高木前長官・五味新長官記者会見の概要

(平成16年7月2日(金)17時02分~17時53分)

【質疑応答】

  • 問) まず高木前長官にお伺いしますけれども、これまでの金融行政の歴史の中から俯瞰した場合、長官の時代はどういう特徴、変化があったか。それと退任にあたっての感想、印象に残ったエピソード等、お伺いできればと思いますけれども。

  • 高木前長官) あまり細かく申し上げてもと思いますけれども、この二年間は大変金融を巡る状況が厳しい中で、御承知のように色々なことがございました。大きく申し上げますと、「金融再生プログラム」に基づく金融システムの安定強化。それから「証券市場の改革促進プログラム」に基づく証券市場の構造改革と言った、大きな課題に一生懸命取組んできたということであります。竹中大臣の御指導の下、金融庁一丸となって、そういった努力をしてまいりましたが、その結果、金融行政上の色々な課題につきまして、それなりの結果を出したと思いますし、大きな道筋をつけられたのではないかというふうに思っております。

    今後は、五味新長官の下、引続きしっかりした取組みがなされるというふうに期待をいたしております。

  • 問) 五味新長官にお伺いします。今後の金融行政の課題を解決するために、抱負と就任にあたっての感想をお伺いできますか。

  • 五味新長官)  よろしくお願いを申し上げます。

    金融行政の課題というのは、今であっても、過去であっても、将来であっても、たぶん同じものであると私は思っております。それは即ち、金融機関の利用者が市場の持つ可能性というものを最大限存分に活用できるような、そういう仕組みを用意すること。同時に、その利用者の人達がそうした仕組みを安心感と信頼感を持って利用できる、つまり「正直者が馬鹿を見る」とか、そういったことのないような安心感を持って、自己責任ということが全うできるような十分な安心感を持って利用できること、これが金融行政が用意しなくてはいけない課題であるというふうに思っております。

    もう少しそれをブレークダウンしてみれば、一つは金融という仕組みが安定していること。この安定というものを金融行政は常に追及しなくてはいけない。しかし同時に、活力がある仕組みでなければ利用者にとってその可能性を存分に利用できませんから、活力というものを常に意識をして、そのための仕組みの整備ということをする必要がある。特に金融の市場ということになりますと、その市場が更に効率的に動いていることが必要である。そして最後に最も重要なことですけれども、そうした市場が公正であるということ、こういうことであろうと思います。

    そこで、もう少し現在の今の時点に近付けてお話をしてみますと、この「安定」という面については、今、高木前長官からお話がありましたように、「金融再生プログラム」これの遂行状況と言いますか、実施の状況というものがポイントになってくるというふうに思います。来年の3月を目標とした主要行の不良債権比率の半減の目標というものについては、その目標に向かって着実な不良債権比率の低下というものが実現してきているということで、この安定に向けての流れというのは、相当程度、高木前長官の時代に準備をされてきたというふうに私は思っております。

    従って、この点で今やらなければいけないこと、「安定」という面で今やらなければいけないことは、来年の3月末までのこの「金融再生プログラム」の目標、主要行不良債権比率半減、更には地域金融機関において、「間柄を重視した地域密着型金融」、即ちリレーションシップバンキング、これがその機能強化することによって、地域経済の活性化と同時に地域の企業への金融の円滑化が達成されて、結果的に地域金融機関の不良債権比率が低下していくこと、これを来年の3月までに着実に道筋をつけて、地域金融機関についての信認を高めていくこと、こういうことが課題であろうというふうに思います。

    それから、「金融」という仕組みの活力、或いは効率という面については、恐らくこれは表裏一体なのでしょう。できるだけ自由闊達な競争が行われ、また競争に耐えうるような健全な金融機関が存在しているということが大事でありまして、この点については、引続きでありますけれども、多様な金融商品が提供できるように整備し、また、多様なチャネルでこれが提供できるように行政として制度作り、或いは運用に留意をしていくということが当面の課題になろうかと思います。この点についても、「証券市場の改革促進プログラム」で高木前長官がその道筋をつけておられますから、こうしたインフラストラクチャーを十分に活用して、利用者に最大限の利便を提供できるようにすること、これが大事だと思います。

