高木金融庁長官記者会見の概要

(平成14年9月30日(月)17時02分~17時18分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かありますか。

答)

特にございません。

問)

内閣改造に関しまして質問させていただきますが、柳澤金融担当大臣に代わりまして竹中経財相が金融相も兼務されるということが決まりました。この人事に関する長官のご感想と言いますか、見解をお伺いしたいと思います。

答)

内閣改造について我々がコメントする立場にはないと思います。いずれにしても我々は行政組織ですから、新しい大臣と力を合わせて金融の健全化、あるいは不良債権問題、こういった懸案事項について力を合わせて全力で取り組みたいと思っております。

問)

現在の金融システム、ないしは公的資金の必要性に関する見解が、前金融担当大臣と新たな金融担当大臣とで、かなり違うと考えられるのですけれども、それに対する事務方との齟齬というものはどのようにお考えでしょうか。

答)

我々は前も申し上げてきました通り、広く不良債権処理の加速ということについて全力で一生懸命検討してきた訳ですね。ここで大臣がお代わりになりましたから、引き続き新大臣のご指導の下、全力で取り組んで行きたいというふうに思っています。

問)

公的資金の必要性に関する見解はいかがでしょうか。

答)

個別の話はまだ広く検討しているところで、コメントするような状況にありませんから、現時点では控えさせていただきたいというふうに思います。

問)

先日のG7会議で、塩川財務大臣が日米蔵相会談で公的資金について言及されたということなのですが、これに対する受け止め方はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

答)

これは私の聞いておりますのは、今朝、柳澤大臣が財務大臣からお聞きになったということで記者会見でお話になっていますが、それ以上のことは聞いていないのですね。ですから私共が聞いておりますのは、財務大臣が不良債権の相手方の企業再編に取り組むということと、それから地域金融機関等の合併等に取り組むに当たって、必要があれば公的資金を使うといったお話をされたというふうに聞いているということです。後者の方についてはご承知のように8月末ですか、我々も公表しておりますけれども、地域金融機関の再編のためにそういったことも検討するということですから、同じことを仰っているのかなと思いますけれども。

問)

竹中さんが大臣になられることで、金融担当大臣が毎回、経済財政諮問会議に出ることになるのですけれども、これまでの諮問会議との関係において何らかの変化があるのか、それともこれから諮問会議に臨むに当たって、いろいろ金融問題について会議の方でも提言なさっていますけれども、金融庁としてどういう姿勢で対応していくのか、今お考えはございますでしょうか。

答)

それはいずれにしても新大臣が、経済財政政策担当大臣と金融担当大臣を兼ねられる訳ですけれども、もともと金融担当大臣は経済財政諮問会議の正規メンバーではありませんから、通常の状態であれば従来のお立場でご出席されるのだと思いますけれども、当然その中で金融が議論になる場合には金融担当大臣のお立場でもお話されると思うので、それはそれで非常に何と言いますか、建設的な議論がより可能になるのではないかと思いますけれども。

問)

先程、新大臣の下で不良債権処理の加速について全力で取り組んで行きたいというお話でしたが、竹中さんは銀行の国有化ですとか、公的資金注入積極論者として知られていますけれども、そういったことも検討されて行くということなのでしょうか。

答)

私はちょっとよく承知しておりませんけれども、いずれにしても竹中大臣は今までと違って金融担当大臣も兼務されることになるわけですから、そういうお立場でもご検討になるのだと思うのですね。今日も記者会見では本当に何が必要なのか、いろいろ勉強してしっかり判断したいということですから、それは我々も新大臣と一体となって不良債権処理の加速について議論して行きたいというふうに思っています。

問)

この金融が大事な局面で、金融担当大臣を兼ねるということについて、大丈夫かという声もありますけれど、兼務されてしまうということで長官の仕事の量が増えるかもしれませんが、大臣が兼務されるということについて何か感想はありますか。

答)

大臣ご自身が大変だと思いますけれども、やはり喫緊の重大な、金融は極めて重大な課題ですから、そういうお忙しい中で、全力で取り組んでいただけるというふうに私は理解しています。

問)

竹中さんは銀行の資産査定をもっと厳格化しなければいけないということを第一の原則として言われているようですが、現状、金融庁が行っている、監督している資産査定というのは不十分だという認識だと思うのですが、これについてはどうお考えでしょうか。

