五味金融庁長官記者会見の概要

(平成16年10月18日(月)17時01分〜17時37分)

【長官より発言】

当庁において発生いたしました不祥事件について概要の御説明とともに、お詫びを申し上げたいと思います。去る7月末に二つの金融機関から当庁宛に書留で郵送されました「疑わしい取引の届出」に関連するフロッピーディスク、各金融機関一枚、合計二枚が当庁内で行方不明となりまして紛失した可能性が高いことが明らかになりました。これまでに分かっております具体的な経緯を申し上げます。

まず7月27日にA金融機関、個別名は伏せさせていただきますが、A金融機関から書留で郵送をされましたフロッピーディスク一枚が8月2日になっても担当室、これは総務企画局総務課の特定金融情報室でございます。この担当室に到着しないため担当職員が確認をいたしましたところ、郵便局の書留記録では7月28日午前に当庁窓口で受領したことになっているにも関わらず、行方不明となっているということが判明いたしました。見当たらないということを確認をしましたのは8月4日でございます。このフロッピーディスクには個人情報に関する届出が一件入っておりました。すなわち疑わしい取引についての届出そのものでございます。

また別の金融機関、B金融機関から7月末に書留で郵送されましたフロッピーディスク一枚、これがA金融機関の場合と同様、郵便局の書留記録では7月28日に当庁窓口で受領したということになっているにも関わらず、行方不明となっていることが判明いたしました。確認ができましたのは8月上旬ということでございます。このフロッピーディスクにはテストデータのみが含まれておりまして、個人情報は含まれておりませんでした。テストデータと申しますのは暗号による送付を行うということで、そのために暗号解読のためのテストを行う、そういうものでございました。入っているデータは従ってダミーデータで個人情報とは関係のないものでございます。

当庁の郵便の受付窓口、そして担当室においてはこれらの事実を把握いたしました後に東京中央郵便局とも連絡をとりながら庁内の探索を続けてまいりましたが、現在まで未だフロッピーディスクの発見に至っておりません。これまでのところ行方不明となっているフロッピーディスクに収められておりました個人情報、これが漏洩をした痕跡はありません。ありませんけれども当庁の情報の管理に問題があったということには何ら変わりはないわけで、極めて遺憾に思っております。以上の事実につきまして私は先週の水曜日、10月13日に報告を受けました。報告を受けて直ちに当庁の監察官による徹底した調査を命じました。この事案の問題点といたしましては、個人情報の含まれるフロッピーディスクが行方不明になったという事実、これは当然重大な問題であります。これに加えて当庁の職員に個人情報の重要性の認識が不足していた結果、上司への必要な連絡、報告が速やかに行われなかったこと等、庁内での連絡体制を含む内部管理体制が有効に機能していなかったということにあると考えております。今後速やかに監察官による調査結果を得て、再発防止策等を実施してまいりたいと考えております。

金融機関の監督を行う立場の当庁においてこのような不祥事件が発生したことは極めて遺憾なことであり、深くお詫びを申し上げます。なおこの点につきまして後ほど総務企画局総務課長から、事実関係の詳細、或いは関係する周辺の情報などに関して御質問を受け、御説明をする機会を設けることにいたしております。そうした点についての御質疑はそちらにも時間を用意しておりますので、それも御活用いただけたらというふうに思います。

私からは以上でございます。

【質疑応答】

問)

今の件につきまして、この会見のすぐ後ですか、説明があるというのは。

答)

引続き事実関係などは御質疑をお受けするようにしております。

問)

その時に詳しく聞きますけれども長官に一点、事案があってから今日の発表まで多少時間が掛かっておりますけれども、これは発表が遅れたということになるかなと思うのですけれども、それはどういう理由だったのでしょうか。

答)

この紛失の事実というのを報告を受けましてから、監察官に命じて徹底した事実関係の調査というのをまずさせるということが大事だと思いまして、それを致させました。同時に調査というのは原因調査だけでなくて、フロッピーディスクそのものの発見のための調査というのも指示をしたわけですが、それが必要であるというふうに考えて、まずそれをさせたわけでございます。13日に報告を受けて直ちにその指示をしたというわけでございます。そうしてそのとりあえずの調査の結果も踏まえまして、先週の金曜日15日に大臣に報告をするという手順を踏みました。その際大臣から「徹底調査を行うということ、そして可及的速やかに本件を公表するということ、更に再発防止策等を講じるということ」、こうした指示を頂きました。そこで本日発表するという段取りに致したわけでございます。

問)

