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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年12月1日(月)17時00分~17時23分)

【質疑応答】

問)

本日、正式に国有化されました足利銀行ですけれども、現状、預金者の動向等をお伺いしたいのですけれど。

答)

足利銀行からは、状況について色々報告を受けています。本日は、株主の方や取引先等からの苦情や問合せ等は寄せられているようでございますが、店頭に大きな混乱は生じていないという報告を受けております。

問)

新しい経営陣の指名、選任作業は今どのような具合に進んでいるのでしょうか。

答)

これは昨日、大臣もお答えしたと思うのですが、出来るだけ早く適切な人選をしたいというふうに思っておりますが、土曜日の今日でございますから、現時点でお話するような状況にはないということをご理解いただきたいと思います。

問)

今回の破綻処理では、りそなに続いて再び繰延税金資産を巡る監査法人の判断が、事実上102条を発動する引き金になったというふうに見受けられるが、これはどういうふうにお考えになりますか。

答)

いつも同じお答えで大変恐縮でございますが、監査法人は独立したお立場で、厳正に監査をやっておられるということで、当局がコメントをする立場にはないということをご理解いただきたいと思います。いずれに致しましても、本件につきましては11月29日の土曜日に足利銀行から債務超過になるという報告と、それから破綻の申し出があったわけでございます。政府と致しましては、金融危機を未然に防止するという観点から、金融危機対応会議を開催して、その議を経てですね、預金保険法102条の発動の必要性を認定したということでございます。

問)

それと関連して、監査法人というのは、この3月期、検査が入る前は大丈夫だと言っていたわけですが、検査で債務超過だと指摘された途端に、3月期には監査した結果はさて置いて、厳しい繰延税金資産の全額取り崩し、全額否認という判断に転じたのですが、この監査法人の責任というのは、ないものでしょうか。

答)

繰り返しになって恐縮ですけれど、監査法人は9月中間期については検査結果も踏まえてですね、会計処理ルールに沿って独立した立場で厳正に判断をされたのだというふうに理解しております。

問)

監査法人の所管官庁でいるので伺うのですが、監査法人は3月期、9月期これは適正に監査行為をしていたと、こういうご認識でしょうか。

答)

今の公認会計士法の建前から言ってもですね、監査は監査法人がルールに則って独立して判断をしていくと。何と言いますか、虚偽監査とかそういったものについて懲戒処分の規定はございますが、監査そのものについては監査法人が責任を持って監査するという構成になっているわけです。今回も監査法人は、独立したお立場でルールに則って厳正に監査をされたのだというふうに理解をしております。

問)

監査法人の話に関係するのですが、りそなに続いて2度目ということで、監査に対するあるいは監査法人に対する信頼が失われるような事態になるというようなご認識はおありでしょうか。

答)

繰り返しになって恐縮ですが、繰延税金資産もそうなんですが、会計処理のルールがあって、更に実務指針もあって、きちっとしたルールがあるわけです。そのルールに則って監査法人が厳正に監査をしているということだと思います。

問)

過去の入った公的資金について、この間マクロ的な経済情勢の変化も色々あったと思いますが、さはさりながら、事実として合せて1,350億円の優先株と劣後債がですね、入っておきながら再生が果たせず、また再びこういう破綻となってしまったということにつきましては、どのようにお考えでしょうか。

答)

それは土曜日に大臣も会見で申し上げたと思うのですが、いずれに致しましてもその公的資本の注入に当りましては、金融再生委員会あるいはいわゆる佐々波委員会が当時の法律制度に則って的確に判断されたのだというふうに承知をしております。その後の状況につきましては、健全化計画のフォローアップだとか、あるいは必要があれば業務改善命令だとか、そういったことで厳格に対応してきたというふうに思っております。いずれにしても、公的資金注入行が破綻に至ったということは、大変遺憾で残念だと思います。今回の経験も活かしながら、今後更に的確な検査・監督に努めていきたいというふうに思っております。

問)

足利銀行の受け皿についてなのですが、長銀や日債銀の時は期限が最初から決まっていてですね、かなり慌しかったと思うのですけれど、今度のケースについては、急いだ方がいいのかあるいはもう少しじっくり見てですね、しっかり建て直ってからでも良いのか、どういうふうな考え方ですか。

答)

まずはですね、新しい経営陣を、しっかりした経営陣をお願いしてですね、そこでしっかり経営のあり方と言いますか、将来の経営についてしっかりした取組みをしていただきたいと思います。そういう取り組みの中でですね、何時と言いますか、その株の処分になるのか、営業譲渡、国有化ですから株の譲渡が中心かも分かりませんけれど、いずれにしてもそういったものも、そういう取り組みの中で考えていきたいというふうに思っております。

