浜中金融庁次長記者会見の概要

(平成12年10月12日(木)17時08分~17時36分)

【質疑応答】

問)

次長の方から何かありますか。

答)

特にございません。

問)

千代田生命についてですが、千代田生命の基金に出資している金融機関があると思いますが、劣後ローンとか劣後債とかですね、今後カットになる可能性もあるわけですけれども、そういった金融機関への影響についてどう思われますか。

答)

9日(月)の日に千代田生命保険会社が東京地裁に会社更生手続きの開始の申し立てを行ったところでございまして、ただ今ご質問頂きましたように千代田生命保険会社に劣後ローン等を含めた債権をお持ちの金融機関があるのはご質問頂いた通りでございます。そこでこれらを含めましたこの債権の取扱いは、皆様にご説明申し上げたかと思いますが、今後裁判所の監督の下で作成される更生計画により、その取扱いが決められると、こういうふうなことになっておりますので、今後この更生計画が作成されていくと、こういうことでございますので、その影響というのを一般論と申しましょうか、申し上げるのが、なかなか個々の金融機関にどういう影響があるかというご趣旨の質問だったと思いますので、申し上げることがなかなか難しいわけでございますが、この更生計画を作成していく中にそれぞれの個別の金融機関におかれて、どういう対応を採るのが適切であるかということが決められてくる、そういう対応がされていくと、こういうことに相成るというふうに理解致しております。幾つかの金融機関におかれては既にタイムリー・ディスクロージャーということで、あるいは影響がないとか、それなりの対応をお示し頂いている金融機関もございますので、それはまたそれぞれの個々の金融機関の発表によって内容をご理解頂くと、こういうふうなことになるということでご理解頂きたいと思います。

問)

本日、ジャパンネット銀行が開業したわけですけれども、初のネットの銀行ということですが、改めて次長のご所見をお伺いできますでしょうか。

答)

ご質問の通り、ジャパンネット銀行さんですか、本日から営業を開始されました。今日は(午前)9時から営業を始めたというふうにお聞きしております。かねてから申し上げているところでございますけれども、従来の銀行業にはない新たな形態、業務を行う銀行を設立する動きにつきましては、金融技術の革新、競争の促進等を通じて、我が国金融の活性化等に寄与する可能性があるものと考えているところでございます。そして、今日そういう種類の銀行の1つが開業したと、こういうことになるわけでございます。我々と致しましてはこのような動きが現実に我が国金融界に新風を吹き込むとともに、利用者利便の向上に寄与することを強く期待している次第でございます。他方、既存の銀行におかれても、このような動きを機に利用者利便の向上、あるいは収益力の強化ということにつながるかと思いますが、こういう面に一層努力をして頂きたいと、こういうふうに考えている次第でございます。

問)

前日、大和銀行、あるいは東京三菱銀行に絡んだ提携、あるいは再編の動きがあったわけですが、こういった動きをどのように受け止めていらっしゃるか、お伺いしたいのですが。

答)

合併・提携等でございますが、これは金融再編と申しましょうか、こういうことにつきましては、基本的には個々の金融機関さんの経営戦略とか、経営判断によって決まるもの、決まるべきものと、こういうふうに考えておりますが、金融システム改革と申しましょうか、そういう意味での、大変一般的になりますけれども、一般論というふうにお断りした上でお答え申し上げますと、ペイオフの解禁等も今後予定されているところでございますので、金融機関が業務の再構築の一環として、顧客に対する専門化、高度化した金融サービスの提供を行う、こうして利用者利便の向上を図るとか、またリストラを推進する、経営の合理化・効率化を図っていく、そしてひいては収益力を高め、経営基盤を安定させていくと、今、2つ程例示に挙げさせて頂きましたが、利用者利便なり、経営基盤の安定化と、こういうことを考えますれば、金融機関の間における統合とか、業務提携とか、様々な試みがなされていく、そういうことが実現されていくということは基本的に私どもは結構なこと、そういう方向性に金融システム改革、そういう方向性に合致したものというふうに受け止めているところでございます。

問)

先立ってエイチ・アイ・エス協立証券がSECから勧告を受け、内部管理体制の問題が指摘されてましたが、ネット取引への取組みというのはありますでしょうか。

答)

今、ご質問の中の前半のエイチ・アイ・エスさんに係る勧告でございますが、これはそういう勧告でございますので、私どもで更にその対応をこれからよく考えていきたいと、監視委員会の勧告というのは大変重いものでございますので、それはそれで考えたいと思います。