ダイエー問題に関してですが、「金融再生プログラム」の下で今年度中の不良債権問題の終結、大手行の不良債権比率半減を目指す金融行政の立場から、この程のダイエーの産業再生機構への支援要請をどう受止め評価するのか、これで不良債権問題の山は越えたと言えるのかどうかお願いします。

答)

まず大口貸出先への対応というのは、不良債権問題の正常化に向けた重要なステップであると考えております。こうした観点からダイエーに関しましても、実現可能で且つ抜本的な再建計画が作られて、それがしかも着実に実施されるということを期待しているところでございます。この支援要請に関連してはこうした立場でございます。また、不良債権問題の山は越えたかどうかという点につきましては、既に御承知のように主要行の不良債権比率は16年3月期で5.2%というところまで低下しておりますので。17年3月期までに不良債権比率を半減させるという「金融再生プログラム」の目標達成に向けては順調な低下をしているという認識でございます。そうした中で大口貸付先に対します与信管理というのは、いわば残された火種、不良債権問題の残された火種を確実に消し止めるための非常に重要なものであると考えております。山を越えたかどうかという点についてのコメント以前の問題として、まずは来年3月末に目標を確実に達成できるように各銀行においても取り組んでいただきたいし、我々もそのために行政を推進していきたいというふうに考えています。

問)

ダイエーの産業再生機構支援要請に関して、産業再生委員会の高木委員長が、中川経産大臣の介入があったとして政府に抗議いたしました。これについてどう受け止めていらっしゃるかお願いします。

答)

今の点は高木委員長から官房長官に宛てた私的な親書という形で委員長の意見が伝えられたというふうに承知をしております。そうした私的な親書に関するお話ですので、私、出し手でも受け手でもございませんから、ここでコメントするというのは適当でないと思います。ただいずれにしても、産業再生機構というのは法律に基づいて産業再生という大きな目的のために法律に基づいて設立されたもので、且つその具体的な活動を行うに当たっては、企業再生のプロ集団として、その再生の決定等は独立をした委員会という方式で議論をして決めていくという、こうした独立性の非常に強いものであります。言わば市場原理というものを活かしながら、しかし公的な色彩も持ち、しかし公的な色彩も持っているけれども市場原理を真に活かすために独立性が強く与えられている、こういう組織でございます。こうした独立性を産業再生機構がきちんと確保して産業再生の実を上げるということは大変重要なことだというふうに考えております。

問)

西武鉄道株の問題ですけれども、株主の持株比率、コクドの比率が過小に報告されていたという問題、及び大量に売却されていたと、公表前に大量に売却されていたという問題が発覚いたしましたけれども、現在、東京証券取引所が事実関係を調べておりますが、証券取引法違反の疑いもあると思われます。証取法の主管官庁であり、また市場監督の立場から長官の所感と金融庁として取るべき対応、東証など関係者に期待することがあればお願いします。

答)

個別事案でございますから具体的なコメントは控えますが、まず金融庁としてこの有価証券報告書等に関連いたします権限を関東財務局に委任しております。従ってこの委任を受けております関東財務局において訂正報告書の内容の詳細、或いはその経緯等について必要に応じ確認を行うということになります。また、市場監督という立場では証券取引等監視委員会の役目というものがございます。これについても個別のコメントということではございませんが一般論で申しますと、有価証券報告書の虚偽記載に該当する事実があるというような疑いがある場合には、必要に応じて調査を行うということになります。関係者であります東京証券取引所は上場廃止事由に該当する惧れがあるということで、投資家にこれを周知するために西武鉄道株式を監理ポストに割り当てたというふうに承知をしています。今後、東京証券取引所において自主規制規則に基づいて適切に対処されるものと考えております。

私の所感というお話がございましたが、有価証券の取引におきまして極めて重要なことが二つございます。それは公正取引の確保と公衆縦覧型ディスクロージャーの適切性でございます。すなわち市場における価格形成を歪ませるようなそうした不公正な取引といったものは徹底的に取り締まらなければならない。また、投資家の投資判断の一番の根拠になるディスクロージャー、これについてはルールに則った適切なディスクロージャーが行われている必要があると、この二つが確保されていなければ市場取引における参加者の自己責任、投資家の自己責任ということを問うこともできないわけでございます。従いまして適切なディスクロージャーというものが行われるというのは極めて重要なことでありまして、この点について問題があるようであれば金融庁としては厳正、適切な対応をしてまいりたいと考えております。

問)

金融庁として厳正、適正な対処というのは、まず証券取引等監視委員会の調査を指しているのですか。それとも市場監督として金融庁の市場課の施策として厳正な対処という意味ですか。

