高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年8月25日(月)17時01分~17時22分)

【質疑応答】

問)

業務改善命令、15行に対して先だって発動しました。これについての業務改善計画というのが今週末に提出が控えています。それに向けて、今、事前の協議などが進んでいると思われますが、現在の進捗状況はいかがですかということと、実際に提出された後、その業務改善計画の内容について金融庁としての評価及び公表等についてどのようにお考えなのか、まず伺いたいと思います。

答)

まず本件は個別行に対する業務改善命令に関することでございますので、具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても業務改善計画の提出期限は、今、お話のございましたように8月29日ということになっております。提出された業務改善計画につきましては、現在見直し作業中の経営健全化計画に織り込まれるということになってまいります。

金融庁といたしましては、経営健全化計画として提出がなされた段階で、それを取りまとめて公表したいというふうに思っております。

問)

2点目ですけれども、同じように今週中、リレーションシップ・バンキングのアクションプランについての提出もありますけれども、これも同じように提出されたものについて金融庁としての評価及び公表等はどのようにお考えでしょうか。

答)

今、お話のありましたリレーションシップ・バンキングの機能強化計画でございますけれども、これにつきましても8月29日までに財務局に提出されるということになっております。そういうことで、現在、各金融機関においては計画の検討作業が大詰めを迎えているものというふうに考えております。

提出された計画の公表の取扱いでございますが、基本的には各金融機関の自主的な判断によることとしておりますけれども、情報開示というのも重要でございますので、全金融機関において少なくとも計画の要約を財務局に提出した後、速やかに公表することを要請しているということでございます。

また金融庁といたしましてもその全体像について取りまとめ、公表を行いたいと考えております。

更にその進捗の状況につきまして半期毎にフォローアップをし、それを取りまとめて公表することも考えたいというふうに思っております。

問)

今のお話の中で、「全体像について金融庁としても取りまとめ、公表」とありましたけれども、これはいつということでしょうか。

答)

提出を受けて出来るだけ早く取りまとめて公表したいというふうに思っております。

問)

今のアクションプログラムの件なのですけれども、必ずしも例えば健全化計画のように数値目標がふんだんに織り込まれたものになるというふうには読めないというか、アクションプログラムを読んでいるとそういう趣旨ではないような気もするのですけれども、フォローアップというのはどういうふうにするのですか。

答)

それは計画が出て来て、その計画に沿ってその進捗状況をチェックして行くということだと思います。地域金融機関ですからそれぞれ特色があって、そのあるべき姿というのもいろいろ違うと思うのですね。ですから一律に論ずることは出来ないと思いますが、いずれにしても各地域金融機関が考える将来像と言いますか、業務のあり方、そういう計画を踏まえてしっかりチェックしてフォローアップして行きたいということであります。

問)

健全化計画の見直しの、金融庁としての取りまとめというのはいつ行う予定ですか。

答)

それは出来るだけ早くと思いますけれども、今の時点でいつまでということはまだ申し上げられる段階にはないと思います。まずは8月29日に業務改善計画が出て来るということでございますので、それを受けてそれを織り込んだ健全化計画が出て来る訳ですね。それを受けて、出来るだけ早く作業したいというふうに思っております。

問)

これはもう既に、全部確認しているわけではないけれども、ほとんどの銀行が業務改善計画を出していると。今週中くらいですかね、事実上お出しになっていろいろ金融庁と調整しているという段階だと思うのですが、ほとんど出ているという解釈で良いのですか。

答)

今、申し上げましたように、まず業務改善計画が今週末に出て来る訳ですね。それで途中のやり取りについていろいろコメントするのは好ましくないと思うのですけれども、いずれにしてもそれを受けて精査するという作業がまずあると思うのですね。その上でその内容が経営健全化計画にも織り込まれて行くということになると思うのです。

問)

そうすると1ヶ月位というか、まとめるにはまだ少し時間がかかるという・・・。

答)

恐縮なのですけれども、出来るだけ早い方が良いことは明らかですから、出来るだけ早くその作業を進めたいと思っておりますけれども、今の時点でいつまでということはちょっとコメントし難いので、もう暫くお待ちいただきたいというふうに思います。

問)