一方ご質問の後半に、言わばインターネットを利用したような業務が今後、証券会社をはじめとして金融機関で一層普遍化するというんでしょうか、一般的な形態になってきて、いろいろそれに伴う例えば内部管理とか、業務の適切な運営と申しましょうか、そういう意味で問題があるんではないかと、そういうご質問の趣旨だったと思いますが、確かに例えば異業種の銀行業への参入の際にも、新しい業務展開、新しい技術の利用に伴って、それに対応する新しいリスクが発生する、そういうものに対しては適切に対応していく必要があるということをお話申し上げたと思います。それはインターネット証券会社の場合とか、これからおそらく盛んになってくると思われますインターネットの保険、こういうことにつきましても同じような観点から、新たなリスクが発生するので、それに適切に対応すべきであるということが言えると思います。そういう意味で、一層この分野につきまして、私どもも勉強する、あるいはマーケットの動きをよくフォローして必要な場合には、また必要な対応を私どもも考えていくと、こういうことが必要だなというふうに思っております。

問)

第三分野の自由化が7月に…本体のですね、正式に決まったわけですが、これは経緯を見てますと、参入作りについてなかなか調整が難航したりして、それで2段階方式になったということもあるのでしょうが、今後また参入作りが行われると思うのですけれども、この作業の影響で、7月がまたずれるという、そういうことはないと考えていいのでしょうか。

答)

前後致しますけれども、日米保険合意等を踏まえて、来年の1月からいわゆる激変緩和措置が解除されるということで第三分野に生損保が相互参入できるということは皆さんご存じの通りございます。そこで規制緩和を推進するということもございますので、この分野になるべく円滑に参入が実現していくということが必要でございます。そこで子会社形態の場合には既にルールができているということでございますので、おそらくこの1月の解禁ということから同時にそういうふうな参入が図られていくというふうに考えているところでございます。そして、今ご質問のように、いわゆる本体による参入ということになりますが、それにつきましては生命保険会社が損保関係のいわゆる第三分野商品を販売する、損保会社さんが今度は生命保険分野の商品を販売されるということになりますので、契約者保護とか、そういう観点から今までにない、丁度ルールが欠けていたと申しますか、今までそういう業務がございませんでしたから、あまりそのルールが発達していなかったと申しますか、そういう分野でございますので、我々としては努力してやっていきたいと思っておりますが、一方この分野に大変関心をお持ちの会社が多いわけでもございますし、また国民の側からして、いろいろな会社からいろいろな商品を比較した上で、保険商品をお買いになりたいという希望も強いわけでございますから、やはり明確なスケジュールに沿って、保険会社さんにおかれてはそのスケジュールに沿って、例えばコンピュータ等を整備して頂く、新しい商品も開発して頂く、一方で私どもがルール・メーキングを行って、保険商品についての審査、これに万全を機する、国民の皆さんからは同水準の保護が図られる商品をお買い求め頂くと、こういうふうなことで、それぞれ業界においても、国民の皆さんにおいても、また我々の側においても努力するということで、7月は是非守りたいと、それまでにルールをきちんと作って、おそらく4月ごろには政令とか、省令とか、そういうものを公布するという形で、その後は保険商品の審査という形で7月までにはできると、こんなふうに考えている次第でございます。

問)

これだけ大事な制度変更を7月にするということは、今質問があって初めて次長は認められたわけですが、金融庁から正式に発表されたことはないと思うのですけれども、それはどういう説明、そういったことの制度変更に伴う説明について、どういう姿勢でおられるんでしょうか。

答)

つとに、私どもは先程もお話したこと等をちょっと関連づけて申し上げれば、新しい商品とか、新しい業務分野があると、こういう場合には、それに伴う準備と申しましょうか、それに伴うルールというのを用意して対応していく…。

問)

すいません、私がお尋ねしているのは、その理由ではなくて、7月ということはこれまで公表されたことがないと思うんですが、7月なんでしょうか。

答)

7月です。規制緩和をどういうふうに進めていくかという全体の中で、本件につきましても、各方面からもご検討頂きまして、私どもは私どもなりに準備し、今日はまた自民党、与党の方での検討会も行われたわけでございますので、従って、ここに今申し上げたスケジュールを申し上げることができるようになったと、こういう次第でございます。

問)

冒頭、次長の方から今日は何も発表するものはないと仰ったわけですけれども、質問が出なければ公表しなかったわけですね。これはどういうことでしょうか。

答)

つとに、今日の午前中に発表されておりますし、今まさに業界の皆さま方にもお集まり頂いて説明しているところでございますので、そういうことが滞りなく済んだ暁に、この点が明らかになるということでございますので、また明日にでもお分かり易くお話申し上げる機会もあろうかと思います。