    また、公正という面につきましては、これは今までも市場の公正を確保するための活動というものは、検査、監督、監視を通じて積極的に行ってきております。この活動を更に徹底をしていくということが重要であろうと思います。私が当面考えております課題、そしてそれに取組む方向というものはそういったようなものでございます。

    着任にあたっての感想でございますが、感想というほどのものはございませんが、感慨と言いますか、そういうものはございます。

    御承知の方は多くないかもしれませんが、私の金融庁との関わりというものは7年前に遡るわけでございます。金融監督庁設立準備室というものがございました。平成8年の年末ぎりぎりの時にこれが設立をされまして、続く半年間で金融監督庁設置法、並びに関係する作用法の改正というものが設置法の制定と行われました。

    この最初の6ヶ月の後を受けまして、平成9年の夏から、私この監督庁設立準備室にまいりまして、設立準備に携わり、翌10年の6月の金融監督庁の発足の際に検査部長ということで最初のメンバーになり、その当時は御承知のように金融不安といったものがまだございまして、そのための対応に金融監督庁は忙殺をされて、しかも非常に小さな組織、400人程の組織でスタートをしましたから、一人何役もこなしながら、てんやわんやの中で行政を行っていたということでございます。それが現状、千人を超す定員を持ち、また、今回の異動で私、長官という大役を仰せつかりましたけれども、同時に監督局長に佐藤氏、或いは検査局長に西原氏という布陣になりました。実はこの五味、佐藤、西原というのは、金融監督庁発足時に、最初にそのてんやわんやの中でみんなで協力をし合いながら大きな破綻処理ですとか、そういったものをさばいてきた仲間でございます。要は草創期のピルグリムファーザーズであるわけでありまして、そういった課長補佐の仕事から、本来であれば局長、長官の行うような仕事までみんなで分担しながら行っていた人間が、こうした大きな組織のそれなりの重要な役割を担わせていただくことになったということには、大変感慨を覚えております。以上でございます。

  • 問) 新・旧長官にそれぞれお伺いします。新しい職責を受けるにあたって、竹中大臣からどのような言葉があったかということですが。高木前長官の方からお願いします。

  • 高木前長官) 先程申し上げたようなことですが、「厳しい状況の中で金融庁一丸となってしっかり取組んでいただいた」というお言葉がございました。

  • 五味新長官)  私の方へは、本日辞令の交付に際しまして、厳しい表情で「しっかりやってください」というお言葉がございました。どのような訓示よりも身の引き締まる思いをいたしました。

  • 問) 新・旧長官にまずはそれぞれお伺いしますけれども、竹中大臣がこの選挙遊説の演説の中で、「霞が関を破壊する」というような表現で改革を訴えられていますけれども、現状において官僚制度及び金融庁において何か組織的な問題があるとお考えでしょうか。

  • 高木前長官) 今お話の大臣の御発言につきましては、直接お聞きしたわけではございませんので、なかなか的確なコメントは出来ないと思うのです。ただいずれにいたしましても、金融庁といたしましては、竹中大臣の御指導の下、一丸となって小泉内閣の構造改革を進めてきたということで、またそれなりの結果も出したのではないかというふうに思っております。

    ですから、大臣と直接お話したわけではございませんけれども、大臣からもそういった御評価をいただいているのではないかというふうに思っております。

  • 五味新長官)  私も今高木前長官が申し上げたのと同じでございます。私も竹中大臣のその御発言というのを直接聞いたこともございませんので、その件についてはもちろん、国務大臣の御発言はそもそもコメントするという立場にはございませんから申し上げませんが、今日実はそういう御質問を受けてふと思い当たったのですけれども、職員に対する訓示を今日いたしましたけれども、その中で幾つか職員の人達にお願いをしたことがあります。