答)

この案件についての対応を具体的に申し上げるのは難しいのですが、一般論で申しているわけですけども、申しました主旨はディスクロージャーが適切に行われていないということがもしあるのであれば、それは金融庁の権限の中で必要な措置を取ることによって投資家の保護を図っていくということです。ですから犯罪捜査に関わる話になるのであれば証券取引等監視委員会、先程一般論で申し上げましたが、有価証券報告書の虚偽記載といったような疑いが生じてくれば当然そちらが調査をすると、これは金融庁として厳正に対処するという意味合いでございます。

市場課と仰ったのは…。

問)

企業開示参事官室も絡むのですよね、これはディスクロの関係ですから。

答)

東京証券取引所における適切な対応が取られることも当然必要であります。それは企業開示参事官室の直接の権限ではございませんけれども、それから関東財務局において報告書、訂正報告書といったものの内容についてその詳細や経緯をきちんと調べてそこに問題となるルール違反がないかどうかというようなことを調べる、これは当然のことでございますが企業開示参事官室の担当になるわけでございます。一般論でございます。

問)

紛失の関係で細かいことは後ほど聞きますが、長官に3点だけお聞きしたいのですが、まず、個人情報保護の重要性の認識が不足していたのは、担当官レベルの話なのか、室長・課長・局長レベルの話なのか、言い換えますと、長官は13日に報告を受けたということなのですが、室長・課長・局長はどうだったのか、それが第1点です。また、これに関連して関係職員の処分、これが盗難なのか、紛失なのかわかりませんですけれども、情報の伝達の遅れがあったことはあるわけでそういったことについての説明については、どうお考えなのか。

それと2点目なのですけれども、監察官が調べることは結構なことだと思うのですが、盗難か紛失かわからない、最悪の場合には庁内で誰かが盗んだということもあるわけですが、その場合、第三者の捜査機関に届出て第三者の立場から捜査をしていただくというオプションは考えられないのか。

3点目なのですが、個人情報と書いてあるのですが、個人情報もピンキリでありまして、最近よく言われるセンシティブ情報といったものまで含まれるのか、せいぜい名前と生年月日といったレベルなのか、どういった個人情報が紛失になってしまったのか、この3点について教えてください。

答)

事実の内部における連絡でありますけれども、先程御説明をしました事実関係、私のところに10月13日に報告があったということでございますが、担当の総務企画局総務課長に報告がございましたのは、その前日、10月12日の夜でございます。その間は、特定金融情報室の中にこの事実は留まっていたということでございます。誰がということよりも組織全体に個人情報というものの扱いの重要性をきちんと認識する風土がどこか問題が出ているのではないかということを私は疑ってみる必要がある状態だと思っております。こうした事柄が起こったということをわかった途端に最上層部までその情報は入ってこなくてはならない性格のものと思っておりますので、こうした意識の問題があるように思います。

それから、この件に関係を致しまして、関係者の処分などはどうするかということでございますが、これは、事実関係を調査中でありますので現段階で申し上げられることはないのですか、調査の結果を踏まえて、この処分に関しても適正な対処をするつもりです。

二番目の第三者機関なり捜査機関というお話でございますが、これまでのところ、情報漏洩の痕跡がないこと、今鋭意調べていますが、他に類似の事柄というのが現時点で確認できていないこともございます。私はしたがって意図的なことが起こった結果としてこの紛失があったということを断ずる状況にないと思います。現状では、内部の組織を使って徹底した調査をするということでよいのではないかと思っています。

それから、この情報の内容でございますが、組織的犯罪処罰法に基づく疑わしい取引の届出が1件含まれていた。これが個人情報に関するものでございます。これにつきましては、疑わしい取引の届出の方法等に関する命令というのがございます。これに別紙様式というのがございまして、その様式で記載を求めている事項がこのフロッピーディスクに入っていたということで、具体的には、取引を行った者、取引を行った場所、これは金融機関側です。それと取引の相手方についての記載がなされております。いわゆるセンシティブ情報のようなものが入っている性格のものではありませんが、特定の取引相手方のお名前等が記載されているということであります。

問)

疑わしい取引というのは、いわゆるインサイダー取引といったものなのですか。

答)

もし、必要であれば、後ほど河野(総務企画局総務課長)から詳しく御説明をしますが、組織的犯罪処罰法に基づいて、犯罪収益のマネーロンダリング等を行うための取引と疑われるようなものというのが一応基本的な考え方ということになるかと思います。組織的犯罪行為の収益を隠匿したり、送金したりといったようなものでございます。前提犯罪としてもちろん色々な犯罪がございますから、その中には本当に様々なものがございます。

