浜中金融庁次長記者会見の概要

(平成12年8月3日(木)17時00分~17時28分)

【質疑応答】

問)

今日、異業種による銀行業参入についてのガイドラインが正式に決まりましたけれども、これについての評価と、どういうふうに対応して行きたいのかというところをお聞きしたいのですが。

それから、それに鑑みまして明日から始まる金融審議会の方で銀行法の改正ということを諮問されると思いますけれども、このことについての取り組みの方針についてのお考えをお聞かせ下さい。

また、現在異業種の申請…、具体的に今ジャパンネット銀行などが予備審査申請を行っていると思うのですけれども、その他を含めて現段階での進捗状況を教えて欲しいのですが。

答)

今最初にご質問頂いた異業種の銀行業参入の指針でございますが、金融再生委員会の方でご決定頂きまして、皆様方にも、もうご承知の通りでございます。振り返って見ますと、本年の1月、越智元大臣のご指示によりまして、再生委員会の事務局と当時は金融監督庁でございましたが、私どもとの合同のプロジェクト・チームを作るということを致しまして、このプロジェクト・チームには海外調査もして頂いたことは皆様ご案内だと思います。鋭意検討を進めまして5月30日に指針の案を公表させて頂き、そして、6月30日までの1か月間パブリック・コメントを頂くということを致しまして、その後、この頂きましたパブリック・コメントを精査させて頂きまして、今般この指針が取りまとめられるに至ったということでございます。今お話申し上げましたような半年以上にわたる努力を重ねてきたということから申し上げますと大変感慨深いというふうにあえて言わさせて頂ければと思う次第でございます。指針をお読み頂いて、事業親会社からのリスク遮断、あるいは新たな形態での銀行業の、つまり異業種の参入に伴う新たなリスク等々の問題、こういうものにつきまして現行法令の範囲内で、できる限り対処するという考え方の下で取りまとめさせて頂いた次第でございますので、その点をお汲み取り頂ければありがたいと、こういうふうに考えている次第でございます。

ちょうど明日でございますが、ご質問の中にもございましたが、金融審議会が始まるということでございます。具体的に金融審議会として、どういう項目をお取り上げ頂くかということは、正に明日の総会においてお決め頂くことでございますから、私どもの方から前広に余談をもって、どうこうということを申し上げるわけではございませんが、一方ご質問にもございましたし、また私どもの出しました運用上の指針の中にも表れているかと思いますが、異業種参入に伴う銀行法等の整備、あるいは規制緩和、こういう問題につきまして、ご議論は頂きたいというふうに思っている次第でございます。いずれに致しましても、金融審議会は明日総会が開かれるわけでございますので、そこでどんなふうに議題としてお取り上げ頂くのか、そしてどんなふうなスケジュールでやっていくかというのは明日以降だということでご理解頂きたいと思います。

それで3つ目の質問に、既に手を上げているところがあるのではないかというご趣旨の質問でございました。ご質問頂いた時にこういうふうにお答え申し上げるのは大変心苦しいのですが、個別の免許申請、個別事案ということになりますので、一般的に申し上げればコメントを控えさせて頂くということでございますが、報道されておりますような何社から打診と申しましょうか、相談と申しましょうか、あるいは今日お決め頂いたところでございますけれども、この指針がどんなタイミングで最終的に確定するんだろうかとそんなふうにお問い合わせを頂いたようなところが数社あるといういうことはその通りでございます。私どもと致しましては、法令、あるいは本日お決め頂きましたところの運用上の指針を踏まえ、適切に対処して行きたいとこんなふうに考えている次第でございます。

問)

5月に経営破綻した第一火災なんですが、こちらの受け皿として新生銀行の名前が非常に有力だということで挙がっています。一部報道では今月中にも決定というふうに出ていますけれども、実際この買収の件について、もしこれから実現すれば銀行による初の保険会社買収のケースになるかと思うのですが、それについてお願いします。

答)

