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五味金融庁長官記者会見の概要

(平成16年8月23日(月)17時03分~17時23分)

【質疑応答】

問)

検査についてなのですけれども、16年9月期を対象とした特別検査が実施されることになりましたけれども、その辺の特別検査への意気込みと申しますか、特に力点を置きたいポイントについて改めてお伺いしたい。また、不良債権比率を4%台にする目標を前倒し達成できるかについて、現状においての認識をお願いします。

答)

まず今回、主要行に対して16年9月期を対象とする特別検査を行うということで、その立入を実施する旨の予告をしております。これは、従来の9月期のような特別検査のフォローアップということに留めずに、特別検査そのものを9月期を対象として行うというものでございます。この位置付けですけれども、この検査は金融再生プログラムの達成を確実なものにするという、こうした位置付けでこれまで以上に重要な検査であるというふうに考えております。ポイントといたしましては、一つは再建計画を有する先、債務者ですね、これについては、再建計画が問題の先送りにつながらないようにその計画の妥当性の検証ということに重点を置くということでやっていきたいと考えています。これは、これまでの特別検査でもそうした視点からの検証は行っているわけですけれども、今回、再生プログラム達成を確実なものにするという視点から、この点は特に重要であるというふうに考えています。それからもう1つは、特別検査の前後においてその実効性を高めるために必要な対応をするということを考えております。これが二つ目のポイントです。まず検査の前における対応ですけれども、前回の特別検査、3月期ですね、16年3月期を対象とした特別検査の結果、これを十分に踏まえるということ。それから、直前に行われております大口与信管理態勢検査、この結果も十分に踏まえるということ、更にこの検査結果を踏まえまして、銀行法24条に基づく報告を徴求をしております。この報告に対してヒアリングを実施いたしますので、このヒアリング、すなわち検査指摘事項に対する銀行側の認識やその改善策等、こうしたことについてのヒアリング結果、これも十分に踏まえると。以上のような検査に入る前の段階で十分な準備をした上で、問題点を事前に、相当程度明確化した上でチェックを入れていくということ。それから検査の終了後でございますが、特別検査の終了後の対応としましては、これは前回も行いましたが、必要に応じて大口与信管理態勢検査を更に行うということでございます。こうしたやり方をすることで、企業実態が悪化しているような大口債務者、大口与信先に対する銀行側の審査態勢や管理態勢といったものを確立するように、タイムリーな働きかけをしていくということを考えています。

それからもう一点のお尋ねは、不良債権比率の目標の前倒し達成という点でございますが、ご承知のように、16年3月末の不良債権比率は主要行平均で5.2%です。これは金融再生プログラムの目標設定致しました際の14年3月末の不良債権比率8.4%、この水準から3.2%ポイントの低下をしているわけです。2年間で3.2%ポイントの低下で、残るところは後1年ということで、そこで8.4%の半分程度まで不良債権比率を低下させていくということになるわけですが、現状この目標に向けて、不良債権比率は着実に低下をしているというふうに考えています。既に、それぞれの、個々の銀行においては、4%を下回るような水準まで不良債権比率を低下させている銀行も見られるわけでございまして、当局者としては前倒し達成というお尋ねがあると、何らかのコメントをしたくなる誘惑にかられますけれども、金融再生プログラムは、来年の3月期で8.4%の半分程度まで低下をさせるということを目標にしておりますので、事務当局としてはとにかく、この達成を確実なものにすると、途中経過ということであれこれと思い悩んだり、気を緩めたりということがないように、来年の3月期の目標というものの達成を確実にするということで、これからも努力していきたい、各銀行におかれても、一層のご努力をお願いしたいと考えています。お尋ねに対しては、そういう答えでよろしくお願いします。

問)

