお持ちですか。

答)

私自身はあなたの持っているイメージとそう変わらないのですが、具体的には民-民の話の中で、そういうメインバンクの貸し手責任というのをどういうふうに位置付けていくのかというのは、そこでの話の過程で出て来る話だと思いますし、今の時点で私が個人的なものに感じを申し上げて、議論に予断を与えることは控えるべきだと思っております。

問)

今回の経済対策の不良債権最終処理に年限を区切ったことで、ある種、これまでの経営よりも処理に対してのスピードアップというものを求めることになると思うのですが、それを受けてですね、今までの資本注入行の経営健全化計画というものと、若干、変更というか軌道修正をしなければいけないところもあると思うのですが、そういった意味で例えば中小企業向け貸出等、この3月末を受けてのフォローアップの中で、そういった対策をどう加味されていかれるお考えでしょうか。

答)

中小企業向け貸出というのは、取り敢えず関連付けるつもりは毛頭ありません。中小企業向け貸出は今まで通りでございます。中小企業に貸し出したら破綻懸念先になるなんていう論理は全然ないわけでございまして、そこは全く切り離して考えるべきであるというふうに思っております。

今のご質問で言えば、ある意味で資本注入行と全銀行とには、もちろんズレがあるわけでございます。ただ、この緊急経済対策をお読み頂ければ分かるように、まず全銀行ベースでずっと書いてあると、即ち銀行に基づく金融機関への監督権というものを裏付けにして、我々は、遍く大手16行に対して、こういうことを要請したいというふうに思っている。そのうちの資本注入行については、もちろん経営健全化計画というものを出して頂いているわけで、それと今回の要請する内容が整合性をとれるように経営健全化計画の中でですね、各行に見直すべきところがあれば見直してもらいたいと、こういうふうに思っております。

問)

ガイドラインというものはインセンティブが含まれたものを言うのですか。つまり税制も含めたインセンティブを含めてガイドラインというのを考えていいらっしゃるのですか。

答)

順番が逆のような気がするのですけれども、まず民間の方でキチッとしたガイドラインが出来たらですね、ここに書いてございますように税務上の対応におきましても金融検査マニュアルの明確化においても対応したいというふうに考えております。

問)

早くても4月末にならないとガイドラインは出来ないということを言っているわけですか。

答)

4月末というのはどういう意味ですか。

問)

自民党の税調でちゃんと議論が進まなければ、この話はガイドラインというのは作成されないというような話ですか。

答)

税務上の対応のところで債権放棄の税務上の取扱いでございまして、これは税制の問題ではない。法人税改正とかそんな問題につながるものとは思ってません。これはまさに税務執行上の取扱いの対応を言っているものだということでございまして、取り敢えず税制調査会とは、私は関係ないものだと思っております。すなわちこのガイドラインに沿った債権放棄があればですね、税務執行当局に対して、損失処理を認めて欲しいということを我々は要望するということでございます。制度の問題ではございません。

問)

先程の質問の確認なのですが、資本注入行に整合性をとれる形で計画の中で見直すべきところがあれば見直してもらうという点ですけれども、これは経営健全化計画の見直しを最終処理の年限を切ったことに合わせて認めるという理解でよろしいのでしょうか。

答)

今、経営健全化計画の中には、不良債権の額とかあるいはその処分損、これは確か強制していないと思いますので、出しているところと出していないところがあると思うのですけれども、その辺のところを、私はいずれにしても自己規正、即ち公表してプレッシャーを受けるという世界の話でございますので、こういう一つの要請あるいは不良債権処理の枠組みというのが出来た以上ですね、各銀行にこれを踏まえて経営健全化計画の不良債権処理のところをどういうふうにしていくのかということについて問いかけをしたいと思いますし、それに応じて経営健全化計画もその部分が変わることが有り得るということを申したかったわけです。

問)

先程の金融審の件ですが、これは長官としては何時くらいまでに報告書をまとめたいとお考えでしょうか。

答)

「可及的速やかに成案」というのを、本当に字義通りに見て頂きたいということでございまして、最初に何時までにという結論は持っておりません。ただ当然、政府・与党が決めたこと、しかも可及的速やかに成案を得ろと言われているわけでございますので、私は役人の良心にかけても最大限の努力をして出来るだけ早く仕上げたいと思っておりますが、それは結果として何時になるかということを今の時点で予断を持って申し上げることは控えさせて頂きたいと思います。

(以上)


(参考資料)

PDF緊急経済対策(平成13年4月6日)(内閣府ホームページより)新しいウィンドウで開きます

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