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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成14年8月19日(月)17時02分~17時20分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

今、金融庁として証券市場の活性化に向けていろいろと策を打っているところなのですが、大証とナスダックが提携して運営して来ましたナスダック・ジャパンについて、提携を解消するというような発表がありました。事実上ナスダック・ジャパンのマーケットが閉鎖されるような形になるのですが、これについて長官はどうお考えになっていますでしょうか。

答)

そもそもグローバルな市場間の競争が厳しくなってくる中で、いろんな事があっても不思議ではないと思います。そういう事で、グローバルな競争に勝ち抜くように、先般も証券市場の抜本的な改革について発表して、今、一所懸命取り組んでいるところなのです。

本件のナスダック・ジャパンについて言えば、いわゆる市場の業務は大証の方でやって来ておりますし、今後とも引き続きやるというふうに聞いておりますので、上場企業、あるいは投資家の皆さんにとって何か不便が生じるという事はないというふうに考えております。

問)

先々週に意見書が出ました不動産等の減損会計についてなのですが、長官ご自身の減損会計に対する考え方を教えていただきたいのですが。

答)

企業会計の話ですから、これは証取法とそれに基づく規則と言いますか、いわゆる法令上、企業会計審議会が取りまとめて公表した企業会計の基準と言いますか、それは一般に「公正・妥当と認められる企業会計の基準に該当する」というふうに明確にされているわけですね。ですから、企業会計審議会の報告書に沿って、そういう公正・妥当な企業会計基準として今後、それが適用されて行くという事に尽きると思うのですね。

日程的にはご承知のように、2003年度の年度決算から任意適用で、2005年度から全面的に実施という事になって行くのだというふうに考えています。

問)

その部分なのですが、すぐには減損会計について、こういった昨今の状況等もあり、もうしばらく先の方が良いのではないかと、あるいはもう少し議論すべきではないかという声があるのですが、それについてどうお考えになりますでしょうか。

答)

それはやはり繰り返しになるようで恐縮なのですけれども、企業会計の基準というのは正に専門的に検討されて、それが公正・妥当なルールだというふうになって行くべきものと考えておりますから、企業会計審議会が取りまとめた方向で、そういう取り扱いになって行くと、それに尽きると私は思うのですね。

問)

決済機能の安定確保についての議論なのですが、これまでに何回か既にPTの方で議論して来ていると思うのですが、これについての現状と見通しについてお伺いしたいのですが。

答)

これはですね、もうご承知のように、既に2回プロジェクト・チームが開催されていますし、今日も今開催中だと思います。その都度、その状況については事務局の方からご説明しておりますし、今の状況はもうご承知の通りだと思います。

見通しですけれども、これも今の時点ではとにかく出来るだけ早く取りまとめていただくようにお願いしているということで、確定的に「いつまで」ということを申し上げる段階にはまだ至っていないというふうに思っています。

問)

ナスダック市場の提携解消についての質問なのですけれども、この提携解消を機に日本にある3つの新興市場を再編したら良いのではないかという意見もありますが、この点について長官の今のお考えはいかがでしょうか。

答)

それはですね、まあ市場の在り方をどう考えるかという事なのですけれども、今、東証があり大証があり、また他にも地域の取引所もありますね。そういう事と同じ様な事だと思うのですけれども、ベンチャー企業と言いますか、そういう企業のための市場が一つであれば良いのか、あるいは市場間競争が必要なのか、それはいろいろ考え方があると思うのですね。我々も今後良く勉強してみたいと思いますが、現状で言えば、二つが良いか三つが良いかという話は別にしても、とにかく市場間競争があって、それぞれの市場の効率性が市場原理の中で促されて行くという仕組みは、私はそれはそれで良いのではないかと思っています。

問)

ナスダックという看板がなくなってしまった事に対する感想をお願いします。そもそも、その看板を利用しようとした事も含めてご所見がありましたらお願いします。

答)

「利用しよう」と言うか、それなりにナスダックと提携する事によって、更なる将来の構想なり考え方もあったと思うのですね。ですから、市場関係者がそういう事を考えながらいろいろ努力されることは良いと思いますね。

一方でやはり、市場ですから、最も市場原理が追求される場ですから、その中でこういったふうに途中で断念するという事もあっても不思議ではないというふうに思っています。

問)

東京都のことですが、公金の預け先としていろいろな金融機関と付き合っておりますが、それを6つに格付けして、一番最低ランクのところは中途解約もするという方針を発表しましたが、これについて考えがあればお聞かせください。

答)

それぞれの公共団体が公金をどう運用するかということは、それぞれの公共団体が良くお考えになってやれば良い事だというふうに思います。

問)

公金というのは非常に巨額なロットで流動性預金の中に存在するという事についてはどう考えられていますか。

答)

それはもう公共団体の運用のやり方ですから、私がコメントする立場にはないと思います。いろんな角度から運用益も考えなくてはならないでしょうし、実際に決済にどの程度平準的に用意していかないといけないかという実態も、現状を私は把握していませんけれども、いずれにしてもそういったいろんな面からそれぞれの公共団体が判断をする問題だと思います。

問)

ナスダックの件なのですけれども、先程「上場企業や投資家にとっての不便は生じることはない」というふうに仰ったのですが、例えば24時間構想の頓挫ですとか、何らかのダメージはいろいろあると思うのですけれども、今回のナスダック撤退によるどういう事が上場企業のダメージだとお考えかという事と、またそれを最小限にするために市場に求める事や、また監督官庁として考える事というのは何がありますでしょうか。

