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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年11月17日(月)17時01分~17時23分)

【質疑応答】

問)

まず今朝のジャスダック市場のシステム障害について、原因と当局として講じられた対応についてお話ください。

答)

今日の早朝なのですが、証券業協会の方からマーケット・メイク・システムに障害が発生したので、全銘柄の売買を停止して原因を究明しているという連絡をまず受けました。金融庁といたしましては、その時に障害の発生原因の究明と早期復旧に向けて最大限の努力をするようにという指示をいたしております。

その後、バックアップシステムを活用して9時50分から注文の受付を開始して、10時30分から売買を始めたと、順調に売買は処理したというふうに聞いております。

いずれにしても、金融庁としては証取法に基づいて原因と改善策について報告聴求を行いたいというふうに思っております。

問)

日米保険協議が今日行われておりますけれども、これについての現状について伺える点があればお願いします。

答)

そもそもこの保険協議の性格ですが、これは日米双方の保険行政に関する、お互いの関心事項につきまして討議するということなのですが、まだ協議は続いていると思います。まだ今の時点では詳細について聞いておりませんことをご理解いただきたいと思います。いずれにしても、確か7時半から外務省の記者クラブの方で説明があるというふうに聞いておりますので、その時によくお聞きいただきたいと思います。

問)

りそなの経営健全化計画が先週発表されたのですが、その後初めての長官会見ですので、まず総括的な評価をお伺いしたいと思います。それと剰余金の積み上げ計画について、来年秋の新計画に新しい姿として出されることを期待すると、大臣も仰っていたのですが、りそなには2種類の公的資金が入っている、厳密に言うと3種類ですが、早期健全化法と預金保険法に基づく2種類の公的資金が入っております。来年の秋にどういう形で示されることを期待されているのか、より具体的にお話を伺えればと思います。

答)

まず、評価でございますけれど、りそなの新しい経営陣が短期間で集中再生期間の具体的な計画を取りまとめたということで、そのご努力を大変高く評価したいと思います。また、今後その計画を着実に実施していただきたいというふうに思っております。もう少し詳しく言いますと、集中再生期間というのはりそなのV字回復のための重要な時期でありますので、新たな収益モデルの構築に向けて、いろいろな施策に挑戦して企業価値を高めていただきたいというふうに思っております。

それから剰余金の話なのですが、先週も大臣がお答えしたと思いますけれども、いずれにしても公的資金につきましては、預金保険法であれ早期健全化法によるものであれ、いずれにしても制度的には確実な回収によって国民負担の発生を回避するということが重要だし、期待されているということで、制度面では同じ考え方で作られているというふうに思います。剰余金の話ですけれども、今回のりそなの場合には公的資金の注入があって、新しい経営体制ができてという、一種、大臣も申し上げましたけれど移行期だったと思うのですね。その移行期と言いますか、集中再生期間を中心にとりあえずしっかりした計画を作るということだったと思うのです。来年の9月の中間決算の時には、新たなビジネスモデルのあり方も含めて計画の見直しが行われるというふうに承っておりますので、その時には違った形で剰余金の将来の姿も示されることを期待しております。

具体的に言いますと、基本的には公的資本注入行が他にもございますが、集中再生期間が過ぎれば、他の資本注入行と同じような考え方で計画を策定していただきたいというのが基本だと思います。ただ、いずれにしても、来年の9月の中間決算の時に、新たなビジネスモデルも含めて計画の見直しを行うということでございますので、その検討状況も踏まえながらよくご相談しながら検討したいというふうに思っております。

問)

それは要するに、基本的にりそなをこの点において例外扱いしないというふうに受け止めてよろしいですか。

答)

りそなは、今申し上げましたように経営体制も抜本的に変わって、今まさに集中再生期間ということで移行期にあるわけです。そういう意味で他の資本注入行とは違った面があるというふうに思います。そういうことで今回の計画が出たと思うのです。ただ、基本的にそれが終わった後どうかと言うと、他の資本注入行と同じような考え方でと思いますけれど、いずれにしても、今申し上げましたように新しいビジネスモデルのあり方を含めて来年の中間期までに検討すると、計画の見直しをするということですから、その状況も踏まえながら、よくご相談しながら検討をしたいというふうに思っております。

問)

