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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成14年12月2日(月)17時02分~17時29分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

先週末に発表になった金融再生プログラムの作業工程表についてなのですけれども、まず、長官ご自身の評価と、大手銀行の経営に与える影響についてのご見解をお願いします。

答)

評価と言いますか、工程表はいわゆる金融再生プログラムの実現に向けたスケジュールを整理したというものです。それで、具体的な内容はこれから詰める部分も結構あるわけですけれども、具体的なスケジュールが示されたということで、金融機関もいよいよ緊張感を持って経営の健全化に取り組んでくれるということを期待しているという状況でございます。

問)

工程表の中に書いてあることですけれども、繰り延べ税金資産の見直しと、新しい公的資金の制度については「年内に金融審議会で検討開始」と示されています。この件に関して、一部に問題の先送りとの指摘もありますが、今後、どのようなスケジュールで結論を出して行くことになるのか、また、特に期限の示されていない繰り延べ税金資産についてはどう検討されて行くのかという辺りをお願いします。

答)

これは先週末に工程表を発表したばかりですから、これからいろいろ検討したいと思っています。いずれにしても繰り延べ税金資産の問題は、年内に金融審議会で検討を開始して、速やかに検討すると。それで、法律、あるいは会計、それから税制といった幅広い観点から検討して行くということであります。

それから新しい公的資金制度の話ですけれども、これはご承知のように預金保険法102条で現在、公的資金に関する制度があるわけですね。そういう点も踏まえながら、新しい公的資金制度が必要かどうかなどについて金融審議会で議論を開始するということで、まあ半年程度で結論を得たいということであります。これは予断なく検討をして行きたいというふうに思っています。

問)

生命保険会社のセーフティーネットについてなのですけれども、生命保険契約者保護機構で来年3月に期限の切れる4,000億円の公的資金枠の延長とともに、金融庁が民間の生命保険会社側に3,000億円超の追加拠出金を要請したという報道があります。この事実関係と金額についての根拠を教えてください。

答)

生命保険会社とは、当然今の制度が15年3月末までに破綻した生命保険会社を対象にしたセーフティーネットになっていますから、いろんな機会を通じて意見交換をしているという状況であります。ちょっと私は具体的な数字まで承知していないのですが、いずれにしても、現段階で何か具体的に決まって来ているというふうなことはないという状況であります。

問)

仮定の話になるかもしれませんが、次期通常国会に保険業法の改正案を出す場合ですけれども、保護機構の資金枠とともに、予定利率の引き下げについても改正案を出すのであれば、あわせて提出した方が自然だという指摘が一部にあります。現段階での予定利率の引き下げに関する金融庁内の検討状況について教えていただきたいと思います。

答)

生命保険を巡ってはいろんなご指摘なり、ご意見もあると思うのですけれども、予定利率の話については先週の月曜日も申し上げたと思うのですけれども、幅広く勉強するという状況から、何ら変わっていると、具体的な考え方が固まっているという状況にはないということです。ですから、まあそういう状況なのです。

問)

先週末の金融審議会の第一部会でですけれども、取引所の持株会社化について解禁される見通しであるという意見がまとまっています。日本ではナスダックが撤退したりですとか、地方の取引所での売買が低迷しているですとか、非常に環境が厳しいのですけれども、国内市場の再編と海外との提携について長官のご見解をお願いします。

答)

それは金融審議会の第一部会だとか、その下のワーキング・グループで持株会社を解禁しようといったご意見があるわけですけれども、その事自身は今後、第一部会で更に検討が進められるというふうに思います。私は、やはり取引所の流動性、あるいは国際競争力の向上と、そういった面から見て、取引所が提携なり統合なり、いろんな展開が出来るようにして行くということは重要な事ではないかなというふうに思っています。

問)

先程の生保の保護機構の件なのですが、民間枠の新たな負担というのが公的資金での枠について期限を延長する前提条件となるというお考えでよろしいのでしょうか。

答)

