五味金融庁長官記者会見の概要

(平成16年11月19日(金)17時31分~18時00分)

【長官発言】

お手元に資料が配布されていると思いますが、それを御覧になりながらお聞きいただきたいと思います。10月18日に公表いたしました「疑わしい取引の届出」に係るフロッピーディスクの所在不明事案でございますが、公表から約1ヶ月が経過をしております。現在もフロッピーディスクの探索を継続しておりますが、未だに発見されておりません。金融機関の監督を行う立場の当庁としては誠に遺憾であり、重ねて深くお詫びを申し上げます。

当庁では、事実関係の究明のために10月14日から庁内の専担監察官による関係者のヒアリングを行うとともに、10月21日からは当庁コンプライアンス対応室に依頼をし、客観的な立場から当庁の内部管理体制の面における原因究明と再発防止策の策定について調査及び提言を依頼していたところです。庁内監察官の関係者ヒアリングの結果、或いは今週水曜日17日でございますが、大臣及び私宛に提出をされたコンプライアンス対応室からの提言、これを受けましてお手元に配布した再発防止策を取りまとめ、また関係者の処分を本日行ったところでございます。

再発防止策の概要は、資料の2にございますが、監察官のヒアリング結果そしてコンプライアンス対応室の調査結果・提言におきまして、今回の事案が発生した主たる要因として3つが挙げられております。一つは、郵便物の収受体制が不十分であった。第二に、特定金融情報室の疑わしい取引の届出の処理能力にも問題があり、届出件数が急増する状況に適切に対処できていなかった。第三に、疑わしい取引の届出に代表される個人情報を含む文書等の取扱いについての全庁的な意識が低かった、ということでございます。これらの問題点に対応した再発防止策について以下述べております。何点かポイントになる部分について御説明を申し上げます。まず郵便物などの文書の接受体制の整備という点でございますが、この点はコンプライアンス対応室の提言によれば、金融庁のこれまでの体制では日々大量に接到する郵便物を収受するには不十分である。そして紛失等が再発するリスクが高いというふうにされております。

したがいましてお手元の公表文に記載されていますような施策を講ずることとしたわけでございますけれども、第一に接受担当部署の体制の強化、作業環境の改善、また特定金融情報室などの接受する文書等が多い部署は、総務課の接受の担当部署を通さずにその部署が直接郵便物を接受する体制とすること。三番目でございますけれども、従来の文書取扱規則においては紛失などが発生した可能性があるという場合の報告連絡体制が明確に規定されていなかったということがございます。この点は早急に改める必要があると考えております。したがって本格的なコンティンジェンシープランの策定に先立って、早急に文書取扱規則を改正することにしたところでございます。

それから第二点、特定金融情報室の届出の受付け、或いは処理能力の向上策でございます。急増する疑わしい取引の届出を前にして、現在の特定金融情報室の処理能力が追い付いていないというこの現実への対応策でございます。昨年1年間の届出の件数は約44,000件でございます。今年に入りまして10月までに提出された件数は既に75,000件となっております。届出件数がこのように急増している現実があるという一方で、特定金融情報室のスタッフは直ちに増員をすることは難しい情勢にございます。この点につきましては、大臣からも届出を早急に電子化するようシステムを専門家を含めて検討せよという指示が10月末にございました。そこで第一に挙げていますけれども、実際の届出処理を担当している人を中心に検討チームを作って検討いたしました結果、電子申請・届出システムというものを活用すると。これによる受付けというものを準備が整い次第順次開始するということにしております。具体的には、主要行においては年内にこうしたシステムに移行をします。主要行以外の銀行については年度内に移行をいたします。それ以外の預金受入金融機関、例えば信用金庫、信用組合等につきましては、来年度に移行をするということにしております。これにつきましては届出をする金融機関側の準備もございますので、こうしたことから多少実際に導入される時期がずれてくるという事でございます。また、直ちに導入できないという事情もございまして、これはセキュリティ確保のための運用テストなどもきちんと行っておく必要もあるということがございます。

以上、この特定金融情報室の届出の受付け処理能力の向上策等でございます。もちろんこの電子申請・届出システムによる届出を開始いたしました後も、郵便物で提出をされるというものもあるわけですので、これは受付確認の徹底と、あと受領確認書を全ての届出金融機関に交付をするということで、金融機関側においてもこちら側に接受の漏れといったものがないかどうかを確認できるようにしておくということにしております。