今の答えとちょっと重複するとは思うのですけれども、ダイエーなのですが、新たな再建計画について銀行側、それからダイエー側それからファンド等も含めて色々な計画案が出ている模様です。詳細はそれぞれ詳らかになっていないのですけれども、来年3月を見据えた不良債権問題解決という、そういう視点で今回のダイエーの新たな再建計画についてどのように見ていらっしゃるか、改めて伺いたいのですが。

答)

何度も会見では申し上げていますけれども、特定の金融機関、或いは個別の金融機関の特定債務者、特定取引先にかかる事柄ですからコメントは控える必要があります。一般論で申し上げますと、企業再生ということが必要であるという状況に立ち至ったのであれば、債務者たる企業においてはその事業再生に向けた再生計画というのをしっかりした内容で作っていただく必要がある。その再生計画の内容と言いますのは、市場の評価というものが十分に得られるもの、その債務者自らの企業に対する市場の信任というものを確立することができる内容であることが必要であるというふうに考えています。企業再生ということが本格的に行われるようになって、まあ最近の事ではありますけれども、しかし大分様々な事例が出てきました。失敗した再生計画の事例というのも出てきていますし、逆に成功事例もある。また企業再生のための手法、或いは再生の主体、再生の担い手、こういったものも随分と状況に応じて色々なものが用意されるようになってきています。そうした中で事例の積み重ねということも考えれば、市場の信任を得るというのは、かつてのような状況ではなくて、相当高いハードルをクリアしないと市場の信任というのは再生計画において得られないという状況になっているように思います。一般論でございますけれども、こうした状況にある市場の信任というのを確保できる再生計画というものがどのような場合であっても必要だというふうに考えます。再生が必要であるという認識を持つのであれば、このハードルをクリアしていただく必要があります。同時に大切なのは計画そのものだけではありません。その計画が実施されることであります。確実な実施ということを担保するような実施の態勢といったものも用意し、そしてスタートした以上は着実に且つ迅速に実施をしていただくということが大事だというふうに考えます。

まあ特定の債務者の話というのは難しいので、そのような言い方でお願いします。

問)

今回の通常検査、特別検査の予告がなされましたけれども、一部の金融機関で、前事務年度で金融検査等の検査結果の報告が行われる前にまた新たな予告があって、そこが金融界の中では、「なぜこんなに畳み掛けるような」というような意見があるようですが、今回こういうような形で予告されて検査に入る意味を教えて欲しいのですが。

答)

検査のタイプが違う場合は通知を行っていないケースがあると思いますが、通常検査の方でしょうか、ちょっとすいません、具体的にどの銀行でそういうことが起こっているのかというのが手元にないものですから、一般的なお答えをしますが、やはり検査に入る時には前回検査の結果というのは通知をされているというのが基本であるというふうに考えています。もし通知をされていない状態で次の検査が具体的に開始をされるということであれば、それは自然な状態ではありませんので改める必要があると思います。それはこれからちょっと調べてみます。仮にそういう状態で検査開始の通告があった場合、銀行の皆様としては少なくとも前回検査における立入検査の終了時点での検査官の認識というものが示されているわけでございます。俗にイグジットミーティングと言っておりますが、その時点における認識というのは示されておりますし、そのことについて特別に異議があるという場合には意見の申し出はなさっているでしょうが、意見の申し出をなさらなかった部分については銀行側としても相当程度認識を共有しておられると思いますから、その点について十分に改善策を講じた上で検査に臨んでいただくということが必要だと考えます。

問)

検査のお話ですが、特別検査の検査前対応と検査後対応、色々配慮して注意深くやるということですが、終わった後に大口与信管理態勢検査も検討されているというお話でしたけれども、既に特別検査、大口与信管理態勢検査のこの流れを1回ご経験なされているわけですが、新検査ということ、要するにどういう効果があったと認識しておられるのでしょうか。この特別検査から大口与信態勢検査に流れていくその効果ですが。

答)