その辺も含めて、今、よく検討して行くという事だと思います。元々、これは12年6月に改正法が施行されたわけですけれども、その時の経緯もあって、幅広く検討しなければいけないということになっていたと思うのですけれども、その中に業界の負担能力とかそういった点も含めて検討することになっていたと思います。ですから、そういった業界の負担も含めて検討がなされていくというふうに思っています。

別にそれが前提だと申し上げているわけではないのですけれどもね。そういうことも含めて検討の項目であるというふうには理解していますけれどもね。

問)

先程の繰り延べ税金資産のところなのですけれども、これから検討なさるということで、これはいつ頃までに結論を得るのか、例えば公的資金については半年程度で結論というふうに出ているわけですよね。なぜここのところだけは結論の目処というのが示されないのか、それがちょっと良く分からないのですけれども。

答)

大変重要な問題でありますから、ただ検討すべき項目も多いものですから、先程も申し上げたように、税制だとか会計だとか、いろいろ幅広い観点から検討すると、速やかに検討するということで、とにかく鋭意検討を進めようということなのですね。

問)

工程表の話なのですが、いわゆる早期是正の厳格化の前に早期警戒制度の活用ということが今回入っているのですが、そこの切り分けといいますか、早期警戒制度というものと、片一方で非常に厳格化を早期是正ですると。そこはどういうふうに整理なさっていますか。

答)

早期是正措置は自己資本比率を中心に、それが8%なり4%を切った時に早期に是正をしてもらうということで、幾つかの区分に分けて是正措置を打つようになっているのですね。

早期警戒制度というのはその前段階の制度として、いろんな角度から早期に問題点を把握して、予防的に改善をしていただくという制度として考えているということです。

問)

具体的に、例えば公表するとか命令とか、事前の段階でもそうなのですが、パブリック・プレッシャーとか、そういう部分というのはかなり今回書いているというのは、少しそういう事を意識しながら書いているということなのですか。

答)

質問のご趣旨は、要はパブリック・プレッシャーとか、そういう制度があることによって金融機関にプレッシャーをかけて、早期健全化を図ってもらうと、こういうご趣旨ですか。当然そういう意味はありますね。ただ、もちろん金融機関の方にも収益力だとか、いろんな観点から見て、早期に健全化の努力をしてもらう。同時に監督行政としてもそれぞれの金融機関、それが直ちに問題になるという状況にはないにしても、早期にそれぞれの金融機関の弱いところと言いますか、問題点を把握して、それが本当の意味で問題になる前に予防的に健全化を図って行くという監督行政をやるという意味で、まあ両面あると思います。

問)

政府の総合規制改革会議が証券取引等監視委員会に機能強化と言いますか、規則制定権を設けるという報道がありましたけれども、これについて長官はどのように報告を受けているかをお願いします。

答)

総合規制改革会議で、競争政策の観点からいろいろ検討がなされているということは承知しています。今月中には第二次答申を取りまとめるという話は承知していますけれども、それ以上に具体的な事は承知していません。全く承知していないという状況です。いずれにしても、監視委員会機能強化については、8月に公表いたしました、「証券市場の改革促進プログラム」でも監視委員会の機能を抜本的に強化しようということでいろんな方策を織り込んでいるわけですけれども、そういったものを踏まえながら、我々は監視委員会の機能強化に今、一生懸命取り組んでいるという状況であります。総合規制改革会議の中身については我々は今承知しておりません。

問)

生命保険のセーフティーネットの話なのですけれども、4,000億円の公的資金枠を続ける前提として、やはり業界には一定程度の負担をお求めになるお考えなのでしょうか。

答)

そこの業界の負担能力も含めてセーフティーネットをどうするかは、これから広く検討していく必要があるというふうに思っています。

問)

具体的に業界との交渉というのは入っているのでしょうか。

答)

いろいろな場で担当の方は意見交換しているのだと思います。

問)

いつ位までに結論を出される予定でしょうか。

答)