次に3番目に、個人情報を含む文書等の取扱に関する職員意識の向上ということでございますけれども、ご案内のように来年の4月には個人情報保護法が施行されます。これに向けまして、当庁では各金融機関に遵守していただく金融分野における個人情報保護に関するガイドラインというものを現在検討しているわけでございますが、この点は行政機関に対しましても、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律というのが同じく来年の4月から適用されることになっております。今回の事案は、当庁の職員において個人情報を取り扱っているということについての意識が不十分であったということもございますので、この際そこに書いてございますように、金融庁総点検プロジェクトの一環として個人情報の漏洩といったような危機の管理体制を総点検して、その結果を今申し上げました二つの法律が施行される来年4月までに各省庁が備えていなければならないとされております個人情報管理規定といったものに盛り込んで、再発の防止に万全を期すということにしたところでございます。

このように今回の再発防止策の中にはシステムの活用或いは各種規定の整備というものが多く含まれておりますけれども、最も重要なのは当庁の各職員が個人情報というものの重要性についての認識、意識というものを持って職務に当たるという事であるというふうに考えております。

次に3番、関係者の処分のところでございます。この件につきましては、今回の事案についての監察官による事実関係調査、或いはコンプライアンス対応室によります客観的な立場からの調査というのが鋭意行われました。一ヶ月、念入りな調査をしたわけでございますけれども、このフロッピーディスクの紛失につきましては、その紛失が文書接受以降どの過程で起こったのか、どの過程で紛失したのかということを具体的に特定するということが困難でございました。したがいまして紛失についての原因者個人を特定するということも困難であるという状況になっております。そういった状況ではございますが、一方で組織全体として考えますならば、金融機関から届出を受けた機密性の高い個人情報というものを含むフロッピーディスクを紛失したということについて、文書接受上の体制について管理責任というものがある。それから第二にフロッピーディスク紛失が判明してから幹部への報告が約2ヶ月遅延をしているといったこと。このことについての管理責任というものもあるということから、そうした点で関係者の責任を問うということが必要であると判断をして処分を行うことにいたしました。

処分の内容は、総務企画局の主任文書管理者でございます総務企画局総務課長を訓告。それから総括文書管理者である総務企画局長を文書厳重注意というふうにいたしました。総務企画局長の果たしております総括文書管理者という責務は、当庁における文書管理の最終責任者という立場でございます。それから報告が非常に遅れたということの管理責任があるということで、2番でございますが特定金融情報室長を訓告。そして特定金融情報管理官、これは国際担当参事官がこれに当たっていますが、これを文書厳重注意ということにいたしました。

以上配布資料に基づくご説明でございますが、個人情報を含むフロッピーディスクが所在不明ということになり、現在も発見されていないという状況につきましては、重ねて国民の皆様、また当該フロッピーディスクをご提出いただいた金融機関はもちろんのこと、当庁の監督下にあって日々金融行政にご協力をいただいている金融機関の皆様に対しまして、重ねてお詫びを申し上げます。また今回取りまとめました再発防止策を着実に実施をすることで個人情報を含んだ書類やフロッピーディスクの紛失といったことが二度と発生しないように最善を尽くしてまいりたいと考えております。

私から以上でございます。

【質疑応答】

  • 問) お話の中にもありましたが、今回のお話の中の1つの問題点として、幹部への報告が遅れたということがございましたが、それについて今回の提言、調査結果について、何が原因だとか、これが問題であったとか、直接的な指摘はなかったということですか、この1、2、3の中で。

  • 長官) 報告が遅れました原因として、コンプライアンス対応室の調査結果で幾つか指摘がございます。また、監察官のヒアリングにおいても同様の指摘がされております。その要因として挙げられておりますのは、1つは特定金融情報室の人員構成というものが特殊性を持っている。即ち、出向者が室員の大半を占めているということで、金融庁の全庁的な体制、或いは業務といったようなものに不案内のものが多数を占めているということ。これが報告遅延の1つの要因であったという分析がございます。

    またもう1つ、これは金融庁全体の話でございますが、連絡・報告・捜索の体制が構築されていないと。そして何かトラブルが起った時に報告を行うかどうかが当事者の判断に委ねられているという状況にあるということが報告遅延した原因の1つだといったような指摘もなされております。