大口与信管理態勢検査の方の話ですね。本当は、この大口与信管理態勢検査というものがなくても、金融機関は、例えば特別検査で特定の債務者についてある認識が示された場合には、それに対応した対策というものを直ちに検討を開始していただくということが必要であるし、その結果とられる対応策というのが銀行のリスク管理上問題のない水準のものであることが望まれるわけであります。しかしながらこれまでの経験では、特別検査においてある認識を当局側が示した場合、それをフォローアップしてみると必ずしも十分な対応が取られていたとは言えない。例えば、再建計画についてその妥当性に問題があるという認識を再建計画検証チームが示しているようなケースであっても、その合理性が確立できるような計画の十分な見直しというものが必ずしも行われていないようなケース、こういうようなケースもあったというようなことがございますので、それに対応するために大口与信先の実態把握の状況ですとか、或いは再建計画の見直し、或いは実際に再建計画が新たに必要になったという場合であれば新たな作成、こういうものへの銀行側の十分な関与というものをしていただくように、確認をしておく必要がある。そういった意味で、それが必要であると認識した場合には、銀行の大口与信先に対するリスク管理態勢の問題としてこの大口与信管理態勢検査を導入したわけで、その意味では、具体的にどの銀行においてどういう効果がありましたというお話はし難いのですが、銀行経営者、特に銀行で与信のリスク管理をご担当になる経営陣の皆様においては、検査を受けて一息ついてということは許されない、そういう認識は持っていただけたというふうに思っています。

問)

それで今回も特別検査のフォローアップ的な意味合いがある大口与信管理態勢検査をやりたいとお考えになっているという理解でよろしいでしょうか。

答)

特別検査のフォローアップというのは、正確に言いますとこれまでは3月期の特別検査を行った結果を9月期でどうなったかを必要に応じてチェックをする。大口与信管理態勢検査、今回は9月期で従来3月期で行っていたような対象債務者の洗い直しを行った上での特別検査を実施しますので、前3月期の場合と同様にこれを9月期特別検査において指摘をされた内容について必要な場合には大口与信管理態勢検査でその管理態勢を再度チェックすると、こういうことになります。

問)

大口与信管理態勢検査というのは、初めてこの間あったわけですけれども、最初で最後かなという話もあったのですが、やはりまた必要だというのはどういうことなのでしょうか。

答)

必要かどうかは、特別検査を行い、その特別検査の結果に対する銀行法24条の報告を頂戴をして、そこで十分な対応が取られているかどうかを確認をすると、この作業の中で更に立ち入り検査をして再度管理態勢をチェックする必要があるかどうかを判断をしていく、こういう形になります。確かに前回初めてということですけれども、前回の特別検査並びに大口与信検査というものの結果・実績というものを我々なりに持っておりますので、そこから判断をすれば今回枠組みとしてはそうした大口与信管理態勢検査を用意をしておく必要はまだあるという判断にございます。実際に9月期の特別検査を行ってその結果を通知し、それに対する改善策を24条で戴いた結果として大口与信管理態勢検査は今回必要がなかったとか、或いは前回に比べれば極めて限られたものしか必要がなかったということは起こり得ることだと思いますが、枠組みとしては用意をしておきたいという、まだそういう状況であるということです。やはり金融再生プログラムの達成という目標の達成というのを、検査という側面から見ても確実なものにしておきたい。今回、この状況においては、特にポイントになるのは大口の不良債権の問題であるということは明らかでございますから、この点については特に念入りな枠組みを用意をして臨むということにしたいということです。

問)

UFJに対する刑事告発について、今後の判断の時期、この辺の見通しについて教えてください。

答)

UFJの検査忌避問題については、その刑事告発の要否を現在検討中でございまして、現状においてその結論がいつまでに出る、或いはいつまでに出すつもりで検討しているということを申し上げる段階にはありません。仮にそういう心積りがあっても申し上げられるような筋合いのものではないと思いますが、現在検討中ということであります。

(以上)

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