    行政というのはすべからく国民の役に立つかどうかでその価値が判断されるものであるということですから、従って役所の都合ではなくて国民の都合でものを考えて欲しいと。国民或いは金融機関の利用者の方を向いた行政をして欲しい。これを一つ申し上げました。

    もう一つは、「なぜ出来ないか」という発想ではなくて、「どうしたら出来るか」という発想で考えて欲しい。もちろん出来ない理由というのはきちんと解明しておくことが大事でありますけれども、それは何のためにやるかというと、克服すべき障害が何であるかを確認して、どうしたらそれを克服出来るかということを研究するためにそのプロセスとしてその出来ない理由を探すのであって、出来ないということを説明するために出来ない理由を探すのではないのだと、こういう姿勢でお願いしたいということを申しました。

    また、三つ目として、情報開示というものを活用して欲しいと。情報開示というのは天日消毒と似ている。つまりカビの生えたような議論は、情報開示の下では生き残れないと。しかしながら役所の仕事ですから、守秘義務があって何でも開示するというわけにはいかないけれども、開示できないものほど、もしこれを天日消毒に晒した時に本当に通用するかということをよく検証して欲しいということを申しました。

    これは、行政を行うものはもちろん何時も頭の中に置いておかなくてはいけないことで、こうしたことがもしうまく出来ていないということがあれば、それは行政として価値のある仕事をしていないということであって、すなわち国民からは批判も受けるだろうし、場合によればNOという言葉をいただくことにもなりかねない。

    私が職員にそういうことを申しましたのは、今それができているかいないかではなくて、これは当たり前のことですから当然出来ているはずだと思っておりますけれども、常にこうした姿勢で行政を行っているかどうかというのを検証し続けて欲しいと、こういう意味で申しました。国民のニーズというのは刻々変わるものでありますから、そうしたニーズにいつも対応して最大限のサービスが提供出来ているということになっているかどうかは、これは検証しておかなくてはならない。私は、個人的には大臣がどのような仰り方をしたかを知りませんが、そういった主旨のことを仰っているのであれば、それはこういう検証を絶えずやっているかと、それを怠ると国民からNOと言われるよという檄を飛ばされたということなのだろうと受け止めております。

  • 問) 新長官に伺いたいのですけれども、新長官のお話にもあったように、これまで金融監督庁発足以来、一種の負の遺産の整理みたいなことが抑揚はありましたけれども、今現在も含めて続いてきたということなのだと思います。それが今年度末を目指して一応終わるとすれば、これまではかなり非常時で、特別検査にしても何にしてもイレギュラーな対応であるということでもやってきたことはあったと思うのですけれども、来年の春以降の金融行政のイメージをもう少しお話いただければと思うのですが。

  • 五味新長官)  「骨太2004」の中に、いわゆる「金融重点強化プログラム」というものが述べられております。これは平成17年度及び18年度を対象としたプログラムという位置付けになりますが、ここで述べられている「国際的にも最高水準の金融機能が利用者のニーズに応じて提供されることを目指す」というのが、中期的に見ると17年度から先の行政のターゲットになってくるというふうに思います。

    ここでは五つの柱が挙がっています。「強固で活力ある金融システムの構築」、「金融機関の自主的・持続的な取組による経営強化」、「地域活性化、中小企業再生に貢献する地域金融や中小企業金融の動き」、四番目の柱が「利用者のニーズに対応した多様で高度な金融サービスの提供」、五番目が「金融実態に対応した取引ルール等の整備とその下での利用者の安心の確保」。私が冒頭で申しました金融行政の基本的な課題というものとも整合する柱が立てられておりますが、やはり17年度以降につきましては、いわゆる安定を求めて負の遺産を整理していくという過程から競争力のある、成長性のある金融機関というものが育っていく、或いは国際競争力のある金融機関というものが育っていく。その中で激しい競争が行われていくというのを、もう一つ行政としてはイメージをして、それに対応するどういった手を打つのかということが一つあると思います。

