森金融庁長官記者会見の概要

(平成13年4月16日(月)17時04分~17時22分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

抵当証券会社の大和都市管財が今日破綻しましたけれども、それについてどのように受け止められているでしょうか。また、他の抵当証券会社についてはどのような状況と把握されているのでしょうか。

答)

本日、大和都市管財株式会社に対しまして、近畿財務局の方から商法第381条第2項に基づく整理の開始原因がある旨の通告を大阪地裁に申し立てたというふうに認識しております。そして、大阪地裁の方で即日、会社整理の開始決定を行うとともに、管理人を選任してこの会社の財産の保全を行ったと承知しております。

大和都市管財株式会社は約1万人の投資家を抱え、また抵当証券の発行枚数で言えば、2万口を発行しているわけでございまして、その総額は約440億円に達しているという状況でございますので、投資家の財産が毀損されていないかということが懸念されるわけでございます。

この大和都市管財株式会社につきましては、(お配りした資料にございますように、)昨年の10月から検査を開始致しまして、その検査の目的とするところは、この抵当証券会社の財産的基礎が十分であるかどうかというところに着目した検査でございました。と申しますのも、抵当証券業規制法というのが、この規制の根拠法律でございますけれども、この法律によりますれば、登録は3年毎に更新すると。そして更新のためには財産的基礎が十分であるということが要件でございますので、その財産的基礎が満たされているかどうかというのをチェックするために検査を行ったわけです。その結果、(お配りした資料にもございますように、)財務局の検査で分かった範囲内でも50億円の債務超過が認められたということで、この検査結果が明らかになるまで更新については留保してきたわけでございますけれども、本日、更新拒否という行政処分を打つことと致しました。

私が財務局の検査でも分かった範囲内でも50億円と申したのは、実は先方の検査に対する協力度合いが低いこともございまして、当方としてはこの50億円の債務超過というものが最終的なものだというふうには考えておりません。それを表すために最後の4行が書いてあると思うのですけれども、「大幅な債務超過で実質的な延滞状態にある関係会社に対する債権に係る引当金を計上していないため、一般に公正・妥当と認められる会計処理を行うことにより、当社の財務内容は、さらに大幅に悪化するものと見込まれる」と、これはちょっと大袈裟な表現に、投資家を心配させるような表現になっているところが気になりますが、誰が書いたのかと思ったら近畿財務局が書いてございますので、そういうことなのでございましょう。

そういうことで最終的にどれだけ投資家の資産が毀損されるかということが大変懸念されるわけでございますが、本日の状況は以上の通りでございまして、当局としては出来得る最大限のことをしたと思っています。と申しますのも、投資家にとって一番重要なことは財産の保全でございまして、この保全命令をどうやって打つのかということに当局としても大変苦慮致しました。皆さんご承知のように金融機関の場合には金融再生法第8条によりまして、財産及び管理を命ずる処分が打てるわけで、そこで金融整理管財人を送り込めば、そこで言わば保全ができるということでございますけれども、抵当証券業規制法には、そういうような規定がございませんものですから、この抵当証券会社が自ら申し出て、裁判所に駆け込むという事態であれば、民事再生法なり、あるいは会社更生法なり、あるいは破産法というものが適用となるわけでございますけれども、そうでないところに対して、保全命令をどうやって発出するかとなれば、結局この商法第381条第2項の規定を適用する以外にないという結論に達して、皆様にはあまりお聞き覚えのない整理と、商法上の整理という手段を使わして頂いたわけでございます。

なお、只今のご質問の後半部分の、それ以外の会社は大丈夫かということでございますけれども、当方が把握している限り、只今抵当証券会社は56社ございますが、その中で独立系は17社でございますけれども、この56社全てについて財産的基礎を満たしていないという業者はないものと認識しております。

問)

この大和都市管財株式会社の財務内容が非常に悪化しているということを行政当局として把握されたのはいつ頃からになるのでしょうか。

答)

