高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年9月22日(月)17時03分~17時15分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何か。

答)

いや、特にないです。

問)

小泉改造内閣が発足しまして、竹中大臣は、異例のと言っても良いのかもしれませんけれども、兼務状態で留任ということになりました。これをどういう政権のサインと受け止めていらっしゃるか、長官の所感をお願いいたします。

答)

ご承知のように、昨年9月に竹中大臣がご就任以来、大臣のご指導の下で、金融再生プログラムに基づいて不良債権問題の正常化、金融システムの安定に向けて全力で取り組んで来たわけであります。そういう取り組みを引き続きしっかりやってほしいということだと思います。そういうことで、引き続き竹中大臣のご指導の下、再生プログラムに沿って一層しっかり取り組んで行きたいというふうに考えております。

問)

別件なのですけれども、郵政公社が終身保険の新商品ということで、民間の定期付終身保険に近い同じような商品性の商品を出すということで、生保業界が大変反発をしています。官から民へという小泉政権の性格からすると、かなり逆行した措置であるという見方もあるようですが、長官の所感をお聞かせください。

答)

今、お話のありましたように、9月17日に郵政公社の方から、いわゆる定期付終身保険の認可申請が総務省の方に出されているというふうに聞いております。今後、総務省の方でご審査になるということだと思います。本件につきましては、現在の法制度上の枠組みでは、その申請に対する認可は総務大臣が判断するということになっているわけであります。そういう法制度でございますから、金融庁として具体的なコメントは差し控えたいというふうに思いますが、いずれにしても保険を含め、金融市場が一層健全化して行くと言いますか、健全に発展して行くということが保険契約者等、国民の皆様の利益になって来るわけであります。そういった観点も含めて、総務省には幅広い議論、慎重な検討をお願いしたいというふうに思っております。

問)

最後の話は、保険市場の健全化につながらないと言って民間生保は反対しているのですけれども、「一般論としては好ましくない」とお考えという理解でよろしいでしょうか。

答)

要は、いろいろなご意見があると思いますけれども、今、申し上げたように一般論として金融市場が一層機能すると言いますか、健全に発展していくということが重要であって、そういった点では郵貯・簡保・公社も、市場参加者としてそういった観点も重要だと思います。ですから、今、申し上げましたように、総務省におかれては、そういった観点も含めて幅広い検討をお願いしたいというふうに思っております。

問)

今の関連なのですけれども、一つの考え方として、郵政公社が公社であるというところの問題性というのは一つあるとしても、新商品の開発とか創造性を発揮して行くということは、将来の民営化の助走としてはあながち変なことでもないような気がするのですけれども、そういった創意工夫性が無いままいきなり民営化になるのと、今からそういうものをいろいろトライして行くというのは、どちらが健全な発展のためになるでしょうか。

答)

いずれにしても、先程、申し上げましたように、我々は行政でございますから、行政の事務方として現在の法律制度の枠組みの下で、そういった商品に伴う約款の変更と言いますか、それは総務大臣の認可にかかっているということであります。そういう法律制度になっておりますから、この具体的なケースについて、私どもの方が具体的なコメントをすることは適切ではないと思いますが、いずれにしても、繰り返しになって恐縮ですけれども、保険市場を含めた金融市場の健全な発展ということが、広い意味で保険契約者等、国民の皆さんの利益につながって来ると思うのですね。ですからそういう観点から幅広い議論、検討がなされることが望ましいというふうに思っております。

問)

最初のご返事の中で、金融再生プログラムに基づいた取り組みを、一層しっかり取り組んで行きたいと仰ったのですけれども、一層というのは具体的に言うと、どういうふうに一層しっかり取り組んで行かれるのでしょか。

答)

気持ちと言いますか、想いとして、しっかり取り組んで行きたいということを申し上げたということであります。それから、個々の項目については、これまで着実に実施して来ておりますし、まだ検討中の問題もありますけれども、そういう検討中の問題についてもしっかり検討して行きたいということであります。

問)