    そして、そうした金融機関の体力のある中で激しい競争が行われるという前提で考えますと、出来るだけ多様な商品を出来るだけ多様なチャネルで利用者に供給をしていくという、こうしたことが可能になるはずでありますから、制度的に或いは制度の運用上こうした動きを出来るだけ妨げない、或いはそうした動きを更に加速するような行政をしていく必要があるであろうと。そうしたことを行えば、同時にそうした商品或いはチャネルを利用する利用者の方には、自己責任があり、同時に自己責任に伴うリスクというものが増してくるわけでございますから、そのところでは金融取引の実態に対応した取引ルールのようなものを横断的に整備していくということは、極めて重要、すなわち利用者を保護するという視点が非常に重要になっていくというふうに考えます。従って、供給側の規制緩和、利用者を保護するための規制強化、こうしたものが横断的に整備をされなければならない。そういうイメージで行政が行われていくことになると考えております。

  • 問) 新長官にお聞きしたいのですけれども、ここ数年の金融行政と金融界の間柄について、「金融再生プログラム」をまとめた直後に多少ギクシャクした時期があったような気がします。対話不足というようなことが時々言われたのですけれども、今後民間の金融機関の方々とどういう対話を、もう片一方で、法令遵守に問題が起きるようですとその問題についてどういう姿勢で臨んでいくのかをお聞きしたいのですが。

  • 五味新長官)  金融機関の皆さんとは健全な緊張関係というのが大事であるということで、そこに馴れ合いがあってはいけない。なぜかという必要もないのですが、金融行政は金融機関の利用者或いは国民といった人達に最大の利便を供給する、或いは安心を供給するというために行われるものでありますが、その手段として我々に与えられている権限というのは、金融商品を提供する金融機関を監督するという、こういう手段で与えられているということでございます。従って、金融機関との関係というのは、金融機関の利用者を保護するという、こういった視点からこれを律していくということが大事であるというふうに思います。それがいわゆるその建設的な緊張関係、緊張感のある建設的な関係といったことに帰着をするのであろうと思います。

    今後は、従ってこれは対話が大変重要でございます。その対話は、金融機関利用者を保護するという私共の視点、金融機関の皆さんの方は当然利用者あっての金融機関でございますから、ある意味では同じ対象に対して同じ方向性で向かっていっているはずであるわけでございますので、そうした点を少し強調しながら、問題意識が共有出来るように対話を進めていく必要があるというふうに思います。

    そのためには、私は特に全銀協の皆様には提案をしているのですが、金融機関の頭取の皆様は、もっと頻繁に当局との意見交換をしていただきたい。お互いに忙しい身ではありますけれども、やはりトップ同士が意見交換を頻繁に行って、認識のレベルを合わせておかないと、色々なところで本来行われるべき経営判断が行われない、或いは逆に行政の方が国民のニーズをうまくくみ上げられずに対応が遅れるということも出てくる。いずれにしてもその被害を受けるのは利用者であり、国民であるわけで、そういうことがあってはならないというふうに考えています。

    私はもちろん、局長という立場の人達もいますから、そういう人達と私とそれぞれに分担をして、出来るだけ経営トップの皆様からの面談の要請にはお応えをして、そういう中で認識の統一を図っていきたい。従って、是非会いに来て欲しいということを御提案しているところであります。

    それから法令遵守についての問題が生じた場合の対応でございますが、どんな企業でも商売をしている以上は信用というのは大事ですが、金融機関というのは信用というのが極端に言えば唯一の資産であり価値であるというふうに私は思っております。信用が失われた時というのは、たとえ健全性基準、自己資本比率がどんなに高かろうと、或いは収益性がどんなに良かろうと、信用が失われたとたんに金融機関というのはその経営が瓦解していくというふうに私は考えております。そしてそうしたことが起った時の被害は誰が受けるのかと言えばやはり国民が受ける、それは金融システムというものを利用している国民全体が被害を受ける、或いはその金融機関を利用している個別の利用者の人達が被害を受けるということですから、そういうことがあってはならないというふうに思います。

