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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成14年8月5日(月)17時04分~17時19分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

ペイオフ全面解禁についての考え方、更に、今後、決済システム及び決済性預金の保護について検討されて行くということですが、長官の決済システム保護についての考え方についてお願いします。

答)

ご承知のように7月30日に総理から柳澤大臣に指示があったわけですが、それを受けまして、ペイオフ解禁は予定通りやると。一方で決済機能の安定確保のための方策については、早急に検討して、必要な改革案を取りまとめたいというふうに思っております。

具体的な姿なのですが、これから早急に金融審議会の方でプロジェクトチームを作っていただいて、早急に取りまとめていただきたいというふうに思っておりますので、現時点で今後の方向と言いますか、そういうものについてまだコメント出来る状況にないことをお許しいただきたいと思います。

問)

先週発表がありました、公的資金注入行の経営健全化計画の進捗状況なのですが、その中で、中小企業向け融資が大手行を中心にかなり達成出来ていないということで、銀行の中には兆円単位で達成出来ていないところがあるのですが、これについてどうお考えでしょうか。

答)

今お話のように、中小企業向けの貸し出しがかなり未達になっている銀行があることはご指摘の通りであります。その説明をお聞きしておりますが、業況悪化に伴う設備・運転資金の需要が低迷しているだとか、あるいは財務リストラと言いますか、企業グループ全体として大企業の方で資金調達を行って、いわゆるグループ内の中小企業の方では資金調達をしないとか、そういう財務リストラの動きもあるとか、そういった説明を受けておりますが、いずれにしても銀行法24条に基づいて減少した理由等についてはきちっと報告を求めたいというふうに考えております。

問)

先週の金曜日に不良債権の状況についての発表がありましたが、予てから言われていた通り、全国銀行ベースで43兆円あまり、それと不良債権比率も主要13行で8%強ということで、1年前に見通された正常化の展望ということからすると、かなり様相が違うのですが、これについてはどのようにご覧になっていますか。

答)

確かに13年度の実績については、以前、経済財政諮問会議に報告しました、いわゆる試算ですね、それと13年度の数字が離れているということはその通りであります。ただ、その要因は、既に先週、金融庁としていろいろご説明したと思いますけれども、景況の悪化だとか、あるいは貸出条件緩和債権の判定の厳格化だとか、そういったことでもありますし、また、特別検査の要因といったこともあるわけで、基本的に大きく増えた部分は、そういった一過性の理由によるというふうに考えております。そういった増えた分については、例えば特別検査で増えた分につきましては、当然早急に処理するということで、遅くとも今年度中には処理してしまうと、そういったふうに不良債権処理に積極的に取り組んでおりますから、前の試算の16年度の正常化という目標については、勿論その前提として経済財政諮問会議でお示しいただいている中期展望、名目成長率が15年度には0.6%だとか、あるいは16年度以降は2.5%以上の成長をするとか、そういった前提ではありますけれども、16年度の不良債権問題の正常化については引き続きその方向で努力して行きたいと思っていますし、出来るというふうに思っています。

問)

今の不良債権の正常化の展望なのですが、去年8月の発表の時には成長率とかは関係なくて、過去の遷移率とかだけから求めて作ったというように説明がされていたと思うのですが、今度はその成長率が、中期展望の方が狂ってくれば、これも狂うということになるのですか。

答)

元々柳澤大臣も中期展望を前提にというご説明をしていたと思いますけれども、いずれにしても無色透明で試算してもしょうがないので、そういった前提で将来どうかという試算をしているわけです。

問)

名目成長率によっては、いわゆる試算というのは大きく変わってしまうということでよろしいでしょうか。

答)

名目成長率如何というか、経済状況が大きく変われば、当然不良債権の新規発生も変わって来ますから、一方で不良債権のオフバランス化もありますから、それも一所懸命やりますから、直ちにとは言えませんけれども、いずれにしても新規発生が大きく違って来るということは事実だと思うのですね。

問)

