五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年11月28日(月)17時02分~17時18分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

先週末、保険金の不払いに関連して、金融庁が損保26社に業務改善命令を出したわけですけれども、この点についての長官の考え方をまずお伺いしたいのと、この問題、例えば生命保険については、明治安田生命以外の不払いが出たところについては特に処分がなかったわけですけれども、それに対して損保は26社一斉に処分を出した、この点の理由についてお伺いします。

答)

まず業務改善命令についての私の考えとのことですが、いつも申しておりますが、適時適切な保険金の支払いは、保険会社の基本的で、且つ最も重要な機能であります。そうした中で、多くの損害保険会社において、経営管理態勢や内部管理態勢の欠陥という構造的な問題が原因となって、支払い漏れが多数判明したとのことですので、これは極めて遺憾なことであると考えています。支払い漏れが判明した会社におかれては、今回の業務改善命令を踏まえて、損害保険事業に対する信頼を回復すべく徹底した原因究明、そしてこれに基づく実効性のある業務改善策を適切に講じていただくように期待したいと考えております。

そして、生命保険会社との比較についての話でございますが、先般の生命保険会社に対します保険金等不払いに係る一斉点検。これにおきましては、明治安田生命以外の38社から報告されました不適切な不払い、この件数は相対的には少ないものでありました。また、その発生原因を見ますと、管理態勢上の構造的な問題というよりも、個々の事案の処理における事実関係の調査確認や事務的なチェックが不十分であることが原因であったと、これが中心でございました。これに対しまして、今回の損害保険会社において判明しました支払い漏れ。この件数は18万件という極めて多数に上っている事実が、実は一つあります。そして、その支払い漏れの発生原因については、明治安田生命以外の生保会社の場合と異なりまして、個別事案の処理で何かミスがあったことに止まるものではございませんで、経営管理態勢や内部管理態勢の欠陥という構造的な欠陥に起因するものだと認識されます。

もう少し詳しく申しますと、例えば商品開発管理態勢。この点について見れば、保険商品の開発に際して、支払い部門との連携が十分に行われていなかった。支払い部門が対応しきれるかどうかわからない商品を開発してしまった。或いは、事務処理やシステム管理の態勢で申しますと、各契約者との契約内容を事務的に、或いはシステム的に十分にチェック確認する仕組みができていない状況で保険商品を販売していたということ。更に、一番根本のところである経営管理態勢で見ますと、適切な保険金支払いのための十分な態勢整備を経営陣が怠っていたと、こういったことが見られ、こういった問題点が、各社に共通して見られたということがございます。これは、生命保険会社の場合とは随分と違う状況でございまして、これらの相違を勘案した上で、今回、26社の損害保険会社に対し、一斉に業務改善命令を発出したと、こういうことでございます。

問)

これも先週末の話ですけれども、金融庁が旧商工ファンドに業務停止命令を出したわけですが、この会社は5年前にも、同様の問題を引き起こしているのですが、なかなか5年経っても結局改善されていないのではないかという声もあるわけですけれども、会社のコンプライアンスの抜本的な改善について、それから経営責任について、長官としてどのようなお考えをお持ちかお願いします。

答)

今回の行政処分では、貸金業規制法20条違反で、契約内容とは異なる公正証書が作成された事例が広範な営業店、これは本社を含めて114の店舗があるうちの42の店舗で認められたことなど、当局としてもこの会社の内部管理態勢に問題があるという認識に立ちまして、厳正に処分を行ったものです。この違反内容については、平成12年の業務停止処分の対象行為とは同一ではないわけではありますけれども、コンプライアンス上重大な問題であることにおいて、全く差のある話ではないと考えます。今回いずれにせよ、こういう処分を受けたということでありますから、同社におかれて、この処分を受けて、コンプライアンスの改善の取組みにこれを結びつけていくことを期待したいと思います。当局としては、今後必要に応じまして、同社の業務改善策などについて報告徴求を行うことなどを通じて、適切な監督、そして利用者の保護を図っていきたいと考えております。一般の銀行法などのような業務改善命令とその定期的なフォローアップという仕組みが、この貸金業規制法にはございませんので、この業務停止という処分を受けたことを重く受け止めていただいて、我々もそういう処分を出したことを重く受け止めて、今後監督していきたいと考えています。

問)

銀行の中間決算がまとまりましたけれども、その感想と言いますか、受け止め方と、あとUFJの不良債権処理コストが3千億円以上、戻し益があるのですけれども、去年のことを考えると大規模な過剰引当だったのではないかと思われるのですが、その点について如何でしょうか。

