五味金融庁長官記者会見の概要

(平成16年12月27日(月)17時01分~17時25分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

リレーションシップバンキングのアクションプログラム、この進捗状況の関連でございます。「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」では、平成16年度までの集中改善期間のプログラムに盛り込まれた施策の進捗状況それから中小企業金融の再生等に向けた金融機関の取組み実績、こういったものについて金融庁において半期毎にとりまとめ、公表ということになっております。

これを踏まえまして、金融庁で15年4月から16年9月までの1年半の進捗状況について取りまとめをいたしましたので、この会見の後担当課からこの内容について発表をさせていただきます。

御覧になる前で恐縮ですけれど、私から多少の評価なりを申し上げておきますと、半年毎に発表してきましたがこの1年半分を見てみますと、進捗状況については、金融機関の地域密着型金融の機能強化に向けた取組みというのが、総じて、着実に進捗していると見ていいと思います。ただ、創業ですとか新事業支援或いは早期事業再生こういった分野をはじめとして、効果が顕在化するまでに一定の時間を要する取組みというのも少なくないわけでございまして、取組みを始めましたという意味では着実な進捗はありますけれども、こうしたものについては今後ともその取組みの継続というのが大切だというふうに考えています。

金融庁としましては、引き続いて各中小・地域金融機関が、機能強化計画に盛り込まれた取組みの着実な推進を図るということで、地域の中小企業への円滑な資金供給を行っていただく。そして同時に、経営の健全性の確保や収益性の向上を図っていただく。ということで結果的に、地域密着型金融の担い手として利用者から十分な評価と信認を得ていただきたい。そのように引続き最大限の努力を行っていただきたいと、こういうことを期待いたしております。

この件については以上でございます。後ほど資料と共に御説明を担当課からさせていただきます。

【質疑応答】

問)

金融庁の総点検プロジェクトというものが走っていたと思うのですが、これは年内の予定ということになっていましたが、その結果具体的な見直しにつながりそうなもの、或いはもう既につながったもの等がありましたらご紹介ください。

答)

一応の目安として年内に問題点を洗い出して整理を終えるという予定にしていました。直ちに対応可能なものというのは随時既に対応しているということでございます。

この対応が既に目に見える形になってきたものというのをご紹介しますと、例えば監督局に「コングロマリット室」「国際監督室」を新設したというところでございます。これはこの見直しプロジェクトの中で金融コングロマリット化、或いは国際化の進展によって業態横断的な監督、そして国際的な監督こういった連携の重要性の高まりがあるというような指摘を踏まえまして、検討した結果この新設というのを取り急ぎ行ったというところでございます。

また、同じく機構に関連しますが、国際関係業務の充実強化が必要だということも総点検プロジェクトの中で指摘が出ておりまして、そのための体制整備として平成17年度の機構・定員予算要求におきまして、国際担当審議官というものを要求しましてその設置が認められました。

また、この点に関連しましては、金融行政の国際化というのが大事だということはこのプロジェクトの中で指摘をされていたわけでございますので、今回の「金融改革プログラム」の中には、「骨太2004」には柱立てを特にされていなかった「国際的に開かれた金融システムの構築」或いは「金融行政の国際化」といったものを柱立ていたしましてこういった国際化の視点というものを盛り込むということをさせていただいております。

機構に関連しては、開示の問題もございまして、開示書類の審査体制の強化が必要ということでございますが、これについては有価証券報告書等の虚偽記載等にかかる検査報告徴求権限、これが関東財務局から証券取引等監視委員会に移管されるということになっておりますので、審査体制全体のあり方というのを現在検討しております。機構の面では、「課徴金調査・有価証券報告書等検査室」これが今回の機構要求で認められているという状況になっております。

また、仕事のやり方とか進め方といったような面では色々な点が出てきております。例えば、ペーパーレス化とか、電子化といったようなことをする必要がある。情報管理を強化すべし、或いは部門間の連携強化、こういったようなことが出てきております。

