高木金融庁長官記者会見の概要

(平成16年2月9日(月)17時02分~17時18分)

【質疑応答】

問)

先週金曜日に足利銀行の方で「経営に関する計画」を公表されましたけれども、これにつきましての評価と、今後どういった点を望むかということにつきまして、長官のお考えをお聞かせ下さい。

答)

足利銀行の「経営に関する計画」でございますが、これは足利銀行の再生に向けた第一歩として、経営の方針、各種取組みの方向性、また、運営体制等を示したものでございますが、いわゆる3号措置の趣旨を十分踏まえて、しっかりした取組みをしていただいているというふうに認識を致しております。新しい経営陣の下でこの計画に沿って、経営改革だとか、地域金融の円滑化だとか、中小企業の再生に積極的に取組んでいただくことを期待しているということでございます。

問)

続きまして、同じく6日の日に東京都の方が「新銀行東京」(仮称)の事業計画を発表しましたが、これについての評価をお願いします。

答)

今回、発表されましたのは、「新銀行マスタープラン」ということでありますが、このマスタープランは、昨年11月の基本スキームと言いますか、それに引続いて新銀行の業務内容をより具体的に取りまとめられたものでございます。中身は、新銀行は17年の4月以降開業予定であるとか、主な業務として、中小企業向け融資、また、ICカードサービス等を提供するというふうにされているところであります。

評価ということでございますが、金融庁として、前から申し上げてますように、東京都の新銀行構想は、地域の金融の活性化とか、一層の円滑化に資するということで、基本的には歓迎したいというふうに考えております。そういう考え方の下で、この本件銀行につきましては、更に開業に向けてですね、より具体的な計画等が策定されていくというふうに思いますので、そういうものも踏まえながら、新銀行の業務のあり方等につきまして、東京都と開業に向けて建設的な議論をしてまいりたいというふうに思っております。

問)

本日ですね、新生銀行の上場時の株式売出し価格が決定しました。再上場の時期が近づいてきましたけれども、再上場を前にして、長官の新生銀行の評価をお願い致します。

答)

これは前も申し上げたことでありますけれども、東京証券取引所の上場承認を経て、株式の売出しが行われるということでございますから、これは再生に向けた過程における一つのステップと言いますか、一つ前に踏み出したステップ、重要なステップだというふうに評価を致しております。

なお、同時に公的資金が入っているということには変りはございませんので、金融庁としては、引続きそのフォローアップと言いますか、的確なフォローアップには努めてまいりたいというふうに考えております。

問)

すみません、長官。先程新生銀行についての話をお伺いしたのですけれども、最近訴訟話が復活したということで例の大口融資先だったイ・アイ・イグループの方からものすごい額の賠償があるかもしれないという話のようなのですけれども、この裁判について、もし新生銀行に多大なる損失が出た場合、今新生銀行は50億円までだったら損は自分で持つのだけれども、それ以上は国が持つのだというふうに投資家に説明しているようなのですね。これは投資家の人から聞いた話しであれですけれども、だから50億円は引当ててしまったので、追加リスクはみんな政府なのだと、こう言っているのですが、これはどうなのでしょうか。

答)

それは契約書に一定のリスクについてどっちがどう負担するという取り決めがあると思うのです。これは一般の株式譲渡の場合に通常そういう取り決めがあると思うのですが、本件についてもそういう取り決めがあるというふうに聞いております。

ただいずれにしても訴訟が具体的にどうなるかということは、現時点で全く予想ができないわけですね。今重要なことは新生銀行が上場に当って抱えているリスクをどうディスクローズしていくか、投資家にきちっとディスクローズしていくかということだと思うのですね。そこについては取引所、あるいは金融庁とも御相談されながら、的確なディスクローズに努めておられるというふうに私は理解しております。

問)

裁判で別に新生銀行が負けると決まった話ではないので、どうなるかは全く白紙だと言うのは、その前提なのですが、仮に50億円以上の損が出た場合は政府が負担するという理解でいいのでしょうか。

答)

それは契約書はそんなに単純でもなくて、要はそういう偶発的、あるいは訴訟リスクが実現した時にどちらが負担するか、またその手続きと言いますかそこで考え方が書かれておりますから、その契約書とか関係法令を踏まえながらその時点で議論されるのだというふうに理解しております。

問)