今の制度が15年3月の破綻までですね、それから12年6月施行で3年以内に見直すという規定もありますから、手当てするとすると通常国会に法案を出す必要がありますから、それから考えると結論というのは・・・。法案の提出が予算関連法案ではないですから確か3月の中旬くらいになると思います。ですからその前に法案を出す場合には作って、その前に意見なり骨格がまとまっていないといけないですね。詳しくは法案の担当の方に聞いていただいた方がいいと思いますけれども、スケジュール的にはそういう感じになると思います。

問)

再生プログラムの中で「特別支援行」という言葉があると思うのですけれども、どの程度の支援を受ければ特別支援行なのでしょうか。

答)

これはプログラムに書いてある通りだと思います。特別支援の枠組みという下に書いてあったのは確か日銀特融の話と、それから預金保険法102条の資本注入の話と、つまり資本不足とか経営困難とかこれに準ずる状態になって、今申し上げたような措置が講じられた金融機関ということだと思います。

問)

ディスカウント・キャッシュ・フローなのですけれども、10月30日の方では「要管理先の大口の債務者に対してディスカウント・キャッシュ・フロー的なものを適用したらどうか」ということだったのですが、先週金曜日の方では「どこに対して」という言葉がなかったのですけれども、何か意味があるのでしょうか。

答)

特別の意味はないです。要は29日に発表したのは極短い事務的なスケジュール等を書いたものですが、その裏には金融再生プログラムの本文がありますから、両方突き合わせてご覧いただいた方が良いと思います。

問)

金融問題タスクフォースについてなのですが、これは対象とするのは特別支援行だけということなのですか。それとも他の金融機関一般になのか、大手行なのか、どういうものを対象にするのですか。

答)

タスクフォースが何を見るかということも、金融再生プログラムを良くご覧いただければ書いてあると思うのですけれども、16年度に不良債権比率を半分程度にする、正常化するということは書いてあります。その状況を見ていくというのが一つの仕事ですね。不良債権問題の状況をモニタリングするということです。それからもう一つが特別支援金融機関の新しい経営陣による事業計画をチェックするとか、その履行状況をモニタリングするとか、そういうことです。今の金融再生プログラムでは、主要行の不良債権処理の状況とか特別支援金融機関の状況をチェックしていくというのが、金融問題タスクフォースの仕事だというふうに思います。

問)

工程表の中小企業貸出のいわゆる未達行に対する業務改善命令の件なのですが、平成15年3月期決算から適用ということで、従来も業務改善命令は出ていたのですけれども、そこは平成15年3月期決算から例えば具体的に財務諸表の中に注記で書くだとか、そういうふうな具体的な適用というものはあるのでしょうか。敢えてこう書いてあるというのは。

答)

今までも今お話のように、未達行についてはその中身を報告徴求して中身を良く整理させて、必要であれば業務改善命令も出しているということなのです。15年3月期について、もう少し考え方をどうするかということを含めて検討したいと思っていますけれども、基本的には今までもそういうことできちっと対応したつもりではあります。ですからもう少し詰めた考え方なりを整理して、15年3月期には対応したいと思っています。

問)

PTに関してなのですけれども、工程表は取り敢えずまとまったので、この後のペースですとか話し合う内容、それから人選、例えばメンバーを入れ替える考えがあるのか等、その辺の見通しを教えて下さい。

答)

PTをどうするかは、今後また大臣と良くご相談して決めていきたいと思っています。

問)

取り敢えずは2週間に1度位のペースという感じで開いていきましょうということにはなったのですか。

答)

今後どうするかについては、必ずしも十分議論していませんから。年内にタスクフォースも立ち上げますし、そういった事との関係でやはり議論してどうするか決める必要があると思うのですね。そこは今後、大臣と良く相談して決めたいというふうに思います。

問)

タスクフォースとPTというのは全く関連性はないものなのですか。

答)

関連性といいますか、それはないのですけれどもね。タスクフォースの仕事はここに書いてあるように明確になっていますから。タスクフォースが担当する以外の問題については、概ねどこかで広く議論する必要があるものは、金融審で議論するという形になっていますから。

問)