答)

将来、24時間取引とか、いろんな構想があったのだと思いますね。ただ現状は、大証で取引がなされているわけですから、将来の構想は構想として、現状を前提に考える限り、ナスダックという看板は確かに今年一杯で使えなくなるというふうに聞いておりますけれども、それ以上の問題がすぐに生じるというふうには考えていないです。

行政当局としてはいずれにしても上場企業と投資家の事をまず考える必要があるので、そういった人達に何か不自由なり不都合が生じないかという事については十分注意して見て行きたいというふうに思っております。

ただ現状、いわゆる市場業務は、これまでも大証がやって来ておりますし、実質的に何か変わる事はないというふうに思っています。

問)

不安が生じることはないかもしれませんが、チャンスが狭められたということで残念に思うことはないですか。

答)

それはですね、先程から申し上げているように、正にグローバルな競争の中で、いろんな市場が生き残りを掛けて切磋琢磨して行くのだと思うのですね。そういった中でこういうこともあるのかなという気持ちです。いずれにしても、それぞれの市場が更なる競争力をつけるべく、いろんな面で努力をして頂きたいと思っております。

問)

先程の話なのですが、基本的に長官の考えとしては、三市場の統合については否定的と考えて良いのでしょうか。

答)

現状、市場のあり方についてはですね、絶えず勉強する必要はあるとは思いますが、私は例えば、日本の銘柄について他にグローバルに競争を行っている、確かに上場しているマーケットもありますが、本当の意味で厳しい競争があるかと言うと必ずしもそうでないのですね。どうも非常に地域性が強いという面もあって、どうしても国内で取引がなされていると、主としてですね、多くの取引がなされている。そういう中で、市場間の競争があった方が良いのか、あるいはない方が良いのかと言えば、私は市場間の競争があって良いのではないかと思っております。

問)

投資家の中からは一つに統合された方が良いのではないかという声が強いようですが、それについてはどうでしょうか。ベンチャー企業育成にもなるのではないでしょうか。

答)

ベンチャー企業育成のために、我々もベンチャー企業の育成、あるいは投資家のことを考えて行政をやっているわけです。そういう中で、市場間の競争があった方がベンチャー企業のために良いのか、ないほうが良いのか、私は現状では市場間の競争があった方が投資家なり企業のためになると思っております。

問)

決済性預金の話なのですけれども、この話が持ち上がってからもう2週間以上経つのですけれども、いろいろ銀行界の方からも聞こえてくるのが、特に大手ですね、なかなかシステムの負担にもなるし、コストを預金者なりに転嫁しないといけないと、それだけのことをやって導入するだけのニーズがないということをかなり聞くのですが、結果的に新型預金というものがどういう形になるか分からないのですが、結果的に一部が抜け落ちても、導入しないというところが出てきても良いとお考えになるのか、それとも一斉に導入してもらいたいということなのか、その辺りの考え方を少し教えて頂きたいのですが。

答)

これはまた先程お答えしたことと繰り返しになって恐縮なのですが、PTで蝋山先生以下で鋭意ご検討を頂いている訳ですから、そのご検討の結果を見て、よく考えたいと思っております。

問)

これは金融審議会の総会というのですか、分科会かも分からないのですけれども、9月の頭にセットしてあるとお聞きしていますが、そこは一応ターゲットということなのでしょうか。

答)

PTでのご検討と、金融審議会で更にそれを踏まえてご検討なされると思うのですね。それがいつなのかは、いろいろ銀行の準備等もありますし、行政の準備もありますし、出来るだけ早くご検討頂きたいというお願いをしている段階で、それ以上のことは、今日はまだ3回目を行っているところですから、申し上げる段階にはないということです。もう少し検討が進めば、またお話したいと思いますけれども。

問)

総会のセットはないのですか。

答)

総会のセットが出来ているということは、ちょっと聞いてないのですが。いずれにしても、とにかく今、夏休み返上で行って頂いているわけですから、それ以上にいつというよりも、とにかく出来るだけ早くお願いしますということしかないと思うのですが。

問)

与党側から出ている延期論との関連ですけれども、長官は以前から「与党の方ともよく話し合って行きたい」というお考えを仰っているのですが、少なくともPTで何らかの方向性が出ない限り、それが出てから与党との協議に入ると、そういうことでよろしいのですか。

答)

そこまで明確な意識もなかったのですが、いずれにしても、ある程度の姿が見えない段階でいろいろ議論しても誤解が生じる可能性がありますね。ですから、いずれの段階であってもよく議論して行く話だと思いますけれども、PTでの議論の深まりに応じて、より詰めた議論が出来るのではないかと思っております。

問)

厳しい言い方かもしれないのですが、よく議論するということは、何となく「アリバイ作り」という言い方が金融界の一部でありまして、金融庁としてもペイオフについて積極的に考えているというアリバイを作っているのではないかと、そのような言い方もあるのですが、それについてはいかがでしょうか。

答)

これはですね、蝋山先生とか池尾先生とか、5人の委員の方が真剣に検討して頂いているわけですから、それについて行政が、我々として何かを申し上げているわけでなくて、真剣なご議論をやって頂いているということですから、今仰っているような気持ちは全く持っていないです。

(以上)

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