それで今回、上値、売出価格ですね、525円、一番上に付きました。投資家のニーズが高いというのが言えるのですが、これで充分このリスクですね、今長官も御説明されたのですけれども、私もはっきり分からないですね、もしこうなったらこうなるということが良く分からないのですけれども、充分そのリスクを投資家に伝えられている状況なのでしょうか。

答)

最終の有価証券届出書、私もちょっと今手元にありませんから、いずれにしても最初の段階の後そういうことがあって、有価証券届出書の中身はそれに伴って訂正が加えられている、あるいは加えられていると思うのですけれども、今時点でちょっと最終確認していませんから、いずれにしても訂正されているはずだというふうに思っております。

問)

今のお話の関連なのですけれども、新生の文言の中、50億円を超えたものについては預金保険機構が補償するというような文言が書いてありまして、それが確定事項のように読めるのですが、そうすると今のお話ですと最終的な契約書に基づいて判断するのだと、最終的にはまだ何も決まっていないかのようなお話だと思うのですけれども、ディスクロージャーの点で問題があるような気がするのですけれども・・・。

答)

文言はもう一度後で確認したいと思いますが、いずれにしても12年3月に株式譲渡がされて、その時点であった状況を基に3年以内に預金保険機構に通知をしたものについて、そういう補償の対象になるといった趣旨のことが契約書で書かれているのですね。確か私の記憶では有価証券届出書にそういった趣旨のことも書かれていたのではないかと思いますが、ちょっと後で確認させてください。

問)

確認なのですが、静岡の地裁では中部銀行の優先株については一応その、被告が勝っていると言いますか、銀行が負けているということとか、何かそういう話は聞いておられませんでしょうか。

答)

すみません、ちょっと承知していないです。後で確認させてください。

問)

新生銀行に関連してなのですけれども、繰り返しになるかもしれないのですが、政府が現在保有している優先株を普通株に転換する時期は、来年最初のものが来るかと思うのですけれども、その時期については政府としていつ頃転換をしたいというようなものは現在の時点でありますでしょうか。

答)

それは新生銀行の上場とは何ら関係がない事項でありますから、今後のその時々の状況等を見ながら、いずれにしても的確に判断したいと思っております。現時点で具体的に検討しているということはありません。

問)

金融機能強化法ですか、先週末、閣議でということで提出されたようですが、中にいわゆるその審査会5人でということで、メンバーと言いますか、委員長さんとかですね、具体的な何かそういう動きがあるのでしょうか。

答)

法案も提出したという状況でございますから、それが成立すればそういったものについても的確な人選をしたいというふうに思っております。

問)

先日、民間の会計の専門家やこちらの再建計画検証チームなどで活躍されている方々が会計機能監視機構というものを立ち上げて、再建計画チェックリストというものを作られましたが、金融庁としてこのチェックリストをどのように活用する予定があるのか、出されたものについての評価等お伺いしたいと思っています。

答)

企業の再建ということですから、私的整理ガイドラインもそうなのですが、関係者がいろいろ議論をして私的整理を策定されたわけであります。本件も今お話しにございましたような再生の専門家等々の方がお集まりになって、そういう再生のチェックリストをお作りになったわけであります。これがその関係者でいろいろ活用されたり参考にされたりしていくと思うのですね。金融庁としても再建計画検証チームを中心に、再生計画を厳格にチェックしているわけでありますけれども、そういう中で参考になるものは参考にして行きたいというふうに考えております。

問)

東京都銀行のことに関連してなのですけれども、最近埼玉県が長官の所にも埼玉りそな銀行を県民銀行にしたいとか、あるいは足利銀行でも県民銀行構想というものがありますけれども、そうやって自治体が金融に関与をしたがっている、東京都はもう作ることを決めたと。一方で金融ではないのですけれども住宅の世界では、自治体が出資した供給公社を潰して銀行に迷惑掛けたりしているわけですよね。こういう状況をどういうふうに御覧になっていらっしゃいますか。

答)

住宅供給公社の話はわかりませんけれども、いずれにしてもそれぞれの足利銀行とか埼玉りそなもそうなのですが、まずは経営陣が経営判断の問題としてよく考えていただきたいというふうに思っております。東京都の新銀行の関係で申し上げますと、そういうこともありますから、業務のあり方等につきまして建設的な議論を今後具体化する中でしっかり議論していきたいというふうに思っております。

(以上)

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