高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年9月29日(月)17時01分~17時13分)

【質疑応答】

問)

長官から何かございますか。

答)

特にないです。

問)

りそなの細谷会長が経営健全化計画、一度見直すというような話になっていた経営健全化計画について、数字合わせをやる気はないというようなご発言で、下方修正的な見直しも辞さないというようなことを示唆されました。15年で2兆円貯めるという剰余金の積み上げ計画が先送りされるような健全化計画の見直しについて容認されるお考えはおありですか。

答)

今お話がありましたように、りそなの経営健全化計画につきましては、現在新しい経営陣の下で抜本的な検討が行われているところであります。今ご指摘のような報道があったことは承知致しておりますが、今そういう状況ですので、現段階でコメントは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしてもしっかりした再生のための計画を作っていただきたいというふうに思っております。

問)

これも一部報道でありますが、預金保険機構が預金保険料率を財務状況に応じて変える可変料率の導入について研究を始めるということが伝えられました。それはそれとして、この話は今に始まった話ではありませんが、長官ご自身の可変料率のご認識、長所、短所等少しご披露頂ければと思います。

答)

まず申し上げますけども、預金保険機構の方で研究会を作って議論を始めるということでありますが、これは、あくまでも預金保険料率の中長期的な在り方について自由に議論を行う理事長の私的な研究会ということであります。従いまして議論も多岐に渡ると思います。何も可変保険料率に限った議論がなされるわけではない、幅広い議論がなされるのだと理解を致しております。その上で、可変保険料率についてどう考えるかということですが、これは従来からいろいろ議論もありまして、金融審議会でも過去に議論がなされております。平成11年12月に金融審の答申が出されておりますけども、可変保険料率、いわゆる金融機関の財務状況等に応じた保険料率の導入でございますけども、それにつきましては諸外国においても導入の動きがありますし、また、市場規律を補うという観点からも本来望ましいという意見が述べられております。ただ一方で、ご承知のように預金保険機構は一般勘定の借入金が多額に上っておりまして、それを早期に返済する必要がある訳であります。そういう状況の中で、可変保険料率を導入した場合には経営の悪化した金融機関に対する保険料率が相当と言いますか、極めて高い水準になってくるということが見込まれるわけで、その実施については当面慎重に対応すべきであるという報告が出されております。私自身、現状をつらつら見るにその基本的な状況が変わっているわけではないというふうに思っております。そういうことで金融審答申のその報告は基本的に現時点ではやはりその考え方というのはやはり維持されるべきではないかというふうに思います。

問)

念のために確認ですが、基本的に今の状況と変わっていないというのは、そのまま一般的に市場原理は好ましいけれども、その後段の方ですけれども、今の4兆円ですか、預保の一般勘定4兆円ぐらい借入れあると思うんですけれども、それ返すので計算すればめちゃくちゃ料率が高くなると、従って現実的でないというか、現状を踏まえればあまり望ましくないと、その点について変わっていないと、そういう理解でよろしいですか。

答)

そうです。

問)

9月30日でですね、竹中さんが大臣就任なさって1年が経ちますけれども、ここまでの取組みを振り返ってですね、「金融再生プログラム」も出来て、銀行再生の道筋というのはどこまでついたか、それとこれからの課題については何かという点についてお願いします。

答)

ご承知のように、昨年10月に「金融再生プログラム」を発表し、その後、「作業工程表」も公表しですね、それに則って、各施策を実施してきたわけであります。その結果、我が国の金融システムに対する不安と言いますか、そういうものも確実に和らぎつつあるというふうに思っております。

また、不良債権問題につきましても、16年度中に半減するということで取組んで来ているわけですけれども、そういう方向に、それが実現する方向になりつつあると言いますか、どこまでと言われても難しいんですけれども、現状、そういう方向に向かいつつあるというふうに認識をしております。

課題と言いますか、これは引続きですね、「再生プログラム」を軸にしっかりその施策を実施していくということに尽きるというふうに考えております。

問)

大臣がですね、先送り型になるような企業再建をですね、金融庁の検査検証チームで要チェックというお話をなされてますけれども、この点について長官のお考えを聞かせてください。

答)

今、申し上げましたように、16年度中に不良債権を半減するという目標に向かって取り組んでいるわけであります。そうしますと、逆算すると残された年数は1年半ということで、この間ですね、集中改善期間としてしっかりと取組んでいく必要があると思うんですね。そういう不良債権処理に当たって、再建計画というのは非常に重要な位置付けだと思うんですが、これにつきましては「金融再生プログラム」にもありますように、その再建計画の検証チーム、あるいは特別検査ですか、そういう中でしっかり検証して、しっかりした再建計画を作っていただく、確実に不良債権問題を解決していくという方向で取組んでいきたいというふうに思っております。

問)

先程の預保の話なんですが、この料率の関係については、預保の方から金融庁の方にどういったお話があるんでしょうか。まとまり次第報告しますとか、ご意見があったら聞かせてくださいとか、そういうアプローチはあるんでしょうか。

答)

先程申し上げましたように、あくまでも理事長のですね、私的な研究会ということで始めようとされてるものなんですね。ですから、理事長に対する、理事長の私的な勉強会に尽きるんですが、もちろんその勉強の成果について、何かあればその段階で我々にもお話があるかも分かりません。ですけど、基本はあくまでも理事長の私的な研究会だということであります。

問)

金融庁のスタッフが関わるようなことはあり得ないわけでしょうか。

答)

それは今時点で何か考えているわけではないのですが、いずれにしても、理事長の私的な研究会ですから、まずは預金保険機構の中でですね、しっかりした議論をされるんだと思います。その状況によってですね、金融庁が何らかの関わりを持ってくるかどうかはまたその次のステップじゃないかと思います。

問)

大臣が再任、留任後の会見ですね、「再生プログラム」で積み残しと言うか、まだ残ってる繰延税金資産のワーキングと、公的資金の制度の検討について、非常に意欲を示されたご発言が多かったように思います。それぞれについて今後の運びをですね、例えば、ワーキングをいつからやってどうするとかですね、その辺をちょっとお話いただけませんか。

答)

繰延税金資産の話は大臣もお話されてますようにですね、出来るだけこの前の経過報告を踏まえてですね、出来るだけ早くワーキングを再開していただくと。それで、これ相当幅広くですね、いろいろな角度から検討する必要がありますから、今からいつ、また次のご報告をいただけるかということはなかなか言い難い面はあるんですが、とりあえずは大臣のお話のようにですね、半年ぐらいで何かご報告をいただけたらということで考えております。

それから公的資金につきましては、これはご承知のようにワーキングと言うか、金融審の方のご報告もいただいて、これは非常に幅広いものになっておりますから、それを更にいろんな角度から総合的に検討していくということで、プロジェクトチームを立ち上げて、今、いろいろ勉強しているということであります。この問題につきましては、与党を始め、世論ももちろんですが、いろんなご意見もあると思いますから、そういうご意見も踏まえながら、また、技術的な問題もありますから、幅広い検討もしながらですね、検討を進めて行きたいというふうに思っております。

(以上)

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