問)

それと7月になった理由ですけれども、もともと当時、金融監督庁長官の日野長官の談話と大蔵大臣の談話で、2001年1月に完全自由化と、完全と入れているわけですけれども、これは反故にされたということでしょうか。

答)

いろいろな見解もあろうかと思いますが、私どもは約束した通りに努力してやってきたところでございます。前後致しますが、ほんの1、2カ月前に、もう少し前でしょうか、アメリカの我々の交渉相手とも交渉が終了して、こういう段階に至ったわけでございますので、何か物事を遅らせるとか、そういうことではなく、進めているところでございますので、そこはご理解頂きたい…。

問)

完全自由化という談話を一度出してらっしゃるわけですが、完全自由化には1月にはならないわけですね。

答)

1月に子会社形態ではございますが、保険業における相互参入は実現、第三分野に対する相互参入は実現するわけでございます…。

問)

いや、公約は完全自由化だったわけですけれども、それは果たされるのでしょうか。

答)

まず、いろいろな日米保険協議の中身の内容を確定するということも必要でございますので、我々はその1つ1つ障害物を取り除いて、そこに至るということでございますので、完全自由化ということで私どもは今まで進めてきた結果、今日に至ったわけでございます。今日と申しますか、今まさに業界の皆さんにご説明申し上げているところでございますが、それによってこの方針が全体として明らかになると、こういうところまで運んだということでございます。

問)

要するに政府として、公約したことが守られなかったわけですけれども、そういった状況が変わったいうとか、政策が変わったことについて、余りにも説明が不足していたと思うんですね、なんで突然7月というのが出てくるのかというのが非常に唐突な感じですし、その理由があまり明らかになっていない、ほとんど説明されてないわけですね。

答)

ルール・メーキングが当然に必要でございますので、7月以降、例えて言えば、あまり例示を挙げるのは適切ではないかも分かりませんが、私ども前から申し上げている通り、例えばこのインターネット等をお使いになった銀行業の免許申請をされたい方が、もし出て参りますれば、私どもの運用上の指針を急いで作りますということは皆様に申し上げましたが、実際には、それ以前に免許申請をされたいということであれば、私どもは法律的には、それは排除できませんので、私どもの立場をよくご説明申し上げて、運用上の指針というルールができるので、それをお待ち頂きたいということで、しかし免許は、仮に議論として申請されれば、私どもはそれを受け付けないということは致しません。それと同じような意味で1月1日以降ですね、日米保険合意に沿って完全に解除されますので、いつでも私どもは受け付けなければいけないという立場に立つと思います。そういう意味では完全実施ですが、では今度は先程申し上げましたように、規制緩和をどういうふうに図っていくか、秩序あるこの分野の発展がどういうふうに行われていくか、円滑にいろいろな生保会社さん、損保会社さんがこの分野にどうやって入っていくことができるか、そういう観点で考えて、ルール・メーキングを行うことによって、いわば個別的に有利不利とかですね、そういうことが起こらないように公平にやっていきたいということでございます。

問)

完全自由化を公約されたのは、もう2年くらい前になると思うのですが、日米交渉の結果に関わらず、ルール・メーキングをしている暇は随分長いことあったと思うのですが、なんでこれまで手を付けてこられなかったのですか。

答)

実際に、第三分野と申しましても、先程のご説明の中に若干入れておいたわけでございますけれども、損保的色彩の強い第三分野商品と生保的色彩の強い第三分野商品とがあるわけでございますので、そうしてまたサービスを提供する、そういう商品をお作りになる生命保険会社・損害保険会社におかれてですね、ここのところ急速にどういう商品をお作りになるかという作業が進展もしてきておりますので、私どもはそういう実態を踏まえつつ、公平なルールはどういうものかというものを作り上げていきたいと、そういうことでルールと申し上げましても同じ水準の契約者保護ということの具体的な中身を作っていきたいと、こういう趣旨でございまして、今これから新しい第三分野商品をお考えのそういうサービスを提供する商品設計をされるというお立場からしても、ルールを作って欲しいということでございますので、そういう形でルールを作ることが国民の皆様にも商品が実際に販売される際には、なるべく混乱が少なく円滑にこの分野がスタートできるという、こういうことになるというそういうふうな立場で今ご説明申し上げているということをご理解頂きたいと思います。

問)

ルールは必要だと思うのですが、政府として公約した規制緩和時期を一方的に延ばすというのは、これは大変なことだと思うのですが、それについて今、次長から全く先延ばしになったことに対する申し訳なさみたいなものは全くないのですけれども、それはアメリカのせいですか、遅れたのは。