いろいろ報道があるということは私も読まさせて頂いたところでございますが、まず二つ、三つに分かれて申し上げますと、第一はこの第一火災でございますが、皆様ご案内の通り保険管理人により保険契約の移転先の会社の選定など、移転計画の策定に向けた作業を進めて頂いていると、そういう段階でござますので、言わばこの計画がまとまる段階になれば、私どもにもまたそういう意味でのお話があろうかと思いますが、今この時点では移転計画の策定に向けた作業が進められていると、鋭意進められていると、こういう状況でございます。私どもと致しましては早期に移転が行われるという方向で保険管理人におかれて、大変ご努力頂いているところでございますが、是非にも早期に策定できるようにというふうに期待をいたしているところでございます。従いまして、この時点において、どこが譲渡先、移転先になるかというようなことにつきましては、まだ申し上げることもできませんし、そういう情報も我々にまだ無いという、こういう状況でございます。ご質問の中には、仮にそういう銀行が保険会社につきまして譲り受け等があれば、初めてのケースではないかということなんですが、これは大変恐縮ではございますが、今ご説明申し上げたことからお分かり頂けるかと思いますが、幾つかの過程、「if」がたくさん重なっての上でございますので、この時点ではお答えを差し控えさせて頂きたいと、こういうふうに思っている次第ですが、皆さんもご承知のことかと思いますが、今仰られた銀行さんの方は自らがこれを行うということではなく、なんか親会社さんであるようなことを説明されているように私は聴いておりますが、詳細はよく承知しておりませんし、そういうことも含めてまだまだこれからどうなっていくかという、こういう段階でありますので、これ以上お答え申し上げられないということをご理解賜りたいと思います。

問)

仮に、もし、まだ「if」の話なんですが、銀行…、新生銀行だとしても、それについて何か検討なり、そういったものはないんでしょうか。

答)

まだ、具体的には私の方が検討するとかですね、そういう段階でもございませんのでコメントは差し控えさせて頂きたいというのが正直なところでございます。

問)

「そごう」の問題についてなんですけれども、以前国会の方でも興銀の西村頭取が、実際「そごう」が94年から債務超過であるということを知っていたという発言がありました。これを当局の方はそのことについての認識・把握をしていたのかどうかということについて教えてください。

答)

今の問題を大変短いお言葉でご質問頂きましたが、私どもがお答え申し上げるには幾つかに分けてお答え申し上げざるを得ないのですが、確かにご質問の中にございましたように、興銀の西村頭取が7月17日の衆議院の大蔵委員会で、グループ全体として、平成6年頃債務超過と認識したという趣旨のご発言と、一方で株式会社「そごう」、何か「そごう」さんの場合にはグループでたくさん会社がおありのようでございますけれども、この株式会社「そごう」単体では債務超過の状況にはなかったと、こんなふうにお答えになっているということを私どもも承知していると申しましょうか、聴かせて頂いたというところでございます。

さて、そこである銀行がその銀行の債務者の状況について、どうこうということでございますが、前々から申し上げておりますように個別の金融機関の検査、しかもまたその個々の債務者にかかる部分についてのご質問でございますから、取引先にいろんな意味でご迷惑をおかけする、不測の損害を与え得ることがあると、恐れがあると、こんなふうなことからそういう意味での個別の銀行の個別の債務者の状況についてはお答えはしていないと、これがまず第1点で、お叱りを受けるかもしれませんが、そういうこととしてまず申し上げておきます。

それから、その次にご質問頂いた趣旨になるべく沿うべく答えさせて頂こうとこういうふうに考えますと、皆さんご案内のように連結会計、連結財務諸表というのは平成11年4月から始まる決算期から適用すると、こういうふうな内容でございますので、こういうふうに進んできたということは皆さんご承知の通りでございますので、グループの会社がたくさんある場合にグループの会社に一体どんな状況であるかというのは当然に重要な関心事項でございますから、いろんな形で把握する努力はされるとしても、連結会計で期待されているような形で把握するというのは、言わばルールがつい最近決まったということでございますので、そういう意味では、非常に厳密な意味でお答えするのが難しいと、こういうふうな関係に相なるわけでございます。ちなみに平成12年4月に「そごう」さんが自らこの連結会計をされて、発表された、何か決算期が2月のようでございますので、平成12年2月期決算は連結で債務超過だったという、まあこういう事実はその通りあるわけでございます。従いまして、今、有体に一つ一つお答え申し上げましたようなことが把握されているということでご理解頂きたいと思います。

