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森金融庁長官記者会見の概要

(平成14年6月10日(月)17時02分~17時32分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

「みずほ」の立入検査が終わったようですけれども、現時点での検査の進捗状況についてちょっとご説明願えますか。

答)

ご承知かと存じますけれども、オンサイトの立入検査は6月5日に終了しております。現在は言わばバックオフィスが立入検査の内容について精査している段階でございまして、その精査が終了次第、検査結果を通知するということになろうかと思います。

それがいつ頃になるかという点については、現時点でコメント出来る状況にはございません。通常は立入検査終了から1ヶ月ぐらいはどうしてもかかるわけでございますけれども、今回はいろいろ社会的にも大きな問題になったわけでございまして、そういう状況に鑑みまして、出来るだけ早く検査結果の通知をしたいというふうに考えております。

問)

6月に入りまして、通例ですとそろそろ金融審議会等も動き出す頃かと思うのですけれども、審議会にどのような問題を検討諮問するのか、その辺について多少なりともお考えがあればちょっと話していただけますでしょうか。

答)

審議会もご承知の通り、証券関係の第一部会、あるいは金融機関関係の第二部会、更にそれ以外の広い問題を取り上げる部会と、いろいろ分かれているわけでございますけれども、今立ち上げて動いていますのは、金融機関に関する第二部会でございまして、より具体的に言えば銀行の問題として信託機能について見直して行こうということで、より具体的に言えば現在使い難くなっている信託業法というものをどう改正して行くのかと、見直して行くのかということに関するワーキンググループが立ち上がっております。

もう一つは、銀行社債の発行条件を緩和して行く、現在の金融債の機能に近付けて行くことの是非につきまして、金融機能の向上に関するワーキンググループというものを立ち上げまして、議論を始めさせていただいているところでございます。

今後更にどういうテーマで金融審議会にご審議をいただくかということは、まだいろいろ検討中でございまして、現在、しかと決まって議論が始まっておるのは、基本的にこの二つというふうに認識しております。

問)

それから、銀行の窓口での株式の販売についていろいろな報道があったり、あるいは自民党の金融関係の議員の方がいろいろ発言したりされているのですけれども、この問題については金融庁としてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。

答)

柳澤大臣の5月28日の閣議後定例会見におけるご発言の真意が、いろいろ報道で書かれているわけでございますけれども、私自身、直接大臣にご真意を確かめましたところ、大臣はその前の、いわゆる大臣の私的懇話会である「日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会」でご発言されておりますように、金融ビッグバンのための様々な環境整備を進めて来たにもかかわらず、直接金融市場に必ずしも当初期待されたようには個人投資家の参加が拡大していない面があると、そういうご認識の下に大臣は証券市場の直接の担い手である証券会社に一定の努力と工夫を求めたいという気持ち、それからもう一つの気持ちとしては行政サイドも証券市場の活性化の観点からいろいろ工夫する余地がないかというお気持ち、その二点を仰られたわけでありまして、今の時点で大臣が特定の施策・・・報道等で書かれているような特定の施策を念頭に置いておられるわけではなかったと、そう大臣は仰られております。

さはされど、そういう大臣の真意はともかくとして、ただ今の記者の方がご質問になられたような銀行の株式窓販ということについて話題になっているわけでございます。これにつきましては6月5日の自民党のデフレ対策特命委員会におきまして議論されたと聞いておりますけれども、その中身については賛否両論と申しますか、賛成、反対相互の立場から様々なご意見があったものと承知しております。

我々、金融庁の事務方といたしましては、先程申しました大臣の問題意識を踏まえまして、証券市場の中長期的なあり方につきまして、即ち中長期的に市場活性化をどう促して行くかという観点から市場関係者からのヒアリングを進めております。これは誤解のないように申しますと、5月28日の大臣の会見で話題になるよりも相当前に大臣から指示がございまして、ヒアリングを進めておりましたというのが正確な言い方かと思います。今後につきまして、報道等になされているような問題も含めまして、広く関係者の意見を聴取して行きたいというふうに思っております。

問)

それから、ちょっと海外での報道があった問題なのですけれども、先週末にモナコで金融監督の国際会合が開かれて、そこでテロ資金対策が必ずしも実効を挙げていないのではないかという議論があったということです。これはフィナンシャルタイムズが報じているのですけれども、こういう会合があったのかどうか、金融庁からどなたか参加しているのかどうか、ちょっとご存知でしたら教えてください。

答)

すみません。いろいろな会合を認識しているのですけれども、モナコというのはちょっと私の頭にないですね。FATFの会合はいろいろ開かれておりまして、確か先週オーストラリアのブリスベーンで開かれてはおりますけれども、ちょっとモナコというのはすみませんが頭にありません。FATF関係、まあテロ対策ということになると、まずFATF関係の関係者が集まるわけでございますけれども、当庁のFIO室長は少なくとも豪州に飛んでいたはずでございまして、ちょっと担当課に確認していただけませんでしょうか。