こういった点を一つ一つ検討を進めておりますが、例えばペーパーレス化に関しては検査局におきまして既に業務のペーパーレス化を進めるという観点から、具体的な削減目標を掲げた行動指針が策定されまして、これが実施に移されております。これは紙の使用量が減りますから、労働力の面だけでなく紙代も節約できるという実際のメリットがある話でございます。大体こんなところでございます。

問)

今日は今年最後の会見ということで、就任から半年経った感想と、今年1年の金融行政の見方についてお願いします。

答)

半年間非常に拙いかつ冗長な会見にお付き合いいただきましてありがとうございました。この一年間ということで振り返ってみると、私は二つのことが言えると思います。

一つは、金融システムの安定といったことに向けての官民それぞれの血の滲むような努力といったものがある程度実績を上げてきた。つまり金融システムの安定に向けた見通しというものが立ってきた一年間であったと思います。これはすなわち不良債権問題でございます。主要行の不良債権について、金融再生プログラムで掲げました目標に向かって不良債権比率は着実な低下を示している。この低下というのは自然に低下したわけではなくて、銀行と債務者の皆さんの本当に血の出るような努力によって達成をされてきたものだというふうに考えています。また地域金融機関についても、不良債権比率という相対的な指標で図るのが必ずしも適当かどうか分かりませんが、傾向を見てみるとリレーションシップバンキングへの取組みというものが本格化する中で、財務の健全性にその結果というものが表れてきているように思われます。主要行の不良債権比率というのも、確実に低下の傾向を辿っております。水準から言うと、丁度一年前の主要行の不良債権比率の水準をやや下回るくらいのところで同じようなトレンドを辿って低下をしているということであります。もちろん主要行において行われるようなオフバランス化という手法を使わずにリレーションシップバンキングの機能を強化するという中で、結果として不良債権比率の低下といったことが実現されていくということですので、今後も同じようなペースで低下するかどうかということについては、それは必ずしも今から予測の限りではありませんが、確実に地域金融機関の不良債権比率というもの或いは財務内容というものも好転するトレンドに入ってきたというふうに見られます。こうしたことでここ数年の金融行政の最大の課題であった不良債権問題、すなわち金融システムの安定という最低限絶対に確保しておかなければいけない条件というものを、確保する道筋がついてきた一年間であったというふうに考えています。

もう一つは、そうした中で不良債権問題は正常化した。そして誰もいなくなったということでは国民は困るわけでありまして、金融システムの安定が回復するというのは最低限必要なものであって、それで問題が解決するわけではないわけです。利用者にとっては、そうしたところがスタートラインになって今度はどうやって自分たちのニーズが十分に満たされる金融サービスというものが提供されてくるのか、それが便利に安心して利用できるのかといったところに利用者の最大の関心があるわけで、金融行政もそれを確保することができるようなフィールドを用意しなければならない。この一年というのは、そうした不良債権問題正常化後の望ましい金融システムのあり方に向けての動きが始まった一年でもあったというふうに思います。新しいプログラムを発表させていただきましたが、そこで目指すものに向かっての助走がこの一年間既に始まっていた。そういう一年であったというふうに思います。行政が関与した部分で申し上げれば、例えばチャネルの問題、販売チャネルの問題として銀行等による証券仲介業務の解禁というものがございました。また市場の効率という意味では、上場株式のペーパーレス化を図るための社債等振替法などの改正というのが行われております。また市場の公正という意味では、課徴金制度の導入というものが決定され、来年から実施をされていきます。こうした事がございました。また、利用者を保護するという考え方に立って、横断的機能的な法制の整備はこれからの課題ですが、とりあえず監督官庁のないような投資商品によって被害を受ける利用者の方が出ているということに対しては、対応しなければいけないということで、例えば外為証拠金取引に対して金融先物取引法の改正により、投資家保護のための措置が導入されているということがございます。また資産運用の多様化ということに資するために、信託業法の改正も行ったということで、様々な資産管理・資産運用ニーズ、或いは企業の資金調達ニーズといったものに新しいツールがこの面で用意されたといったようなこともございました。