    従いまして、法令遵守についての問題が生じた場合には、私共はもちろんルールに沿ってではございますけれども、ことさらによくその実情を見て、行政処分も含めて厳正に対応するという姿勢を貫いていきたいと思います。

  • 問) 新長官に伺いますが、市場について、正直者が馬鹿を見ぬようにというお話があったのですが、高木前長官時代にですね、課徴金の話とか、最近では外国為替証拠品取引の話とか、ある程度、方向性を出してきていると思うのですが、そのようなものを着実に進めていくというお考えなのか、いやいやまだまだ安心して市場に参加する上で必要なものがあるのではないかとお考えなのか、できれば具体的に伺いたいのですが。

  • 五味新長官)  今仰ったような取り組みというのは、当然非常に大事なものでございまして、特に、不公正な取引に対する監視というのは一番大事な部分だろうというふうに思います。規制を緩和してできるだけ自由にするというのは、ルールを守っている限り、参加を抑制することはしない。つまり参入規制はしないということでありまして、参入規制はしない、皆自由にしてよい、挙げ句の果てに犯則が行われるということであれば、これは利用者はたまったものではありませんし、そういう市場からはもちろん利用者は大変な被害を受けますが、犯則が横行するような市場からは優秀なプレーヤー、すなわち仲介者も出て行ってしまう、金融市場自体が衰退してしまうということになると思います。ですからこの部分は極めて重要でありまして、何か別に新しい試みをしようということではありませんけれども、監視機能については特にこれまでも非常に急速に人員の増強、或いは課徴金といったような制度の問題、或いは検査を監視委員会に統一をしていくといった、色々な動きをしてきておりますけれども、この流れを更に強化していくこと、監視の機能というものが万全のものになるように引続き努力をしていく、それは量の面でも質の面でも、或いは制度の面でも、ということになろうかと思います。

  • 問) 新長官にお伺いします。地域金融機関の健全化の取り組みについてですが、現状どのように評価していらっしゃるのか。それと、夏に公的資金新法が施行されますが、これに伴って地域金融機関の再編が一層進むのではないかというふうにも言われておりますけれども、その辺りのお考えをお聞かせください。

  • 五味新長官)  地域金融機関の健全化につきましては、間柄重視の地域密着型金融というものを強化していくと、こういうものの中で私は一定の動きが出てきたというふうに思っております。先日発表いたしました平成15年度における取組みの状況を見ましても、先進的な融資手法を導入する、或いは、経営支援を行うことによって、債務者区分を上位遷移させるといったようなものに数字で明らかに結論が出始めております。こうしたものは大手行の行う不良債権のオフバランス化のような劇的な不良債権比率の減少というものをもたらすものではありませんけれども、地域経済を活性化するというものとあいまって、確実にこれはトレンドができてくるものであろうというふうに思います。相乗効果が出てくるわけです。それで地域経済が良くなればなおさら担保や保証に過度に依存しない融資というのもやりやすくなるということで、この流れというものは更に加速していくと思います。不良債権比率につきましても、地域金融機関でこの3月期、6.5%だったと思いますが、不良債権比率は着実な低下を見せている。6%が高いか低いかはともかく、私は大事なのは、これがある基礎的なファンダメンタルな動きの中でそうしたトレンドを示しているということはとても大事なことだろうと思っております。この流れを確実なものにする必要がある。来年の3月までに確実なものとしてその流れを定着させるということで、私は地域金融機関の健全性については大きな問題が無い状態にどんどんなっていくというふうに思います。それから個々の金融機関を見ましても当然でございますが、足利銀行を除いてこの15年3月期では健全性基準を下回る金融機関はないということでございます。