みずほグループへのシステム面における再検査という報道がありました。みずほの方も前回のトラブルを踏まえて、統合に向けて作業を進めているところだと思うのですけれども、これは金融庁としても厳しく見て行くということでしょうか。

答)

みずほについてシステム検査をするということではなくて、確か8月18日にみずほ銀行に対して検査を実施する旨予告をした訳ですが、これは別にシステムリスクに特化した検査ではなくて、資産査定等も含めた通常の検査ということであります。もちろんシステムについてもチェックするということだと思いますけれども、いわゆる広く検査する通常検査であります。

問)

システムに絞った検査ではなくて、通常の全ての項目に及ぶ検査だということですか。

答)

そうです。いずれにしても全ての項目に渡って厳しく検査するということだと思います。

問)

日本振興銀行について基本的な評価と、それからこれまで新規参入銀行というのはネット銀行やコンビニ銀行が多かったのですけれども、今回、業態が違うのですけれども、どういった観点に特に重きを置いて認可の審査をして行くのか、この2点を教えて下さい。

答)

まず恐縮でありますけれども、日本振興銀行の創設につきまして予備審査申請が行われている訳ですけれども、個別の事案でありますからそれについてコメントすることは差し控えたいと思います。

いずれにしても一般論として、銀行業への新規参入と言いますか、そういうことは金融の活性化等に寄与するものでございますので、基本的に金融庁としては歓迎するという立場であります。

ただいずれにしても予備審査申請を受けて、審査については当然厳格に審査するということで、それは銀行法の4条2項にございますように、法律に則ってその要件に該当するかどうかということを厳格に審査して行くということになると思います。

問)

自己資本比率のワーキング・グループなのですけれども、これは経過報告という形でとりあえず一段落したのですけれども、再開の目途と最終的な取りまとめはいつ位までにお願いしたいと考えていらっしゃるのか。それとどういった議論の展開を期待していらっしゃるのか教えて下さい。

答)

今、お話のありましたように7月末に経過報告がなされた訳です。今後更に検討を進めるということでお願いをしている訳ですけれども、具体的な再開の日程につきましては座長とご相談をしながら、また各委員のご都合も踏まえて決定することになると思います。

いつ頃という話ではありますけれども、やはりこれは非常に重要な、また難しい問題でございますから、ワーキングの方で良く議論をしていただくということだと思います。そういう中で、自ずから議論が収束していくということではないかと思います。

問)

特に目途は設けないということですか。

答)

目途と言いますか、昔と違って最近はそうなのですが、行政がどうこうということではなくて審議会の方でご議論いただいていると。もちろん重要な問題でもあり、出来るだけ早く議論が収束すると良いとは思っております。

問)

審議会の議論は議論としてあると思うのですけれども、金融行政として、監査法人の方からは例えば繰延税金資産の資産性等については、全てにおいて監査法人の会計基準がそのまま監督行政に反映されている現状についてはやはり不満もあるようなのですけれども、監督行政の監督としての基準を設けることについては、審議会の議論とは別に金融庁としてはどういうふうなお考えなのでしょうか。

答)

そういうことも含めていろいろ難しい問題でもございますから、ご議論いただいているということだと思います。

問)

審議会は審議会な訳で、例えば諸外国を見てもアメリカなどは、むしろ日本みたいに行政の独自の基準のない所が珍しいくらいと聞いていますので、そういった現状について、やはりこれまでそういう規制をして来なかったことが一連の問題につながっていたかもしれないという指摘もあると思うのですが、必要性については何かご意見はお持ちですか。

答)

今の取扱いは国際的に見て許されると言いますか、問題がある取扱いではないと思うのですね。ただこの前の経過報告にもありましたように、自己資本の中に占める繰延税金資産の割合が低下することが望ましいということは、その方向として私もそうだと思うのですね。そこまではこの前の経過報告の中にもある訳で、今後、更に引き続き議論をいただいて、それを参考に行政として判断して行くということだと思います。

問)

金融審議会の結論というのは、聞いているところでは来年の7月ということで審議会としてはですね、一区切りもしたいというふうなことで聞いているのですが、そことはちょっと関係ないのですか。

答)

その話は、私は承知しておりません。来年の7月ですか。

問)

はい、そうですね。

答)

いや、そういうことはありません。

問)