以上非常に時間をいただいて宣伝をさせていただきましたけれども、もちろんよいことばかりであったわけではありませんが、総括すれば助走が始まっているぞということは、この一年間の非常に大きな収穫であったように私は思います。この流れというものを新プログラムに確実に受け継いで、より根本的な金融市場の仕組みというものの改革を成し遂げる。それによって利用者の満足度を高めるということが非常に重要だということを改めて認識をしたという次第でございます。もちろん今後の取組みというのは、政府が或いは金融庁が指導して行うといったようなものではなく、フィールドを我々は用意をし、審判の役はするので後は競争力のある金融機関が知恵を競って利用者の要望に応えてほしいという、こういう世界になるわけでございます。

問)

今度は年が明けると間もなくペイオフ解禁ということになります。現時点で見られて、金融機関の対応は十分に進んでいますでしょうか。その評価をお願いします。

答)

金融機関側の対応ということでまずお答えをします。ペイオフの解禁拡大と言いますか、全面解禁と言いますか、これは随分昔から議論をされて、しかし直ぐにはできないという、そういう結論になった大きな理由は二つあって、一つは、金融システム不安を醸成しやすいような環境にあるのではないかということ。もう一つは、金融機関のディスクロージャーは十分に行われているのかと、預金者に自己責任を求めるに足るだけのものが行われているのかと、この二点であったと思います。そのうち金融機関と言いますか、預金取扱い金融機関の経営の安定、或いはシステムとしての安定、この点については先程縷々申し上げた通り、ペイオフの解禁拡大に十分耐え得るだけの安定というのは回復しているというのが私の認識です。

もう一つ、ディスクロージャーに関しても、その仕組みというのは整備をされております。簡単に申し上げますれば、11年3月期からは全ての預金取扱い金融機関について、単体・連結ベースの財務のディスクロージャーというのは罰則付きで義務化をされましたし、翌12年3月期からは金融再生法の資産査定開示というものも、これも全ての預金取扱い金融機関に求められて実施をされているということがございます。また最近ではリレーションシップバンキングの機能強化アクションプログラムの中で、例えば株式非公開の銀行についての四半期開示といったようなこと、或いは協同組織金融機関に対する半期の開示といったようなことも求めましたけれども、これについてもほとんどの金融機関で実施をしているという状況にあります。そういうことで基本的な環境は整ってきたのだなというふうに私は思います。

あと金融機関側の準備として必要なのは、預金者のデータ、これを十分な精度でもって整理をしておくということでございます。万が一破綻ということが起こった場合の預金の払い戻し、これを速やかに行うためのデータ精度の向上ということが大切でございます。この点は検査・監督で確認をしておりますけれども、システム面についての預金保険機構による確認というのは14年3月までに全て終了をしている。ただそういった体制の下で個々のデータ、預金者データがどの程度正確に整備されているかということをチェックしてみますと、その精度が十分でないというものが見られます。監督側としては、この点について残された期間で十分な監督検査を行っていきたい。なお問題があるというところがあれば、是正策の報告を徴求するといったような形、或いはそれで任せておいたのでは心配だという状況がもし確認された場合には業務改善を命ずるといったようなことで、環境の整備をしていくということだろうと思います。

なお当局、金融機関両方それぞれやらなければいけないもう一つのこととして、広報・周知徹底であります。ペイオフの拡大解禁と言うのは何であるのか、或いは決済用の預金というのはどんなものであるのか、こういった点について、その他ペイオフということについての誤解・無知といったことから混乱が生ずることがないように十分な広報を行っていく必要がある。これは引続きやってまいりますが、ポスターや或いはマスメディアを使ってのPRなど当局側も行っておりますし、各金融機関にもその周知徹底をお願いしております。これを引続きつづける必要があると思います。総じて言えば、予定通り17年4月から解禁を拡大する環境は整っているというふうに考えています。