答)

私は、新大臣が資産の引当について不十分だと仰ったというふうには必ずしも理解していなくて、今日の記者会見では資産の査定は厳格かどうかとか、そういったことを仰っているのは、そういうことをいろいろと勉強する中でどうするか検討したいというふうに仰ったというように理解していますけれども、我々は勿論、検査マニュアルに基づく厳格な検査だとか、あるいは特別検査だとかで厳格にやってきている、最大限努力しているつもりなのですね。ですから、そういう状況を新大臣にはよくご説明をする必要があるというふうには思っております。

問)

今日、竹中大臣が就任会見の中で、日本の英知を結集して不良債権問題の解決に取り組んで行きたいということを仰いまして、今の査定の厳格化に関連して、産業側の再編のことにも言及されているのですが、一部では産業再生戦略会議というような名称の検討機関の設置について報じられていて、それは首相直属のような形なのか、政府の非常に高いレベルで政府一体となって取り組んでいくというような試みということで金融庁はお考えになっているというふうに報じられているのですけれども、この問題についてお考えになっていることはありますか。

答)

その話については我々は承知しておりませんが、そういう話があれば金融庁も最大限の協力をしていきたいというふうに思っています。

問)

話があれば、当然、金融庁として前向きに取り組む用意と言いますか、お考えがあるということでしょうか。

答)

そうですね。

問)

従来、竹中さんの議論というのはマクロ論で、金融庁の方はミクロで、非常に専門的な分野から金融庁はやっておられたのでしょうが、今後は、ある程度マクロな面でも組織的な対応が要るとか、何か工夫が要るのかなという感じがしないでもないのですが、その辺りで、例えば金融政策とか、そういうことも少しお考えになるとか、検査だけでもないだろうという議論はないのでしょうか。

答)

金融は、詰めて言うと、個々の実態に即して対応するという意味で、ミクロの世界かも分りません。新大臣は両方ご覧になるわけですから、マクロの政策が必要であれば、それはそれで、そちらのお立場で積極的に政策をリードされて行くのだと思います。そして金融担当としては勿論、ミクロの世界もよく踏まえた上でお考え頂けるのだというふうに思っておりますけれども。

問)

西日本銀行と福岡シティ銀行の合併の件で2点ほど質問します。まず、この合併が金融システムの安定、あるいは地域金融機関の再編にとってどう評価されるのかという点と、次に、今回は当初予定されていた持株会社化ではなくて、いきなり合併というスキームになっていますが、そういうことに対して金融庁サイドから何かアドバイスなり、後押しなりがあったのかということを教えて頂きたいのですが。

答)

まず後者の方で申し上げますと、まず金融機関ご自身が、一層の健全化と言いますか、経営基盤の強化ということでお考えになった話で、私共の方から何かお話をしたということではありません。

そして評価ですけれども、やはり金融機関ご自身が真剣にお考えになって、合併という方法をとって、一層の健全化ということを図って行くということですから、高く評価をしたいというふうに思います。やはりいろいろと話を聞くに、持株会社方式は、それはそれでリストラ等の面で非常に有効ではあるのですけれども、統合というか合併ということを目指してやると、それは当然、そういう持株会社でやれることは当然やり、さらに合併でないと出来ないこともやるということですから、私は非常に高く評価しているということなのです。

問)

確認したいのですが、今まで公的資金注入について、今は必要な状態にないということですとか、自己資本比率のはじき出し方なのですけれども、税効果会計を除いて考えるというのはおかしいということを長官の方でもご発言なさっていたと思うのですが、それは全部新しい大臣の下で考え直すということでしょうか。

答)

そういう個別の問題について、まだコメントするような状況にはないということを申し上げたのであって、勿論、税効果も全て企業会計処理原則に則ってやっているのですから、やはりこれから外れて議論することは難しいと思います。

何か特定の方策がいろいろと報道されていますけれども、特定の方策について、我々が既に固めて考えているということはありません。対策の関係でそういうことを申し上げた記憶は私もないのですけれど。資本注入やRCCでいろいろと報道がなされていますが、私共は、ずっと不良債権処理の加速ということで一生懸命検討してきた訳ですし、引き続き新大臣の下で広く、全力で取り組んでいきたいというふうに思っておりますけれども、現状、何か具体的な方策を固めたということはないという状況なのです。

(以上)

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