問)

慌てる必要はない。そんなに慌ててやる必要もないということですか。

答)

それは繰り返しになって恐縮ですが、まずは新生足利銀行として新しい経営陣がしっかりした取組みをしていただくことを期待しているわけです。そういう取り組みの中で考えていくことが適切ではないかと現時点では思っています。

問)

預保法には、出来るだけ早期に特別公的管理期間を終えるというのがあるのですが、この間大臣もお答えしていましたが、長官としては大体どれくらいをメドにという。

答)

基本はいずれにしても、いわゆる一時国有化と言いますか、金融は基本的に民間の活力と言いますか、民間の経営体として行われるべきものだと思いますから、基本は出来るだけ早くだということだと思いますが、いずれにしても繰り返しになって恐縮ですが、どういう経営をしていくか、それをしっかりした新しい経営陣を選んでその取り組みの中でですね、より具体的に検討していきたいというふうに思います。

問)

長銀は1年位かかっているわけですが、それよりも短く、出来るだけ早くというのはそれよりも短くなのか、それよりもかかっていく、その辺はどうなんですか。

答)

法律の解釈としてと申し上げますと、金融整理管財人による管理が2年、いずれにしても金融整理管財人あるいはブリッジバンクを活用した場合には期限がありますから、その期限を書いてないということは、基本的には早くだと思いますけれども、必ずしもそういった期限に拘る必要はない。ただ早く再生に向けて取り組んで、早く新しい受け皿を探していくということを法律は書いてあるのだというふうに思います。

問)

今の質問に絡んで、昨日大臣が一つスケジュールを言ったのは、来年の株主総会の時に委員会等設置会社に移行して欲しいという希望を述べられました。少なくともその時までは、国有化、譲渡された後では国の希望というのは、また別の話になってしまうので、少なくともその時までは国有化は続いているというふうな認識の下で発言されたのではないですか。

答)

いずれにしても、大臣の仰る背景には私が申し上げたようなことがあるのだと思うのです。その今のりそなについて申し上げてもですね、今の新しい経営陣は必死になってりそなの再建に取り組んでいると、しかしそれでもやはり新しいビジネスモデルの構築にはある程度時間が必要だという状況になっているわけですね。そういうことも考えると、来年の株主総会、その時には多分まだ今の状態が続いている。つまり新しい経営陣で再建に取り組んでいる最中だということではないかというふうに思います。

問)

6月に拘る必要はないと思うのですが、国が一人株主ですから。いつでも開けると思うのですが、委員会等設置会社への移行を6月にするというのは何か理由があるのでしょうか。

答)

技術的な問題ですけれども、委員会等設置会社への移行はですね、定時株主総会の後になってしまうと、商法上に規定がそうなっているというふうに私は理解しております。もし間違えていれば、後で訂正させていただきますが。

問)

今回の足利銀行の件で他の地銀は大丈夫かと思っている預金者も多いと思うのですが、足利銀行の破綻処理が金融システムに与える影響についてどうご覧になるのか。あとペイオフの完全解禁に向けて、こういった破綻処理というのはまた続く可能性があるのか。その点についてお考えをお聞きしたのですが。

答)

それも昨日大臣がお答えしたような気がするのですが、いずれにしても足利銀行を除く115行ですか、地域金融機関につきまして健全性の問題がある金融機関はないと認識をしております。

問)

足利銀行について、今回は早期是正措置が発動されなかったと伺っていますが、その理由を教えていただけますか。

答)

要は、早期是正措置は、直近の財務状況で判断するという仕組みになっているわけです。それで、直近の財務状況について検査結果の通知と同時に報告徴求をしていたわけでございます。結局その報告が出ると同時に破綻の申し出があったということで、102条の適用に至ったということだと思います。

問)

是正措置を発動する暇がなかったということですか。

答)

そうですね。暇がないと言いますか、財務状況を把握するために報告徴求をして、出来るだけ早く速やかに提出していただくようお願いしていたわけです。11月27日に検査局が通知をしたわけですけれども、それと同時にそういう報告徴求をお願いしたわけです。それが29日に出てきたわけですけれども、その内容が債務超過で同時に破綻の申し出があったということでございます。

問)

関連ですが、早期警戒制度と早期是正措置、そういうことがあってそういった破綻になるのをなるべく避けて金融を安定化させようというのが今のトータルのシステムだと思うのですが、更に公的資金注入行ということでモニタリングも他行以上に強化してきたわけですけれども、何が盲点になっていたのでしょうか。

答)