問)

金融再生委員長に相沢前自民党金問調会長が就任されましたけれども、次長も以前は金問調を含め相沢大臣とはご接触があったかと思うんですけれども、実際相沢さんが金融再生委員長に就任されての期待、あるいは感想、何でも結構ですからお願いします。

答)

上司について感想を述べるなんていうのは大変僣越でございまして、何とお答え申していいやら、いかにも私がテストを受けているようでございますのですが、相沢委員長というふうに仰れば、とりわけ金融監督庁が発足した2年前、ちょうど皆さんがご承知の金融国会が開かれまして、そこで衆議院の金融安定化特別委員会という特別委員会が設けられて、そこの委員長をお務めになったということでございますので、金融再生法、あるいは早期健全化法をはじめとする最近の立法等につきましては、通暁しておられる方でいらっしゃるわけでございますし、またご質問の中にもございましたように、自民党において金融問題調査会の会長を最近はお務めになっておられたということでございますので、私どもと致しましてはそういう経験、知識をお持ちの金融行政に深い、言わば造詣をお持ちの方に大臣にご就任頂きましたので、よろしくご指導頂けるものというふうに思っている次第でございます。

問)

やっぱり立場が党側から政府側に変わると、考えは変わるというふうに思っておられるんでしょうか。

答)

私どもは私どもなりに役所の中ということで一生懸命議論をして、大臣、あるいは委員会にお諮りをして、物事を進めて行くという立場でございますので、それ以上申し上げることはできない、そういうことでご理解頂きたいと思います。

問)

正直言ってやりにくいですか、そういうことはないですか。

答)

大変造詣が深い方でいらっしゃいますので、私どもはいろいろな大臣にお仕えするという過去の経験もあったわけでございますが、それぞれいろいろな角度から検討を行っていくのは当然だと思いますので、そういう意味で相沢委員長にもまた、いろいろ教えて頂けるものというふうに思っております。

問)

相沢大臣が造詣が深いだけに逆にやりづらいんじゃないんですか。

答)

やはり、金融問題というのはいろいろな様相と申しましょうか、側面があるわけでございまして、言わば大企業と大銀行の間のそういう言わば大変大きな、簡単にあえて申し上げますと、大きな取引から私も含めいわゆる消費者と言いましょうか、そういう方が小さな金額になろうかと思いますが、金融機関を利用するとういう形で利用していくことに大変広がりがあるわけでございますので、むしろ私ども常々民間の金融機関の皆様方との会合を、あるいは私どもがお邪魔して、あるいは当庁に幹部の方に来て頂くという、そんな形でコミュニケーションを図る、金融界以外の皆様方からもいろんなお話を聞くと、特に金融界以外の皆様からお話を聞くというのは大変重要というふうに考えておりますので、そういう意味では大臣はこれまで国政の場にあって大変長い経験をお持ちで、金融に対するお考えもお持ちでいらっしゃいますので、そういう面は教えて頂きたいと、こういうふうに思っております。

問)

この間、会計士協会の方で発表された監査と金融検査の連携の話なんですが、具体的な運用の仕方をちょっとご説明頂けますでしょうか。

答)