    公的資金新法の方でございますが、合併再編、或いは合併再編以外のそうした抜本的な再編を伴わない場合、どちらの場合でも一定の要件を満たしますと、公的資金が入る、すなわち政府の資本参加ということが行われるという制度になっております。合併再編につきましては、それまでの既存の制度でございました合併促進法、この法律について適用事例は、資本の注入としては一件であったということですけれども、実際に手続面での特例を利用した数というのは相当なものになります。預金保険の保証の限度額の引き上げの部分ですとか、これは確か20件を超えていたと思うのですけれども、手続面では相当多くの利用がありました。これは要するに地域金融機関において、もちろん経営判断でございますけれども、合併再編というものを目指す動き、そういったものを自らの金融機関の今後を考える上で重要な施策だというふうに考えている金融機関がやはり相当数あるということを示している、ニーズがあるということであろうと思います。ニーズがあると言いますのは、それは法律に対するニーズということではなくて、合併再編という手法で経営を安定させようというこういった考え方が相当これはあるのだということを示していると思います。今回の公的資金新法、金融機能強化法はそうしたニーズに応えるという意味では使い勝手のより良いものになっているわけでございますので、これはニーズのある中では使い勝手の良いものを使おうという経営判断をなさる経営者の方は出てきて当然ではなかろうかと私は思っていますが、具体的にどこかというお話があるわけでございません。

    お答えになったかどうか…そんなふうに考えております。

  • 問) 新長官にお伺いしたいのですが、確か金融監督庁の部長の時に、懇談会か何かの時に他の幹部から、「五味さんが、日本で一番怖い男」という評価があったのですけれども、その当時、金融監督庁が発足した時にかなり評価、信用が高かったと思うのですけれど。その後やっぱりかなり低下して、色々ギクシャクもあったと思うのですけれども、例えば金融機関とか、保険会社とか。最近は、竹中大臣になってからは徐々に評価とか信用が上がっていると思うのですけれども、その間、その変化はどのように見られていますか。

  • 五味新長官)  私はずっと金融監督庁から金融庁で仕事をしておりましたから、実感として感じておりますけれども、この金融庁の職員の仕事振りというのはその間常に一貫していたというふうに思います。金融不安の状況にある金融システムをどう立て直すのか、国民に役に立つ仕事というのは今何をすればいいのかということをそれぞれ真剣に考えながらやっていたと思います。

    そうした中でもちろん具体的な行政の処理の仕方というのはいくつもの選択肢の中から色々な要素を総合勘案して選ばれるものですから、場面場面によって非常に強い手法がとられることもあれば、割合インパクトが小さいけれども将来的には確実に効果をあげるという方法がとられるケースもある。たとえ話で恐縮ですけれども、ある診断が行われた時に、その診断に応じてどういう治療法をとるかというのは幾通りもの治療の仕方があって、それは患者さんの体力はどの程度かということによっても決まってくるでしょうし、或いは病巣の大きさによっても違ってくるということであろうと思います。どんな場合でも大手術をするのだというのは治療法ではないわけで、色々な手段を選ばなければいけない。ところがどうしてそういう手段が選ばれたのかということを逐一私どもは御説明することができない。守秘義務の制約というのは当然ございますのでできない、そこに何か分かりにくさというものが生じたことがあったのかもしれません。しかしながらこの6年間の金融監督庁、金融庁の活動その間に担当大臣として率いてきた大臣の皆様方の見識、こうしたものの積み重ねの中で日本の金融システムというのは確実に今安定の方向に向かっているというのは事実であります。

    説明責任を果たせなかったとは思ってはいませんけれども、説明できることには限度があったために、また特に金融監督庁発足時の非常にインパクトのある印象を世間様に与えるような様々な措置を取ったというようなこととの比較でですね、色々な評価というのが出たのかもしれませんが、内部にいる限り終始一貫金融システムの安定のために金融庁職員は働いていたというふうに思っています。

  • 問) 幹事の最初の質問に絡むのですが、竹中大臣は選挙戦で「私は2年で金融庁を変えました」というような発言をしてますが、竹中大臣就任後金融庁をどういう方向で改善してきたのか、その辺を新旧長官のそれぞれの御評価をお願いします。

  • 高木前長官) 大臣がどう御発言したかは直接お聞きしたわけではありませんから、いずれにしても先程申し上げましたように、大臣の御指導の下、一丸となって「金融再生プログラム」を始めとして、金融システムの強化安定等の諸課題に全力で取り組んできたということでございます。