問)

分かりました。あと、生保決算についてご所見があればお願いします。

答)

皆様方がいろいろ報道されている通りだと思います。個人保険プラス個人年金保険の保有契約高というのは、各社ごとにばらつきがあるものの、契約高で見ましたところ、大手10社で対前年度比3.9%減、全社計で対前年度比2.9%減と、まあ契約高は縮小している。そうした中で逆ざや問題、更に株式市場の低迷という問題で各社とも苦戦されていることはその通りだと思いますけれども、しかし、生保会社の健全性という観点で言えば、基礎利益は全社計で2兆円を超えておりますし、更にソルベンシー・マージン比率も全社ベースで見ても400%を切っているところはないと思います。つまり200%の健全性基準を遥かに上回っておりまして、問題があるという認識は持っておりません。

更に言うならば、一部のメディアが報道しています通り、今の契約高の減少というのは、あくまで死亡者保険の契約高でございまして、生存者保険という観点でも、つまり第三分野への進出というのが最近の潮流の変化だと思うのですけれども、そちらの方では生保会社、あるいは損保会社もそうですけれども、大きくそちらの契約高は伸びている、そこも併せて考えなければいけないのではないかと思います。そういう方面、つまり保険契約、新規契約が今まではほとんど死亡者保険だったわけですけれども、相当国民の関心が生存者保険の方に向いている、第三分野の方に関心が向いている、またそこに保険業界も活路を見出しつつあるというのが現状ではないかというふうに思っております。

問)

13日にも経済財政諮問会議の方に、総理の方から金融ビジョンの策定について指示があると言われていますけれども、これについて今の金融庁として何か聞いていますか。

答)

これは正直言って我々は何も聞いておりません。ただ、先週の金曜日の閣議後記者会見で皆様方から大臣が同じ事を聞かれまして、「今後そうした指示があれば、その段階で考えるということに尽きると思う」と仰っておられると思いますし、まあそういうことかなあというふうに思っております。

ただ、皆様方の一部の報道にありますように、何か短期的な施策というもの、つまりROEだとかROAだとか、何かそういう指標を掲げてハードルを作るといったような一つの施策ですね、これは大臣も仰っておられましたけれども、中期ビジョンというもの、ビジョンというものとは少し違うのではないかなあという感じを受けております。中期ビジョンと言った場合には、あくまで現在大臣の私的懇話会、即ちビジョン懇と言われているところで議論されている事、これはもう出来るだけ早くその内容はまとめたいと思っていますけれども、そういう中長期的な金融システムのあり方についてのビジョンというものを中期ビジョンと我々は考えておるわけでございまして、一部の報道の内容として書かれているようなことは、ちょっとその中期ビジョンとは違和感があるなあというふうに思われます。

問)

以前に国会で取り上げられた事なのですけれども、UFJ銀行が住宅金融公庫の情報を転用して営業活動していた問題について、金融庁として銀行法に基づく監督上の措置はどういうふうな事を採られていられるのかということと、長官のご見解をお聞かせいただけますでしょうか。

答)

現在は事実関係について報告を求めているところでございまして、事実であるとすれば極めて遺憾な事だと思っております。まずは住宅金融公庫法に基づく、これは言わば守秘義務違反になるわけでございますので、住宅金融公庫からの委託契約を受けた金融機関は、住宅金融公庫からの情報の利用によって自己を利するような事をしてはならないと、確か書いてあるわけでございますし、そういう契約事項に違反する事になるわけですから、それは住宅金融公庫と銀行との間で然るべき対応がなされるものと思います、まあ事実ならばですね。そしてそれを我々も見極めた上で、必要があるならば銀行法上の対応をしなければならないというふうに思っております。

問)

公益法人のいわゆる検査と言いますか、調査と言いますか、評価と言うものですが、これは金融庁は他の省庁に比べて進捗度が少ないわけですが、少し踏み込みますと、今後の政府系金融機関、公庫なんかもそうかもしれないけれども、そういうところの検査とか、言葉はちょっと違うのか分からないけれども、その辺りはどういうふうにお考えですか。

答)

ご承知の通り、他省庁に比べて大変低い検査率になっているわけでございます。若干、言い訳的になるかと思いますけれども、一つは所管の公益法人に対する検査というのは「3ヵ年計画でやりなさい」という関係閣僚会議幹事会申し合せに基づいてやっているわけでございまして、当庁はご承知の通り、大変いろいろ‥‥決してこの仕事を軽んじたわけではございませんけれども、結果としては、単にマンパワーが割かれて初年度は低い数字になってしまったというところでございます。もちろん、2年目、3年目で100%を必ず達成するようにやらせて頂きたいというふうに思っております。