りそなの新旧分離なのですけれども、先般の計画にもですね、概要が掲載はされていたのですが、一部報道で再生勘定に移される企業数についての報道がありました。全体で5,000社に登って、8割超が中小企業だという。この前の健全化計画のレクでは、当局としては四半期毎に再生勘定についてチェックしていくというふうに仰っていたのですが、これは多少詳し目にですね、債務者区分毎の企業数とか、あるいは下方遷移、上方遷移という実態までオープンにしていく必要があると思うのですが、その辺のご所見をお伺いしたいと思います。

答)

この前のレクで四半期毎に金融庁が再生勘定を点検するということを申し上げたということは、必ずしも私、正確に聞いているわけではありませんが、いずれにしても、今回の健全化計画の中の工程表で、今後りそなの方で四半期毎に実績を公表するということが示されているわけです。その中身、具体的にどういうふうな形で公表していくかということは、従いましてりそなにおいて検討がなされていくというふうに考えております。金融庁は当然フォローアップするわけですが、四半期毎にりそなの方で公表されるということですから、金融庁も当然その公表を受けてしっかり点検していく必要があるというふうに思っております。

いずれにしても、どういう形で公表していくかということは、今後りそなの方でよくご検討がなされるというふうに考えております。なお、その勘定分離は、あくまでも管理会計上の区分ですから、そういう点も踏まえてどういうふうな内容の開示をしていくかということも経営陣の方でご判断されるというふうに思います。

問)

企業数ですね、金額だけでなく、やはり一つ一つの企業というのは生きていて、その生死がかかっている重要な問題だと思うのですが、そういったところまで含めてオープンにする必要性について、現時点で長官はいかがですか。全部、例えばりそなの判断に委ねるとか、あるいは一定の期待をお持ちだとか、何かございますか。

答)

そのお話については、2点あると思います。1点は、個別の金融機関、りそなと言えども個別の金融機関の中身の話ですから、そういうものをどこまで開示していくかということは、りそな自身がまずお考えになる話だと思います。繰り返しになりますが、再生勘定というのはあくまでも内部の管理会計上の取扱いでございますから、その話とディスクローズという話はやや視点が違った話だと思うのです。

もう1点は、いずれにしても再生勘定に区分されたときにどうかと言いますと、これは当然ですけれども不良債権を早期処理するということは重要なのですが、その処理に当っては当然企業の、その債務者の健全化・再生にできるだけ努力するということもあるわけですから、そういう点についても、何か再生勘定になると整理されるとか、そういうことではなくて、当然ですけれども企業の再生・健全化に最大限努力するということだと思います。これも当然ご承知だと思いますけれども、りそなの健全化計画の中に書いてありますけれども、色々な体制整備等をして企業の健全化に努めるという趣旨と言いますか、具体策も幾つも書かれておりますし、そういう点も併せてよくご理解いただきたいと思います。

問)

何らかの形で企業再生の努力が表に分かるような形が良いのかも知れませんね。

答)

それは具体的にどうするかまだ決まっていないわけですから、明確にお答えできませんけれど、いずれにしても例えば基本的な係数として不良債権比率がどういう状況にあるとかですね、そういう基本的な係数は当然公表されていくと思うのですね。そういう中で、そういう処理がどれだけ進んでいるかということは、ある程度分かると思いますし、りそなの方できちっとご説明していくというふうに思います。

問)

最近、竹中大臣が先週末の大臣会見等で新しい公的資金制度について「公約を掲げた与党と政府が一丸となって検討していきたい」と、「検討しなければいけない」というふうに力を込めていらっしゃるわけなのですが、この新しい公的資金制度についての現時点でのご所見をお伺いしたいと思います。

答)

これはご承知のように昨年10月の金融再生プログラムで、政府としては、金融庁としては新しい公的資金制度について検討するということを申し上げたわけです。それを受けて金融審議会の方でも7月28日だったですか、ご報告をいただいております。それを受けまして、プロジェクトチームを設けて総合的に検討しているという状況にあるわけです。同時に自民党の政権公約におきましても、今お話にございましたように新たな公的資金注入の枠組みを検討するというふうにされているわけであります。こういう中で、今後金融庁としては、与党ともよくご相談しながら検討を進めたいということでございます。

問)

これに関連して地域銀行の状況、現状の認識について全般的な所見をお伺いしたいのですが。

答)