PTがそのままタスクフォースに移行するということはないのですか。

答)

そういう関連性はないですね。タスクフォースはタスクフォースとして立ち上げる訳ですから。そのメンバーをどうするかとか、そういったことはまた議論することになると思いますけれども。PTがタスクフォースになるという議論は、あまり意味がないですけれども、いずれにしても性格は違ったものです。

問)

タスクフォースは、不良債権問題をモニタリングするというような、ある意味では金融再生プログラムの進捗状況というものも見ていく訳ですよね。そうするとPTというのはどういう性格になっていくのですか。PTの機能が、ある意味タスクフォースの方に移行するようなふうにも考えられるのですけれども。

答)

そこはあまり議論しても意味がないと申し上げているのです。いずれにしてもはっきりしていることは、タスクフォースで今お話があったような一定のものはフォローアップしていく、あるいはチェックしていくということです。それから他の検討課題について、金融審で議論していくという建て付けになっている訳です。ですからPTはそれと何か連動しなければいけないものではないと思うのですね。PTをどうするかということは、それはその問題として今後、中で検討する話だと思います。

問)

タスクフォースのやるようなことは監督局がやるようなことですよね。当然モニタリングというのは監督局の役目なのですけれども、なぜこれが必要なのでしょうか。

答)

それはやはりいろいろなことがありますよね。例えば法律を作るのであればそれは総務企画局の仕事かも分かりませんけれども、やはりそれの検討に当たっては広い意見を聞く必要のある問題というものはいろいろありますよね。そういうことで監督局の仕事であっても、タスクフォースでいろいろな有識者の意見を聞いて、それを参考にしながら決めていくということは、何らおかしくないと思いますけれども。

問)

身分はどうなるのでしょうか。

答)

そこまで詰めていません。年内に立ち上げる訳ですから、これから検討です。

問)

守秘義務みたいなものは生じて来ますよね。

答)

そうでしょうね。

問)

早期是正措置の改善期間を3年から1年にされたと思うのですけれども、これまでに3年間期間を与えられてフルに走り続けた銀行というのはあるのでしょうか。

答)

どうでしょう、監督局に後で聞いていただけますか。普通、金融機関は出来るだけ早く対応していると思います。

問)

改めてお伺いしたいのですが。一部銀行の頭取は、内閣改造以降金融行政が転換したのだと、株価の下落に関してそういうことを仰っていた訳ですが、金融庁の長官として、竹中大臣になって、工程表が出た機会ですけれども、金融行政は転換したのかどうかということについてどういうふうにお考えでしょうか。

答)

前もお答えしたような気がしますけれども、不良債権処理、金融機関の健全化について従来以上に政策を強化して取り組んでいるという認識はありますけれども。株価と政策転換ということも良く分かりませんけれども、いずれにしても我々としては政策強化に取り組んでいるという認識でおります。

問)

今まで足りなかったことを足るようにしていると、そういうことなのでしょうか。

答)

いずれにしても、幅広くいろいろな角度から、プログラムをご覧いただければそうですけれども、非常に網羅的に項目が挙がっていますけれども、網羅的な角度から不良債権処理だとか金融機関の健全化について検討しているということだと思っていますが。

問)

債務者区分の統一ということで伺いたいのですが、大臣が先日の国会答弁の中で、メイン行の区分けを重視したいという趣旨のことを仰ったと思うのですけれども、こうすると結果的に区分が甘くなるという可能性があるのではないでしょうか。

答)

大臣の答弁を直接私は聞いていないのですが、いずれにしてもプログラムには書いてあると思うのですけれども、適切な債務者区分をしている金融機関に合わせるという趣旨のことを書いてあったと思います。

問)

つまりメインとは限らないという意味ですか。

答)

メインとは限らないと思いますね。ただ、その企業についてメイン行に一番情報があると、そういうことも踏まえて大臣がそういうご趣旨の話をされたのかも分かりませんけれども。いずれにしても基本は、あくまでも適切な債務者区分をしている金融機関に合わせていくということなのです。

(以上)

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