大臣が今朝の会見の中で、「不良債権問題については出口がはっきりしているわけではないけれども、先が見えてきた」と。今後の課題として金融機関のガバナンスを挙げられていたのですけれども、長官はこれから再生プログラムに沿って一層しっかりやって行きたいということで、金融機関のガバナンスというものについてはどのようにお考えですか。

答)

これはご承知のように、これまでいろいろやって来た施策の中での根っこに流れている我々の思想として、前向きの緊張感と言いますか、行政との関係ですね、そういう緊張感を持って金融機関に健全化に取り組んでいただくという基本的な思想がずっと流れていると思うのですが、そういった緊張感を持ってしっかり健全化に取り組んでいただきたいということだと思います。

問)

それでは大手行と今後とも緊張関係を保つという意味では、業務改善命令が8月に出ましたけれども、今期、各行とも相当、業績は良い感じです。更に緊張関係を深めるという意味では、やはりもう一段、新たな制度というものも考えられるのでしょうか。

答)

新たな制度、と言いますか・・・。

問)

公的資金の・・・。

答)

新たな公的資金の話ですか。それはご承知のように金融審議会のご報告もいただいて、今、総合的に検討を進めているということであります。

問)

先日、竹中大臣にもお伺いしたことなのですけれども、りそなの公的資金注入以来、内外の株式市場関係者は、金融行政というのは「too big to fail」という所に戻ったというか、竹中さんが一年前に登場された時は、「大きいものだって潰すんだ、潰さないとは言っていないんだ」ということで、かなり動揺が走ったわけですけれども、りそなの注入後、「やはりあるのではないか」、「あるのだろう」と。先日の会見で竹中さんは、「法律にはどこにもそのようなことは書いていないよ」ということで、「too big to fail」を否定したやに僕には聞こえたのですけれども、相変わらずマーケットの関係者は、「いや、実際はtoo big to failなのだ」と思っているようです。この辺、より実務にお詳しい長官からご解説を伺いたいのですけれども。やはり市場が何か勝手に思い込んでいるのでしょうか。

答)

この問題は、まさに預金保険法102条で規定されている問題ですから、我々は行政ですから、法律に則った行政しかないわけですね。ですから102条に規定されていることに従って、我々は忠実に危機対応をしていくということだと思います。

問)

もう一点なんですけれども、予防的注入の話があります。これから結論はどうなるかこれからだとは思うんですけれども、新しい公的資金注入制度があります。ですから、マーケットはそういったことも含めてできるだけ大手銀行が債務超過に陥らないような先手先手の政策をこれから打っていかれるとそういうふうに株式市場は受け止めているのかなと思うんですが、そういうお考えは金融庁にあるんでしょうか。

答)

すいません、ちょっとご質問が難しくてあれなんですが、いずれにしても金融システム安定化に向けてですね、金融再生プログラムを昨年10月に策定して、そこに盛り込まれた施策を着実に実施してきているということなんですね。

問)

もうこれで最後にします。本当に最後にしますが、やはり今回竹中さんが続投が決まって、金融機関は政策変更リスクというのはやっぱり経営上の大きなリスクファクターとして意識し続けるという声が多いんですね、やっぱり不信感というか、疑心暗鬼と言いますかね、金融機関の間で依然として多いというふうに僕は受け止めているんですが、この現状をどう受け止めていらっしゃるか、あるいは今後意思疎通ですね、馴れ合いというのはいいとは僕も全く思わないですけれども、もうちょっとやっぱり情報、意見交換等々意思疎通をレベルアップする必要があるんじゃないかなと気がするんですが、その点長官いかがでしょうか。

答)

政策変更リスクと仰いましたが、さっき申し上げましたように10月、昨年の10月に金融再生プログラムを策定し、公表しそれから作業工程表も公表しそれに則ってですね着実に施策を実施してきているということですから、ちょっと仰る意味がちょっと必ずしも理解できないんですが、そういうことできちっと政策をオープンにしてそれに則って着実に実施してきているというふうに考えております。意思疎通の話ですけれどもそれも重要だと思います。そういうことでさっき申し上げましたようないい意味での緊張感を持ちながら、意思疎通といいますか政策の徹底を図っていくという意味で前向きの意思疎通については十分努力したいというふうに思います。

(以上)

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