地域銀行の状況と言いますと、我々が今把握しておりますのは15年3月期ということでありますけれども、15年3月期につきましては特に健全性の面で問題となる金融機関はなかったということであります。

15年9月期、中間期ですが、これにつきましては現在各金融機関で決算作業中でございますので現時点でコメントできるような状況にはないということでございます。

いずれにしても地域金融機関につきましては、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムに従って、各地域金融機関は収益性の向上だとか健全性の一層の向上だとか、そういうことに今一生懸命に取り組んでいるということであります。我々金融庁としては、そういった努力を一生懸命やっていただくということを期待しているという状況でございます。

問)

新しい公的資金注入制度なのですけれども、仮に制度を作る場合、財源が必要になると思うのですが、この問題については予算編成が年末に控えているのですけれども、そこで何らかの結論を出す必要があるのかないのか、その点についてお聞きしたい。

答)

今おっしゃったように財源の問題もありますから、予算編成過程と言いますか、そういうスケジュールの中で検討を進めていく必要があるというふうに思っています。

問)

結局その予算編成の中で検討されて、次期通常国会で時間的に何らかの結論というか成案を得るなら、成案を得るような方向で考えなければ間に合わないと。一応、再生プログラムは来年度一杯が目標期間になっていると思いますので、そういうご認識ということでよろしいでしょうか。

答)

再生プログラムの・・・。

問)

来年度末の不良債権比率半減というのが最大の目標でございますよね。

答)

ええ、不良債権比率半減というのは17年3月末、16年度末に実現するということではありますね。公的資本注入制度につきましては、今いろいろ総合的に検討しているところでございますから、今の時点で「いつ頃成案を」ということはなかなかコメントできる状況にはないと思います。ただ、予算との関連を考えますと、最も望ましいのはこの予算編成過程の中で検討が、まあ一つの節目ではあるのですね、だからと言って今そこまで詰まっているかというとそういうことを申し上げられるような状況にはない。抜本的に総合的に今、検討を進めている。今後与党ともよく相談しながら検討をしたいということであります。

問)

その関連なのですけれども、予算編成過程で検討を進めるということは、一つの節目としては、望むらくは年内に成案を図れればよいという期待感をお持ちだということですか。

答)

よいといいますか、一つの節目であることは節目でありますから、そういうのも念頭に置きながら検討を進めたいというふうに思います。ただ先程から繰り返しになりますけれども、抜本的・総合的な検討が必要な重要な問題だと思いますから、現時点でいつ頃という状況にはまだなっていないということを申し上げているのです。

問)

株が9,800円を割ってしまいました。まだ金融システムに大きな影響を与えるようなレベルでは当然ないとは思うのですけれども、現在の株価情勢、マーケットの潮目がちょっと変わってきたのかどうか、その辺のご所見を伺えればと思います。

答)

前からよく申し上げますけれども、市場の状況、変動要因というのは市場が決めることですから、なかなか要因はよくわかりません。マーケットでは下がっている要因についてはいろいろ言われているようなのですが、いずれにしても行政としてそれがどういう要因でどう変わっているかというのは必ずしもコメントできないし、適切でないと思うのですね。いずれにしても株価の動向についてはいつも申し上げておりますけれども、よく注視をしていきたいというふうに思っております。

問)

簡易保険の定期付終身保険が認可されて、今日の日米保険協議でも発売延期を求めるような声がアメリカ側から出たというような話ですが、先週の大臣の会見では「遺憾」という発言があったのですが、改めて長官はどのようにお考えでしょうか。

答)

保険協議の話は、私まだ承知していないのですけれども、いずれにしても大臣が先週の金曜日の会見で申し上げた通りだと思うのですが、新商品の認可そのものは総務大臣の権限でございますので、コメントは差し控えたいと思います。

ただ一般論としては政府の信用を背景とした郵政公社が民間生保と競合するような保険の新商品を出すということですから、厳しい状況が続く民間生保の経営への影響だとか保険市場の健全な発展等の観点から、大臣も申し上げたことだと思いますが懸念もあるということで、基本的には慎重に対応すべきものではないかと思います。

いずれにしても郵政公社については今後、経済財政諮問会議の方で民営化について議論がなされるということですから、今回の認可は認可としても、民営化の議論にあたっては抜本的と言いますか、5原則に則ってしっかりした議論をしていただきたいというふうに思っております。

(以上)

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