今、申し上げましたように、色々なお話がございましたように、色々な制度を整備しつつ的確な監督に努めているということなのですが、やはり同時にオフサイトにはオフサイトの限界もあり、ですからオンサイトの検査という制度もあるわけです。15年3月期について、オンサイトの検査をやった結果ですね、自己査定に問題があったということで、今回の措置に至ったのだといううふうに理解しております。

問)

関係省庁の連絡会議ですけれども、これは明日、早速開かれるということですけれども、実際どのような。

答)

今日の午前中に、局長レベルによる準備会を開催しております。それで、それを受けまして、明日、第1回会合を開催する運びだというふうに聞いております。

問)

これは局長級で構成するのですか

答)

はい、そうでございます。

問)

ちなみに、明日、何時ごろ、どこで。

答)

後でもし変わったら、お許しいただきたいと思うのですが、確か午後2時ごろではなかったと思います。ただ最終的に確定したという話は聞いておりませんので、もし違っていればお許しいただきたいと思います。

問)

これは大臣にも伺いましてたけれども、テーマは明日は・・・

答)

この話につきましては、とにかく足利銀行がこういう事態に立ち入ったわけでございますので、足利銀行が業務を行っている地域の経済に対し、不測の悪影響が生じないように、関係省庁が必要な支援、協力、それに係る情報交換とか意見交換を行って、総合的かつ機動的な施策を打っていくという趣旨でございます。

問)

預金保険法125条について伺いたいのですが、これは損失はそのまま銀行界で負担するということでよろしいのでしょうか。

答)

125条には確か、どの程度損失が生ずるかはともかくとして、負担金のみでこれに対応しているとしたときに、信用秩序の維持に、金融機関の財務の状況を著しく悪化させてですね、信用秩序の維持に問題が生じるときには、国が費用の一部を補助することができるという規定ですから、それはそのときの状況をよく踏まえて検討すべき話だと思います。

問)

銀行界の負担になるかどうかは、そのときの状況次第ということでよろしいでしょうか。

答)

そのときに判断すべき話だと思いますね。この条文に沿ってですね、125条に沿って、あくまでも法律に則って検討すべき話だというふうに思います。

問)

今朝、大臣のところに栃木県の福田知事が来られて、いくつかお話されたそうですが、その中で、これまで足利銀行の増資に応じてきた、善良な株主というふうに知事は仰っていたようですが、これに対してですね、借金してまで株、増資に応じた人もいるので、何らかの特別な措置は講じられないのかという要請に対して、大臣は検討してみようかとか・・・、直接なご発言は、私は聞いてないので、これは検討の余地あることなのでしょうか。

答)

いずれにしても、さっき連絡会議の関係でも申し上げましたけれども、地元経済に不測の影響が生じないように、いろいろな、今お話があったような点も含めてですね。ただ、法律上もちろん出来ることでないと出来ませんけれども。そういう観点から、いろいろなできるだけの対策については検討したいというふうに思っております。

問)

公的資金の一連の破綻処理に伴って、必要額というのはいつの段階で、どういうふうに確定するのでしょうか。

答)

これは昨日、大臣が何度もお答えしてますけれども、受け皿へ譲渡するときに、その状況で金額が決まるということでございます。

問)

新経営陣のことなんですけれども、今の段階で誰だとは言えないんでしょうけれども、出身、まあどういう人達から選ぶかということなんですけれども、例えば地元経済界あるいは地元県庁の関係者等、地元の人も経営者の中に入ると想定されるのですけれども、そういうことはいかがでしょうか。

答)

これは、今お話のように、地域経済への与える影響といいますか、そういうことも踏まえて、102条3号措置、1項の3号措置が発動されているわけです。ですから、今お話にある点も含めて広く適切な人選を考えたいというふうに思います。

問)

この前、金融機能の強化ということで新しい法律の予防的注入の原案というのが、自民党に提示されたわけなのですが、足元、健全な銀行しかないということですけれども、今度の新しい制度、これは必須なのでしょうか。あるいは、健全な銀行だけなのでですね、与党の指示が、あるいは議論の次第ではですね、我慢しなければいけないことも含めてどういうことなのでしょうか。

答)

いずれにしても本件は、102条の措置の発動でございます。これはご承知のように、地域の信用秩序に極めて重大な支障が生ずる恐れがある、それを防ぐために講じたという、制度はそういう趣旨になっているわけでございます。一方で、デフレ経済が継続するなかで、思い切った不良債権処理だとか、企業再生の取り組みを進めて、金融機能の健全化を図っていくという必要はあると思います。そういうことから、新たな公的資金制度について、新たな公的資金制度につきましては、そういう観点から与党にもご相談しながら検討しているということで、ですからそういう意味で、やはり新しい公的資金制度はですね、今後よく検討したいと思いますけれども、そういう観点から与党と今ご相談を進めているということでございます。

(以上)

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