    こういった指摘を受けまして、再発防止策といたしまして、文書取扱規則の改正によって紛失事故等の問題が発生した、或いはその疑いがあるというような時の体制というものをまず整備をするということ、そしてこれを職員に周知するということを掲げさせていただいたところでございます。

  • 問) 確認ですが、処分の対象になった方、この4名で全てということですね。現場を特定できなかったということで。

  • 長官) はい。この件につきましての処分は、ここに掲げてあります4名だけでございます。

  • 問) 電子申請・届出システムですが、これに関して予算というか費用みたいなものはどれぐらい構築するとかかるのですか。

  • 総括審議官) 費用でございますが、粗々見積もりますと3,000万円ぐらいかなと思っております。

  • 問) 全部、来年度を含めて。

  • 総括審議官) 来年の費用はまた別として、取りあえず私共で色々試算いたしまして、それくらいあればできるのかなという感じがしております。ただ、これはあくまでも程度とさせていただきたいのは、それこそこれからでございますので、概ねの目安ということで御理解をいただきたいと思います。

  • 問) 処分の件ですけれども、(1)と(2)に分かれていまして、その間に(注)とありまして、要は総務課長と局長については金融庁行政文書管理規則によるものとあって、その他2人とは違うのでしょうか、これ根拠が。

  • 長官) 先程の御説明或いは不十分だったかもしれませんが、関係者の処分として、(1)(2)と2つ書いてございますが、1つは文書接受上の管理責任を問うということで処分したもの。

    もう1つが、フロッピーディスク紛失後の幹部への報告が2ヶ月遅れたということについての管理責任を問うものということで、(2)に上げておりますのはこの2番目の報告遅延に関するお話ということでございます。従いまして、この文書接受上の管理責任というものの根拠をこの(注)に書かせていただいたということでございます。

  • 問) 長官御自身に対する処分と言っては何ですけれども、何らかの措置と言うか、監督責任みたいなものというのは如何なのでしょうか。

  • 長官) 私自身の責任というのは痛感しておるところでございますが、今回の事案におきましては文書接受の上での体制についての管理責任といったことを問うということが第1点でございますので、その点において文書管理の最終責任者である総括文書管理者、即ち総務企画局長以下の関係者の処分ということにいたしました。

    私に何の責任もないというつもりは毛頭ございません。大変責任を感じておりますが、処分という点ではそのような整理にしております。

  • 問) これ報告が遅れたという表現になっていますけれども、先月の発表の時にもお伺いしたのですが、隠蔽ではないと、隠そうとしたという意図ではないというふうに認定されたということなのですけれども、何故そういうふうに認定できるのか、隠蔽の要素がないと認定できた理由というものは。

  • 長官) この報告の遅延についてでございますか。実際にこの文書についての探索というものを隠密裏に行っていたわけではなくて、関係する部局、私のところに報告が上がるまでの間ですね、特定金融情報室においては庁内に誤配されたのではないかというようなことで、他の部局へももちろん話をし、或いは郵便局へも照会をし、といったようなことで隠蔽しようとしてほっかむりをしていたという話ではなくて、何とか探し出そうという努力を庁内的にはオープンな形でしていたということがございます。

  • 問) 3点ほどお伺いしたいのですが、細かい話ですけれども、処分権者は大臣ですか長官ですかというのが1つです。

  • 長官) 長官でございます。

  • 問) 電子申請・届出システムですが、これはインターネットで届け出るという理解で良いのか。その場合、このシステムで逆に漏洩するリスクと言うのは克服されているのかどうかということ。もう1つが、金融機関側に金銭的な負担が発生するのかどうか、このシステム導入に伴う負担が発生するかどうかということを教えてください。

  • 総括審議官) 私の方からお答えさせていただきます。インターネットを利用してやるということはその通りでございます。ただしその場合に当然のことながらセキュリティというのは大変重要なことでございまして、色々と暗号化等の措置をこれは特別に強化していきたいと考えております。

    なお、そのセキュリティ確保の関係から、詳細についてはちょっとそれをお話しするということは御容赦いただきたいと思います。

    なお、私共といたしましては、そういった中で一旦受けましたものは、今度はその中で特定金融情報室の専門の閉じたサイトに移し替えまして、そういった意味で外との関係はそのような形で色々な工夫をいたしまして対応したいと思っております。