問)

これは検査なのですか。

答)

何という言葉を使っていたかなあ‥‥。実態的には監査に近いものだと思うんです。

問)

検査局がやっているのですか。

答)

いやいや違います。主管課がやるわけでございます。ですから、地銀協というものがあるならば、その主管課がやるということでございまして、いわゆる先般成立しました政府系金融機関検査法による検査委託とは全く違います。あれは勿論検査局がやるわけですから、それとは全く違います。ですから、むしろポイントは、監督している課が、その被監督公益法人を監査するといったイメージではないかと私は思っております。

問)

上場企業の四半期開示の件なのですけれども、現在の金融庁の検討状況と、具体的に導入する時期の目処とか、そういうものがありましたらお願いします。

答)

これは皆さん、思い起こして頂きたいのですけれども、最初に金融庁が言い出したのは確か昨年8月の「証券市場の構造改革プログラム」の中に、市場の活性化に繋がる措置として、ディスクロージャーの充実、それによって投資家が安心して市場に参入して行けると、こういう観点から四半期開示の検討を取引所に要請したわけでございます。その要請はもちろん今日まで続いているわけでございまして、具体的には東証、大証といったところが、いろいろ現在の喫緊の課題として中身を検討しておるわけでございまして、まだ具体的にいつからというところまでは固まったと聞いておりません。

一方におきまして主要行につきましては、これは昨年10月の「改革先行プログラム」の機会に大手行に要請しておりまして、これは本年度の6月期から相当程度のディスクロージャー、特に不良債権の中身についてのディスクロージャーを中心にいたしまして、今年の6月期、つまり本年度の第1四半期の内容について、早い時期に公表するということになっていると認識しております。

問)

先程のビジョン懇の取りまとめに関連するのですが、いわゆる合併推進というか、そういうものは金融審議会の新しいテーマかもしれないですけれども、そこは何かイメージを持っておられるのでしょうか。

答)

いや、まだビジョン懇のまとめというのは、いろいろ各委員のこれまでの御発言を元に事務方が今、取りまとめているところでございますけれども、そういう個々具体的なことについて、何を中心に書くということが固まったというような状況ではございません。

それと共にもう一つ言えることは、そもそもビジョン懇を発足させた時に、最後は何かまとめを作ろうということは大臣も仰り、各委員も賛成したわけですけれども、その時に、正直申しますと、通常のまとめと言いますと、ある一つの問題については賛否両論あれども、大勢はこういう方向だったというように、一つ一つのトピックスについて方向性を出していくまとめが多いわけですけれども、今回のビジョン懇はそういうことは止めようと、少数意見もきちんと併記するというようなものにしようということで少なくとも出発しております。ですからどういうふうにまとめるか非常に難しいのですけれども、まず「A」というトピックスがあるならば「A」に対してこういう理由で賛成論があるならば、こういう理由で反対というものが出てくる可能性もあるというふうに思っております。

問)

証券関係者からのヒアリングというのはいつ頃までに、どういう形で整理されるのでしょうか。今事務年度中にということなのでしょうか。

答)

いや、そういう期限は設けておりません。ちょっと今、証券関係者と仰られましたけれども、かなり広く、学者も含め、金融機関も含め、そういう方も証券関係者かも知れませんけれども、非常に幅広く聞いておりまして、今のところ何かデッドラインを設けて、いつまでにまとめて大臣に上げようと、そういうことは大臣から特に指示はありません。それよりか、「いろんな意見を聞いてくれ」ということは言われておりまして、まだそういうデッドラインを設けるというような時期には来ておりません。

問)

でも、株の窓販ではないですけれども、問題点を整理して金融審議会にかけるというようなことになるのでしょうか。

答)

いや、まだその前段階ではないでしょうか。そういうヒアリングを眺めながら、何か市場活性化策として、ではその中から、これとこれを取り上げよう、それを第一部会にかけようとか、そういうふうになっていくことも、勿論考えられますけれども、それはもう中身によりけりでございまして、今から金融審議会を頭に置いたヒアリングということではございません。

問)

先程のUFJ銀行と住宅金融公庫の関係なのですけれども、これは銀行法上の対応も含めて検討というのは、業務改善命令も含めて対応を検討されているということなのでしょうか。

答)

いやあ、もう常にそういう話が必ず出るわけですけれども、正確に言えば排除は勿論していないわけです。何事も法令違反があれば、それは26条の問題にもなりますし、従って勿論、何かを排除して物を考えているというわけではございませんけれども、逆にそういうことを今、念頭に報告を求めているというわけでもございません。

(以上)

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