高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年3月24日(月)17時03分~17時18分)

【質疑応答】

問)

長官から何かございますか。

答)

特にないです。

問)

イラク攻撃が始まりまして、20日に金融庁としても対策本部を設置いたしましたが、これまでの取組み状況と株式市場等への影響についての現状認識についてお願いいたします。

答)

今お話がありましたように、20日のイラク攻撃開始を受けまして対策本部を設置したわけです。日銀・海外の金融あるいは市場当局とも緊密に連携を図りながら、適切に対応するという体制を整備したわけであります。

現実に、我々は海外の主要証券当局とも連絡を取り合っております。ご承知のように海外の主要証券当局では、特段の措置がとられていないという状況であります。また、各国の中央銀行とも、日銀の協力も得ながら情報交換をしております。金融市場についても平静で、各国、特段の措置はとられていないという状況にあるわけでございます。そういう状況を下に、ご承知のように日本の株式市場等についても通常通り開場しているということであります。

株式市場への影響ということになりますと、どの要因がどういうふうに影響したということの分析はなかなか難しくて、従来からそういったことについてのコメントは差し控えさせていただいております。ただ、いずれにしてもご承知のように、日本の株式市場も、今日も日経平均で240円プラスということで堅調に推移をしております。また海外市場もニューヨークダウが8日連続で上昇するといった状況で、堅調に推移をしております。

いずれにしても、今後とも引き続き海外の状況については、日本の状況も含めて注視して行きたいというふうに考えております。

問)

本日、与党の金融政策プロジェクトチームで「緊急金融対応策」をまとめまして、金融庁の関連といたしましては、銀行等の株式保有制限の延期、銀行等保有株式取得機構の機能強化、減損会計の導入時期の延期、有価証券の強制評価減見直しなどが盛り込まれておりますが、それぞれ、ただ今の4項目についての金融庁としての対応はいかがでしょうか。

答)

まず与党で、直近の状況を必ずしも把握していないのですが、引き続き、今ご指摘の点も踏まえて、いろんな議論がなされているわけであります。総論として申し上げますと、金融庁としてはこうした検討状況を注視しているということであります。

各論について申し上げますと、銀行等の株式保有制限につきましては、これもご承知の通り、銀行の株式保有リスクを軽減し、財務の健全性を高めるという観点から、一昨年の臨時国会で導入されたわけであります。与党内では前から申し上げていますように、今の株式市場の状況だとか、あるいは新BIS規制の導入が延期されたといった、その後の状況を踏まえながらいろいろご検討がなされているわけですね。金融庁としてはそういった検討をよく注視して行きたいというふうに考えております。

また、株式取得機構につきましても、その機能強化について与党でいろいろご議論がなされております。この点についても我々は検討状況をよく注視して行きたいというふうに思っております。

固定資産の減損会計と有価証券の強制評価減の問題ですが、これにつきましては、ご承知のように企業会計審議会での報告を受けまして、政府としては固定資産の減損会計については2005年度から導入する。また有価証券の強制評価減につきましては2001年度から既に実施しているといった対応をして来ているわけであります。与党の方でいろいろご議論がなされて、財団法人の財務会計基準機構の方にいろいろ見直しなりご検討を要請するということになれば、我々としてはそこでの議論をよく注視して行きたいというふうに思っております。

有価証券の強制評価減の問題は、元々、商法に規定があって、それを受けて実施されて来ているということなのですね。それで有価証券の時価評価については今申し上げましたように、企業会計審議会の報告も受けて、2001年度から実施されて来ているということなのです。その点ちょっと修正させていただきます。

問)

リレーションシップバンキングのあり方に関する金融審議会のワーキンググループが、27日の金融審議会の第二部会で見解を報告しますが、先程の与党の議論の中でも中小金融機関の検査・監督ではその機能・特性が十分発揮されるよう配慮を求めております。こうしたワーキンググループの報告を受けて月内に金融庁として策定予定のアクションプログラムでは、どんな点に配慮すべきとお考えですか。

答)