答)

大手銀行の中間決算全般についてのお話ですが、収益面で申しますと、当期利益が大幅増益となって、主要行すべてが黒字計上したという状況です。これは平成8年9月期以来、9年ぶりのことであります。ただこの内容を見てみますと、実質業務純益については2兆円という数字が計上されておりまして、前年同期の1.8兆円とほぼ同じレベルであります。他方で不良債権処分損が益に転じたと、今ちょっと特定の銀行で話題になりましたが、不良債権処分損が益に転じたという特殊要因、これが大きく寄与してこうした収益面の結果になったということです。

それから財務の健全性の面では、自己資本比率ということになりますが、主要行の合計が11.6%ですので、直近の17年3月期と同水準を維持しているという状況にあります。ただ、その内容を見ますと、これは自己資本比率を計算する上での分子と分母、それぞれが増加した中での同水準の維持であったということであります。一つは当期純利益の増加等を背景としてTier1、中核的自己資本、これが増加したということで分子が増えている。更にもう一つ最近の株式市況の回復にともないまして、その他有価証券の評価益が拡大したと、これでTier2の方が拡大しているということで、Tier1、Tier2とも分子の拡大要因であると、一方で分母についてみますと、総与信、或いは有価証券等の運用資産、これが増加しているということで分母となるリスクアセットも増加していると、言わば業務の拡大基調の中での自己資本比率の横這いという結果であったと見ています。

また今のお話は自己資本の量に関連するお話ですが、質に関連してみてみますと、Tier1、中核的自己資本に対する繰延税金資産の割合というものが引続き減少傾向を維持しております。こうしたこと等から自己資本は量だけではなくて質的にも充実してきていると考えています。

なお不良債権比率について見てみますと、17年3月期が2.9%でしたが、今回は2.4%ということで、0.5%ポイント低下いたしました。これは原因としては各債務者の再建計画の履行が順調だったということによって、債務者区分の上位遷移が見られたということが主な要因であったと考えられまして、各行の資産の健全化というものが着実に計られているということが伺えます。この点、評価したいと考えております。

それから引当金の戻り益に関連したお話でございますけれども、これは特定の銀行に限らず戻り益が計上された銀行は他にもあるわけですが、引当はそれぞれの時点での経済情勢等を踏まえて、各銀行において適切な経営判断に基づいて行われていると私は考えておりますし、この点については勿論、検査・監督等でも検証しているところでございます。ポイントは不良債権処理ということについての努力というもの、或いはその技術というものが向上して、適切な債務者区分の上位遷移が行われているということの効果としてこういったことも起こったということであろうと思います。引当自体は理屈無く過剰な引当が行われたと私共は見ておりません。

問)

三井住友銀行の問題ですが、公正取引委員会が融資の問題で調査しているということで、公正取引委員会と銀行は一応そういう調査があるということを認めているのですけれども、この問題をどう見ているのですか。あとこれは金融庁として公正取引委員会と何か連携をとられているのですか。

答)

三井住友銀行が公正取引委員会の審査を受けているということは承知しておりますけれども、この件は、これは以前も申し上げましたが公正取引委員会の所管事項の独占禁止法違反ということに関連するお話であるということ、それからもう一つ調査が終了したとはまだ聞いていないということがございます。従って、この点について現時点で金融庁としてコメントをするというのは控えざるを得ないと思います。

今、連携というお話がございましたが、これは申しましたように公正取引委員会の所管事項ということでございますから、そちらでの調査の進展というものを見守ることになります。これは一般論でございますが、公正取引委員会が審査中の事案で金融機関が関わっているというような場合には、その推移というものを当庁としては注目して、公正取引委員会による審査結果が出た段階で改めて当局としての対応を検討すると、こういう形になります。かたや独占禁止法、かたや銀行法という内容も所管も異なる法律の問題でありますので、それぞれにそれぞれの立場から対応を検討するということになります。

問)

私が聞いた話では年内に排除勧告が出る可能性が高いと仰っていたのですが、それについて他の金融機関がこういう調査、審査を受けているという話を聞いていますか。

答)

公正取引委員会と三井住友銀行の話は承知しておりますが、それ以外の件については基本的には申し上げる立場にないということですが、それですと誤解を呼ぶといけませんので敢えて申し上げますが、特に他の銀行が調査を受けているという話は現時点では私は承知していません。

(以上)

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