これは先程申しましたように、3年毎の登録更新でございますので、前回は平成9年12月に更新があったわけです。その前の平成9年6月に検査に入りまして、必要な検査を致しまして、財産的基礎を満たしていないとはいえないということで、つまり財産的基礎について、言わば登録更新を拒否するといった理由はないということで、登録の更新は認めたわけですけれども、同時に業務改善命令をその時発しております。そして、今後5年間の計画を出させて、そして毎年、毎年それを見て参りまして、確かに達成度合いは必ずしも芳しくなかったわけでございますが、財産的基礎というものの検査というのは、その登録の更新の要件になっているだけでございまして、金融機関のように毎年、毎年のように必要に応じて検査をして指摘するというふうには、抵当証券業規制法はなっておりませんので、結局、業務改善命令に基づいた計画によって、買取資金、要するに抵当証券を途中解約であれ、満期解約であれ、満期償還であれ、買戻し資金と言っていますが、買戻し資金が十分にあるかどうかについて、毎年聴取して参りまして、基本的に業況が良くなってという方向ではないという認識はあったようでございますけれども、最終的には今回の検査でこのような結果になったわけでございます。

問)

今回の件を踏まえて、法律そのものを変えるようなお考えはないでしょうか。

答)

前に、同じような次元で話せるかどうか私も自信がございませんけれども、貸金業法についていろいろ議論されました。今回は抵当証券業規制法の問題でございますけれども、現時点においてこの規制が不備であるがために今回の事件が起こったというふうに決めつけるだけの材料はなかなかないのではないかと。

やはりケース・バイ・ケースの個々の問題として、我々は今のところ捉えておりまして、事実先程申しましたとおり、他の抵当証券会社は健全にやっておるわけでございまして、この一事が出たからと言って業法を変えなければいけないというところまで、我々はそこまでは考えていないのが現在の状況でございます。

問)

投資家の財産について伺います。これまでにも10社くらいの抵当証券会社が破綻しているかと思いますが、大体どのくらいの割合でその投資家に戻ってきているのか。それを踏まえて今回独立系ということでどういった見通しなのかお伺いいたします。

答)

これまでの10社についての資料が手元にないので、それにつきましては早急に関係課からそういう資料があるならば、お答えさせていただきますけれども、ただ、基本的には財産的基礎のあるないという基準なのでございますけれども、一つは繰欠がないということ、即ち資本準備金、利益準備金、剰余金があって純資産比率が100%以上であるか、又は金融機関の保証を受けているということでございまして、基本的に抵当証券会社は金融系が多ございますので、仮に抵当証券会社が不調になったとしても金融機関の保証があるというのが現状ではないかと思います。基本的にはそういう認識を持っています。

問)

協力度合いが低かったという報告のようですけれども、具体的にはどういうことがあったのでしょうか。

答)

結局こういう抵当証券会社というのは、借り手がいるわけですね。つまり投資家から集めた資金というものを貸してですね、そしてその抵当権について抵当権設定登記を致しまして、そして法務局といいますか、その登記所からそういう抵当権設定登記を裏付けにした抵当証券の交付を受ける。そして、その抵当証券は抵当証券保管機構に預かってもらって保管証というものを発行してもらう。それをモーゲージ証書という形で、言わば細切れにして投資家に売っている。ということはこの抵当証券会社が発行したモーゲージ証書というものが、果たして元本を含めて確実に返ってくるかどうかというのは、この借入れ人の言わば健全性にかかっているわけでございますね。この借入れ人が今回の場合は、大和都市管財株式会社の言わばグループ企業、まあゴルフ場等いろいろグループ企業であったわけですが、我々は検査といっても大和都市管財を検査するのであって、それが借りている先まで、そういう企業までは検査に立ち入れないわけでございます。ということは大和都市管財株式会社がどれだけ借入れ人の状況を把握しているかという資料をどれだけ持っているかにかかってくるわけでございますけれども、それについての資料の整理度合いについて、こちらが言った会社についての内容把握が十分でなかったということを申し上げたわけでございまして、必ずしも何かを隠して出さなかったとか、そういうことまで申しているわけではございません。

(以上)


(参考)

「大和都市管財株式会社について」(近畿財務局発表資料)新しいウィンドウで開きます

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