高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年10月27日(月)17時04分~17時17分)

【質疑応答】

問)

先週もちょっとお伺いしたのですけれども、郵政民営化に関して、前回の会見で今後民営化の議論にはイコール・フッティングの視点が重要だというご認識だったと思うのですけれども、そこで現状なのですけれども、郵政公社が終身保険とかの類似的な商品とかに意欲を見せている中で、営業に力を入れているのかなと思います。そこで郵貯とか簡保に対する預金取扱金融機関と保険会社の関係というのが、競争条件において望ましい形なのかどうかという、その棲み分けというのはちゃんと出来ているのかどうか、その辺の認識を教えていただけますか。

答)

なかなか難しいご質問なのですが、前回もお答えしたことと同じようなことになるかも分かりませんが、郵政の民営化につきましては、経済財政諮問会議においてご承知のように郵政の懇談会の報告も尊重しながら5つの基本原則と言いますか、そういうものに則して今後検討が進められるということになっているわけであります。その際には先週も申し上げましたけれども、民間金融機関との競争条件だとか、あるいは、金融、資本市場に与える影響等の金融行政上の観点も踏まえながら、幅広くご検討・ご議論をお願いしたいというふうに考えております。いずれにしても、5原則の中にですね、整合性原則というのも一つとして挙げられているわけですから、経済財政諮問会議の議論の中では、今私が申し上げたような観点も含めて議論がなされるというふうに思います。来年春頃には主要な論点整理が行われるということのようでございますので、今後の議論をよく注視していきたいというふうに考えております。

現在の仕組みがどうかということにつきましては、それは公社法があって、この4月1日から施行されているわけなのです。現に法律があるわけです。それは官業と民業の棲み分けとして、そういう法律ができて施行されているということだと思います。ただ、その法律の運用いかんによってはですね、やはり民業圧迫という問題も生じ得るわけですから、前から申し上げていますように、新しい商品の認可等に当っては、やはりそういう観点からも幅広い慎重なご検討をお願いしたいということだと思っております。

問)

不良債権処理についてですけれど、先ごろ公表された「経済財政白書」で試算としてなのですが、130社程度の上場企業の事業再生が必要なのではないかという認識があったわけですが、そこでの指摘で、債権者である金融機関と債務者企業の双方に対して早期に事業再生を図るようなインセンティブを与えることが重要というような指摘があったのですが。目下、政府として産業再生機構とかその辺の活用を訴えているわけですが、現状その十分なインセンティブ、白書にあったようなインセンティブというのが十分なものがあるというふうに思われているのか、あるいは更に課題というのがあるのかどうかというところなのですが。

答)

まず産業再生機構について申し上げますと、その活用のメリットとしては、一つは中立的な立場でスピーディーに調整がなされるということがあると思います。また二つ目としては、専門家集団でありますからそのノウハウが活かされる、活用できるというメリットがあると思います。また三つ目としては、税務あるいは債務者区分といった制度上の取扱いでメリットがあるという点もあります。そういうことで、金融機関が再生機構を積極的に活用していくという事を期待しているわけであります。また、金融庁としても再建計画検証チーム、再生プログラムに沿ってですね、再生計画検証チームを設けて厳格な検証もしていっているということもあると思います。更に、そもそも企業の再生には産業再生機構の活用も含めていろんな方法があると思います。そういういろんな方法を駆使して、トータルとして企業の再生、不良債権処理が進むことが重要だというふうに思います。そういう観点から、金融庁としては引続き産業再生機構の積極的な活用を含めて企業の再生、不良債権処理を積極的に進めるように引続きしっかり要請したいと思っていますし、いろんな観点から勉強もしてみたいとも思っております。

問)

勉強というのは、まだ何かあるということ。

答)

いずれにしても、16年度中に不良債権を半減するという目標で、今鋭意取り組んでいるわけですから、その状況も把握しながら、そういう中で何か問題があるのかどうか、そういう勉強もしたいというふうに思っております。

問)

