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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年8月4日(月)17時01分~17時10分)

【質疑応答】

問)

先週末、15の銀行に対して業務改善命令を出されました。一斉転換の期限に向けてですね、剰余金が着実に積まれてきていないということを踏まえた上での今回、改善命令だと思うのですけれども、さはさりながら、銀行側の方としては、こうした経済情勢の下ですね、これ以上の対策、なかなか厳しいという声も出ています。そういった中で当局としまして、銀行側、どういった形での業務改善計画を求めてらっしゃるのか。

答)

今、お話のございましたように、8月1日に経営健全化計画の大幅な未達の銀行に対しまして、業務改善命令を発出致しております。その主な内容は、収益改善のための方策をおり込んだ業務改善計画を、今年の8月29日までに提出することを求めるものでございます。

確かに今お話がございましたように、それぞれの金融機関と言いますか、銀行の置かれた状況というのはいろいろだと思います。そういう状況も異なりますので、一概に申し上げることはできないのですが、いずれにしましても、そういった状況等を踏まえながら、収益力の一層の強化について真摯な検討をお願いしているということでございます。

問)

この関連で、最終的に公的資金返済というスキームですから、収益見通しを甘くするというのはこれはややまたずれかもしれませんけれども、ただ、足下見た場合ですね、収益見通しを下方修正せざるを得ないという銀行も出てくるのではないかなと、そうした場合、税効果の否認にも繋がりかねない話ですし、と言うことは自己資本比率の低下にも行き着くというような懸念もあるのですけれども、その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

いずれに致しましても、今申し上げましたように、今回の業務改善命令は収益力の一層の強化をお願いするというものであります。収益力の強化は、不良債権処理の問題と併せて、最重要な最優先課題でございます。そういうことで、経営健全化計画の大幅な未達な銀行に対しまして、経営改善をお願いするということは、我々として当然のことだろうというふうに思っております。それはあくまでも収益力の強化でございますから、基本的な問題として、その努力をお願いするということであります。繰延税金資産の問題、今お話がありましたけれども、これはもう昨年10月の「金融再生プログラム」で厳正な監査等が打ち出されておりますけれども、それを踏まえた厳正な監査等がなされてきて、適正な計上がなされていると、今後ともそういった厳正な監査がなされるというふうに考えております。

問)

話は変わるのですけれども、金融審議会の方で報告書が出ました「新しい公的資金制度のあり方」。これにつきまして長官、速やかにプロジェクトチームをという話だったと思うのですけれども、大臣の方は「夏休みに入るぐらい前に」というようなことをちらっと仰ってたんで、今の進捗状況につきましてお願いします。

答)

これは前に申し上げましたようにできるだけ速やかにですね、プロジェクトチームを立ち上げて、検討に入りたいというふうに思っております。そのための作業を今、鋭意やっていただいているということであります。

問)

公的資金のプロジェクトチームはいつ位に立ち上がりそうでしょうか。

答)

出来るだけ早くと思っているのですが、今、そういうことで各局に関連、各局といいましても総務企画局、それから監督局、検査局なのですが、そういった各局に跨る問題でありますから、関係者間で至急立ち上げに向けて作業してもらっているということであります。

問)

8月中にはできるのですか。

答)

8月中には当然やらなければいけないと思います。

問)

お盆前ですか。

答)

今、作業をやっていますから。出来るだけ早くということで、今やっています。

問)

先程、収益力の強化を求めるということだったのですけれども、収益力を強化するためには、これは一義的には銀行の経営陣が考えることなのですけれども、金融行政の側から見て、収益力を上げるには何が必要なのでしょうか。

答)

これは前から申し上げていますように、行政が一律にどうして欲しいとかいうことは、私は適切ではないと思うのですね。ですから、それぞれの金融機関において、経営陣がしっかりと取り組んでいただきたいと。それで先程申し上げましたようにそれぞれの金融機関、置かれた状況も違いますし、これまでやって来たこともいろいろ異なると思いますから、そういう状況も踏まえながら更なる収益力の強化に向けた努力をお願いしたいということであります。

問)

デフレが止まるという明確なマクロ環境の変化が見られない中で、銀行業に対してですね、PL上の数値目標、3割ルールを掲げてですね、経営陣の首をある意味では懸けて、それを達成させるという行政のあり方がそもそも論理的に整合性があるのだろうかという声は、銀行界からも聞こえてくるし、その他一般の評論家も言うかも知れないのですが、その辺に対する認識は如何なのでしょうか。

答)

いろいろな経済的な条件というのはあると思うのですね。だけれどもそういう厳しい状況の中ではありますけれども、収益力の強化に向けた今回の業務改善命令は、収益力の強化に向けて一層のご努力をお願いしているわけであって、これはやはり、私は金融行政としてそういうお願いをして行くというのは当然だというふうに思っております。

問)

4月の初めに、今回の3割ルールの厳格化を文書で示されたわけですが、それを前3月期末の決算に遡及して適用するというのは、これまたちょっと論理的に如何なものかという声もあるわけですが、この点について長官のご認識は如何でしょうか。

答)

これは、ちょっと正確な文書を覚えていないのですけれども、10月の金融再生プログラムで考え方が示されているわけですね。それで、遡及といいますけれども、そういう議論といいますか、公表したのが4月3日ということですから、10月に考え方を示して、4月3日ということでもありますから、私は遡及の問題というのはないのではないかなというふうに思っております。いずれにしても、これは先程も申し上げましたように収益力の強化と不良債権処理の促進という今の最優先課題についてご努力をお願いするということですから、私はいろいろなことを考えても当然なことではないかなというふうに思っておりますけれども。

(以上)

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