    またそれからそういったネットワークに入ったものにつきましては、書き出しについても色々なチェックできる等、その辺は工夫して万全を期していきたいと思っております。

    ただしこういったものにつきましては、色々な運用テスト等も必要でございますので、逐次ということでございます。

    なお、費用ということでございますが、これは大体電子証明書ということで、年間1万円程度のライセンス料がかかるということでございます。

  • 長官) 民間金融機関側の負担が発生します。ただし、その代わりこの仕組みで届出をなさりますと、今度はお持ちになるために何か費用がかかるとすれば、その費用はいらなくなります。或いは郵送なさるのであればその郵送の費用はもちろんいらなくなるということがございますので、認証取得で年間1万円程度のライセンス料というものとどのくらいのネットアウトになるかということはございますけれども、非常に大きな負担が掛かるというほどの話ではないかなと思ってはおります。もちろんこの負担は困ると言う金融機関の方については従来通りの方法でお届けいただくことも可能でございます。

  • 問) これまでに75,000件の情報が寄せられているということですが、単純に計算すると1日200~300ぐらいの案件が来ていたと思うのですけれども、最初の郵便を受ける段階で全て書留だったと聞いているのですが、1件1件照合していたのでしょうか。

  • 総括審議官) それぞれ1件1件来る場合もあればまとめて来るものもございます。ただ少なくともそういうものについては照合していたということでございます。

  • 問) それは郵便局員立会いの下で1件1件リストだけ見てハンコを押していたのではなくて。

  • 総括審議官) そこのところがこれまでの取扱いのところで一旦総務課の方で全体を受付けますけれども、この特定金融情報室につきましては非常に件数が多いということで、そのチェック自体は特定金融情報室の方で行っていたということでございます。

  • 問) 郵便局員の持ってきた段階では。

  • 総括審議官) そのチェックは総務課で行いますが、その1つ1つの照合につきましては更にそれを一旦特定金融情報室の方へまいりまして、特定金融情報室の方で行っていたということであります。

  • 問) フロッピーディスクまだ見つかってないということなのですけれども、確認なのですけれども、そこに入っていたとみられるような情報が外部に流出していたという、そういう事実というのは今のところないという認識でよろしいでしょうか。

  • 長官) はい。1ヶ月前にも外部に流出した形跡はないということを申しましたが、現時点でもそうした形跡は見られません。

    先程の収受の件数は御参考までに申し上げときますと、総務課接受文書は1日平均約250でございます。その内約60が特定金融情報室宛に来るということで、その大部分は疑わしい取引の届出でございます。そのようにまとまったもので同じ所にまいりますので、受付の方を形式的には総務課でしつつ、特定金融情報室の方で詳細の管理をしていたという形になっています。

  • 問) 話は変わるのですが、今日、紀陽銀行と和歌山銀行が統合に向けた協議を発表したのですが、それについてちょっとコメントをいただけますでしょうか。

  • 長官) 検討を始められたというお話ですので、今後の推移を見守りたいと思いますが、経営判断の話ですから当局からその固有の案件についてコメントをするというのは現時点で控えた方がよろしいかと思います。

    一般的には、金融機関がその経営の内容を充実させるということのために、合併といった方策を選ぶということは当然あり得る話でございますし、その合併が初期の効果を上げるということになれば、特に地域金融機関の場合には地域経済や地域の利用者の皆様にとっても大変良い影響が出る。またそのことが跳ね返って当該地域金融機関自身も更に安定或いは成長していくという良い循環が予想されます。申し上げたいことは、是非合併ということになるのであれば、双方金融機関の事業戦略においても或いは内部管理においても良いところ同士を是非活かして、そしてもう一つ劣っているなというようなところを是非相互の牽制効果でよい方へ、より強い方へ向けていただくような、そんな合併になるように十分なお話合いをしていただきたいと思います。

  • 問) 公的資金新法ですが、今後検討するというようなことを会見で言っておられるようですが、当局側として今回のケースについて公的資金新法の受け手の側としての見方と言うか、受け止め方はどうでしょうか。

  • 長官) 制度として用意したというのは、そういうニーズが潜在的にはあるという確信があってのことでございます。ただ実際に合併をなさる金融機関がこの制度の利用を申請なさるかどうかは合併当事者の御判断の問題でございますので、その判断をお待ちしたい。もし申請という事になれば、手続きに従ってその申請を受けいれるかどうかの審査をさせていただくということでございます。

(以上)

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