  • 五味新長官)  「金融再生プログラム」というものを、竹中大臣が打ち上げられている。そのことは確かにこれまでの金融行政の中で行われていなかったものを取り入れたという面があるというふうに思います。

    例えば、ルールの面で言えば、ディスカウントキャッシュフロー法というものを引当の中に入れてくるといったような考え方ですとか、或いは繰延税金資産の計上について、会計上の計上とは別に、銀行監督上は算入規制を導入するべきかどうかを検討しよう、とかですね。こうしたそれまで必ずしも検討されていなかったような銀行の経営の健全化のための施策というものがここで述べられたというのは事実であろうと思います。

    また、行政処分に関連いたしましても、やはり改めて、例えば、どういう場合に公的資金注入行に注入した資金を普通株転換するのかということを、ガイドラインに改めてきちんと明確化をしようとかですね、こうしたこともございました。

    この「金融再生プログラム」の、そうした側面というのが、銀行経営者の経営に臨む姿勢というものに影響を与えているのは事実であろうと思います。この「金融再生プログラム」の持った効果というものは確かにあったのではないかと思います。

  • 問) 一連の不良債権の処理に当って、金融庁が果たされた役割は確かに大きいと思いますし、竹中大臣の色々な手法も効果を発揮していたと思うのですけれど、その一方で、不良債権の引当の方法にしても、例えば直接の言い方をすれば、一つ一つの手法について、かつての裁量行政のようなものの復活ではないかと、一つ一つの引当の方法、箸の上げ下ろしについて金融機関の行動を当局が規制というよりは指導という形で、そういう方向に動いてきているのではないかと、大きな意味で見ると。そういう声も一部であるのですが、基本的なスタンスとして、そのような方向に戻りつつあるのではないかと、これについてこれからの新長官の基本的な、先程お話いただいたのですが、裁量行政と今の行政との違いと言うのでしょうか、基本的なお考えをもう一度お伺いしたいと思うのですが。

  • 五味新長官)  行政には、裁量というのは当然必要なものでございます。大切なのは、その裁量というのが、恣意的に行われているか、或いはルール、或いはルールの趣旨に則って行われているかということであろうと思っています。従って、裁量行政かそうでないかという区分というのは、行政を論ずる時にほとんど意味がないというふうに思います。

    銀行の関係においては、もちろん銀行の皆様には、例えば金融庁の検査であるとか、監督の手法について、色々な御意見はあると思います。そういった御意見はむしろ我々に率直に伝えていただければよいということであります。私どもが目指しているのは、金融機関の健全性を確保するためにどういう引当が必要であるか、どういう債務者区分が適切であるのかということを、会計原則或いは金融検査マニュアルに示された考え方に沿ってこれを判定しているわけですから、賛成できない部分があるのであれば、「それは裁量である」と文句を言っている閑があったら、どこがどう納得できなくて、その理由は何なのかということをはっきりその検査官なり、或いは私でも構いませんから、言っていただくということであろうというふうに思っております。ルールに基づかない行政をするつもりはありません。

    ただしこれは銀行ですから、マーケットの行政とはやはりちょっと違います。マーケットの行政のように、事後チェックということを基本にする、つまり犯則が起こったらそれを取り締まるということを基本とする行政だけではこれはやっていけません。やはり金融システムというもの、信用秩序というものは、これはガラス細工のようなものですから、一つ壊れると全部壊れてしまうということがございますから、やはり予防的な行政というものは必要です。ただしこの予防というのは、「リスクがあるからやってはいけない」という指導をするのであれば、これは予防ではない。これは事前規制行政であって、要するに「リスクを顕在化させない最も確実な方法はリスクを取らないことだ」というようなことを言っているに等しいわけで、これでは金融機関も殺してしまうし、利用者だって不便で仕様がないわけです。ですから「リスクは取ってくれ、ただしちゃんと管理をしてくれ」ということで、その管理ができているかどうかということはやはり問題が生ずる前に当局としてしっかりと確認をして、問題があるのであればあると、いうことを指摘をして是正を求めるということであろうと思います。