前々より監査につきまして、言わばその重要性ということに鑑みて、私どもの方から期待している面もあれば、公認会計士の皆さんにおいて、監査のあり方について内部的によく議論をして、公認会計士としてこういう監査をやっていきますと言うことを、言わば公認会計士さんの方から外に向かって説明していきたいというようなお話もございましたので、そういう意味で今回取りまとめをするご努力頂いたということにつきましては、評価をさせて頂きたいと思いますし、そして更にご質問の中にございましたように我々の検査との間に言わば効果的に実態を把握していくと言ったらよろしいのでしょうか、そういう意味で大変公認会計士の皆さん方の熱意も伝わってきて参りますので、私どもが検査でお邪魔するような際の、やはりいろいろ難しい問題に立ち向かった場合に銀行の方にもお聞きする、あるいは監査役の方にもお聞きする、状況によりましては、公認会計士の方の意見はどういうことかということをお聞きすると、これは当然今までもやってきているところでございますが、そういう中にあって監査される公認会計士の皆様方がその考え方を育んで頂いて、そういう練られたお考えに立って監査をしてくださるということであれば、大変ありがたいことでございます。具体的にどういうふうにやって行くかということは、正に検査等が全国の金融機関に私どもがお邪魔をしてやっていくということになりますので、おそらく具体、具体でもって考えていくようなことになっていくんじゃないかと思っております。私どもの方から何か前広に公認会計士の皆さんのお考えに対して、どうこうということをこの時点で、言わばまとめて申し上げるとか、そういうことはとりあえずは予定しておりません。

問)

どの時期からマニュアルを踏まえてそういう連携を強化していくのではなくて、検査が今後進んで行く中でそれは順次協力関係を強めて行くという話なんでしょうか。

答)

おそらく協同組織金融機関につきましても、これから監査法人、公認会計士の方に入って頂くところが進んでいくという形になっていくと思いますので、事前にア・プリオリにどうこうというよりは、そういうような形で、進行形という公認会計士さんのお力を全ての金融機関、今回の場合は全てでなくて一定の足切りはございますが、そこに順次入ってきて頂くというこういう段階でございますので、あまり私たちの方から前広に画一的にどうこうということを申し上げるべきでなく、具体で対応していくということになるかと思います。しかし、先程も申し上げましたこの時点でまとめて頂いたという意味に、私は先程申し述べませんでしたが、公認会計士の皆さんが、協同組織金融機関の監査にも入るというタイミングを考えますと、公認会計士の皆さんが、そういうことを今取りまとめられたということは、時宜にも叶っているし大変結構なことというふうに考えている次第です。

問)

異業種参入についてですが、色々な新しい銀行が入って来ると地域の中小の金融機関の経営への影響が大きいということで、協同組織金融機関や地銀、第二地銀なんかから慎重に対応して欲しという要望があると思いますけれども、今回の指針には、それについて配慮するといった項目が盛り込まれていないのですが、その点についてはやはりそういうことに配慮して操作したり監督したりするということですか。

答)

大変難しいご質問を頂いたのですが、ご質問の趣旨が需給調整を行うべきだという趣旨ですと、銀行のこれからの考え方と致しましては、政府全体で決めたところでございますけれども、需給調整等の条項はいずれ削除するというか、省くというか、そういう方向にあるわけでございますので、需給調整のようなことを考えているかという趣旨のご質問であればそういうことは考えていないというのがご答弁ということになるわけです。一方で、今まであったようなサービスでなくて、新しいサービスだから、色々なことを考えなければいけないのではないかと、こういう趣旨であるなら、正にそういうことを考えて今回の指針を作らせて頂いたと、こういうことになるわけですね。それに更に三つ目に申し上げると、規制緩和の流れの中にあって、こういう新しい異業種からの参入もあると、それは言わば日本全体で、規制緩和計画を進めていくということでございますので、そういう意味では規制緩和は何も、大混乱を起こすように規制緩和をしろと言っている趣旨ではないのです。私ども大混乱が起こると思っておりませんけれども、ご質問の趣旨が大混乱が起きるんだよという趣旨であれば、それは大混乱が起きないように規制緩和計画を、言わば着実に実行していくと、こういうふうになるわけです。取り違えてなければ、ご質問頂いたことに対して、こんなふうにお答え申し上げるというふうになりますが、よろしいでしょうか。

問)

業界が要望していたのは、需給の調整をして欲しいという最初の件だと思うのですけれども、それは政府の方向性としても違うということですか。

答)

需給調整は考えておりません。実際は新しいサービスですから、その需給…、何が需要で何が供給かその辺は難しいと思いますから、もうちょっと別の場で、もう少し議論しなければならないと思いますが、仰っているようなそういう新しいサービスも含めた需給だろうということであれば、需給調整は考えておりません。

(以上)

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