高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年4月21日(月)17時02分~17時12分)

【質疑応答】

問)

長官から何かございますか。

答)

特にないです。

問)

自民党の方で、先週、新しい株式の買取機関を作ったらどうかという提案があったわけなのですが、証券不況の頃の組織をもう1回というような話のようなのですが、長官としてこういうのはどういうふうに評価されますか。

答)

自民党の中で、今の株式市場を踏まえていろんな議論がなされているということは承知しています。今お話のあった構想については、私も具体的に詳しく承知しているわけではありませんから、なかなか的確なコメントは出来ないと思います。

ただ、取引所と言いますか、市場はいろんな要因を背景に、いわゆる市場原理で株価が決まって来る、また、資金配分がなされるということで適切に機能して行くということによって、経済のインフラとして有効に機能しているわけですね。ですから、そういった市場の機能も踏まえながら考えるに、そう簡単でもなくて、慎重な議論が必要ではないかというふうに思います。また、特にその際、日本の株式市場は世界の三大市場の一つとして国際的な期待も高いわけですから、そういう点も踏まえる必要があると思います。

いずれにしても、今申し上げたような点を踏まえながら、慎重に議論しないといけない問題ではないかというふうに思います。

問)

保有株式の時価評価の選択制の問題なのですけれども、生保会社が選択制を割に評価しているように伺っているわけなのですけれども、彼らのように株を持たざるを得ないような企業に対して何らかの配慮をする一方で、透明性は何らかの形で維持するというようなことというのは、将来的も含めて検討されることはあるのでしょうか。

答)

この問題は、前から申し上げていることと同じで恐縮なのですが、財務会計基準機構の方で与党のご要請を受けて、今、真摯に検討が進められているわけです。ですから、やはりそこでの実務的・専門的な検討をよく見て行く必要があるというふうに思っています。

問)

特別検査なのですが、ぼちぼちいろいろ姿が見えて来るのではないかと思いますけれども、スケジュールなんかも含めて教えて欲しいのですが。

答)

正直申し上げて、まだ検査が継続中であります。検査が終了次第、出来るだけ早くその結果を取りまとめたいと思いますけれども、現在、まだ検査継続中ということでご理解をお願い申し上げたいと思います。また、具体的な公表方法と言いますか、中身と言いますか、そういうものについても今後よく検討して詰めたいと思っております。

問)

時価会計に関連してですが、与党の方から、そもそも機構で会計基準のルールをまとめていること自体を問題視するような、まあ先祖返りみたいな議論なのですけれども、そういう声も出ていますが、それについて長官はどう思われますか。

答)

財務会計基準機構は、確か13年7月に設立されたのだと思いますね。その当時、いろんな議論もあり、また主要先進国の状況も踏まえて、独立性のある民間の会計基準設定主体として設立されたわけですね。私は、会計基準に関する基本的なスキームは、今の仕組みというのは良い仕組みだというふうに思います。この仕組みを一層進化させると言いますか、そういう観点から、引き続き議論があるということは、それはそれで良いことだと思います。いずれにしても、基本的に今のスキームは非常に良いスキームだと思いますから、それを進化させると言いますか、前向きな議論が望ましいというふうに思います。

問)

すみません、一番最初の買取機関のことなのですけれども、慎重な議論が必要だというお話だったのですが、慎重な議論というと、要するにネガティブなご見解というふうに受け止めてよろしいのでしょうか。

答)

先程申し上げましたように、市場はいわゆる市場原理と言いますか、そういう原理の下で株価なり資金配分が行われるということが市場機能の基本と言いますか、重要な部分だと思うのですね。それに対して、意図的に株価を維持あるいは上昇するために買取機構を作るということは、そういう市場機能の観点から見て、やはり、詳しいスキームは知りませんけれどもいろいろ問題がありそうですから、慎重な議論が必要ではないかということを申し上げたのです。

問)

ではその関連ですけれども、日銀に「ETFを買え」とかそういう話も与党は言っていますけど、これもやはり市場の機能を乱すという恐れもあるから、慎重な議論が必要ですか。

答)

それは日銀がご判断される話だと思いますけれども。日銀が金融政策を担当する独立の中央銀行として、その金融政策の調節手段として具体的にどういう方法を考えていくかということだと思うのですね。それは日銀ご自身がお考えになる話だと思います。

要は日銀が金融調節しているわけで、その具体的な方法について議論がなされているので、そういう方法として日銀、中央銀行自身がどういう方法が望ましいかを考えるべきだと思うので、議論が少し違うと思いますね。株価が云々、株価と無関係だとは言いませんけれども、いずれにしてもそれは日銀の金融調節の方法について議論がなされているので、少し違うのではないかという気がしますね。いずれにしてもそれは日銀がご判断される話だというふうに思います。

問)

今回の買取のスキームが良いと思うかどうかは別として、いろいろ与党の人もいろんなことを言って来て、そうすると適切にいろいろその難点とかご指摘されるわけなのですけれども、株価がガーッて下がって来てしまった場合、では何をしたら良いのかと、あるいはマクロ的な財政出動とか、何かこう、いい手はあるのでしょうか。自民党の人があれこれ言うと、「それは何か問題がある」と、かなり客観的にご指摘されるのはそれはごもっともなのですけれども、では何がやれるのかどうか。前向きな何かご意見がないでしょうか。

答)

これも前から申し上げていると思いますけれども、一つはデフレの克服ということが大変重要だと思います。株価は企業・経済の実態を反映するわけですから、そういう点については政府・日銀一体となって真剣な取り組みをやって来ているわけです。

それから証券市場と言いますか、株式市場独自の問題としては、前も申し上げていますように税制もありますし、それは新しい税制、抜本的な見直しを始めたばかりですね。それから証券取引法の改正、これも幅広い投資家が参加するように市場を整備しようとする観点も入っているわけです。それで、それは今、国会に提案中なわけです。それから3月13日には市場の適正化のための6項目からなる対策も出しているわけですね。そういうことによって市場が活性化して行くことを期待しておりますし、また市場担当当局としては、更に何かないか幅広い勉強はしたいというふうに思っております。

問)

更に何か幅広い勉強をして行きたいということですね。

答)

それは当然のことなのですけれども、市場活性化の観点から何かあれば当然、何かないかということはいつも勉強すべき課題だと思っていますから、そういう気持ちを持ち続けて努力したいというふうに思います。具体的に何か念頭にあるわけではないのですけれども。

(以上)

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