五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年11月14日(月) 17時02分~17時12分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

先週末の話ではあるのですが、2007年10月の郵政民営化で誕生する持株会社の初代社長として、前三井住友銀行頭取の西川さんが決まったわけですが、このことについて長官はどういう御認識でしょうか。

答)

郵政民営化で発足する持株会社と言いますのは、金融庁との直接の関係で言いますと、銀行持株会社でありかつ保険持株会社であると、こういうことになるわけです。民営化でできます郵便貯金銀行と郵便保険会社の経営管理を担う持株会社であると。こういう会社のトップとして西川氏が内定したということでございます。西川さんは、これまで企業経営者として大きな組織を運営してきておられますので、今後はその経験、或いは知見というものを発揮していただいて、郵政民営化の円滑な実施に取り組んでいただくよう期待したいと、こう考えております。

問)

最近、スパイウエアであるとか偽装CD-ROM等を使った詐欺事件が横行したり、先週末十六銀行でスキミングの機械をATMに取付けるというようなこともあったのですが、最近相次ぐこういう事例に対して、金融庁として今後どういう対応をされるのかをお願いします。

答)

スパイウエアに関しては、お話のように7月にeメールにスパイウエアを組み込んで現金を不正に詐取するという事件が判明いたしました。その時に、金融庁からはその対策について、全国銀行協会等に対して適切な対応をしていただくように要請をしてきております。これを受けまして、各金融機関におかれて対策を検討・実施しておられますほか、銀行協会においても対策を検討しておられると承知しております。

そして更に11月になりまして、お話のありましたCD-ROMですが、このCD-ROMにスパイウエアを組み込んで金融機関の名を騙って送り付けるというような手法によるスパイウエア事件というのが発生しているということが判明したということでございます。これを受けまして、金融関係団体に対しましては速やかに犯罪手口について傘下金融機関間で情報共有を図るということと、金融関係団体、そして各金融機関から利用者への注意喚起を行うように要請をしたところでございます。

このスパイウエアに関するお話と言いますのは、金融機関利用者、ネットバンキングが中心でしょうけれども、金融機関利用者の方の端末にこうしたソフトが侵入して情報を盗るということですので、防止策としてはまず利用者サイドでの防止策、これは大事だと思います。不審なeメールですとか、或いは無料で送り付けられてくるようなソフト、CD-ROM、こういったようなものについては十分警戒をして取扱いをしていただくと、こういうことが非常に大事だと思います。

同時に被害の未然防止、或いは拡大防止のために御自分の口座の資金移動というのをこまめにチェックしていただくと、これも大事なことだろうと思います。こういう利用者側における対応というのは大変大事な要素になると思います。

同時に金融機関の側における対応も、これも非常に大切でありまして、まず利用者の皆様への注意喚起、最近こういうことが起こっているということの注意喚起を顧客の皆様に十分にしていただく必要があります。同時にシステムセキュリティレベルというのも、こうした新しい事態を踏まえて検証していただいて、必要に応じて改善を図っていただく必要があります。暗証番号等がこうした手法でも読み取りにくいというような設定の仕方というのは技術的にはあるはずでございますし、そうした改善を図っていただく、更には他の金融機関との連携というのをこの事態を受けて十分緊密にしていただいて、被害の拡大、或いは被害の発生を防止するために迅速な対応が金融機関間でとれるようにということです。これも非常に重要だと思います。

当局側もこうした観点に立ちまして、今月11日ですが金融庁ホームページに利用者への注意喚起等を含む注意というものを掲載させていただいております。この話は高度な技術を使ったものでありますし、やはり利用者、金融機関、勿論金融機関の団体、当局、更には捜査当局、こういったところが連携を密にしてこの犯罪に対処するという姿勢で引続き臨んでいかないといけないと、こういうことであろうと考えています。

それからスキミングの話ですが、こちらはちょっと様相の違う話でございますので、これについては金融機関側のATM端末の話でございますので、既に一斉点検等もお願いを当局からしておりますし、各金融機関において十分にその被害の防止のための対応というものをとっていただく必要があると考えます。それから全国銀行協会等を中心として情報共有というものを、これを早期に図っていただいて、業界全体としての適切な対応というものをとっていただく必要があると考えています。

問)

先週末の時点で、外国為替証拠金取引業者への業務停止が、大体30社くらいになったと思うのですが、これだけ多数の業務停止が続いていることに対する御所見と今後の見通しについてお尋ねします。

答)

この7月から、金融庁で金融先物取引法に基づく監督ができるようになりましたので、全力を挙げて、投資家の皆様の保護のために様々な調査をしております。特に、いただいた相談や苦情なども貴重な情報源として、迅速な対応に心掛けているところでございます。登録の猶予期間中でございますので、実際に登録されたものを基に調査をかけていく手法が、現時点ではまだ取れないという限界がございますけれども、特に投資家保護上、重大な問題があるような財産的な基礎に問題が発生しているものについては、とりわけ迅速な対応をするようにしております。既に30件を超える業務停止命令が発出されている事態というのは、大変残念であると考えています。

今後の見通しというのは、これについては見通しを述べられるほど材料がないのですが、とにかく投資家の皆様に不測の損害が拡大しないように、できるだけ情報を得たら迅速に動いて、そして改善すべきものがあれば、改善の命令や指導を行いますし、財産的に立ち行かないということであるならば、業務の停止を命ずるということを一つ一つ丹念に、しかし迅速に行っていきたいと考えています。今後も勿論、色々な情報に基づきまして、不招請勧誘の禁止などの行為規制での部分の違反行為がないかどうかについても力を入れていきたいと思いますけれども、まずは当局の監督下にあることを踏まえますと、財産的基礎が損なわれているような所へは優先的に調査の手を入れていくことになろうと思います。

(以上)

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