問)

盗まれて悪用された可能性は少ないということなのですが、そうするとゴミ箱に捨ててしまったとか、今のところ長官に御報告がきているのは、どういう紛失の可能性があるという報告が来ているのでしょうか。

答)

それが、まだ可能性というものが絞り込めている段階ではないのです。どの段階で紛失をしたのかということも現状ではよくわからないということなのです。したがって、取り急ぎ徹底した捜索と調査と両方なのですが、当時実際に担当した者達にももちろん監察官はインタビューをしておりますけれども、中々それだけでは事情がまだよくわからないという段階です。

問)

個人情報については、改めて金融機関から取得しているわけですか。

答)

金融機関の届出情報については、再提出をいただいて、情報としての処理はそれによって行っております。

問)

調査と再発防止策の当面の目処についてはいかがですか。

答)

できるだけ早く再発防止策と思っていますが、現状ですぐできることは、受け渡しの部分を間違いのないように徹底することです。これはやりました。要するに、すべてが書留郵便で来るわけではなくて、持参なさる金融機関も多いのですが、フロッピーディスクを書留郵便でいただく時に、郵便の受付を担当する者と実際にその情報を使用する部局とが別であるということがございまして、ここで何か間違いが起こる可能性というのは、容易に想像できるわけでございまして、郵便局から受け付ける時の、これは総務企画局総務課の担当窓口が、他の郵便物も同様ですが、受付を致しますので、その受付に際して確実に現物が来ているかどうかをきちんと確認して郵便局から受け取ること、またそれを庁内の関係部局に再配送するわけですが、その際には、特にこうした情報については、念入りに確実に受け渡しを確認するといったこと、これも、後ほど河野から補足をさせますけれども、こうしたような直ちにできることは直ぐに対応を致しました。職員の意識改革のような話は、これを機に考えなくてはならないものがあると思います。もちろん、研修等による意識の徹底ということは当然でございますが、実際の文書の取扱や郵便物の取扱といった面でも十分な注意が払われるような、そういう意識の確立ということは必要でありますので、これは早急に検討します。もう少し、どういうやり方が一番よい再発防止策になるかということについては、急ぎますけれども少し時間をかけて検討する必要があると思います。もちろん、システム全体のセキュリティーレベルを向上させることが一番重要であると思いますので、そうした視点から、やらなくてはならないことは直ちに検討します。

問)

高木委員長のことなのですが、これは親書ではなくて書簡という話をしていたのですが、これについて再度確認したいのですが。

答)

いずれにしてもお手紙だと聞いていますので。官房長官御自身が先週15日の午後の定例会見で仰っているのは、私の手元にある記録の限りでは、これは正確であるかどうかはわかりませんが、高木委員長からお手紙をいただいた。私的な親書の中に書いてあります事項でございますから、私は申し上げませんと仰っています。

問)

再生機構の規則というか、もし圧力もあった場合には、委員会に報告をしなくてはならないと思うのですが、それは一応委員会に報告されているのですが、報告されているということになると、私的な問題ではなくて、政府と再生機構の問題になると思うのですが、いかがでしょうか。

答)

再生機構の中での手続き、或いは、その監督官庁たる内閣府において、どういうお調べをなさるのかは、私は担当ではないのでコメントできません。

問)

総務課長も10月12日夜ということなのですが、そうすると担当の室は、二ヶ月以上にわたって事案を上にあげていなかったことになります。おそらく長官御自身もなぜ二ヶ月も上に上げなかったのかとお聞きになっていると思うのですが、担当者たちはどういった釈明を行っているのですか。

答)

これは、担当レベルで一生懸命探索を続けていたということなのです。別に隠していたということではなくて、現実に、例えば、郵便物が誤配されていないかどうかといった点等について調べていたようでございます。一時的な、最初のあがってきた報告の時に聞いた話はそういうことですが、私自身も責任者の一人ですので、こういう話は監察官の調査結果を待ちたいと思います。

問)

二ヶ月以上にわたってずっと探していたというのは、常識ではおかしくて、ぜいぜい一週間か二週間探してだめであれば報告しようをいうことになろうかと思うのですが、現場レベルで隠そうという意図があったと長官はみてらっしゃらないのですか。

答)

そういう状況があるならば、多分聞いたときにピンとくると思うのですが、そうは受け取れませんでした。もちろん、私は当事者にインタビューしたわけではありません。総務課長から報告を受けただけです。

問)

再提出を受けたのは、何月何日ですか。

答)

8月の上旬です。

(以上)