りそなの健全化計画の見直しという話なのですけれども、出来るだけ早くやるということで、今、作業も続いているようですが、業績修正があってちらほらとリストラめいたことも少し公の場でもいろいろ話が出て、いろいろリストラしたり今期赤字を出したりということは既に出てきているわけですけれども、健全化計画の中で長官がそれ以外で期待されるものというのはどういう点かということがお伺いしたいのですが。例えばですね、健全化計画にはいわゆる剰余金の積上げ計画みたいなものも書くことになっているわけですけれども、その辺についてはどういう所を期待されるか、みたいな所をお聞かせ願えますか。

答)

これもまたなかなか難しいご質問なのですが、いずれにしても前も申し上げたかと思いますけれども、りそなグループは財務リストラ、それから新しいビジネス・モデルですか、それからもう一つリストラでしたか、大きな3本柱で経営改革に取り組んでいると。この前、業績予想修正をされたわけですけれども、財務リストラと言いますか、財務改革を中心にこの前は発表されたのだと思いますね。

いずれにしても新しい経営陣が経営改革に向けて、今、検討を進めている。それも中間決算の公表に向けて、そういうものも併せて検討されているのだと思いますけれども、経営健全化計画の見直しについてもその検討の中で一緒に検討されているというふうに理解しております。ですからいずれにしても、経営健全化計画の見直しが何時かは現段階で明言できないわけですが、中間決算と平行して作業しているということだと思います。

その中でどういうことが織り込まれるか、これはまだ何も聞いておりませんので、今後、事務的にご相談もあると思います。なお今、最後にちょっとお話のあった剰余金の積上げの話ですけれども、これは商品性等、金融機関毎によっていろいろ違っておりますから、一概に議論も出来ない性質・性格もあると思いますが、いずれにしても健全化計画のご相談がある中で良く考えてみたいというふうに思います。

問)

一部の報道で、りそなが債務超過であったという資料を民主党の政治家が持っているというような報道がありましたけれども、それについて何かこう、お調べになったりとかですね、何かあるでしょうか。

答)

その話は大臣も国会を含めいろいろな場でご答弁されていると思いますが、りそなの15年3月期決算につきましては監査法人が一定のルールに従って厳格に監査もしているわけですから、その結果として4%は下回っていますけれども債務超過ではなかったということだと思います。

問)

郵政の連絡協議会、民営化の件ですけれども、一応29日に第一回目をおやりになるということのようですけれども、竹中大臣が兼務をされておられるので特に金融庁からお話をお聞きするような場はないだろうと、取り方にもちょっと拠るのですがそういうようなお話がありまして、今後の金融庁としての意見をどういうふうに反映していかれるのか、ちょっと道筋を教えていただきたいのですが。

答)

郵政民営化につきましては、基本的には内閣府と総務省が緊密に連携を取りながらいろいろ議論がなされていくと思います。それでその中で金融的側面から何か意見を求められれば政府の重大な課題でもありますから、我々も積極的にご協力をしていきたいというふうに思っております。

問)

税制の研究会と言いますか、例の自己資本と税制と二つ走っているということなのですけれども、それについて、いろいろ予算絡みだと思いますが、具体的にちょっとお話できれば。

答)

いずれの研究会も確か総務企画局長の私的な勉強会だと思います。繰延税金資産に関するものについては、前も申し上げたと思うのですが16年度の要求との絡みで更に具体的な勉強をしたいということであります。

もう一つの方の、前からやっております税制研究会の方は、もっと中・長期的な観点から議論をお願いしているということで、貯蓄から投資へというようなそういう大きな流れを踏まえながら、中・長期的な観点からいろいろな幅広いご議論をお願いしているということであります。それでお答えになっているかどうか・・・。

いずれにしても、前者の方は16年度の要望のためにいろいろ勉強している会、もう一つの方はもっと中・長期的な観点から金融、証券税制についてご勉強をお願いしているということであります。

問)

全く別々ということですか。

答)

そうです。

(以上)

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