    早期是正措置命令というのは、よく万能のように言われますけれども、或いはそれが機能していないのではないかと逆に言われますけれども、あの制度というのは、金融機関が現にトラブルに陥ってしまった時に、破綻ということになる前に何か早く手を打てということを命令する、そういう仕組みですが、金融行政において一番大事なことというのは、トラブルに陥ったものをどうするかということよりも、トラブルに陥る前にトラブルに陥らないような経営管理、内部管理というものをしているかどうかというものをチェックをして、そのプロセスをトレースすることで経営陣に改革を促すということだろうと思います。そういう姿勢で行政を行っております。

  • 問) 高木前長官の顧問の人事について伺いたいのですが、前例を言いますと、私の認識ですと、次の行き先が決まった段階で前の長官も顧問を辞していると思うのですが、先程五味新長官のお話がありましたけれども、今後は長官以下監督庁時代からのまさに内外からもプロと言われる方たちが就くだけに、顧問として高木前長官の豊富な経験を活かそうという狙いがあるかもしれませんが、ここはある程度新しい執行部にお任せして、一方で高木前長官これから郵政民営化という国家的プロジェクトに取り組むわけですから、そこに専念なさる、そういうような見方もあるような気がするのですが、今回の顧問、なぜ就くのか、これについての説明をお願いします。

  • 五味新長官)  顧問という仕組みに高木前長官に乗っていただきましたのは、高木長官の金融行政のプロとしての経験と見識、これを金融行政を進めていく上で大所高所からのアドバイスをいただくという形で活かせないものかということでお願いをしたというものでございます。これは行政の決断というのは様々な情報に基づいて、当然のことながら決断は大臣の責任で行われるわけですが、そうした政治的に責任を負う重要な決断をするに際して、必要な情報やデータ或いは選択肢こうしたものをプロが、プロと言いますか我々役人が能力を結集してできるだけ多くの情報を集めて、できるだけ多くのデータを集めそれを整理し、そして選択肢を示していくということで決断につながって行くということでありますから、そうした中でこの一番難しい2年間を長官として過ごされました、高木長官の経験と知識といったようなものを、現在の行政をやる上で活かしていくと、活かさせていただきたいという趣旨でございます。高木前長官の御指示を仰いで決めたいということで顧問になっていただいたということではもちろんございません。

  • 問) 関連ですが、高木前長官の今後の御活動なのですが、郵政民営化準備室も大変御多忙だと思うのですが、こちらに御登庁されることもあるとか、ちょっと細かいですけれど、要するに顧問室というのができるということなのでしょうか。

  • 高木前長官) ちょっと私は承知していないのですが、いずれにしても、今朝顧問にというお話を大臣からいただいたわけであります。それ以上に、部屋とか、何かという話は承知しておりません。いずれにしても、基本的に郵政民営化準備室の方での職務に専念していくことになります。ですから先程も新長官からもお話がありましたけれど、何か私の意見なり何かを聞きたいということがあれば、それは色々これまでの経験等々を基にしながら、申し上げることはあると思いますけれども。基本的に郵政民営化準備室の方で仕事をしていくというふうに思っていただければいいと思います。

  • 問) 郵政民営化の業務と金融庁の業務ということで、同じ行政ではあるのですけれども、利益相反があるという見方もされる2つのお仕事なのですけれども、そういうことをお感じになりませんか。

  • 高木前長官) 先程、新長官の方からお話がありましたように、私は金融庁の組織の意思決定とは全く関係のないラインなのです。参考意見を聞かれれば、お話するということですから、金融庁としての立場ではなくて、他にも顧問の方は何人か金融庁にはおられますけれど、そういう意味で色々アドバイスを求められればしていくということに過ぎない立場でありますから、郵政民営化準備室の方の仕事は、しっかりきちっとした民営化をするという考えでしっかり取り組んでいきたいと思っております。

(以上)

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