日本振興銀行の設立を巡って、木村さんが非常勤取締役で加わられるというスキームが発表されています。予備審査申請された日に木村さんは顧問を辞任されたかと思うのですけれども、顧問の立場で準備に関わられたということで少し問題ではないかという指摘が一部にあるようですが、長官は手続き面での不備というか、問題点はあるとお考えですか。

答)

木村さんについては、予備審査申請をする前に辞任の申し出がございまして、辞任をいただいたということで、きちんとした対応をされているというふうに思います。そういうことで、私は特段の問題はないと考えております。

問)

先程の自己資本の話の中で、長官自身も自己資本の中に占める繰延税金資産の割合というのは、低下する方が望ましいというふうにお考えだと。

答)

それは、この前の経過報告の中でそういう、ちょっと厳密に正確にお読みいただきたいと思うのですけれども、そういうふうに書かれております。私もそれはそうだと思います。

問)

不良債権比率の半減の目標に関連してちょっとお聞きしたいのですが、銀行がその不良債権を別会社に移す場合に、これは何らかの影響があるのか、あくまでも連結で見るのか単体で見るのか、その辺りはどのようにお考えになっているのでしょうか。

答)

当然連結で見ることになるというふうに私は思います。ただ、その具体的なやり方ですか、今まで実施している主要行ありますね、あれ全て連結で見ることになっていくというふうに理解しております。

問)

確認なのですけれども、みずほに対するシステムリスクに特化せずというところでですね、これはみずほに限らず、含めて他行も広く検査されるということで良いのですか。

答)

私が申し上げたのは、みずほについては、8月18日に予告をして、その検査は通常検査で、その中でいろいろな重要な項目について、厳格に検査するということを申し上げたわけであります。他の金融機関について、検査するのかしないのかということはありますけれども、主要行について言えば通年・専担的な検査をするということになってますから、当然、その一環として検査で入ると思いますけども、やはり具体的に予告していない金融機関について検査云々は適切ではないと思いますから、そういう意味ではお答えを控えさせていただきたいというふうに思います。

問)

金融庁の概算要求なのですけれども、一応その段取りといいますか、今週、一応自民党でも説明されるということなのですが、どんな感じに今なっているのでしょうか。

答)

具体的な手続きの日程まではちょっと記憶してないのですけれども、いずれにしても8月29日が提出期限ですから、それに向けて我々も検討を進め、また必要な手続きを踏んで、8月29日には要求するということだと思います。

問)

いわゆる欠損金の処理とかですね、欠損金の税の扱いとかですね、そういったことも入っているのですか。

答)

そうです。税制改正要望についてもですね、その時が提出期限だといふうに思います。

問)

23日のタウンミーティングで、大臣が産業再生機構についてですね、今後金融庁としても協力していきたいと、連携を深めていきたいという旨の発言がありました。先週は色々と内定についての報道もありました。それを受けまして長官として産業再生機構と金融庁との関係というか、協力というか、そういった辺りのお考えを聞きたいと思います。

答)

大臣のご発言について、私ちょっと具体的に見ておりませんですけども、いずれにしても不良債権処理を進める中で、産業再生機構は大変重要な役割を果たしていただけるというふうに期待をしておりますから、そういう意味で金融庁としても、出来るだけの協力・連携をしたいというふうに思っております。

問)

先週なのですけれども、財務会計基準機構の理事長が上場企業の加入率が非常に低迷しているということで、将来的には加入の義務付けをすべきだと。長官としては加入義務付けというものについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

元々、財団法人の財務会計基準機構は民間の力で主体的に、民間の方で主体的に取り組んで行くということだと思うのですね。ですから、まずは、今お話にあったような、加入率が上場企業の3分の1位らしいのですけれども、そういう加入率が低いと、それにどう対応するかといった点を含めて、まずは財団法人の方で主体的にお考えいただくべき問題ではないかなというふうに思います。

問)

長官、IMFのFSAPなのですが、金融システムの脆弱性であるとか、予防注入の必要性であるとかに言及されているようですが、レポートはもう既にお手元に、ないしはどのように評価されていますか。

答)

FSAPにつきましては、今、IMFの部内で最終報告の取りまとめに向けて作業している段階だというふうに思っております。ですから、現時点で我々が何かコメントするのは適切ではないというふうに思います。

(以上)

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