答)

私どもが努力しなければいけない面も多々ございますが、一方において本格的にこの分野が解禁され、激変緩和措置が解除され、今のこの時代と申しましょうか、社会的環境と申しましょうか、それを十分に汲み取った、例えば介護保険がですね、これからいつどういうふうになってくるかとか、日本の老齢化人口の推移とか、そういう新たな要素を踏まえて第三分野の商品を、今、保険会社の各社さんが一生懸命考えておられます。従いまして、そういう新しい動きを踏まえつつ共通のルールは何かと、あるいはお説の中には日本の老齢人口は、益々大きくなるというんですか人口が増えるというようなことは、それは何年か前から予測されていたということではございますが、現にこの時点で具体的に商品設計される保険会社さんの皆さんは、もう少し具体的になったところでいろいろな要素を折り込んで新しい商品を設計されるわけですね。ですから我々として、あまりにも大原則に立った議論、これも大事ではございますが、もう少し実務的に実態に則した形で物事を考えてきていると、こういうふうに位置づけて頂きたいと思います。

問)

今回の第三分野の一連の動きを見ていると、どうも昔の護送船団のイメージがあるのですけれども、今日、生保協と損保協に伝えられているわけですね。異業種の参入がこれから起きてくる時代に、つまり損保協と生保協に加盟しない会社にも保険会社が入ってくることがあり得る時代に、業界に伝えるだけじゃなくて、同時に外向けに発表するという考えはないのですか。

答)

ちょっとこの部分は、どういうふうに申し上げたらよろしいか…明日の朝に大臣から、言わば皆様方にご案内するということを考えておりますのでご理解頂きたいと思います。

問)

外部に対してより、先に業界に対してというのは行政としてあり得るんですか。

答)

実務的なですね、大混乱が起きることがないようにしたいとも思いますし、また行政の方がですね、あまりに一方的に、ある日突然に物事を発表するということでもないかと思います。そこら辺は、バランスの問題だということで、こうなったということでもってご理解を頂きたいと思います。

問)

全然、今の質問に答えていないんじゃないですか。つまり、特定業界だけを優遇しているというふうに映るわけですね、今の質問はそういう質問なんですけれども。

答)

保険業は、免許業でございますので、免許を得られている方々に、私どもがご説明するということであれば、よろしいのではないかと思いますが。

問)

国民の関心のある問題なので、利便性が高められるとか仰っているわけですから、そこは、やっぱりきちっと発表するということが説明するということが普通と違うのですかね。

答)

従って、大臣にももう一度ご報告申し上げますが、明日には大臣の方からお話頂くということを予定しておりますので、そこはご理解頂きたいと思います。

問)

自由化の時期を7カ月も遅らせるというのは、契約者のためというよりも、生保業界とか、業界のためじゃないのですか。

答)

どういうご趣旨でご質問頂いているのかよく判りませんが、いわゆる子会社もですね、多数設立されておられますので、子会社を通じたいわば販売が始まるという意味では、1月以降活発に始まるわけでございますし、また子会社をお持ちのような保険会社におかれてもですね、今度は本体で参入できるということになれば、子会社で販売する、本体で販売する、そこら辺をいろいろ、いわば営業戦略をお立てになっておられることかと思いますので、何か格別に一定の分野に対して我々が、何か差別的に対応しているということではないということで、ご理解頂きたいと思います。

問)

ちょっと新しい話ではないので恐縮なのですけれども、念のため今説明を頂きたいのですが、今現在、子会社方式で申請があった時に金融庁は激変緩和措置で却下されるわけですか。

答)

ちょっとご質問の趣旨が判りませんが、今多数子会社からの商品の認可の申請もございますので、それは鋭意審査を致しております。

問)

1月以前ですか。

答)

おそらくそれは1月から売られるということになると思います。

問)

1月以前には認めないわけですか。

答)

1月から解禁であるということが日米合意ですので、1月から解禁でございます。

問)

日米合意は、日本の法律では、何に基づいてやってらっしゃるのですか。

答)

日米保険合意ということでご理解頂きたいと思います。

問)

いや、その日米保険合意というのは、国内でそういった許認可をするのに、いわば○×(まる・ばつ)を金融庁が付ける根拠というのは何ですか。

答)

保険業法の政省令の中に細かく書かれておりますので、必要でございましたら、後でお問い合わせ頂きたいと思います。激変措置には、そういう法令的な根拠がございます。

(以上)

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