問)

金融改革プログラムなのですが、これから工程表を作るのだと思いますが、アドバイザリーチームの方には、また意見を聞いていくお考えはございますか。

答)

皆さんお忙しい方なものですから、チームとしてお集まりいただくかどうかは決めていません。ただ工程表を実際に作っていく過程では、チームでの御議論の中で出た御意見を、このプログラムの中には言葉として入っていないようなものであっても、つまりこういう構想のようなものに織り込むにはちょっと必ずしも馴染まないけれども、工程表を作成していく過程ではそれを考慮したうえで工程表におとしていく必要があるといった御意見も出ているのは事実ですので、何らかの形でこのチームの皆様には御意見を伺う機会は必要になると思います。それが皆さん集まっていただいてということになるのかどうか、或いは集まるとして何回集まるのか、こういったことはまだ、決まっておりません。

問)

ペイオフの条件の二つ目の「ディスクロージャー」のところなのですけれども、確かに一昔前と比べると相当ディスクロージャーが進んでいると思うのですが、現場を今取材して一般の方々の話を聞いていると、今の金融機関が出しているディスクロージャーというのは、はっきり言って色んな情報は相当入っていると思うけれども、中々それを理解出来ない。所詮やっぱり自己資本比率の数字とかですね、不良債権比率の数字とか、やっぱりそういうところを見るしかないという、だからそういう点でまだまだ工夫の余地があるのではないかという声と、あと業態によって四半期開示というところもあれば、年に一回しかやらないところもあれば、色々と不安があると思うのですね。その辺について、今後のディスクロージャーのあり方という面で一言お願いします。

答)

金融機関のディスクロージャーということについて絞って申し上げますと、一つ区別して考えなければいけないのは、法律によって義務付けられるディスクロージャー、或いは法律によって義務付けなければならないほどのディスクロージャーと法律の義務付けを超えてそれぞれの金融機関が顧客を獲得するためにわかりやすく自分のことを説明するディスクロージャーと二通りあると思うのです。法律によって義務付けると適正に行わない場合は罰則もかかるといったこうした強い規律付けのディスクロージャーの内容というのは、おのずと限界があると思います。むしろそれは、そういったディスクロージャーを更に解説することの出来るマスコミの皆さんもいらっしゃいますし、或いは国民の皆さんもいらっしゃるでしょう。そういった人達はそれなりのやり方で分析をし、また場合によれば、利用者の皆さんにもそれを紹介していただくことが出来ると思います。法律による義務付けには限界があるということ。ただ、各金融機関の皆さんに、これは繰り返し申し上げておりますし期待したいのが、自分の金融機関は、本当に皆さんの預金を預かるについて安心出来る金融機関なのかどうかというのを顧客に向かってわかりやすく説明をするということは、これは大切なことでありまして、法律の義務付けのディスクロージャーをしているからそれで事足れりと経営者の側が考えておられるとしたら、それは問題だと思います。行政の側としては、それを義務付けという形で要求するわけにはいきませんが、それはとても大切なことだということは、折に触れて申し上げているということです。また開示の内容、例えば時期ですね、こういったものについても基本的には同じでございまして、法律上義務付けるものというものは限界があると思います。ただそうは言っても、なるべくわかりやすい開示というのは制度としても工夫する必要があるわけですので、例えば四半期開示ですとかそういったものを行う場合に、それに監査というのがどう関わっていけるのかとか、こういったような開示の内容について統一的な評価の基準といったものは、こちらでも知恵を出して、企業会計審議会などとも相談をして、出来るだけわかりやすい開示になるようにということは工夫をしていきたいと思っています。

(以上)

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