今、既に、この半年、まあ1年近く経っているのですけれども、これは経済状況が変わった影響というのはもう出ているわけですね。

答)

元々13年度、14年度までは中期展望自身でデフレ状態を前提にしていると思いますから、そこは変わらないと思いますけれども。

問)

横ばいで、もしくは漸減で、不良債権比率も5.数%というところで、割と横ばいになるという数字でしたが。

答)

今回は先程申し上げましたように、特別検査だとか、あるいはその判定基準の厳格化ということで一時的に大きく不良債権の残高が増えたと、だけれどもそれについては先程申し上げたように一過性の要因だと思いますから、今までのいろんな基本方針等に則って速やかに処理していくことで、後々の年度の見通しが大きく変わる事はないというふうに現時点では考えております。

問)

要因の中には債務者の業況の悪化とありましたが、あれはどちらで考えたらよいのですか。

答)

業況の悪化は、それは元々、ある意味で言うと前提としていた状況だと思いますね。業況の悪化だとか何かとご説明したのは、あくまでも不良債権残高が増えたことのご説明だと思うのですけれども、一過性かどうかという説明については、今私が申し上げたような2点が中心だと思います。

問)

決済システムの件なのですが、銀行サイドの方で、もし新しい預金種目を作るならシステム開発等で時間がかかるということですけれども、これはこの時期に公表されて、来年の4月に間に合わせるというのが前提で金融審に諮られるのでしょうか。

答)

いずれにしても、まず決済機能の保護のためにどういう制度が望ましいかということは、これから検討されるわけです。その姿を見て考えなければいけないと思いますが、さらにその検討において当然いろいろな意味で混乱が生じてもいけないということもあると思います。ですからそういうことも、今お話のような点も念頭に、とにかくこれから集中的に検討をお願いしたいというふうに思っていますから、もうしばらく具体的なご説明等はお待ちいただきたいというふうに思います。

問)

地域金融機関の合併なのですけれども、塩川財務大臣が先日大阪で、「小さい金融機関は大きなところに吸収してもらったほうがいい。悪いところ同士合併するよりも吸収してもらった方がいいんだ」というふうにご発言されているのですが、この考えについて金融庁としてはどうお考えでしょうか。

答)

財務大臣がどう仰ったかということについては、ちょっとお聞きしていませんから、まあ報道ではなされていることは承知していますけれども、我々の基本的考え方は以前から申し上げております通り、そういった予断なく各金融機関が市場原理の下で、自主的な判断あるいは自分の経営戦略を持って、中長期の生き残りと言いますか、一層の健全化を目指して努力していただくということを前提に考えているということなのです。

問)

週末に空売り規制を強化するという報道がありましたけれども、いわゆるアップティックルールというものは、今どこまでを指して、今後どういうふうにしようとされているのでしょうか。そこをご説明していただけますか。

答)

そもそも証券市場の構造改革というのは大臣からもご指示があって、去年の8月に第1弾をやっているわけですけれども、その後更に「白地で広く検討してくれ」というご指示があって、この前の私的懇話会の将来ビジョンの中でいろいろな議論があったわけですけれども、ああいうものも踏まえながら、また幅広く有識者ですとか、あるいは市場関係者からヒアリングもずっとやってきています。それを今取りまとめの最中で、そういう具体的なものについてまでちょっとコメントし難いのですけれども、いずれにしても幅広く検討しているということです。もうしばらくお待ちいただきたいというふうに思いますが。

問)

森顧問なのですが、どういう処遇になって、主にどういったアドバイスを期待されているのでしょうか。

答)

処遇と言いましても、これはほとんど処遇されていないに等しいというような処遇ですね。

期待と言いますか、森さんは再生委員会時代からこれまで金融システムの安定化のために大変ご苦労されたわけであります。行政としては新しい体制でいろいろな問題を処理していくわけですけれども、そういった過去の経緯等、いろいろ大変な時期のご経験もお持ちですから、大所高所からご意見を伺いたいと思っております。

(以上)

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