これまでリレーションシップ・ワーキンググループにおきまして7回の審議がなされて来ているわけです。現在その審議を踏まえながら最終報告書の取りまとめに向けた作業が行われているということで、最終報告書の内容が確定したということでは現時点ではないわけです。

これまでのワーキンググループの議論におきましては、主な指摘をごく簡単に申し上げますと、中小・地域金融機関の実態に即した不良債権処理を進める必要があって、主要行と同一の数値目標を課すことは必ずしも適当ではないというご指摘がある一方で、問題の先送りとならないように、中小・地域金融機関が展開するリレーションシップバンキングの機能強化に向けた取り組みを、不良債権問題の解決を目指す16年度までに集中的に進めるべきであるというご意見も出されているようであります。また中小企業に対する貸し出しにつきましては、地域の中小企業の特性に応じて経営実態を十分勘案した上で資産査定が行われるべきであると、そういったいろいろな意見が出されているというふうに聞いております。

そういったいろいろな議論を踏まえて、現在、報告書が取りまとめられつつある状況にあるわけです。

金融庁で作成するアクションプログラムにつきましては、こうした報告書の提言に沿って、これを受けて検討して行くということになるというふうに考えております。

問)

本日、りそなホールディングスの一部ATMが未稼動となりましたが、復旧等の現状と原因についてどんな報告を受けていらっしゃるのか。また今後の対応はどうされるのか、これについてお願いします。

答)

本日、りそな銀行の一部、旧あさひ銀行ですが、それと埼玉りそな銀行のATMが未稼動の状況となったわけですが、システムは午後0時50分に復旧しております。ただ一部無人店舗につきましては、順次立ち上げを行っているということから、全面的に復旧したのは午後2時半ということであります。原因については現在りそなグループにおいて究明中であります。金融庁としてはこういうシステムトラブルが発生したことは遺憾でありますが、いずれにしても適切な顧客対応が重要ですから、適切に顧客対応を行うように、また安定したシステムの稼動に万全を尽くすように要請をいたしております。引き続きしっかりフォローアップを行ってまいりたいというふうに思っております。

いずれにしても早急に原因究明を行う必要がありますから、速やかに銀行法第24条に基づく報告徴求命令を発出したいと考えております。

問)

先程のりそなの件なのですが、24条報告はいつ求める予定ですか。

答)

これは内部の決裁等もありますが、速やかに出したいというふうに思っています。

問)

今週中ですか。

答)

当然、今週中には出すと思います。

問)

与党から意見が出ている会計制度の見直しについてですけれども、これについて、時価会計の凍結などをすると国際的な信任を失うのではないかという指摘もありますけれども、その点については長官の考えはいかがでしょうか。

答)

いずれにしても与党でいろいろ議論されていますし、会計処理については現在の仕組みでは基本的に財団法人の財務会計基準機構が設定するという大きな枠組みがあるわけですね。ですから与党の方で見直し等ご要請されて、そこでの議論がなされるということになれば、そこの議論を良く見て行きたいというふうに考えております。

問)

金融庁としては、とりあえず機構での議論の成り行きを見守るといったお立場なのですか。

答)

それはもう先程申し上げたような基本的な枠組みですから、繰り返しになりますけれども、先程申し上げたように政府としては企業会計審議会の報告も受けて、方針を決めてやって来ている訳ですね。そういう中で与党でいろいろなご議論がありますから、今の財務会計に関する先程申し上げたような枠組みの中で、そこでの検討をご要請されるということであればそこでどういう議論がなされるか、よく注視をして行きたいというふうに思っております。

問)

明日の朝、日銀の金融政策決定会合が急遽開かれるということになったようなのですが、それについてどのようなことを求めたいか、あるいはご所見等あればお聞かせいただきたいのですが。

答)

それはもう日銀の金融政策については日銀がご判断される話ですから、私からコメントすることは適当ではないと思うのですね。いずれにしても前から申し上げていますように、政府・日銀一体となってデフレ克服に取り組んで行くということですから、日銀は日銀のお立場で今の状況を踏まえながら適切な検討がなされるのだというふうに思います。

(以上)

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